【インタビュー】女子力が急上昇した高瀬みゆきに何が起きたのか?団体消滅からフリーランスサミットの実行委員会になった裏側を語る

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 2017年にアクトレスガールズとしてデビューした高瀬みゆきは、持ち前の真面目さと熱さで『みゆ姐』と慕われ団体を牽引してきた。
 アクトレスガールズのシングル王者として君臨しながらも、その真っ直ぐさゆえに団体とはぶつかることが多かった高瀬だが、昨年末に団体自体が消滅しフリーに。
 背負うものがなくなった高瀬は、5月に開催されるフリーランスサミット『NOMADS'』の実行委員会に参加することが決定した。
 実行委員会で一番の若手となる高瀬がなぜ『NOMADS'』に参戦するだけではなく委員会参加を選んだのか?その真意を聞いた。

フリーランスサミット『NOMADS'』
日程:5月20日(金)
開始:19:00
会場:新宿FACE

▼メインイベント 20分1本勝負
雪妃真矢/水波綾
vs
山下りな/高瀬みゆき

■立場だけじゃなく心もフリーになったなって思います

――高瀬選手はNOMADS'発起人の中では一番後輩に当たりますが、その居心地は
「全然、『こっちは先輩だぞ!』みたいな感じでやる人は1人もいないので、私も良い意味で気を遣わずにやらせていただいてます!」

――前の団体では“みゆ姐”と慕われ後輩選手たちを守る上の立場でしたが、その頃となにか変化を感じますか
「守らなくて良い立場になったっていうのは楽になったというか、自分のことを考えられる時間が増えたことは良かったのかなと思います。私も『後輩だから~』みたいなことを言うこともないですし、皆さんも『先輩だぞ!』とか『後輩なんだからやってよ』みたいなことを言うこともないですし。フリーの集まりってこともあると思うんですけど、プロレス界のしきたりというよりは、社会人として、仕事の仲間として付き合ってるし、仕事をする上でのファミリーって感じなので、そこの窮屈さは1度も感じたことないです」

――夏選手は、以前のインタビューで『コロナの給付金の手続き方法をすべてみゆ姐に教えてもらって、頼りきりになっている』と言っていました
「私も夏さんに頼っている部分はあります(苦笑)私は自分でデザインをする知識も経験もないので、自分がデザイナーさんにお願いするときに『こういう言い方って失礼に当たらないですか?』とか『こういう依頼ってどうすればいいですか?』みたいなこととか、メイクのことだったりとか夏さんに相談しています。それぞれの得意分野を活かし合えてる感じはすごくしてますね。フリーでのキャリアも業界でのキャリアも一番短いので、そういう面で『こういうときってプロレス界的にどうなんですか?』って相談もするので、色々先輩たちに相談に乗っていただきながら、いい意味で伸び伸びやらせていただいてます」

――前に所属していた団体では窮屈な面もありましたか?
「前の団体は、もちろん団体なので制約は多かったんですけど、窮屈だなんて言ったら干されるんじゃないかってくらい伸び伸びやらせていただいていました(笑)伸び伸びっていうか、ワガママ放題やらせてもらってたと思います(笑)他の団体さんはもっと厳しいところもありますし、それこそ(アクトレスの)初期メンの方々は『生意気な後輩が入ってきた』と思っていたでしょうし、(坂口)代表も手を焼いていたでしょうし。それも、私は意見するなりに団体を良くしたいっていう思いがあって、意見を発信していたんですよ。黙っているのが一番楽じゃないですか。全部『あぁ、いいんじゃない?いいんじゃない?』って優しくみんなにとっていい子である方が楽なので、そう居たかったんですけど、団体が良くならないと自分の人生もプロレスを始めた意味がないので、しんどくなっても言わなきゃと思って言ったり闘ったりしていたことが多かった。そういう意味では、『立場だけじゃなく心もフリーになったな』って、今思います」

