【試合詳細】4・29 PANCRASE立川ステージガーデン大会 木下憂朔vs村山暁洋 秋葉太樹vs鶴屋怜 井村塁vsTSUNE 岩本達彦vs透暉鷹 近藤有己vs鈴木一史

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『PANCRASE 327』
2022年4月29日(金・祝)
東京都立川市 立川ステージガーデン
開始:14:30
観衆:発表なし

[第1部]
▼第1試合 フェザー級 5分3R
○工藤修久(禅道会 小金井道場)
判定0-3
●平田純一(デラヒーバジャパン宇都宮)

▼第2試合 バンタム級 5分3R
○平田丈二(総合格闘技道場暗愚羅)
1R 4分57秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●ジェイク・ムラタ(パラエストラTB/Fighting Nexus)

▼第3試合 フェザー級 5分3R
○田村一聖(UC)
判定3-0
●三宅輝砂(ZOOMER)

▼第4試合 ライト級 5分3R
●平 信一(綱島柔術/ZST)
2R 2分40秒、リアネイキッドチョーク(タップアウト)
○粕谷優介(総合格闘技道場CROWN)

▼第5試合 コーメイン ライト級 5分3R
○松岡嵩志
2R嵩志1分35秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●冨樫 健一郎(パラエストラ広島)

▼第6試合 メインイベント フライ級 5分3R
○上田将竜(G-face TEAM緒方道場)
判定2-1
●有川直毅(K-PLACE)

[第2部]
▼第1試合 ウェルター級 73kg以下契約 5分3R
○近藤有己(パンクラスイズム横浜)
判定3-0
●鈴木一史(リバーサルジム新宿Me.We)

▼第2試合 フェザー級王座次期挑戦者決定4人トーナメント決勝戦 5分3R
●岩本達彦(BLOWS)
1R 4分30秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○透暉鷹(ISHITSUNA MMA)

▼第3試合 バンタム級 5分3R
●井村 塁(Nexusense)
判定0-3
○TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We)

▼第4試合 コーメイン フライ級 5分3R
●秋葉太樹(フリー)
1R 3分42秒、チョークスリーパー
○鶴屋 怜(パラエストラ松戸)

▼第5試合 メインイベント ウェルター級 5分3R
○木下憂朔(パンクラス大阪 稲垣組)
1R 1分48秒、KO(スタンドの膝蹴り)
●村山暁洋(暁道場)

[第3部 ポストリミナリーファイト]
▼第1試合 フェザー級 5分3R
●渡辺謙明(パラエストラ東京)
判定0-3
○高木 凌(パラエストラ八王子)

▼第2試合 ミドル級 5分3R
○押忍マン洸太(DESTONY JIU-JITSU)
1R 3分10秒、KO(スタンドのパンチ)
●佐藤 龍汰朗(エクストリーム柔術アカデミー)

▼第3試合 2022 年NBT 1回戦 ストロー級 5分3R
○江崎 壽(ALMA FIGHT GYM BASE)
判定3-0
●大和田 光太郎(パラエストラ八王子)

木下憂朔が元ウェルター級KOPの村山に1RKOの激勝!鶴屋浩の息子・鶴屋怜がパンクラス初参戦で快勝!透暉鷹が王者・ISAOと対戦決定!

第1部 第1試合


 1R、工藤が組み、ケージへ押し込む。工藤のヒザがローブローとなりタイムストップ。長めに時間が止められている。
 再開。再び工藤がケージへ押し込み、投げて上に。しかし両者動きがな今ま終了。
 ジャッジは三者10-9で工藤。

 2R。工藤が蹴り。平田は距離を詰めていくが、工藤が組んでバックを取る。工藤が倒してバックマウント。ヒジを落とす。平田は耐えて終了。
 ジャッジは二者が10-9工藤、1人が10-8工藤。

 3R。平田は決めるかKOしかない。工藤のタックルをかわし、足を蹴る。平田は上になり首を取っているが、展開できない。平田が立ち、ロー。
 工藤がタックルからケージへ押し込み、尻も血をつかせる。立って再び工藤が押し込んで終了。
 ジャッジは二者29-28、1人が30-26、3-0で工藤が判定勝利を収めた。

