【激白・第1章】夏すみれ2年間の欠場の真実。本人の口から語られた心の闇と買収提案
8月5日に長期欠場から復帰する女子プロレスラー夏すみれは、波乱万丈な人生を送っている。
特にプロレス界から離れていたこの2年は、人生の中でも今までにない経験を積んでいた。
一体この2年の間に夏すみれに何が起きていたのか?
悩み苦しみ、仕事を失い放浪の最中に出会ったある男との出会いが人生を狂わせる。
本人の口から語られたノンフィクションの感情の吐露を実録する。
■自分自身が病んでいたっていう自覚が無くて・・・
――2019年12月15日の自主興行『Forever』の後に怪我をし、翌年に肩の怪我から長期欠場。スターダムのHPからもいつの間にか名前が削除され、約2年の間プロレスラーとしては“消息不明”になっていましたが、その間なにをされていたのでしょうか?
「私プロレスデビューしてから来年で10年になるんですけど、2019年の年末に自主興行をやらせていただいたあの時が、私のプロレス人生でマックスと言っていいほど1番色んなものが満たされていた時期だったんですよね。レスラーとしてはベルトだったり実績という部分ではそこまで残してはないですけど、2019年の夏に初めてベルトを戴冠(※アーティスト・オブ・スターダム王座)させてもらったりとか、あの当時のメンバーで活動していた中では一番結束が深まっていた。私個人としても自主興行ってものを初めてやって、満員札止めで終わっているので、私の最高潮は2019年の年末だったんです」
――すでに離れてしまった大江戸隊メンバーが揃う、夏すみれにしかできない素晴らしい興行でした
「でもそこから世間の情勢が、コロナウイルスによって結構変わっていっちゃったんですよね。私の中では色んなことがトントン拍子に良き方向に進んでいって『来年から頑張るぞ!』ってときに出鼻をくじかれた。当時の大江戸隊リーダーの花月さんであったり葉月ちゃんが引退したりとか、メンバーもごそっと抜けてしまう時期で。色んなものが2019年の年末から2020年にかけて急に変わりすぎてしまったんです。世間もそうだし、私自身の周囲の環境が。そのときの状況の変化に私が適応できなかったっていうのが今振り返るとあると思うんですよ。今までみたいに試合をして、ファイトマネーをいただいて生活をするっていう生活の基盤もコロナウイルスのせいで無くなって、今後の生活がどうなるかもわからなくなっちゃった。それに他の人がその時々の状況に合わせて自分の方針とかを上手く変えられたりすると思うんですけど、私はそれが上手く出来なくて、結果的に先に心を病んでしまったんですね。でもその時には自分自身が病んでいたっていう自覚が無くて・・・」
――では何がきっかけで病んでいる事に気づいたのでしょうか?
「先に身体症状だったんです。眠れないとかもあったし、突然動悸がして息苦しくなったり、外に出るとキーンって耳鳴りがして音が聞こえづらくなったりとか、人の名前が出てこなくなって。さんざん今まで顔を合わせていただはずのスタッフさんとか、さんざん飲んでる友だちの名前が出てこないみたいな。そのときはネットで症状調べてみて“ストレス”って出てきたんですけど、ストレスって結局何にでも当てはまっちゃうじゃないですか?あんまりピンと来てなかったんですけど、『おかしいなあ?』っていう状況が続いてて。試合もないし、緊急事態宣言で家からも出られない状況になってて人間関係とかが全くなくなるじゃないですか。人付き合いがしたくでも出来ない時期で、逆に私のストレス的な状況が落ち着いてはいたんですけど、6月とか7月とかから無観客とか制限はありつつも復活していった中で、再び表に立って仕事を再開するってなったときに、一気に精神面が崩れた」
――当時スターダムはすぐに無観客興行を行い、怪我をした10月には横浜武道館のこけら落とし興行を行っていましたね
「正直、人前に出るモチベーションが保てなかったときに怪我をしてしまったんです。私は2014年にも膝の靭帯を切って1年間の長期欠場をしたんですけど、実はあのときもメンタルが弱ってるときに身体の方もガタガタになってしまって。怪我とメンタルが結構リンクしていて、自分の中でのモチベーションが保てないときに大怪我をしてしまう。今回も『肩の脱臼手術のため』って言って欠場に入らせていただいたんですけど、正直肩の脱臼は練習生の頃からずっとだったんですよ。練習生のときに肩を外してしまって、そこからクセになっててずっと治らなくて。試合の時もテーピングでガチガチに固めて、それをコスチュームの袖とかで隠してたんですよね。だけど、正直そのときは『現役中は手術はしない』と思ってて。クセになってたんで、外れやすくても入れやすくもあるんですよ。しかも私の場合は完全脱臼じゃなくて亜脱臼っていうちょっとズレるやつで、ちょっと肩を動かせば入っちゃうから。ずっと誤魔化し誤魔化し試合をしてたんですけど、その時期に試合中に大きくズレてしまって。いつもであればすぐに入れて、2~3日経てば普通の日常生活を送れるようになるはずが、そのときはもう何日経っても治らなくなっちゃってたんです。肩のゆるみとかバランス感覚にも違和感をおぼえるようになっちゃってて。それで今までだったらテーピングをしていれば受けられていた技とかも受けられなくなっちゃって、そうなると私自身の問題じゃなくて試合の相手にも迷惑かけちゃう。寝返りで外れて痛みで起きたりとかして、そういうときって痛みでパニックになってるから『痛い!』って叫ぶことも出来なくて1人でおろおろするってこともあって、『もう休もう、無理だ』って。それで当時お世話になっていたスターダムさんとか他の団体さんにも急遽っていう形で休ませてもらいました」