――高瀬選手の欠場中に団体が無くなってしまったことについての思いは
「団体がなくなるのが確定したのは自分が欠場していた間でしたけど、実際には欠場する前からもちろんそういう話はあったんですよ。私だけじゃなく不安定なメンバーもたくさんいたので、みんなの相談に乗りながら『なんとかしなきゃいけない!』ってときに私が怪我をして、試合・団体を盛り上げられなくなってしまったので……。その責任は正直すごく感じました。ただ、1個今思えば良かったのかなと思うのが、私がいなくなったことでそれぞれが『私がしっかりしなきゃ!』みたいな責任感を持ってくれたんじゃないかなと思っていまして。それこそ、同期の翔(関口翔)、青野未来ちゃんは、当時タッグのベルトを獲って守るっていう意味ですごく『私達がしっかりするんだ!』って思ってましたし、多恵さん(本間多恵)も怪我をされてしまいましたし。当時、『私が守ってあげなきゃ、引っ張ってあげなきゃ』って思っていた子たちが実はそんなこと無くて、本人たちが環境が無いなら自分の足でしっかり立とうって責任感を持っている姿を見られたので。その後、フリーになった子たち、坂口さんに付いていった子たち、他の団体に入った子たちがいますけど、そういう意味では自分の人生を考えるいいキッカケになったのかなと思います。私もちょっと安心したんですよね。『団体が無くなってもこの子達は自分の足でしっかり歩いていける』と感じられる姿を見られたので。変な言い方ですけど、怪我してよかったんじゃないかなと思ってます。今では(笑)」

――元アクトレスでフリーになった選手は、ユニットとして活動したり、レギュラー参戦する団体があったりと団体解散の時点で居場所があったように思えます。その中で高瀬選手はある意味で一匹狼のように活動していました
「私、元々プロレスをやるときに『アクトレスガールズだから入りたい』というわけでもなかったですし、『プロレスをやりたい』と思って入ったわけでもなくて。その前に芸能の方の仕事をやめて自分で活動をし始めていたんですけど、“高瀬みゆき個人として影響力を持ちたい”と漠然と思っていたんですね。そういう意味で、プロレスをやってすごく楽しいし、もっともっと続けていきたいと思ったので。元々団体とか、団体にいなきゃいけないっていう意識が多分みんなよりも少なかったっていうのもありますし、私がデビュー1年目とか2年目とかだったら、間違いなくフリーを選ばず団体に入っていたと思うんですけど、レギュラーでその当時参戦させていただいていたのが3団体あったんですけど、どこかに入るかと考えたときにどこも選べなかったというのがあるので。私の中では元々フリー一択みたいな感じになってましたね」

――フリーになることについて不安はなかったのでしょうか
「不安がなかったってことはないんですけど、元々夏さんとは自分が『団体がなくなるんですけど、自分フリーになろうと思ってます』って相談は早々にしていたんですよ。そのときに夏さんから色々アドバイスを頂いて、今のNOMADS'とは違う形で一緒に同じことやろうっていう話もしていたんです。それはプロレスだったりプロレスじゃなかったりするんですけど、なにか楽しいことを出来たら良いよねみたいな話を、夏さんだったり香萌さん(小林香萌)さんだったりとしていたので、そういう意味で“プロレスをやるために団体に入る”のではなく、“自分の仕事の1つとしてプロレスをする”という考え方になったんです。自分のプロレスラーとしての仕事を試合以外の部分でも活動の幅を伸ばして行きたかったので、個人事業主って形が自分に一番しっくり来たというのもありますね」


■誰かがトップでその下に誰かを雇う形じゃなくて、これからは輪になっていく時代

――NOMADS'が始動する前に夏選手がやろうとしていたことに高瀬選手は最初期から参画されていたと思います。夏選手と様々な苦難をともにしてきた中で印象的なエピソードはありますか
「その渦中にいたのは夏さんなので、私も知らなかった夏さんの一面を知れた部分もあるんです。基本的に夏さんって、実はすごく真面目なんです。すごく真面目で責任感が強くて、そこが良いところで信頼できると思ってずっと見ていたんですけど、逆にそれが強すぎて追い込んでしまう部分があるんだなって気付いたんです。人って、余裕がない時ってピリピリしてしまうので、『今は口出さないほうがいいな』って思う時もあったんですけど、ときにはぶつかってでも一緒に道を修正していかないと、後になって『実はこう思っていたんだよね』って言ってもどうにもならないことがあるってことに気付けたので、無闇にぶつかることはないんですけど、大事な必要なぶつかりはしていかなきゃいけないなって思ったんですよね。そのときは言うても、夏さんは私の先輩ですから尊敬する先輩としての接し方もしているんですけど、『夏さんがやりたいことだから』じゃなくて、しっかり自分のこととして考えて動いてサポートだったり、ときには自分が主体になって動いていかなきゃなっていう考え方に変わっていきましたね」