第1部 第2試合


 平田は2015 年、パンクラスに初参戦。大阪の選手だが、大阪と東京半々くらいで闘っている。前戦は昨年9月、TSUNEに判定負け。東京大会へ確かな足跡を残すためにも、必ず勝ちたい一戦だ。
 対するムラタは2014年より参戦。2016年のNBT以降、間が空いたが、2020年に神田T800周一戦で復帰、判定勝ちを収めた。しかし、昨年10月には井村塁に三角絞めで一本負け。こちらも負けられない。

 1R。ムラタがボディブローからタックル。平田が切る。ムラタはさらにタックルを仕掛けていくが、平田は付き合わない。
 ムラタのタックルをまた切った平田だが、ムラタのパンチで尻もちをついてしまう。ムラタはすぐに押し込んで殴るが、平田が逃れる。
 お互いパンチを出し合うが、平田のパンチがヒット、ムラタがダウン! 平田はすぐに追撃に入るが、レフェリーが止めた。

第1部 第3試合


 2015 年よりパンクラスに参戦している田村は、元UFCファイターにして第6代フェザー級KOP。防衛は果たせなかったものの、鍛え上げられた見事な肉体と重いパンチは健在だ。しかし、2020年、2021年とKO、TKOでの敗戦が続きダメージが気になるが、若手相手に元KOPの底力を見せるか。
 一方の三宅は2020年より参戦、昨年のNBTでは優勝を飾った。しかし、同年9月の亀井晨佑戦では判定負け。元王者に勝って存在感をアピールしたいところだ。

 1R。開始直後、両者ほとんど同時に飛び出し跳び膝! 三宅はバックを狙うが、田村が下に落として上に。ボディを殴る。三宅はガード。
 田村が殴りながらケージへ近づいていく。そしてハーフマウント! ガッチリ抑え込み、パウンドを落としていく。三宅もボディを殴るが、田村に固められ動けない。
 残り1分。田村が大きくパウンド! 田村がしっかり上をキープして終了。
 ジャッジは三者10-9で田村。

 2R。田村がロー、パンチと攻めていく。中に入る田村だが、三宅が切る。
 プレッシャーをかけていく三宅がアッパー! 田村効いたか? しかし、そのまま両足を抱えてテイクダウン。ケージへ押し込んでいく。三宅が立つが、田村が押し込んでいく。肩パンチ。投げたい田村、堪える三宅。
 しかし、一気に投げた田村が尻もちをつかせる。ケージに押し付けて殴る。三宅コツコツ殴るが、田村が立たせず終了。
 ジャッジは三者10-9で田村。

 3R。田村がタックルに入るが、三宅が切る。さらに田村がタックル! しかし、これも切られてしまう。田村はタックルを繰り返し、切りきれなかった三宅をケージへ押し込んだ。尻もちをつかせる。
 立った三宅。田村はケージへ押しつけるが、三宅が入れ替え。しかし離れる。田村がさらにタックルに入るが、三宅が切ってバックに回る。バックマウント!
 残り2分。三宅は一本取らなければならない。チョークを狙うが決まらず。三宅はバックをキープしているが展開できず、殴って終了。
 ジャッジは三者29-28、3-0で田村が逃げ切った。

第1部 第4試合


 「暴走柔術」の異名を持つ平は元ZST 王者。2019年よりパンクラスに参戦している。昨年は6月に丸山数馬に判定負けしているが、同年10月には髙橋“bancho”良明にKO勝ち。ここまで黒星が先行している平、連勝して勢いをつけたいところだ。
 対する粕谷は元UFCファイター。2017年の初参戦では松嶋こよみに、2戦目はISAOに判定負けを喫したが、2019年4月には菊入正行にTKO勝利。しかしその後、2連敗しており後がない。

