【インタビュー】3戦連続1RKOの暫定王者・雑賀ヤン坊達也が久米鷹介とのライト級KOP統一王座戦を前に勝利に自信!「僕は僕の“倒すMMA”でしっかりKOしたい」

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 11月某日、神奈川県横須賀市の総合格闘技道場DOBUITAにて、雑賀ヤン坊達也のインタビューを行なった。
 パンクラスライト級暫定王者・雑賀は『PANCRASE 325』(12月12日、USENスタジオコースト)で、正王者・久米鷹介と正王座統一戦を行う。
 雑賀は2019年7月、パンクラスに初参戦。以来、3戦連続1ラウンドKOで暫定王者の座を手にした。その後、統一戦を目指し、他団体のオファーを断り、この機会を待ちわびていた。
 全くタイプの違う両王者だが、双方、爆発力は半端じゃない。格闘技ファン全てが注目する中、両雄がぶつかり合う。
 雑賀のコメントは以下。

――いよいよライト級統一戦です。王者が1人になるこの闘い、ヤン坊選手はどのように感じていますか。
雑賀「やっと来たなと。暫定王者と正規王者の統一戦がなかなか行われない中、こうやって統一戦を組んで頂いたこと、本当にありがたく思っています」

――大注目されている試合ですが、ここまで待っている間の心境はどうだったのでしょうか。
雑賀「そうですね、統一戦ってなかなか行われないので、正直、やるのか、やらないのかと不安もありましたし、僕もいろいろ言ったり、いろんなところから声をかけて頂いたりしたんですけど、やはりこうやって(統一戦が)来たっていうことは、運命だと感じています」

――改めて、正王者・久米選手の印象をお聞かせください。
雑賀「とにかく力強くて、立っても寝てもなんでもできる選手という印象で。多分、下馬評では僕が不利だって思われていると思うんですけど、今までもそういうのを全てひっくり返してきたので、いつも通りひっくり返して、みんなをワッと言わせてやりたいなと思っています」

――ヤン坊選手は、これまで全て1Rで勝利しています。久米選手はこれを“底が知れない”と評していました。この部分、今度の試合でどのように作用すると思っていますか。
雑賀「そうですね、僕はいつも通りやるだけなので。ラウンドをまたいだらまたいだで、やることは変わらず倒しに行くっていうだけなので。
 今までずっと、1Rで倒してやろうと思って闘って来たわけじゃないので、運がいいのかラッキーなのかわかりませんけど、今のちころ1Rで勝ててきてるので。今回はどうなんだ? っていう部分も楽しんで頂けると思います」

――久米選手は「闘うのが楽しみ」と話していました。ヤン坊選手も同様のお気持ちなのでしょうか。
雑賀「そうですね。僕が久米選手のことを認めないなんてことはまずないです。ずっとトップで闘ってきている選手で、ずっと見てましたし、試合もほとんど見ていましたし。
 確か、(久米選手は)KO負けが1回しかないんですよね。そういう部分で2つ目のKOを僕がつけられるのかな、という部分でも楽しみです」

――全ての試合で1ラウンドKO勝ちして来たヤン坊選手ですが、その爆発力の源は何なのでしょうか。
雑賀「何でしょうか。試合をしていると『行かなきゃ』って思うんですよね。そうすると、気づくと相手が倒れていたりとか、そんな感じなんですかね。『ここだ!』っていうのはいつもあまり考えてなくて、『行かなきゃ』『行かなきゃ』っていう気落ちが前に出過ぎて、今ところ良い結果に繋がっているのかなっていう感じですね。1回コケたこともありますけど、そういう反省も活かしながら、ちょっとずつレベルアップしているのかなとは思っています」

――技術があってこそですが、気持ちの部分がこの連続1R決着に繋がっているんでしょうか。
雑賀「そうですね、今のところは(気持ちが)そういう結果に繋がってるんだなって思ってますね」

――いろいろな選手、いろいろな考え方があって、中には(勝ち方や内容より)勝てばいいという考えの人もいます。その辺は、ヤン坊選手はどのように考えていますか。
雑賀「そうですね、僕の考えるMMAは、みんなが楽しめるような“倒すMMA”で、僕はそこを心がけているのかなっていう感じですね」