――それを経て、NOMADS'では夏選手と同じ実行委員としての立場になりました
「夏さんは夏さんで色々思っていたと思うんですよね。でも、私が夏さんと一緒にお仕事をするという話が持ち上がったときに『誰かがトップでその下に誰かを雇う形じゃなくて、これからの時代は輪になっていく時代だから横のつながりで集まることが大事だと思うんです』って話を夏さんにしていたんです。夏さんが覚えてるかどうか分からないですけど(笑)それは私の中で去年くらいから思っていてその話をしてたんですけど、前のときは夏さんがやりたくて発案したことに『協力してくれない?』っていう立場だったので、夏さんも『自分がしっかりしないといけない!』『自分がみんなに責任を負わなきゃいけない!』ってすごく責任感をメチャクチャ持っていて入れたと思いますし、私たちも夏さんがそうやってるから、おそらく一歩引いて見ていたと思うんですよ。その頃のことがある意味で教訓になっていて、NOMADS'ではみんなが運営陣だから、みんながそれぞれ責任を持って、なにかあってもそれぞれに責任があるってことで動けるので、そこはすごく変わったし、あの経験があって良かったんじゃないかと思います」

――活動をともにする中で、夏選手の破天荒な部分も色々見てきたと思います
「実ははじめの頃は破天荒な夏さんって見たことなかったんですよ。夏さんと出会ったのは私が一番遅いんですけど、私が夏さんと仲良くなったのも夏さんがフリーになられた後だったので。その頃って、夏さんご自身が言ってるんですけど、飲みの場でアレなことになることが少なくなって、夏さん自身も『飲み方が落ち着いた』って言ってたんです。なので、長浜さん(長浜浩江)とか山下さんから夏さんの破天荒エピソードは聞きますけど、実際に直面することはなく過ごしてきたんです。その後もお仕事で関わるようになってどんどんどんどん大人しくなっていったんですけど、ここ最近ですね。フィーバーされてるのは(笑)ここ最近の破天荒エピソードは色々あるんですけど、お酒の破天荒は、ね、言えることと言えないことがあるので……(笑)1個あるのは、皆さん朝まで飲んだりすることもあると思うんですけど、夏さんは朝までじゃなくて昼までが基本で、ときには夕方まで呑んでるんですけど、そこから天丼を食べるんですね。お蕎麦屋さんに行って、お蕎麦と天丼をモリモリ食べるっていうルーティンをしながら『私は痩せるんだ!』って言ってるので(笑)逆に元気じゃないですか。朝まで飲んだあとに私は天丼は入らないので、そのエネルギーは一体どこから来るのかと……。だからいつも『天丼は大丈夫です~』って言ってお別れしてます(笑)言って大丈夫なことは……ホントそれくらいですかね……(笑)」

――大っぴらには言えないエピソードのほうが多いと……
「でも良いところもありまして、夏さんがそうやって飲みに行くのは、もちろん夏さんがそれが好きで楽しいっていうのもありますし、今はコロナ禍ですごく減りましたけど、コロナが無いときは自分たちの興行のポスターを持って営業周りとかしていたと思うんですよ。その面で夏さんは顔がすごく広いので、『普段よく通ってくれるから興行も行くよ』とか、『プロレスラーとしての姿を知らないから見てみたい』とかでチケットをたくさん買ってくれたり、みんながまとめて見に来てくれたりってこともあったので、そういうところは夏さんのすごいところですし、活かされているし、他の3人には無い夏さんならではの営業力かなと思っています」

――夏さんのコミュニケーション能力の高さで広がっていった輪もあると
「それで時にはトラブルに巻き込まれることも多いんですけど、私はどっちかというと雪妃さん寄りで、はじめましての方とも仲良くはしますけど、ある一線を越えて付き合うのって、信頼してからなんですよ。だから連絡先を交換したりとか、飲み屋で知り合った一般の方と交流を持つっていうのは、自分の中では“一線を越えちゃう”んですね。アクトレスのときも、一番最初に作ったのはチケットフォームで。TwitterのDMとかで直接やり取りするんじゃなくて、ちゃんとファンの人が自分で買いたいから買うっていう方式を取ったっていうのがあるんですけど、夏さんの場合は連絡先とかパッとすぐ交換するんですよ。どんどんどんどん繋がっていって、交流・人脈を広げて、良いと思ったらそこにみんなを繋げていくっていうことをするんですね。やっぱり、人と人とを繋げられるのはスゴいなあって思うんですよ。だから、夏さんが発起人でやってるNOMADS'っていうのを色んな人に知ってもらえてるんだなって思いますし、『記者会見をこうやりたい!』っていう夏さんのイメージとか発想とかは面白いなと思うことがすごく多いです」