 1R。開始すぐに組んで行った平を粕谷が受け止め、投げてテイクダウン! サイドポジションからヒザを入れ、ハーフからマウントへ! 平は細かく殴りながら回るが、粕谷はバックに回りチョークを狙う。粕谷の教え子たちの声援が一層大きく響く。しかしこれは決まらず。
 平は殴りまくる。粕谷は再び首を狙うが、これも決まらず。しかし粕谷はすぐ腕十字へ。これも外れてしまうが、粕谷は間髪入れずに足関節を狙う。殴りまくる平だが終了。
 ジャッジは三者10-9で粕谷。

 2R。パンチで突っ込んでいく平。粕谷は受け止めて尻もちをつかせ、ケージへ押し込んでいく。殴る平、さらに押し込んでいく粕谷。
 立ちたい平だが、粕谷は逃さずバックを取る。暴れる平。粕谷はバックマウント! 粕谷の気迫が伝わってくる。子供たちの応援がさらに大きくなる。そして粕谷がチョーク! 完全に入り、平がタップした。
 絶対に負けられない崖っぷちだった粕谷。気迫で白星をもぎ取った。

第1部 第5試合


 松岡は2011年から参戦とパンクラス参戦歴も長くなった。2019年より3連勝しており、特に昨年6 月は元UFCファイター粕谷優介にKO勝ちしている。しかし、同年12月には元修斗王者・松本光史にTKO負けを喫してしまった。ベルトを目指すためには、もう1つも負けられない。
 冨樫は2012年より参戦中。ゴツゴツしたスタイルで食らいついていく選手だが、ここ2戦は林源平、金田一孝介と判定で敗れている。試合のブランクが空いたためランキングから外れてしまったが、前戦では1位と油断できない選手。再浮上を目論む。

 1R。松岡が強烈なローを打ち込む。冨樫はジャブを出すが、松岡の右パンチでダウン! 松岡はすかさず追撃のパウンドラッシュ! ここでレフェリーが止めるだろうと思われたが、止めない。松岡はケージへ押して行きハーフマウント。冨樫は立ちたいが、松岡は足を取ってパンチ連打。さらに松岡が押さえつけてパンチラッシュ! 相当打たれているが、レフェリーはまだ止めない。松岡はさらに相手を寝かせヒジのラッシュ! 冨樫は腕でブロックしているとはいえ攻撃はできず打たれるまま。しかし、ここでもレフェリーは止めない。松岡はハーフでパウンドラッシュ! 最後までレフェリーは止めないまま終了。
 ジャッジは三者10-8で松岡を支持するが、会場には「なぜ止めなかったのか?」という空気が漂う。

 2R。明らかに消耗している冨樫だが、根性でパンチを出していく。松岡はパンチをもらい一瞬グラつくが、持ち直しパンチを返す。お互い打ち合うと、冨樫が組んでケージへ押し込む。
 しかし、ここで冨樫が鼻から出血しタイムストップ。ドクターチェックが入った。冨樫がスクリーンにアップで映し出されると、鼻血もさることながら右目がかなり腫れており会場がどよめく。
 続行可能と判断され再開。松岡の重いローで崩れかける冨樫。さらに松岡のパンチでダウン! ダメージがあると見て取れるがレフェリーが止めない。松岡が追撃に入り、パウンドを連打してところでようやくレフェリーが止めた。
 松岡、会心のKO勝ち。しかし、冨樫がいかに打たれ強さのある選手とはいえ、止めるタイミングは何度かあったはず。レフェリーストップの遅さが後味の悪さを残す試合となってしまった。

▼松岡 ケージ上コメント
「前回、1Rで負けてしまったので、今日は15分きっちりやろうと思っていました。冨樫選手が強いのは知っているので、ちょっと急いじゃったところはあるんですけど、前の試合と比べて明らかに成長した試合だと思います。
 前回負けているので、タイトルマッチをすぐにとは言えないんですけど、次こいつに勝ったらタイトル挑んでもいいんじゃないかというような相手とやらせてください。よろしくお願いします」

第1部 第6試合


 上田は2013年より参戦し、同年NBTスーパーフライ級優勝を飾る。その後コンスタントにケージに上がり、タイトルマッチも二度計毛するが、いずれもものにできなかった。一度は引退も考えたが、格闘技を愛する気持ちが勝り、ケージへ戻って来た。“格闘技が好き”という原点に帰って試合に臨む。

