【試合詳細】7・18 PANCRASEベルサール高田馬場大会 【フェザー級暫定KOP】透暉鷹vs亀井晨佑 清水清隆vs佐々木亮太 【ストロー級KOP】北方大地VS山北渓人
『PANCRASE 328』
日程:2022年7月18日(祝)
開始:14:30
会場:東京都・ベルサール高田馬場
観衆:発表なし
[第1部]
▼第1試合 フライ級 5分3R
●前田浩平(GRABAKA)
判定0-3
○大塚智貴(CAVE)
▼第2試合 ライト級 5分3R
○葛西和希(マッハ道場)
判定3-0
●DARANI(PRAVAJRA)
▼第3試合 キャッチウェイト 5分3R
○中田大貴(和術慧舟會HEARTS)
1R 4分14秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●内村洋次郎(イングラム)
▼第4試合 コーメイン ストロー級 5分3R
○八田亮(ストライプル オハナ)
判定2-1
●野田遼介(ALLIANCE)
▼第5試合 メインイベント ストロー級キング・オブ・パンクラス チャンピオンシップ 5分5R
●北方大地(パンクラス大阪稲垣組)
判定0-3
○山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)
※山北が第3代ストロー級KOPとなる
[第2部]
▼第1試合 フライ級 5分3R
△NØRI(PRAVAJRA)
ドロー(判定1-1)
△栗山葵(SKOKER GYM)
▼第2試合 フェザー級 5分3R
○髙木凌(パラエストラ八王子)
1R 0分52秒、K O(スタンドのパンチ)
●林優作(ZOOMER)
▼第3試合 フェザー級 5分3R
○新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
1R 3分35秒、アームロック(タップアウト)
●ハンセン玲雄(reliable)
▼第4試合 フェザー級 5分3R
●Ryo(RINGS)
2R 2分09秒、KO(スタンドのパンチ)
○遠藤来生(Power of Dream Sapporo)
▼第5試合 コーメイン 清水清隆パンクラス ラストマッチ/フライ級 5分3R
○清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A)
2R 4分17秒、RNC(タップアウト)
●佐々木亮太(蒼天塾あざみ野道場)
▼第6試合 メインイベント フェザー級暫定キング・オブ・パンクラス決定戦 5分5R
○透暉鷹(ISHITSUNA MMA)
4R 4分35秒、RNC(タップアウト)
●亀井晨佑(パラエストラ八王子)
※透暉鷹が暫定王者となる
[ポストリミナリーファイト/第28回ネオブラッド・トーナメント準決勝]
▼第1試合 フライ級 5分3R
●大野友哉(パラエストラ千葉)
1R 1分03秒、RNC(タップアウト)
○伊藤まこと(パラエストラ柏)
▼第2試合 バンタム級 5分3R
●持田哲兵(mma ranger gym)
2R 2分28秒、三角絞め(タップアウト)
○上田祐起(reliable)
▼第3試合 バンタム級 5分3R
○田嶋椋(OOTA DOJO)
判定2-1
●鬼神光司(CAVE)
▼第4試合 ワンマッチ ライト級 5分3R
○余勇利(マッハ道場)
判定3-0
●望月貴史(BRAVE GYM)
透暉鷹が亀井を制しフェザー級KOP暫定王座獲得!北方は山北に敗れストロー級KOP防衛ならず!清水清隆は14年ぶりのリベンジ達成で輝かしいラストマッチに!
