崩壊家庭で虐待受け中学生で人生に絶望…格闘技に出会わなかったら自殺していた男・石司晃一RIZINで輝く
4月1日(土)RIZIN2023年度開幕戦がインデックスアリーナ大阪で開催。第5試合でRIZIN初参戦の石司晃一が金太郎と対戦、僅差の判定勝利でRIZIN初参戦を勝利で飾った。
パンチを当てにいったのは金太郎だったが、石司は前に出続け圧を掛け続けた。闘いは打撃戦に終始、両雄譲らぬ激闘は最終ラウンドまでもつれた。
最終ラウンドで石司が金太郎のバックを取って巻きつき足4の字、リアネイキッドを狙うが金太郎もがいてなかなか決まらず。金太郎が解いて態勢変えて立ち上がったところでゴング。
判定結果は2-1で石司に軍配。
石司晃一はRIZIN公式YouTubeのファイターズインタビューに答えて子ども時代の壮絶な虐待経験をカミングアウトしていた。「父親に虐待されながら育った。しょっちゅう殴られてた記憶」「なんかですごく怒られてお前は朝まで反省してろみたいに言われて暗い中で正座して朝明るくなるまで起きてた」
まったく働かない父親が暴力で支配する家庭で壮絶な虐待を受け続けて育った。
「ずっと苦しかった」
家庭では父親の虐待、学校では病気による激やせによるイジメ、気がついたら絶望しかなく自殺を考えるように。そのときよぎった考えが運命を変えた。
「どうせ死ぬんなら格闘技やって死のうかな」
バックステージでの石司は試合を静かに振り返った。
「なんとか勝てたのは嬉しいんですけど1,2Rかなり反省点は多いんですけど、最低限クリアできた。打撃だけで圧倒してやろうと思ったんですが予想以上に打って来なかったので消耗戦に出来なかったんで、最後プランになかったんですけど組みに行きました。金太郎選手 パンチも蹴りも一発重いし実力あると思いました。チョーク浅かったんでいい形とれなかったんで終わっちゃったんで。RIZIN最高気持ちいいです。会場の雰囲気とか全然違うんで。金太郎選手が入って来た時の大歓声が聞こえて来て完全にアウェーだなって。大舞台にあがって名をあげるために来たのではないので。これから強くなっていけると思うんで、実力ある選手と闘ってトップを目指したいと思います」
アウェーの大観衆のなか最終ラウンドの土壇場にプランを変えてインパクトを残して勝ちに行った強靭なハートは壮絶な半生を乗り越えた賜物か。
石司が人生に絶望しかなかった中学生のときにもしも命を絶っていたら、私たちは今日この試合を見ることなく、石司晃一の晴れ姿に涙することもなかった。
生きることはそれ自体が苦行であり、それゆえに時折訪れるささやかな幸運に巡り会ったとき人は心から思うのだ。
死んで花実が咲くものか。生きてこそだ、と。