 対する有川は2019年より参戦の新鋭。2019年は3連勝と勢いに乗ったが、翌2020年は杉山廣平に一本負け。昨年は山中憲次に判定勝ちを収めた。上位の上田を倒して、さらにランキングを上げたいところだ。

 1R。お互いローで様子を見る。上田がパンチからケージへ押す。有川はヒザ連打。上田も打ち返すがブレイクがかかる。
 上田がパンチから組み、ケージへ押し込んだところで終了。
 ジャッジは三者 10-9で有川。

 2R。上田がタックルを仕掛けるが有川が切る。タックルを狙う上田だが、入れない。有川はロー、キックで距離を取っている。上田もパンチを出すが、タックルは切られてしまう。上田はパンチを当てているが終了。
 ジャッジは三者10-9で上田。

 3R。上田のストレートが入っている。有川のローで上田が尻もちをつくが、すぐに立つ。上田が片足タックルからケージへ押し込むが、有川は蹴って突き放した。
 上田はまたタックルへ。ケージへ押し込むが有川は離れる。上田はパンチを当てているが、打撃での勝負でなく、組みたい様子。また上田が組む。ケージへ押し込む。残り1分。有川は殴る。有川が入れ替えたが、上田は離れた。残り30秒、打ち合って終了。
 ジャッジは二者29-28で上田、1人が29-28有川。2-1で上田が勝利。
 上田は打撃を当てていただけに、組みにこだわったのが残念。打撃で倒せたのでは。ただ、連敗を脱することができた。

▼上田 ケージ上コメント
「昭和62年生まれの僕なんで、(若い選手を相手に)最後の最後まで頑張りました。前回、試合が終わって、もう頑張れないかなと思って1回引退も考えたんですけど、自分は人生で楽しい、面白いと思うのがこれ(格闘技)しかないんで。結局、楽しいから頑張りました。すいません、何を言ってるかわからないですね(笑)。
 パンクラスも新会場で、こうしてお客さんも入れるようになって、ちょっとずつ格闘技界も盛り上がってきているので、少しでも自分も福岡から盛り上げたいと思うし、もう35になるんですけど、やっぱりもう一度、福岡でパンクラスをやりたいっていうのがあるんですよ。それを叶えるために、もうちょっとここで頑張ろうと思いますので、また応援をよろしくお願いします。
 去年、猿飛流選手に負けて、福岡の娘の誕生日だったんですけど、勝利をプレゼントしてやれませんでした。2連敗して、娘が『もう負ける姿を見たくない』と言って。今日の試合も見てくれてないと思うんですよね。録画で見せようと思います。
 何か1つ、楽しいと思えることを見つけて、報われないことも多いですけど、こうやってたまにあ笑えるいい日もあるので、これからも頑張ります」