第1部 第1試合
2019年からパンクラスに参戦している前田。2020年、2021年とNBTにエントリーしているが、残念ながら優勝は飾れていない。しかし、現在2連勝中。特に3月の前戦では田代悠生にTKO勝ちを収め勢いに乗る。
一方の大塚は2020年から参戦し、昨年NBTストロー級で優勝している。しかし、今年5月の前戦では谷村泰嘉に一本負け。NBT優勝者の意地を見せたいところだ。
1R。距離を取る両者。大塚が左右パンチからロー。前田が組んでケージへ押し込むと蹴り、ヒザを入れる。少し苦しい大塚だが脱出。
前田はバックブローから再びケージへ。入れ替えた大塚がヒザ、パンチ。大塚のパンチで前田がダウン! 大塚はすぐにチョークに入るが終了。
ジャッジは三者10-9で大塚。大塚は鼻から出血している。
2R。前田がハイキック、左右ジャブと攻める。前田がパンチから組み、ケージへ。ヒジを放つと大塚がカット。ドクターチェックが入る。
再開。前田がケージへ押し込んだ状態からスタート。前田が入れ替えて殴る。大塚はなた鼻から出血し、苦しそうな息遣いが聞こえてくる。
前田の右がヒット。続いてタックルからテイクダウン! 前田が殴って終了。
ジャッジは三者10-9で前田。これでイーブンに。
3R。両者、距離を取りロー。しかし、前田のローがローブローとなりタイムストップ。
再開。大塚がローからパンチ、前田がダウン! 大塚はパンチのラッシュをかける。大塚が組んでケージへ押し込むが、前田が入れ替え、大塚に尻もちをつかせる。
上体を引きつける大塚はボディ、顔を殴る。前田は鉄槌。残り30秒で前田が立ち上がり、かぶさって殴る。終了。
ジャッジは三者29-28 で大塚が勝利。
第1部 第2試合
2019年より参戦している葛西は同年NBT準優勝。柔道をバックボーンに持ち、キックボクシングも経験している。2020年から3連勝していたが、今年3月の前戦では第12代修斗世界ウェルター級王者・松本光史に判定負けを喫している。
DARANIは2017年より参戦。当初はTeam DATEの一員として闘っていたが、NØRI、KARENとともにPRAVAJRAを立ち上げている。基本的にはTeam DATEの特徴であるサイドキックなど蹴りで攻めていくスタイルだが、グラップリングの技術が上がり、よりMMAらしい闘い方をするようになってきている。前戦は渡辺拓馬をチョークスリーパーで破っている。
1R、プレッシャーをかける葛西。DARANIは左ミドルからいつものサイドキック。葛西はこれを潜ってテイクダウン。サイドポジションから肩パンチ。DARANIはボディを殴る。葛西はヒジ連打。DARANIは立ちたいが、葛西に潰され立てない。さらにヒジを落とす葛西。
苦しいDARANI。ヒジから三角を狙うが、葛西は抜けてパンチを落とす。立つチャンスを失ったDARANIに、葛西は肩固め、そしてパウンド!
残り30秒。葛西が立ち、DARANIが蹴り上げて終了。
ジャッジは三者10-9で葛西。
2R。DARANIがサイドキックを放つが、葛西はかわしてテイクダウン。意地で返したDARANI。バックに回りバックマウント。DARANIは立ち、ケージへ押し込むが、葛西は再びテイクダウンからハーフマウント。細かく殴っていく。
パスはさせまいとしているDARANIだが、葛西が立つ。DARANI蹴り上げ。葛西がかぶさって殴る。DARANIは三角を狙うが終了。
ジャッジは2名が10-9葛西、1人が10-9 DARANI。
3R。いつものスタイルがことごとく阻まれるDARANIは、やや疲れが見えるか。DARANIがサイドキックを打つとローブローと「なってしまいタイムストップ。
すぐ再開。DARANIはなおも蹴りを出すが、葛西は交わしてテイクダウン。ヒジでDARANIがカット。苦しいDARANI。なんとか立ちたいが、葛西はそうさせない。
なんとか立ったDARANIだが、引き込む。葛西はヒジ、パウンドを打って終了。
ジャッジは2名が30-27葛西、1人が29-28葛西、3-0で葛西が勝利した。
DARANIは完全に研究されていた。葛西はDARANIの距離にさせず、得意の蹴りをかわし切った。
第1部 第3試合
2020年よりパンクラスに参戦している中田は、同年NBTは準優勝に終わるも、翌2021年は元王者。田村一聖にTKO(5月)、Ryoに判定と2連勝。同年11月にはRIZIN TRIGGER 1stに出場するが、堀江圭功に判定負けを喫する。
今年に入り、フェザー級タイトル挑戦者を決める4人トーナメントにエントリーするが、亀井晨佑に判定負け。この試合が出直しとなる。