■ゴングの音が鳴るのを聞くだけで『あっ、やめてやめて』って感じだった
――だいぶ追い詰められて居た状況だったんですね
「それで欠場に入ったんですけど、結構自分自身が感情の波とかも激しかったし、今振り返ればマトモじゃない状況だったと思うんですよ。欠場に入ってしばらくは『“なにもしない”をやろう』と思って。私は二十歳でプロレス業界に入って、膝の靭帯を切った1年間の欠場中も当時は団体に所属していた身なので、セコンドをやったり、ポスターを作ったりとか仕事はあったんですよね。だから結局なんだかんだプロレス業界には関わってるままずっと過ごしてて。でも、『私の20代ずっとプロレスだな』と思って。だからこの肩の怪我を機に1回プロレス業界から離れてみようと思って。プロレス業界にいたから出来なかったこととかちょこちょこあったので、そういうのを好きなようにやろうっていう感じで最初の3~4ヶ月は本当に何もせずに過ごしていました。運良く年末に自主興行をしていたので、ちょっと普通のファイトマネーよりまとまった大きいお金が入ったりだとか、コロナの給付金とかも一応給付対象ではあったので、そういうので数ヶ月であれば生活できる程度の蓄えはあったから、何もせずに過ごしていました。2020年はずっと」
――心も体も一度休息に入り安定したわけですね
「そうですね。でも正直、プロレスに対しては消極的な気持ちになっちゃってたから、欠場に入ってからはプロレスを見られなくなっちゃって。自分は立ち止まっちゃって心身ともにバランス崩して休んでいる間に、他の選手はコロナを乗り越えて前に進んでるわけじゃないですか。そういう現状とかを見るのもしんどかったので、Twitterとかも・・・今考えると申し訳ないことしちゃったなって感じなんですけど、結構何人かフォローを外して見ないようにして。最終的にはSNSを開かなくなりました。当時はファンの方とかは『アイツ生きてんのか?』とか思ってたと思うんですけど、なんかもう、つらくて。プロレスの状況を見るのが。ゴングの音が鳴るのを聞くだけで『あっ、やめてやめて』って感じだったので……。プロレスに関することに触れちゃうと精神的に乱れるみたいな感じで」
――プロレス中心の生活をしてきたからこそ、拒否反応が出てしまったと。ではプロレス以外で何をしていたのでしょうか?
「なんだかんだ取れてなかった免許(普通自動車運転免許)を取りに行ったりとか、自分の好きなゲームを好きなだけやるだとか、歴史が好きなんで小旅行みたいな感じで史跡めぐりをしたりだとか、プロレス以外の部分では満喫しようとして色々やってた感じですね。2021年の年明けに肩の手術をして3~4ヶ月ダラダラ過ごしていたんですけど、そのときにはプロレス業界に戻る決意は出来てなかったんですけども、でも生活はしなきゃいけない、食い扶持を作らなきゃいけないわけじゃないですか?でも現実問題として肩の手術をして、しばらくは肩を固定していなきゃいけなくて。肩を吊った状態で始められるバイトも無い。なので、知り合いのツテとかで、上手いことこっちの事情の融通が効くような形で生活費を稼いでいかないとと思って。当時、プロレスを通じて知り合った人にその相談をして・・・言うなれば選手としての活動をずっと応援してくれていた人なんですけど・・・その人から最初に言われたのが、2つの某女子プロレス団体の名を挙げて『そこを買収しようと思ってる。買収した暁には夏さんにも選手としてじゃなくていいから裏方で選手をプロデュースするような形でやってくれないか』という話をされて・・・」
第2章へ続く
『NOMADS' vol.2』
日程:2022年8月5日(金)
開始:19:00
会場:東京都・新宿FACE
チケット購入URL:https://nomads-fs.shop/
▼シングルマッチ
雪妃真矢
vs
櫻井裕子(COLOR‘S)
▼6人タッグマッチ
真琴/小林香萌/関口翔
vs
安納サオリ/本間多恵/尾崎妹加
▼シングルマッチ
水波綾
vs
網倉理奈(COLOR‘S)
▼夏すみれ復帰戦 タッグマッチ
夏すみれ/高瀬みゆき
vs
[galaxyPunch!]SAKI(COLOR‘S)/清水ひかり(COLOR‘S)
▼タッグマッチ
山下りな/優宇
vs
高橋奈七永/松本浩代