▼上田 試合後コメント
「しょっぱいながらなんとか繋げることができました。
 今回は、やっぱり2連敗というのがあって、トップ選手に負けて、さっきマイクでも言ったように、本当に、もう頑張らなくてもいいんじゃないかと。どちらかというと、こんな思いをするのが嫌だとか、退こうという気持ちが出てきたんですけど、結局、何日間か経ったら、やっぱり“好き”が一番なんですよね。負けた時にしょっぱい試合して、自分から行ききらなくて、本当に不甲斐ない試合をしてしまったにもかかわらず、周りの人が誰も離れずに『お前が闘うなら応援する、また見たい』と言ってくれて。ここで退いたら逃げだなと思って。で、“楽しいからやる”とシンプルでいいんじゃないかなと、今回は吹っ切れた気持ちで行こうというのもあって。だから、今回は楽しもうというのが今回のテーマでしたね。
 今まではタイトルに絡んでたりして、絶対獲らなきゃ、絶対勝たなきゃ、今まで何のためにやってきたんだっていうのを思いながら闘ってきたんですけど、今回はもう純粋に楽しもうとか、やってきたことを試そうとか、自己満足でやればいいんじゃないかと。金網の中に入った時、すごく気持ちは楽でしたね。よーし、楽しんでやろうと笑顔が出るというか。もちろん緊張するはするんですけど、なんか楽しめたかなというのがありますね。久しぶりに勝てたんで、すごく嬉しいなというのもありますし、これがあるから辞められないなあというのもありますね。
(今回は組みにこだわっていた?)相手の映像を見させてもらって、詰めたら下がる、足を使って捌いてくるだろうなというのがあったので、打撃でジャブとか当てるより、組んでテイクダウンで行きたいなというのがありました。
 まあ、いいところ組んだんですけど、やっぱり相手もディフェンス能力が高くて研究もされていて。ちょっとテイクダウンできない状態で。試合の中で打撃も当たってたんで途中から作戦を切り替えて。ただ、要所要所でテイクダウンを取りたいなというのがあったんで。後でセコンドとも話して、打撃だけにこだわっても良かったかなと反省はしています。
 娘からしたら、猿飛流選手、小川選手と2連敗して、娘からしたら、父ちゃんが負けるのを見るのはすごく辛いし怖いと。今回、東京に行く時に『見たくない』って泣かれたんですよね。『もう映像見たくない』と。泣かれてしまったので、『見なくてもいいよ、父ちゃん勝ってくるけん』って言ったんですけど。試合が終わって電話で話したら、見事に見てなかったですね(笑)。でも結果は知っていて『お疲れー!』と喜んでくれていたので、帰ったら、家族で一緒に映像を見ようと思っています。今回勝てたので、4歳の誕生日は勝って祝えるので、それが一番嬉しいですね。
 これからは、もうシンプルに、楽しいからやるっていうのと、身体は大きな怪我もないので、体が動くのと、面白いっていうのが一番なので。引退は、それがなくなった時でもいいのかなと。それと、地元・福岡で応援してくれている人がいっぱいいるんで、その人たちに、もう一度パンクラスを福岡まで持って行って見てもらいたいという気持ちが今一番大きいですね。ベルト云々より、福岡でパンクラスをしたいというのが一番ですね」

第2部 第1試合


 闘い続けるレジェンド・近藤は46歳、キャリア26年目に入る。この試合はライト級(-70.3kg)契約で行われる予定だったが、近藤は体重を落としきれず、対戦相手の鈴木側と協議し、鈴木側が73kg以下まで譲歩したため、ウェルター級キャッチウェイトとして行われる運びとなった。長いキャリアの中で近藤が体重でトラブルを起こしたことはなく、体調が危ぶまれる。

 対する鈴木は43歳と近藤と同世代だが、プロデビューは遅く、キャリア12戦10勝2敗。2019年にWORDOGライト級王者となっている。パンクラスには初参戦。

 1R。近藤が左ミドル。片足をつかんだ鈴木はケージへ押して持ち上げ、体躯ダウン。ブリッジで返そうとする近藤を押さえ殴る。蹴り上げて立った近藤だが、鈴木がケージへ押し込んで肩パンチ。
 近藤は離れて打撃で前に出る。パンチがヒット、鈴木がダウン! パウンドを落とすが、鈴木が立ち離れる。近藤がパンチで出て終了。
 ジャッジは三者10-9で近藤。

 2R。近藤はロー。パンチも当てている。鈴木が片足をとり尻もちをつかせる。近藤の背中が床につき鈴木がマウント。返したい近藤。鈴木はパウンドを落とすが、あまり当たっていない。近藤が動いて強引に回り立つ。会場から拍手が起こった。
 鈴木も立ち、ケージへ押し込む。近藤は離れてロー。鈴木は近藤の蹴り足を取り投げる。まだ背中はついていない近藤だが立ちたいところ。腕をとらえている。鈴木が腕を抜いて殴ったところで終了。
 ジャッジは三者10-9で鈴木。