対する内村はZST初代ウェルター級王者。パンクラスは2012年より参戦。Krushやシュートボクシング、RISEなどの舞台でキックボクサーとしても試合を行なっている。また、2020年11月にはRIZINにも参戦。幅広い舞台で活躍してきた。今回は250gのオーバーでキャッチウェイトでの試合となっている。
1R。パンチで入っていく中田。内村はボディブロー。ヒザを入れる。中田がケージへ押し込むが、内村は離れ、パンチ、ハイキック。グラつく中田。内村は組んでケージへ。
入れ替えた中田がヒジ。内村も入れ替えて肩パンチ。さらに中田が入れ替えるが、内村はヒザ、パンチから足を取りに行くがバランスを崩す。中田は内村を追いパンチを入れると内村が倒れ込んだ。中田がパウンドラッシュ! 内村は腕を狙うが、これは決まらない。さらに中田がラッシュをかけると、内村の動きがなくなり、レフェリーが試合を止めた。
前日の計量時、かなり疲弊した様子だった内村。この試合の翌日、ブログで引退を発表した。実は前戦(今年3月、遠藤来生戦)での引退を考えていたというが、勝ったのでもう1戦、ということになったようだ。
勝って綺麗に引退するのもいいが、負けて後進に道を譲る引退は潔くカッコいい。そうでなければ、いつまでも若手は上に上がれないし、格闘技界も前には進まないから。
2005年、ZST でデビューしてから17年の選手生活。内村ほどさまざまな舞台を経験している選手も少ないだろう。華があり、問答無用の殴り合いで会場を沸かせた。長い間、お疲れさまでした。
第1部 第4試合
第2代ZSTフライ級王者・八田は柔術がバックボーン。2016年よりパンクラスに参戦している。以降、コンスタントに試合を行い、2020年は永井美自戒(2月)、尾崎龍紀(12月)にそれぞれフロントチョークで2連勝。昨年5月にはストロー級次期挑戦者決定戦に臨んだが、宮澤雄大にタックルを切られ、得意のグラウンドに持ち込めない展開で敗れている。今回は1年2ヶ月ぶりの復帰戦となる。
一方の野田は2017年より参戦中。翌2018年、NBTストロー級で優勝を飾っている。その後2連勝し、試合後、山北渓人VS尾崎龍紀(2021年6月)の勝者との対戦をアピール。同年10月に勝者・山北との試合が組まれたが、判定負けを喫した。
両者ともにグラップラーであり、また王座挑戦を狙う存在。この2人ならではの攻防が見られるか。
1R。お互いプレッシャーをかけ合う。八田は前蹴り、左ミドル、パンチと攻める。野田もワンツー。野田のパンチに八田が組む。飛びつきギロチン! そのまま床へ。こらえる野田はボディを殴る。首は決まらず外れた。
残り1分。八田はオープンガード。野田はボディを連打。残り30秒、八田はガードに。野田はボディ連打、さらにパウンドラッシュして終了。
ジャッジは2名が10-9八田、1名が10-9野田。
2R。お互いパンチを振るが、届いていない。野田が右ハイキック、パンチ。八田も蹴りを出す。野田がパンチから一瞬くむが、すぐに離れる。八田が右パンチ。野田もパンチを返していくが、当たっていない。野田が右の蹴り、ヒザを打って終了。
ジャッジは三者10-9で野田。グラップラーの両者だが、ここまでグラップリングの攻防はほとんどない。
3R。野田が右ミドル、ジャブ。八田がタックル! 引き込んでいく。野田はハーフマウント。パスしたいところ。ここで八田が返して上に。さらに野田が返すと、八田は三角絞めを狙う。そしヒジ連打。
野田が立ってかぶさるが、八田が上に。残り2分。殴る野田。しかし八田はマウント! ハーフになったところで残り20秒。立とうとする野田のバックを取り、引き込む八田。野田が立ち、パウンドラッシュしたところで終了。
ジャッジは2名が29-28八田、1人が29-28野田。2-1で八田が勝利を収めた。
両者とも警戒しすぎたか、ファンの期待していたであろう目まぐるしい攻防は見られなかった。
八田 ケージ上コメント
「スクランブルになるって言ってたのに、話が違う!(笑)。人間と闘うのは疲れました。ゴリラとかとやりたいです。体重とかは合わせないとダメですけど。爪とかもしっかり切ってもらって、ドーピングチェックもしてもらって。
僕、最近、『八田と木村のあふれるラジオ』っていうのを毎週土曜日に配信してて。(司会のロッキー川村2に「宣伝ですか?」と聞かれ)ああ! (「この後、ストロー級のタイトルマッチがあるんですけど」と言われ)ごめんなさい、全然知らなかったですね。正直、この試合内容じゃ、代表、ちょっとキツイですかね」(ここで川村に「ありがとうございました、八田選手でした!」と強引に終了される)
第1部 第5試合