――ヤン坊選手は今まで1R決着ばかりで、インターバルを聞いたことがありません。タイトルマッチも1R で決めたいという気持ちはあるのでしょうか。
雑賀「枠にハマればイケるのかなって思ってますし、ラウンドをまたいだらまたいだで、どういう世界なのかなっていう(楽しみな)部分もありますね」

――なかなか見られないグラウンドの攻防だったり、ラウンドをまたいで複数のラウンドを闘ったりなど、試合をどうシミュレーションしていますか。
雑賀「これはあまり言えない部分が多いですけど、普通に対策しながら、着々と準備はしています。待っているのは“久米地獄”だと思うので、そこから這い上がって逆に“ヤン坊地獄”みたいなノリで行ければなと」

――ここで少し話を変えて、パンクラスでまだ3戦なので、ヤン坊選手のことをまだよく知らないファンもいるかと思います。少し、ヤン坊選手ご自身のことについてお聞きしたいのですが、格闘技を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
雑賀「僕らの世代(※1990年生まれ)だと、魔裟斗選手とKID選手が当時ものすごく輝いていた時代で、それが好きでずっと格闘技を見ていました。それで、いつか自分もやってみたいなとずっと思っていました」

――実際に始めたのはいつごろだったのですか?
雑賀「25〜26歳ごろですね」

――ずっと格闘技を見ていらっしゃったにも関わらず、始めるのはやや遅めのタイミングでは?
雑賀「仕事とかの関係でいろいろあって、このころに自分の時間を持てるようになってきたからですね」

――いろいろな団体がある中で、パンクラスを選んだ理由は何ですか?
雑賀「このジムに入った当時、ボス(※長岡弘樹)が参戦していたのがパンクラスでした。ボスの試合の応援に行かせて頂いたときに会場の熱を感じて、自分もいつか上がりたいなあと思ったのがきっかけです」

――実際に上がってみていかがでしたか?
雑賀「素晴らしい団体ですね。盛り上がりもあって、メディアにも注目されますし、強い人たちが集まっていますし、選手のアフターケアとかも全部すごくしっかりしていて、そういう部分でも頼れる団体だなと思っています」

――今大会は、スタジオコースト最後の試合となります。おそらくメインになると思いますが、コースト最後の闘いであり、パンクラスを締めるという意味で、どのような思いがありますか。
雑賀「最後に選んで頂いたのは本当に光栄だと思っています。そして、1年3ヶ月ぶりの試合になるんですけど、1年3ヶ月ぶりの試合で、統一戦で久米選手と。最後のコーストで闘えるということは、何か運命的なものがあったのかなと本当に強く思っていますね。だから、みんなの記憶に焼きつくような熱い闘いをしたいと思っています」

――最後にはどんなフィニッシュが待っているのでしょうか。
雑賀「どっちかが倒れてるんじゃないですかね。判定はないと思っています」

――ちなみに、スタジオコーストでの思い出はありますか。
雑賀「そうですね、パンクラスに初めて参戦させて頂いた時からずっとスタジオコーストで。まだ3戦しかしてないんですけど、その中で急激にステップアップさせて頂いて、思い出が詰まっている会場です。他の選手に比べたら大したことないのかも知れないですけど、自分のキャリアにおいて、次から次へ、みたいな部分を感じてきた会場なので、名残り惜しいですね」

――では、最後にメッセージをお願いします。
雑賀「僕は僕の“倒すMMA”で、しっかりKOしたいと思います。そして、ベルトの価値を高めていけるような、舐められないような王者になりたいですね」

 長くパンクラスへの参戦経験もある長岡弘樹・DOBUITA代表は「日に日に研ぎ澄まされている。このまま作り上げていけば、最高の状態でリングに送り込める。久米選手は本当のトップ選手なので、ヤン坊の弱点も含め、久米選手の映像を見ながら対策を練っている。ヤン坊は寝技のイメージはないと思うが、久米選手相手に甘い試合なんてできるとは思っていない。この部分を含めた上で、ヤン坊のスタイルで倒せるようバックアップしている。5Rギリギリでも競り勝てる、そして彼の、普通の選手とは違うパンチが久米選手相手に出たら、ヤン坊の新しい世界が見えると思う。ヤン坊は格闘技界を引っ張っていける才能を持っていると思う。全てを出し切って試合を終えて、パンクラスを象徴するようなチャンピオンになってほしい」と期待を寄せた。

(写真・文/佐佐木 三桜)

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