■『高瀬みゆきとしての人間力を高めなきゃいけないな』って思う中で女子力も磨こうと思った

――高瀬選手が復帰されたときに一部で話題になっていたのが、メイクがだいぶ変わられた印象があると
「えっ?!メイクですか?!」

――欠場前は、みゆ姐の愛称が示すように武骨な“THE 姉御”といった雰囲気でしたが、復帰後は女性らしさが前面に出ていると業界の話題の1つになっています
「え~!そうですか?!知らなかったです、それ(笑)もっと伝えてほしかった(笑)1個考えられるとしたら、ずっとデビューしてから必死だったんですよ。格闘技なんてやったことないですから。私がデビューした当時はリングでの練習が月に2回しか無くて、2ヶ月半とかでデビューしてるんです。デビューしたらしたで、サオリさん(安納サオリ)とか、なつみさん(現:なつぽい)とかと同じように『大丈夫、できるよ』って感じでポンポンポンポン他団体さんにぽいってされるので、『死ぬ。このままでは私は死んでしまう……』と危機感を覚えて出稽古とかにも行くようになって、プロレスが好きになって、ずーっとガムシャラに試合をし続けてきたんですよ。まだ試合も怖かったんですよ。3年すぎるくらいまでは、“楽しい”よりも“怖い”が大きくて。でも終わったときに、『またリングに立ちたい!』『今度は勝ちたい!』って思えたから続けて行っている中で、アドレナリンとか戦闘モードが切れないままずーっと来てたんです。自団体とも先輩とも闘ってました(笑)代表とかとも(笑)プライベートも仕事も闘ったまま生きてた中で、コロナ時代が来て試合が途切れて心の安らぎを得て、その後怪我をして欠場して、筋トレとかも絶対できないような状況になって、『私はもう試合が出来ない。サポート側の人間になるんだな』ってどうしても思いましたし、入院中も同室のおかあさん方とキャッキャしながらプロレスを忘れた日々を過ごしていたので、1回戦闘モードがポンっと抜けたんだと思います(笑)入院生活で体も健康になり、身体の痛い部分がすべて無くなり、睡眠時間もたっぷり取れてお肌もツヤツヤになり……(笑)そのときに思ったのが、『あっ!健康になったらこんなに変わるんだ!』って。当時私は団体にはいたんですけど、グッズとかも自分で管理していたので、忙しくて睡眠時間も足りていなかったんです。これを機に、『ちゃんと女子力も上げなきゃいけないな』ってスキンケアとかにも気を遣うようになりましたし、団体の解散が決まったあとは、アクトレスガールズの中にいたので“THE プロレスラー”みたいな感じがオンリーワンでいいと思ってたんですけど、フリーになってプロレス界を見渡してみると“THE プロレスラー”しかいないじゃないですか。かわいい子もいっぱいいる中でもプロレスラーとしても私よりも何倍もすごい方ばかりなので。だから、『高瀬みゆきとしての人間力を高めなきゃいけないな』って思う中で、女子力も磨こうと思ったのが1個あるかもですね(笑)髪も今伸ばしてますから。でも、ホントそれ知らなかったですね……。まあ、浮いた話もなく楽しい欠場期間を過ごして、アドレナリンと攻撃性が抜けたからですかね(笑)」

――では今のコンディションは
「欠場期間をすごして、自分の練習も今はできて。精神的にも今は余裕ができて、みんなの頼もしさを感じて、自分が張り詰めてなくてもいいんだと周りが見えるようになって健康的です」

――改めて高瀬さんにとって『NOMADS‘』とはどういう場所なのでしょうか?
「安心できる場所ですし、私多分自主興行やったほうが良いよなって思いながらこの先一生やらないと思うんですよ。闘いたい人も多いし組みたい人も出て欲しい人も多すぎて、自分ではカード決められないんですよね。そういう意味で『NOMADS‘』っていうものがあって、こういう事を経験させていただけるのはすごいありがたいですし楽しいです」

――ありがとうございました。改めて大会への意気込みをお願いします
「フリーランスの人たちが活躍する場ということで、沢山の注目を頂いていてありがたい気持ちとともに、その期待に負けないような素晴らしい興行に絶対しますので、皆さんご期待ください!」

フリーランスサミット『NOMADS'』
日程:5月20日(金)
開始:19:00
会場:新宿FACE

▼シングルマッチ15分1本勝負
本間多恵
vs
花園桃花

▼6人タッグマッチ 30分1本勝負
米山香織(YMZ)/真琴/尾崎妹加
vs
清水ひかり(COLOR’S)/網倉理奈(COLOR’S)/櫻井裕子(COLOR’S)

▼小林香萌復帰戦 15分1本勝負
小林香萌
vs
松本浩代

▼タッグマッチ 20分1本勝負
SAKI(COLOR’S)/安納サオリ
vs
朱崇花/優宇

▼タッグマッチ 20分1本勝負
雪妃真矢/水波綾
vs
山下りな/高瀬みゆき

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