王者・北方は2010年、18歳でパンクラスデビュー。2度のNBTでは優勝を飾ることはできなかったが、徐々に頭角を現し、2016年12月、当時のKOP砂辺光久に挑戦。チョークスリーパーで敗れる。しかし、戴冠を誓いその後4連勝。2019年4月の次期挑戦者決定戦で曹竜也を下し、同年7月、ついにベルトを巻いた。その後、ONE、RIZINにも参戦。
2021年3月に結婚、4人の子持ちとなったが、結婚直後の4月、国指定の難病「後従靭帯骨化症」を発症。現役続行の危機に。しかし、格闘家生活を続けるため身体にメスは入れないと決め、懸命なリハビリで試合が行える状態まで回復。昨年12月、宮澤雄大を相手に初防衛を果たした。調印式では「このベルトは僕そのもの」と話していた北方。無敗の挑戦者を下し、名実ともに絶対王者となるか。
対する山北はレスリングをバックボーンに持ち、2020年パンクラスデビュー。同年のNBT同級を制している。パンクラスでは5連勝、アマチュア時代を含めると負け知らずの16連勝を誇る。
野田遼介のアピールを受け、昨年10月に野田と対戦。判定勝ちを収め「次はタイトルマッチしかないんじゃないかと思います」とアピール。これが叶った。
格闘家として円熟期を迎え、さまざまな困難を乗り越えてきた北方と、派手な印象はないが、確かな実力を持つ若手ホープの対決。シルバーに輝くベルトは、果たしてどちらの腰に巻かれるのか。
1R。北方が出て左ハイキック、左右パンチを攻める。山北がタックル。受け止めるように尻もちをついた北方は胴を抱えている。山北はボディへのパンチを繰り返す。山北がハーフマウントになるが、北方がひっくり返して上に! 山北はガード。北方は密着して山北に何もさせない。
残り1分。お互い細かく殴る。北方が鉄槌を落とし、一気に立つと大きくパウンドを落として終了。
ジャッジは三者10-9で北方。
2R。ワンツーで北方が積極的に攻めていく。山北はやや疲れているか。北方がさらにワンツーを放ちテイクダウン! ヒジを落とす。山北はオープンガードで細かく殴り、腕を狙っていく。しかし回って腕を抜いた北方。
山北はケージ際で殴る。尻もちをつかず保っていた北方を押し倒しで殴り、バックに回る。立とうとする北方だが、山北が殴る。
残り30秒で北方がギロチン! 山北はヒザを連打し終了。
ジャッジは三者10-9で山北。
イーブンで振り出しに戻った3R。山北がスタミナを回復しているように見える。北方は左右パンチで出るが、山北がカウンターのタックルからケージへ押し込む。北方は倒れず尻もち、ヒジ連打。バックに回り引っこ抜く山北。北方が立とうとするが、山北はバックを取り直して殴る。北方は何度も立とうとするが、山北に阻止されてしまう。お互い殴るが、山北が押さえたままの形で終了。
ジャッジは三者10-9で山北。
4R。このラウンドは取り戻したい北方、前蹴りから飛びヒザを見せる。山北はこれをキャッチするようにタックル。北方は背中をつくことは許さず、尻もち状態で鉄槌連打。上になった山北がケージへ押していくが、北方がひっくり返す! 会場から大きな拍手が沸き起こった。山北はオープンガード。北方は殴る。
尻もちまで戻した山北がボディを殴る。離れてタックルに入るが、北方が潰す。そしてバックからマウントへ移行。残り2分。山北は回るが、北方は立たせない。山北は持ち上げてガブるが、北方はケージへ押し込んで殴る。北方が逃さず終了。
ジャッジは三者10-9で北方。北方がポイントを取り戻した。
勝負がかかった最終ラウンド。山北は呼吸が荒いが、スタミナは落ちていないようだ。
北方がワンツー。山北がタックルに入るが、北方は切ってヒザを入れる。山北はケージへ押して行き、北方の背中に乗る。そのまま床へ倒れ、バックを取っている状態に。さらに上になり、ケージへ押す。北方は立とうとするが、山北がマウント! さらにバックを取り、足四の字でフックする。脱出できない北方。
残り1分ほどで北方が返して上に! ボディを殴る。山北は上体を起こして殴るが、返せない。北方がバックをキープしたまま逃さず殴って終了。
ジャッジは三者48-47、3-0で山北が勝利。第3代KOPとなった。
山北 ケージ上コメント
「パンクラス3代目チャンピオン、山北渓人です。今日、メインを任されて、チャンピオンベルトを獲れて、一番の試合ができたんですけど、ちょっと僕には頑張ることしかできなくて地味な試合になっちゃったんですけど。これから、北方選手みたいなカリスマ性のあるチャンピオンに少し近づけたかなと思います。