 3R。インターバル明けから、動きを確認するようにリズムを取っている近藤。ローを放つ。鈴木はジャブから組むが、近藤は突き放す。
 鈴木がパンチを出すと、近藤は距離を詰めてパンチ。鈴木はまた組んでケージへ。しかし、再び突き放す近藤。鈴木は組みに行き、ケージへ押す。近藤はそのまま前に倒れて上に。ハーフマウントから殴る。近藤が押さえ込んだまま終了。
 ジャッジは三者29-28で近藤が勝利。

第2部 第2試合


 フェザー級タイトルマッチ次期挑戦者決定トーナメントの決勝戦。
 岩本は2020年NBT優勝者。183cmの長身を武器に、長いリーチでの打撃、また一本を決める力も持っている。トーナメント1回戦はアームロックでRyo を破っている。
 本来は、今年3月、Aブロックを勝ち上がった亀井晨佑との対戦となるはずだったが、亀井が1 回戦で負ったダメージにより出場を見送ることになったため、リザーブマッチで勝利した透暉鷹が決勝進出となった。
 透暉鷹は2020年よりパンクラスに参戦。小森真誉、田中半蔵を破ったが、翌2021年はRyoに一本負け。しかし次戦で内村洋次郎を判定で破り、リザーブマッチでは名田英平にチョークスリーパーで勝利している。

 1R。向かい合った両選手に対し会場から拍手が起こり、この試合への期待感が高まる。
 お互いプレッシャーをかける。岩本がパンチ。ローから組んだ透暉鷹が投げて尻もちをつかせる。ケージ際で上に。サイドポジションから肩パンチ。さらにパウンドを連打すると岩本の意識が飛び、レフェリーが止めた。
 リザーバーから透暉鷹が挑戦権を獲得。王者・ISAOとの対戦が決定した。

第2部 第3試合


 柔術から格闘技を始めた井村は2020年NBTを全て一本勝ちで優勝。翌2021年には平岡将英、ジェイク・ムラタを破り、12月には暫定王者決定戦に臨むも中島太一に敗れ、プロ初黒星となった。今回は出直しの一戦となる。

 対するTSUNEは2015年より参戦中。2018年から4連敗していたが、2021年、鬼神光司、平田丈二を破り勢いを取り戻している。ランキングにも復活し、さらに上を目指したいところ。背水の陣で闘う。

 1R。井村がパンチで出る。TSUNEもパンチを出していく。組もうとした井村にTSUNEのカウンターがヒット、井村ダウン! 井村はタックルに入るが、TSUNEが潰して上に。鼻から出血している井村はダメージがありそう。
 井村は上体を引きつけ三角絞めを狙うが、TSUNEは殴って体を離す。さらに抜けてパンチを落とし、こするようにヒジ、さらにパンチ連打したところで終了。
 ジャッジは三者10-9でTSUNE。TSUNEにはバッティングについて口頭注意が与えられた。

 2R。井村が片足タックルからケージへ押す。TSUNEは尻もち状態で殴り、ヒジ連打。TSUNEが立つが、井村はボディを抱え倒そうとしている。こらえていたTSUNEが上になると、会場から拍手が起きる。井村は再び出血。かなりの量が出ている。しかし、井村は三角狙いから腕十字へ。しかしTSUNEが腕を抜いてパウンドを落として終了。
 ジャッジは三者10-9でTSUNE。

 3R。井村が低いタックルからケージへ押し込む。TSUNEがヒザ、井浦が引き込むと、TSUNEはパウンド、ボディブロー、鉄槌と連打。返せない井村。
 残り2分、サイドから殴るTSUNE。井村は三角仕掛けられず。しかし首を狙うが外れてしまう。残り10秒、TSUNEが殴り続けて終了。
 ジャッジは三者30-27、3-0でTSUNEが勝利。
 TSUNEの勝利への気迫をひときわ感じた一戦となった。

第2部 第4試合


 秋葉は2015年よりパンクラスに参戦。最初は地元・大阪の大会で闘っていたフが、2018年より東京大会に進出。元KOP・神酒龍一に判定勝利したが、その後ルサンド・ピコに判定負け、昨年はフライ級暫定王者決定トーナメント1回戦で小川徹に判定負けを喫している。
 小川戦からフリーとなっての参戦だが、練習環境は良いという。ここで復活のきっかけをつかみたい一戦だ。

