「締めくくりはやっぱり蝶野にしたかった」武藤敬司が蝶野正洋とサプライズのシングルマッチで激突!「本当に俺は幸せなプロレス生活でした」と笑顔で引退

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 21日、東京都・東京ドームにて、プロレスリングNOAH『chocoZAP presents KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~』が開催され、武藤敬司が約39年の現役生活に幕を下ろした。

 武藤敬司は新日本プロレス、全日本プロレス、WRESTLE-1を経てフリーとなり2020年からNOAHに参戦。2021年にはGHCヘビー級王座を初戴冠を果たして佐々木健介、高山善廣に次ぐ史上3人目の3大メジャー団体ヘビー級シングル王座完全制覇を達成し、NOAHへと入団。その後は丸藤正道とGHCタッグ王座も戴冠し、高山善廣に次ぐ史上2人目の3大メジャー団体シングル&タッグ王座の完全制覇を達成した。
 そんな武藤も体の限界を感じ、2023年2月21日のNOAH東京ドーム大会にて引退することを発表。武藤の引退発表後のNOAHは近年稀に見る大盛り上がりを見せており、武藤の引退とともに魔界の門が閉じてこちら側の世界に出てこられなくなってしまうというグレート・ムタも1月22日の横浜アリーナ大会でラストマッチを実施し「バイバイ、エブリバディ。ノーモアムタ。バイバイ。グッバイ!」と別れを告げていた。

 そして、武藤は1月21日の新日本vsNOAHの対抗戦のメインで勝利を飾った内藤哲也の前に現れ、「内藤!俺の引退試合の相手、お前に決めた!熱い、熱い試合をやろうぜ」と指名。両者は2012年1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会で対戦しているが、内藤はこの試合を「完敗」と振り返っている。

 しかし、武藤は1月22日に両足の肉離れを起こし全治6週間と診断される。大々的に自身の引退興行が世に喧伝されている中、流石の武藤もプレッシャーを感じる言葉を発していたものの、「レスラーってのはヒーローじゃなきゃいけない、スーパーマンじゃなきゃいけないってことで、俺もプロレスラーですから、超人的なところを見せなきゃいけない」と奮起。
 内藤も「今プロレス界の先頭を走る人間と、引退する人間の差を見せつけた上での完封勝利が理想だと思うし、それを見せつけることこそ、俺をプロレスに熱中させてくれた武藤敬司選手への最高の恩返し」と全力で武藤を葬り去ることを宣言していた。

 ゲストの蝶野正洋がCRASHに乗って東京ドームの花道から入場してくるという胸が熱くなる光景でファンの熱が高まっていく中、蝶野が「ガッデーム!アイ・アム・チョーノ!ついにこの日が来てしまいました。武藤敬司引退試合、本当にお疲れさまでした。今日は皆さん、最後まで武藤敬司の応援よろしくお願いします!」と挨拶。
 過去に使用された入場曲のマッシュアップで武藤の歴史が振り返られ、最後に『HOLD OUT』に繋がっていく演出から武藤が最後の入場。
 
 試合は、ロックアップで組み合っての力比べからクラシカルで丁寧なグラウンドレスリングが展開。
 武藤は手4つからダブルリストアームサルト、フラッシングエルボー、STFと繰り出して先手を取るが、内藤は徹底したサブミッションでヒザを痛めつけ、大ブーイングを受ける。 場内が武藤コールに染まる中、武藤は低空ドロップキック→ドラゴンスクリュー→足4の字固めの伝家の宝刀を抜き放ち、故・橋本真也さんの得意技であった袈裟斬りチョップの連打&DDTを放ち天に向けてLOVEポーズ。さらに故・三沢光晴さんの得意技のエメラルドフロウジョンまで放ち、場内が「橋本!」「三沢!」のコールで満ちる。
 武藤は2度ムーンサルト・プレスを狙う機会があったが、逡巡の末にコーナーから降りる。
 雪崩式フランケンシュタイナーを狙う武藤だったが、内藤がコーナーからエスペランサで叩きつけデスティーノを狙う。武藤が低空ドロップキックからドラゴンスクリュー、足4の字固め。ドラゴンスクリューからシャイニング・ウィザード、後頭部へのシャイニング・ウィザード、正面から照準を定めてのシャイニング・ウィザードと猛攻をかける。しかし、これを受けきった内藤がドラゴンスクリューからシャイニング・ウィザード、足4の字固め、裏表からのシャイニング・ウィザードからデスティーノで叩きつけてカウント3を奪った。

 マイクを取った武藤は、「東京ドーム、たくさんのご来場、ありがとうございます!39年間続けてきたプロレス、今日で引退しますが、武藤敬司のプロレス人生、最高に幸せでした!皆さんのおかげです!ありがとうございます!自分がいなくなっても、プロレス界はますます驀進していきます!どうかこれからもよろしくお願いします!」と頭を下げる。

 ここから感動の引退セレモニーへ突入するかと思われたが、武藤は「……というところで、まだ自分で歩いて帰れるし、ちょっとエネルギーも残ってるし、まだ灰にもなってねーや!どうしても、やりたいことが1つあるんだよな。蝶野!俺と闘え!蝶野!」と突然蝶野に対戦を要求。隣に座っていた引退済みのタイガー服部レフェリーまで引っ張り出して特別試合を実施。


 ロックアップでの力比べから蝶野がサミングで怯ませビンタ。崩れ落ちた武藤へ蝶野がケンカキックを叩き込み、STFで絞り上げると武藤がタップ。
 その後は古舘伊知郎氏による武藤のプロレス人生を振り返る詩の朗読が行われ、武藤は大歓声に見送られながらリングをあとにした。

 バックステージに戻った武藤は、かつての盟友たちの技を繰り出したことやムーンサルト・プレスを躊躇したことについて、「やっぱり慣れた技じゃないから、なかなか決めるにまでは至らなかったですね。しかも自分のムーンサルトも飛ぶガッツがなくてね。昔、プロレスのためには足の1本や2本あげてもいいようなことを俺は言ったことあるんだけど、やっぱりあげれなかったな。ちょっと俺、ウソつきだよ。あそこで躊躇しちゃったよ。家族の顔とかさ、医者の顔とか。しかもみんな怒ってる顔なんだよ。それが出てきてね。躊躇しちゃったよ」と振り返る。

 蝶野との最後の試合については、「どうしてもやりたかったことなんだよ。なんだかんだ言って、蝶野はデビュー戦を一緒にやって、締めくくりはやっぱり蝶野にしたかったんだよ。よくあいつあそこまで動けたよ。大したもんだよ。アドレナリン出てたよ、あいつ。嬉しかったっす。期待に応えてくれて」と満面の笑み。
 そして、「本当に多くのレスラーがこういう風に引退試合ができてない中で、本当に俺は幸せなプロレス生活でした」と総括し、復帰の可能性を「もうケジメつけたんだから。そんなこと言わないでくれよ。後ろ髪引かれるじゃんかよ。もう辞めるよ。これだけ盛大に祝ってもらって、また復帰したら詐欺で捕まっちまうよ」と笑い飛ばして否定し去っていった。

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