このチャンピオンベルト、総合を始める前は通過点みたいな感じで軽く見てたんですけど、昨日(調印式で)近くで見て、このベルトが欲しくてたまらなくなりました。今日それを巻くことができて、自分のためにも、自分も練習を毎日見てくれている山﨑(剛)さんに巻いてあげることができたと思うので、これからこのベルトに引っ張ってもらうような形で最高のファイターになります。今日は応援ありがとうございました」
5Rは微妙だったが、ギリギリの線を山北が制した。
素直な人柄に好感が持てる山北だが、ベルトを巻いたことで一層の成長が期待される。
調印式でも話していたが、山北はパンクラスのベルトを間近で見て、欲しくてたまらなくなったという。今後、どのような王者になっていくのか、ベルトに磨かれ、パンクラスにどのような思いを重ねていくのか楽しみだ。
負けてはしまったが、北方の闘いはタイトルマッチに恥じるようなものではなかった。実力はもちろん、王者の意地や貫禄もしっかり見せた。最後まで諦めず、勝利をもぎ取ろうという強い思いが伝わってくる闘いだった。
言うまでもなく、北方はパンクラスに対して深く強い思い入れを持つ選手だ。このままで終わるとは思えない。今のパンクラスを体現する選手でいてもらいたいという思いを持つファンも多いのではないだろうか。病気のことがあるため検査などが必要ではあるが、まだまだ闘う姿が見たい。
第2部 第1試合
NØRIは2019年よりパンクラスに参戦。第1部に出場したDARANIと同じく当初はTeam DATEに所属していたが、新チームPRAVAJRAを立ち上げ、ベルトを狙う。
昨年5月、ライカに勝利し、同年10月女子フライ級暫定王者決定戦に臨むが、端貴代に判定負けし、苦渋を舐めた。しかし、チームメイトのKARENが今年3月、藤野恵実を破りストロー級QOPに。KARENに続くためにも、もう負けられない。
対する栗山は初参戦。DEEP JEWELSを主戦場とし、4戦2勝2敗の戦績を残している。もともとはサッカーをやっていたが、2019年、闘技をやりたいと思っていた時に現在のジムを見つけ、MMAを始めたという。
今年はDEEP JEWELSのフライ級王座決定トーナメントにエントリーしたが、初戦は相手の体調不良により不戦勝、準決勝で計量をクリアできず不戦敗に。NØRIを相手に、どのような闘いを見せるのか。
1R。栗山がパンチで出ると、左がヒット、NØRIがダウン! しかし、すぐ立ち、首相撲からヒザを連打する。離れると、栗山は距離を詰めてパンチを出していく。NØRIはいつものサイドキックを出したいが、自分の距離が取れない。さらに栗山のパンチがヒット、NØRIが再びダウン! 栗山はパンチを落とすが、猪木アリ状態でブレイクがかかった。
再開。NØRIがサイドキック。しかし栗山にかわされてしまう。栗山は距離を詰めてパンチを入れると、NØRIがグラつく。栗山は組んでケージへ。入れ替え合う両者。離れると、NØRIはサイドキック、ハイキックを放つがかわされる。NØRIがバックハンドを入れたところで終了。
ジャッジは2名10-9栗山、1名が10-8栗山。
2R。栗山がパンチからケージへ押す。NØRIはギロチンに取り、ボディにヒザ連打。さらにケージへ押し込む。お互い入れ替え合って離れる。
栗山がパンチから組んでケージへ。NØRIがヒザ。栗山が離れると、NØRIが入ってワンツー。しかし栗山もパンチを振る。NØRIもパンチを返して終了。
ジャッジは2名が10-9NØRI、1名が10-9栗山と割れた。
3R。お互いパンチを放つ。NØRIが組み、投げを狙うが、栗山にバックに回られてしまう。お互い入れ替えながらヒザを入れる。栗山がNØRIを潰すがmすぐに立つ。栗山はバックに回り、ケージへ。
離れると、NØRIが蹴りとパンチ。栗山に右パンチを当てる。栗山がケージへ押し込むが、NØRIは首を抱えている。お互い入れ替え合い、ヒザを入れ合う。最後に撃ち合って終了。
ジャッジは29-28NØRI、29-28栗山、28-28ドロー。1-1でドローという結果となった。
第2部 第2試合
髙木は昨年9月にパンクラス初参戦。漆間將生をパンチでKOデビューを飾った。同年12月斎藤拓矢戦もKO勝利。パンクラス3戦目の今年4月には渡辺謙明に判定勝ちと3連勝で勢いに乗る。今回メインカードに初登場となる。
一方の林は2020年9月に初参戦。パンクラスデビュー戦では小森真誉に判定勝地しているが、同年12月のRyo、昨年6月の狩野優戦では一本負け。ここで連敗を止めたいところだ。
1R。高木がロー、左パンチ、ジャブを振る。林も蹴り。林が出ると高木は突き飛ばすような前蹴り。さらに距離を積める林。しかし高木の右パンチがアゴにヒット、林ダウン!