 対する鶴屋はパラエストラ千葉・鶴屋浩代表の息子。昨年DEEPでプロデビューし3連勝している。パンクラスにはこれが初参戦。まだ19歳、新世代のホープとして期待されている選手だ。初めてのパンクラスで、どのような闘いを見せるか。

 1R。開始直後、いきなり組んだ鶴屋がケージへ押し込む。秋葉は腕を取っている。鶴屋はヒザ。しかし秋葉が回って足を狙う! 会場から拍手が湧く。
 しかし、足を外した鶴屋はバックに回り、背中におぶさって殴る。さらにチョークを狙っていく。秋葉は防いでおり決まらない。さらに秋葉が腕を狙うか。会場から拍手が起こる。秋葉が返して上になるが、鶴屋がすぐに取り返した。
 蹴り飛ばすように立った秋葉。投げてバックを取った鶴屋がチョーク。これが決まり、秋葉がタップアウト。
 秋葉も随所で強さを見せたが、鶴屋がさらに上をいきパンクラス初勝利を収めた。新星の呼び声に違わない強さと、今後への期待が高まる。
 苦い結果となった秋葉だが、まだまだここで終わってほしくはない。更なる奮起を望みたい。

▼鶴屋 ケージ上コメント
「思ったより秋葉選手が強くて苦戦しちゃったんですけど、一本で勝ててよかったです。試合が決まった時は緊張したんですけど、でも、今日、試合当日は『やってやる』という気持ちで闘えました。
(今後は?と問われ)一本で勝ったんで、タイトルマッチに挑戦させてください」

第2部 第5試合


 木下は2020年より参戦。デビュー戦で網藤雄太に1Rチョークスリーパー、昨年はタイトルマッチ経験もある髙木健太に1Rフロントチョークと一本勝ちで器の大きさを感じさせた。今回は第9代王者・村山という壁を乗り越えることができるか。

 第4代修斗環太平洋ウェルター級王者にして第9代ウェルター級KOP・村山は2012年よりパンクラスに参戦。昨年はウェルター級暫定王者決定戦で菊入正行と闘うも判定負けで王者返り咲きは成らなかった。しかし、まだまだ進化していると実感する村山。若手の壁となり、ベルトへのステップとしたいところだ。

 1R。開始直後、村山がすぐに片足を取り、投げて上に。バックを取り、ゆっくりポジションを取っていく。
 早くも村山に捕らえられたかと思われたが、木下は回って立ち離れた。会場から大きな拍手が起こる。
 木下はパンチで出ていく。ケージ際の村山に飛びヒザ一閃! クリーンヒットし村山がダウン! 追撃に入る木下をレフェリーが止めた。

▼木下ケージ上コメント
「俺が目指しているのは世界、UFCなんで。次またここで(お客さんを)満杯に入れてやりましょう。菊入選手、やりましょう!
 皆さん、今日いろんな試合ありましたけど、僕が一番ヤバイんで。僕が日本MMAを引っ張って世界の強豪と闘うんで、皆さん応援まだまだお願いします!(いつやりますか? と問われ)9月! 2階、3階も入れて、メインで行きましょう!」

 豪快な攻撃で木下が鮮やかな勝利! 会場の興奮は一気に頂点へ盛り上がった。両足を大きく開いて四股踏みのようなポーズでアピールする木下は、身体が柔らかいようだ。
 今回は打撃での勝利となったが、前2戦では一本勝ちを挙げており、打撃だけでなく極める力も持っている。また、稲垣組のガキ大将といった雰囲気の明るいキャラクターもファンに愛されそうだ。
 試合後、菊入とのタイトルマッチをリクエストした木下。格闘技に“もしも”や“たら・れば”はないとわかっていても、もしも同じ階級だったら、前大会でミドル級王者となった内藤由良との対戦が見てみたいと思った。
 妄想はさておき、木下はUFCを目指しているという。イキのいい若者の、今後の成長と活躍が楽しみで仕方ない。

(写真・文/佐佐木 澪)

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