「残念ながら必要とされなかった」WWEから3年半ぶりに新日本プロレスへ復帰したKUSHIDAがアメリカ時代を総括
3日、東京都・後楽園ホールにて新日本プロレス『NEW JAPAN ROAD』が開催され、KUSHIDAが3年半ぶりの新日本復帰戦を勝利で飾った。
KUSHIDAは2019年1月末を以て新日本プロレスを退団しWWEへ。NXTを主戦場として活躍し、NXTクルーザー級王座を戴冠するなどの実績を残した。その後、今年4月にWWEとの契約解除が発表されて去就に注目が集まっていた中、6月21日の後楽園ホール大会にてサプライズ登場。高橋ヒロムを制してIWGPジュニアヘビー級王座を防衛した石森太二に挑戦状を叩きつけた。
KUSHIDAは、「今、契約書にサインしてきました。新日本プロレスに復帰します!残りのプロレス人生の時間を全て新日本プロレスの発展に捧げます」と宣言。現在はフロリダ在住であるものの、ロサンゼルスに拠点を移して新日本へと貢献する姿勢を語り、アメリカから都度来日して日本のリングにも上がることとなった。
王座挑戦に名乗りを上げたKUSHIDAだが、王者・石森は「いきなり来てすぐ挑戦?虫が良すぎねーか?これから時間かけて査定してやっから。チャンピオンの権限として、すぐに挑戦は、ない!」とシリーズをまたいでKUSHIDAを査定していくことを宣言。
石森は、まだ新日本のニューカマーであった2019年1月4日に当時IWGPジュニアヘビー級王者であったKUSHIDAを倒して同王座を初戴冠。その後は新日本ジュニアの中心人物となり、今度はKUSHIDAを査定する側に回るという運命のめぐり合わせを感じる構図となった。
この日のメインイベントでは、KUSHIDAの復帰戦として、棚橋弘至&KUSHIDA&アレックス・ゼインvsKENTA&石森太二&外道の6人タッグマッチが実施。
試合は石森とKUSHIDAの対面に始まり、互いにサブミッションを必殺技に持つ2人ならではのスピーディかつ堅実なレスリングを展開。
場外戦となっても互いにまっすぐ互いを目指して乱闘を勃発させるなど強く意識し合う様子を見せ、終盤に再び2人の対面が実現すると、KUSHIDAがダイビング・ブレーンチョップで先手を取り、ミドルキックの連打からクロスボディ、オーバーヘッドキックとスピーディな連撃。しかし、足を止めてのエルボー合戦を制した石森がハンドスプリング式オーバーヘッドキックを側頭部に叩き込み外道につなぐ。
BULLET CLUBがKUSHIDAを袋叩きにしようとするが、KUSHIDAはハンドスプリングエルボーで窮地を打開し、棚橋&ゼインが場外飛びの編隊飛行でKUSHIDAをアシスト。KUSHIDAは外道のサミングからの外道クラッチを読み切ってエレファントキックで切り返し、最後はハンマーロック・スープレックス・ホールドで叩きつけて復帰戦を勝利で飾った。
マイクを取ったKUSHIDAは会場の四方に頭を下げ「また、この新日本プロレスのリングでプロレスができて本当に幸せです!ありがとうございました!3年前、新日本プロレスを辞めてWWEに行きました。叶えた夢もあったけど、残念ながら叶わなかった夢がたくさんありました。でもこうしてまたチャンスを頂けて、その夢の続きを見られるチャンスを頂いたことに本当に感謝しています」と心境を語る。
そして、2019年1月にKUSHIDAの新日本ラストマッチの相手を務めた棚橋に向き直ると、「新日本プロレスが甘くないこと、分かってます。色んな声があるのも知ってます。SMASHという団体から受け入れてもらったり、出ていったり、そしてまた帰ってきたり、本当に手のかかる後輩ですみません。これからよろしくお願いします!」と深々と頭を下げ、棚橋としっかり握手を交わした後に抱擁。この光景を見たゼインが「ゴチソウサマデシタ!」と笑顔で祝福して大会を締めくくった。
バックステージに戻ったKUSHIDAは、「新日本プロレスとWWEを同一線上で語るのはお互いにとって失礼にあたることだと思うので、アメリカの団体のことはこれが今日で最後」としつつアメリカ時代を総括。
「4月ですね。WWEを離れました。新陳代謝が激しい会社ですので、必要にされなくなったと。WWEに入ることが夢だった僕にとって、叶えられた夢もあって。だけど、叶えられなかったメインロースターとか、残念ながら必要とされなかったですね。そこで叶えたかった夢っていうのは、『レッスルマニア』でダニエル・ブライアン、そしてカイル・オライリーと闘うこと。このふたつが夢だったんですけど、残念ながら本当に巨大な壁に阻まれて、ノックするぐらいは出来ましたけど、中に入れてもらえなかったッスね。それでもNXTというグループで一生懸命できたんで、何も悔いはないし、胸を張って3年間生き抜いてきたと言えます。3年経って、変わったとこもあれば変わってない部分もあって、石森太二、すげぇつえぇチャンピオンですよ。WWEで、NXTで、体重関係なく闘ってきたけど、キャリア、立ち振舞、いまの僕にとって最強の敵ですね。倒しがいがあります」と胸中を明かした。
対する石森は、「KUSHIDA!お前、ロスに引っ越したんだって?ならよ、向こうの『(NJPW)STRONG』に出て、無差別でも何でも実績作ってからこっちに来ても遅くなかったんじゃねえのか!?なあ!?それとも俺から獲ったほうが手っ取り早いとか、そのほうが居場所確保に簡単だと思ったのか!?ナメられたもんだぜ、本当に」と憤慨し、「KUSHIDAに関してはこれからも査定する。まだ挑戦は、いや挑戦はない!」と突き放した。