高木が衝撃の秒殺で4連勝を飾った、
高木 ケージ上コメント
「前回、自分、右ばっかりしか使ってなかったんで。今回も右で倒したんですけど。今後の目標は、同じフェザー級のランキングの奴を次々にブッ飛ばしていくんで、楽しみにしといてください」
第2部 第3試合
新居は2015年よりパンクラスに参戦。コンバ王子のリングネームでコンスタントに闘ってきた。しかし、2019年以降がコロナの影響で試合のチャンスがなく、今回が2年9ヶ月ぶりのケージとなる。
対するハンセンは2018年より参戦。大阪大会を中心に闘っていたが、今年3月、東京大会に初進出。しかし鹿志村仁之介に三角絞めで一本負けを喫した。今後の東京大会への足掛かりを固めるためにも、勝たなくてはならない試合だ。
1R。プレッシャーをかける新居。ハンセンはローから強い蹴り。その重さに会場からどよめきが湧く。さらに左ミドルを放つと、さらに会場がどよめく。
新居はパンチで入り、そのまま組んでテイクダウン! ボディにヒジを連打。そして腕へ。逃れようとするハンセンだが、アームロックが極まり、ハンセンがタップアウト!
新居 ケージ上コメント
「僕、3年ぐらい勝ててなくて、3連敗して(※2017年)、それでもみんな応援
くれて。信じてくれている人たちのために勝ててよかったです。ありがとうございました」
第2部 第4試合
Ryoは2020年より参戦。滝田J太郎、林優作、透暉鷹に3連勝。4戦目の昨年9月、中田大貴に初めて土をつけられるが、今年3月、フェザー級次期挑戦者を決める4人トーナメントに出場するも、岩本達彦にアームロックで一本負け。今回は再び上を狙っての出直しとなる。
一方の遠藤は昨年6月にパンクラス初参戦。中川皓貴に判定勝ちしたが、同年9月の2戦目は岩本達彦にフロントチョークで一本負け、今年3月の3戦目は内村洋次郎に判定負けを喫している。ここで連敗を止めたいところだ。
1R。Ryoが強いロー。遠藤はフェイントをかけながらジャブ。遠藤がパンチで押して行き、組んでケージへ押し込む。しかし、Ryoはケージから離れて抜ける。遠藤が距離を詰めてパンチ連打。Ryoは組み、投げて倒す。
遠藤はすぐに立つが、Ryoが首を抱えて引き込む。しかし遠藤は首を抜き、Ryoのバックに回る。ケージへ押し込んでヒザ連打。Ryoは正対し離れる。遠藤はパンチ、蹴りと攻めて終了。
ジャッジは2名が10-9遠藤、1名が10-9 Ryo。
2R。Ryoは蹴りからパンチ。左パンチをもらうが、遠藤も左ハイキック、パンチ、蹴りと攻める。Ryoは「もっと打って来い!」とアピール。遠藤はさらにパンチ、左ハイキック。
Ryoはロー、飛び込んでパンチ。しかし遠藤の右フックがヒット、Ryoがヒザを着く。遠藤はさらにパンチを打ち込みRyoがダウン! 追撃に入る遠藤をレフェリーが止めた。
遠藤 ケージ上コメント
「練習通りでした、ありがとうございます。格闘家に休みはないと思うので、毎日練習して鍛えて強くなっていくんで、遠藤来生を覚えてください」
第2部 第5試合
清水は2008年より参戦。翌2009年のNBTフライ級で優勝。2010年2月、砂辺光久を破り、フライ級KOPに。その後、廣瀬勲、砂辺光久、小塚誠司、安永有希、山本篤らとベルトを懸けて闘い続けてきた。しかし、他団体での3連敗を機に、2015年12月、パンクラスで「王者査定試合」を組まれ、神酒龍一に判定負け。パンクラスに上がるのは、それ以来約7年ぶりとなる。
一方の佐々木は2008年に初参戦。清水とはこの年のNBT予選で闘い、佐々木が勝利している。翌2009年はNBTバンタム級優勝。同年、清水はフライ級で優勝している。
その後、佐々木は2011年4月の曹竜也戦を最後に試合から離れることに。S仕事の関係で東京を離れたためだという。しかし2017年、東京に戻り、ZSTでリング復帰。そして今年5月、今井健斗をアームロックで破り、11年ぶりのパンクラス復帰を一本勝ちで飾った。
清水と佐々木はNBT以来交わることはなかった。しかし、14年ぶりの邂逅。清水が引退前にリベンジを果たすのか、佐々木が再び勝利するのか。
