24歳で急遽ドクターストップ引退の佐山駿介がプロレスファンへメッセージ!「プロレスラーはいつ怪我して引退するか分かりません。だから、たくさん会いに行ってあげてください」

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 13日、東京都・新宿FACEにて『TTT BIG MATCH 2021』が行われ、佐山駿介が約4年間のプロレスラー人生を終えた。

 TTT(TOTAL TRIUMPH TEAM)とは、ターザン後藤に薫陶を受け、ミスター雁之助を師に持つ黎明期インディープロレスの後継者的存在であるガッツ石島が昨年1月に“インディープロレス統一”を掲げて旗揚げした団体。旗揚げ直後から新型コロナウイルス流行による大会自粛という苦難に見舞われるも、昨年7月に再開してからはほぼ全ての大会が札止めとなっており、根強いファンの支持を得ながら勢力を拡大してついにこの日初の新宿FACEでのビッグマッチを開催。

 昨年6月にエースのTORUが右肩を脱臼してピンチを迎えたTTTだったが、その危機を救ったのが佐山だった。
 佐山はTAJIRIに憧れてプロレスラーを志し、パンクラスP's LAB横浜で総合格闘技の素養を培ってからWNCの血を引くASUKA PROJECTで高校3年生ながらデビューを飾る。総合仕込みの鋭い蹴りや巧みなグラウンドテクニックには定評があり、特に蹴りの威力は昨年シングルマッチで対戦したCIMAに「今年受けた蹴りで一番効いた」と太鼓判を押されたほど。
 フリーとなった2019年には年間135試合に出場する業界随一の売れっ子選手となり、TTT旗揚げと同時に所属選手となった佐山は一番の若手でありながらメインイベンターを任されるようになり、団体の顔として急成長。格上とされていた外敵の首魁を破って団体の至宝であるCCWカナディアンヘビー級王座を戴冠するなどの実績を残し、名実ともにTTTの新エースとなった。

 しかし、佐山は以前より目の不調に悩まされており、「チャンピオンが欠場するわけにはいかない」と無理を押して出場を続けた結果、症状は日に日に悪化。ボロボロの中で闘い続けた佐山は今年3月に王座陥落した際に目を負傷して欠場に入ったが、その際に受けた精密検査で「網膜剥離の影響でこのままプロレスを続けると失明のリスクが高まる」とドクターストップを受けてしまう。
 視界の歪みや飛蚊症などで私生活にも支障が出ているという佐山は、悩みに悩み抜いた末に引退を決意。24歳の若さで現役を退くこととなり、「佐山駿介というプロレスラーがいたんだということをここのリングで表したい」と団体初のビッグマッチでケジメの引退試合を行うこととなった。

 佐山の引退試合は、佐山駿介&瀧澤晃頼vs阿部史典&仲川翔大のタッグマッチ。
 瀧澤と仲川はASUKA PROJECT時代の仲間であり、瀧澤は佐山とともにアメリカやカナダへ海外遠征に行き“テリヤキボーイズ”として苦楽をともにしてきた間柄であり、現在TTT所属として肩を並べる盟友。そして阿部は佐山のデビュー戦の相手であり引退試合の相手も務めるという、ゆりかごから墓場までを見届ける存在となった。


 試合は佐山と3人がともに歩んできた歴史を振り返るような内容となり、練習生として入門して最初に教わるような基礎的なグラウンドの攻防に始まり、互いの思いを確かめ合うかのようなエルボー合戦を中心に展開。
 業界随一のハードヒッターである阿部の鋭いエルボー連打で佐山が崩れ落ちると、阿部が「頑張れ!最後だろ!」と引き起こして顔面に強烈なビンタ。これで再点火した佐山は雄叫びを上げながらのエルボー連打からランニングエルボー、バックドロップ、バズソーキックと必殺技のフルコース。これを受けきった阿部が伊良部パンチから澤宗紀直伝のお卍固め、さらに腕極めお卍固めへと移行すると佐山も無念のタップ。

 全試合終了後には佐山の引退セレモニーが行われ、ゆかりある選手・関係者が続々登場して佐山に花束や記念品を贈呈。そして、佐山がプロレスラーになることに反対し続けて今まで一度も会場に来なかったという佐山のご両親もリングに上がり、息子の生き様を讃えた。

 最後の挨拶を行った佐山は、今までお世話になった人たち1人1人の名を挙げて感謝の言葉を述べていき、涙声で「ホントはプロレスラーとして一人前になって親孝行がしたかったけど、こうやって叶わなかったので、これからはプロレスラー以外の人生で親孝行します」と両親へ深々と頭を下げた。


 そして、「プロレスラーは、自分みたいにいつ怪我して引退するか分かりません。今はコロナ禍の中で難しいかも知れませんが、応援している選手が1人でもいるんだったら、会いに行ってたくさん応援してあげてください。ホント命がけで試合してるんで、自分みたいにいつ引退するか分かりません。なので、これからもプロレス界を応援してあげてください」とファンにメッセージを贈り、テンカウントゴングから最後の選手コール。観衆が大喝采を贈る中、参戦選手一同が佐山を胴上げした。

 バックステージに戻った佐山は、「自分は辞めたくて辞めるわけではないのでどうしても悔いは残るんですけど、少しでも悔いを減らすための対戦相手・タッグパートナーだったので、その中で自分の力を出し切れたかなと思います。一安心してますね」と笑顔を見せ、今後については「まだどうするかは決まっていないんですけど、自分なりに動き出してはいるので楽しみにしていただけたらと思います。プロレス、TTTにも何かしらの形で貢献できたらと思います」と第二の人生について語り、仲間たちの拍手に見送られながら去っていった。

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