1R。左右に細かく動く佐々木。清水はボディブロー、左右のジャブ&ロー。佐々木がアオると、清水はさらにプレッシャーをかけ、パンチ&ロー。佐々木は足を取ろうとするが、清水は付き合わない。さらに清水のローでよろける佐々木。清水はさらにパンチを打っていく。
佐々木がタックルに入ると、清水が引き込んでギロチンに取る。しかしこれは抜けた。佐々木はサイドポジション。清水が殴り続けて終了。
ジャッジは三者10-9で清水。
2R。清水が右ジャブ。駆け足で回る佐々木。清水はプレッシャーをかけ、ロー、前蹴り。佐々木がタックルに入るが、清水が潰して上に。肩パンチ、さらに擦るようにヒジ連打。
立って清水がローを打つと佐々木が尻餅をつく。清水はハーフマウンとからヒジで擦りまくる。佐々木はボディを殴る。そして清水がバックに回って首! 見事に極まり、佐々木がタップアウト。清水が14年ぶりのリベンジを果たした。
清水 ケージ上コメント
「皆さんに付き合ってもらって、本当にありがとうございます。
チームのみんな、応援してくれてる人、本当に皆さんありがとうございました。こんな自分のことをみんな応援してくれて(涙ぐむ)本当に嬉しく思っています。今日は佐々木選手もこんなメリットのない試合をしてくれたことを本当にありがとうございます。
あと、タイトルマッチが残っていると思いますので、皆さん楽しんで帰ってください。今日はありがとうございました」
レフェリーの勝ち名乗りを受けながら、思わず涙を拭った清水。試合内容は危なげないものだったが、7年ぶりのパンクラスマットでさまざまな思いが溢れたのだろう。パンクラスを離れている間には、大切な人を亡くし、自暴自棄になりそうな時もあった。しかし、それも全て力に変え、闘ってきた。
清水のいないパンクラス――。もしかしたら最近は、清水を修斗の選手だと思っている格闘技ファンも多いのかもしれない。しかし、格闘家・清水清隆の原点は間違いなくパンクラスにある。ここで、希望、栄光、絶望、格闘技への愛、迷い……さまざまなものを経験し、清水は今、ここにまた立っている。
今回も、清水はケージインの際に手を合わせて大切な人たちに祈りを捧げた。きっと今回も、その人たちが清水に力を貸してくれたことだろう。そしてそれは、ケージを離れてもきっと変わらない。完全引退までまだ少しあるが、清水の新しい人生が輝かしいものになることを願ってやまない。
第2部 第6試合
透暉鷹は2020年より参戦。小森真誉(7月)、田中半蔵(10月)に連勝し、強いインパクトを与えた。昨年はRyoに敗れた(5月)が、10月にはベテラン・内村洋次郎を破った。
今年に入り、王者・ISAOへの次期挑戦者決定4人トーナメントが開催され、3月にリザーバーとして名田英平と闘いチョークスリーパーで一本勝ち。続く4月大会で決勝戦に出場、岩本達彦にTKO勝ちし、ISAOへの挑戦権をつかんだ。しかし、ISAOが怪我で試合を行えなくなったため、挑戦権のある透暉鷹と1回戦で勝利している亀井で暫定王者決定戦を行うこととなった。“運も実力のうち”と言うが、リザーバーから暫定王者決定戦を闘うことになった透暉鷹には今、風が吹いているのかもしれない。どのような闘いを見せるのか。
一方の亀井は2017年に初参戦。翌2018年にはNBTフェザー級で優勝している。長身から繰り出される打撃は魅力的。2019年は2連敗を喫したが、そのポテンシャルは高く、「見たい選手」の1人と言えるだろう。
今年に入り、フェザー級次期挑戦者決定4人トーナメントにエントリー、1回戦で中田大貴を破ったが、大激闘の影響で体調を考慮し、4月の決勝戦を欠場することとなってしまった。繰り返しになるが、ISAOの怪我によってタイトルマッチが行えなくなり、1回戦で勝っている亀井が透暉鷹とベルトを懸けて闘うこととなった。
亀井も、透暉鷹に負けず劣らず強運に導かれ、この舞台に立つこととなった。格闘技の神は、最後にどちらに微笑むのか。
1R。亀井が左ハイキック、ジャブ。亀井が片足を取るが、透暉鷹は外す。亀井は左ミドル、ジャブ、ハイ、ローと攻めていくが、透暉鷹がバックハンドブローをヒットさせ、揺さぶりをかける。どよめく場内。透暉鷹は飛びヒザから組んでケージへ押し込む。亀井は尻もちでこらえるが、透暉鷹が背中をつかせた。
上体を起こす亀井を潰そうとする透暉鷹。足をパスするが、亀井が片足を戻す。さらに回って立つ! 鮮やかさに会場から拍手が起こった。亀井はケージへ押し込んで肩パンチ連打。さらにヒジを入れて終了。
ジャッジは三者10-9で透暉鷹。
2R。亀井は左ロー、左ハイキックとダイナミックに攻めていく。しかし、蹴りがローブローとなりタイムストップ。しかしすぐに再開。亀井はロー、左右ジャブと攻める。
透暉鷹は飛び蹴りから追って組む。亀井がケージへ押すと、両者入れ替え合う。お互い肩パンチ。亀井がヒザを打つが、透暉鷹が一気にケージへ押し込む。亀井は抜けたいが、透暉鷹がテイクダウン! サイドポジションに。
残り2分、透暉鷹がアームロック! これは極まるか。ほぼ極まっているように見えるが、亀井は残り20秒を耐え切り終了。
ジャッジは2名が10-8、1名が10-9で透暉鷹を支持。
3R。亀井はロー、ハイ。タックルに入ろうとするが、透暉鷹が身をひいて潰し、バックを取る。ガッチリ捕らえて殴る。亀井は殴りながら脱出の機をうかがう。この体勢のまま時間が過ぎていく。
透暉鷹は首を狙っているが、亀井が殴って阻止。残り1分。亀井は根性で回るが、脱出できない。すると透暉鷹が一気に腕十字へ! 極腕が伸び、極まっているようだが、2Rと同様耐える亀井。終了。
ジャッジは2名が10-9、1名が10-8で透暉鷹。
4R。亀井がロー、ハイ。透暉鷹がタックルに入り、尻もちをつかせる。こらえる亀井だが、背中をつかされてしまう。透暉鷹がサイドへ。しかし、亀井はケージを蹴り返す。会場から大拍手が起こる。
しかし、透暉鷹がまたバックを取る。さらにバックマウントからチョーク! これは完全に極まり、亀井がタップアウト。
透暉鷹 ケージ上コメント
「今回、すごく会場に……(涙ぐむ)今までと違ってすごい気合いを入れて臨みました。本当に、皆さんも大変だと思うんですけど、コロナで、たくさんいろんなことがあって、それでも応援してくれるから自分も頑張れて、みんながいたからここまで来られました。
自分が、20 歳からイチから格闘技を始めて、今25歳になるんですけど、みんながいなかったら僕は今ここに立っていないんで。本当にありがとうございます。
まず、今の現チャンピオンのISAO選手が怪我で離脱して、でも、パンクラスの暫定チャンピオンということで、こうして試合をさせてくれたので、パンクラスにありがとうございますとお礼を言いたいです。
あ、日沖(発)さん、誕生日おめでとうございます。日沖さんの誕生日にこういうタイトルマッチがあるのも何かの縁だと思ってます。本当に、日沖さんに出会えてよかったです。これからもよろしくお願いします。あと、林代表、林代表がいなかったら僕、今絶対格闘技やれてないんで。本当に今までありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
でも、まだ、暫定チャンピオンということでパッとしないので、ISAO選手が待ってるんで、まだまだ上を上を目指して、まだ途中なんで、まだ頑張っていくんで、これからも皆さんよろしくお願いします」
透暉鷹が圧倒する内容で、文句なしの暫定王座を獲得した。
もともと、リザーバーであることが意外に感じる選手だっただけに、この結果は順当だったのかもしれない。
KOPになったら、パンクラスを背負って海外で闘いたいと話していた透暉鷹。その瞳は世界を見つめている。しかし、その前にはISAOとの統一選が待っている。この試合もファン垂涎のカードだろう。素晴らしい闘いを見せ、パンクラスの価値を高めていくような選手に成長してほしい。
結果は残念だったが、亀井の精神力にも舌を巻いた。ほぼ極まっていた関節技を2度も耐え切った根性はあっぱれとしか言いようがない。
残念ながらグラウンドではまだ差があったが、現時点でそうだったというだけなのではないか。これだけの根性を持っている選手が、このまま失速するわけがない。もともとパラ八らしい魅力を十分に持った選手でもある。「地に足をつけて」と語っていた亀井だから、必ず修正して一回り成長した姿を見せてくれるはずだ。
透暉鷹と、亀井晨佑。若い2選手は、目の前に広がる格闘技という大海の、どんな航路を進んでいくのだろうか。願わくば、海外で闘ったとしても、どこにいても、いつも心にパンクラスを!
(写真・文/佐佐木 澪)