『PANCRASE 352』で実施のストロー級KOP戦、女子フライ級QOP戦の調印式が実施。黒澤亮平、植松洋貴、杉山しずか、渡邉史佳が意気込みを語る
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2月21日夕、都内新宿区にて、『PANCRASE 352』(3月9日/横浜武道館)出場選手らの記者会見およびチャンピオンシップ調印式が行われた。
会見は3部に分けて行われ、第1部はストロー級と女子フライ級の調印式。第4代ストロー級KOP黒澤亮平(THE BLACKBELT JAPAN)、挑戦者・植松洋貴(NEVER QUIT)、女子フライ級QOP杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)、挑戦者・渡邉史佳(FIGHTER’S FLOW)が揃って出席。質疑応答の後、廣瀬隆司・キング・オブ・パンクラス評議会 評議員長が立ち合い、出場誓約書にサインした。
ストロー級王者・黒澤は修斗第6代世界ストロー級チャンピオン。2023年7月にパンクラス初参戦し、小林了平、八田亮を撃破。続く昨年4月、リトルを右フックでKO、暫定王者となった。その後、正規王者となっている。対する植松は、昨年11月、髙島俊哉をパンチ連打による初のKOで破り、キャリア5年目にしてタイトルマッチ挑戦への切符を手にした。
女子フライ級の渡邉は2023年3月より参戦中。初戦こそライカに判定で敗れたが、昨年はNØRI(3月)、前チャンピオン・端貴代(9月)を破り、タイトル初挑戦。女王・杉山しずかは言わずと知れた女子格闘技かいの大ベテラン。昨年3月に初参戦、ライカに判定勝ち。続く7月、重田ホノカを1Rフロントチョークで絞め落とし、第4代クイーンとなっている。
質疑応答の様子は以下。
――まず、選手の皆さんから一言お願いします。
渡邉「FIGHTER’S FLOWの渡邉史佳です。今回、チャンピオンの杉山しずか選手に挑戦させていただけるとのこと、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。覚悟は決まっているので、そこにあるベルトを全力で奪いに行きます。よろしくお願いします」
杉山「杉山しずかです。パンクラスという歴史ある団体でベルトを巻かせていただき、本当に挑戦して良かったなと思っているところです。自分はここで(ベルトを)奪われる選手ではないので、しっかり守って何回も何回も防衛する選手として長期政権を築きたいと思っています。よろしくお願いします」
植松「NEVER QUIT所属の植松洋貴です。今回巡ってきたこのチャンス、相手の黒澤選手はレベルも経験も今までの相手とは段違いに強いんで、リスペクトを持ってぶっ倒しに行きたいと思います。応援よろしくお願いします」
黒澤「このベルトは、前回、去年の4月にKOして獲ったんですけど、あの試合を超えるような試合をして防衛したいと思ってるんで、ご期待ください」
――皆さんにおうかがいします。相手の印象と、この試合が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
渡邉「相手の印象としては、全体的にバランスが取れていて、ベテランの選手だなという印象があります。この試合が決まった時は、チャンスが来たなというところで、自分は全力でトレーニングするしかないので、やってやろうという気持ちになっています」
杉山「相手の印象は、打撃も組みも強い選手、手強い選手だと思っています。試合が決まった時は、このパンクラスはランキング制なので、順番にやっていくと思っているので、次は渡邉選手だなと思っていました。やってやろうという感じでした」
植松「黒澤選手は、相手を一撃でぶっ倒す拳を持っているので、とにかくそこにビビらずに、正面からぶっ倒しに行きたいと思っています。僕はMMAを始めて5年でこのタイトルまで辿り着けたんで、その5年の全ての集大成という意味でも必ずベルトを獲りたいという気持ちでいます」
黒澤「相手の印象は、試合ごとに着実に強くなってきているなというのを感じていて、直近の試合ではフィニッシュして勝ってるんで、フィニッシュする力もつけてきているのかなと思っています。この試合が決まった時の思いは、本当はもっと早いタイミングで防衛戦をやりたいと思っていたので、でも、なかなかいい相手が上がって来ず。3連勝して最後はKOで勝ってくれて、タイトルマッチにふさわしい選手が上がってきたなと思いました」
――杉山選手におうかがいします。「ベストボディ・ジャパン」で優勝されましたが(※ベストボディ・ジャパン主催『マッスルモデル&フィットネスモデル日本大会 レディースクラス部門にて優勝』ご自身の格闘技や闘いにどのように影響していますか。
杉山「はい。挑戦したことに対して結果がついてくるというか、自分が結果を出したということが一番自信につながるというか。やはり達成することが一番自分を満足させてくれることだと思うので。体重がとか、パワーがとか、マイナスになることは絶対にないようにしているんですけど、どう活きるかはちょっとわかりません。ただ、そういった経験をしたことが自分の身になっていることは確かだと思っています」
――渡邉選手、現時点でチャンピオンより上回っているところはどこだと思いますか。
渡邉「そうですね、一発当てたら倒せる強さ、そこが自分は上回っているかなと思っています」
――植松選手、黒澤選手、相手より自分が上回っているところはどこだと思いますか。
植松「そうですね、黒澤選手の右ストレート、警戒して前に出られない選手が結構多いと思うんですけど、僕はその辺に関しては、ビビらずに、どんどんガンガン前にせて攻めていこうと思っています。以上です」
黒澤「上回っていると思うところはたくさんあるんで。右ストレートだけ毛じゃなくて他の武器もたくさん用意してます。まあ、何を出すかわからないですけど、格の違いを見せたいですね」
――渡邉選手、同門の渡辺華奈選手は、過去に杉山選手に勝っていますが、何かアドバイスされていますか。
渡邉「渡辺華奈選手には、いつも色々アドバイスをいただいていて、練習でも組ませてはいただいているんですけど、スタイルは全然違うと思っているので、あとは自分の武器をしっかり出して来いというところでご指導いただいています」
――同門ということで華奈選手と比較されることもあるかと思いますが、華奈選手以上の試合を見せたいと思いますか。
渡邉「そうですね。自分は華奈選手と比較されるレベルまで行ってないと思っていますし、華奈選手は本当にすごい選手なので。でも、自分のスタイリと自分の強いところを見せる、そこが結果につながるのかなと思っています」
――杉山選手、ベテランの杉山選手に対して、わずか4戦のキャリアの選手が挑んでくるわけですが、若手に対して何か教えたいことはありますか。
杉山「いえ、そういった人間ではないと思っていますが(笑)、周りには若い選手がたくさんいて、キャリア数戦の選手がいっぱいなので、その人たちに対して自分が上だというふうには思っていないです。……ちょっと、よくわからない感じになりましたか?(笑)でも、自分が上だというふうには思っていないので、本当に気を引き締めています」
――植松選手はパンクラス一筋で闘ってきました。パンクラスのベルトへの思いはどのようなものでしょうか。
植松「当然、目指していたものでもありますし、うちのジムでもISAOさんや菊入(正行)さん、2人ともベルトを持っているので、3本目のベルトをNEVER QUITに置きたいと思っています」
――現在チャンピオンのかたはベルトを守ったら、また、挑戦者のかたはベルトを獲ったら、その後、どのようなチャンピオンになっていきたいでしょうか。
渡邉「自分自身としては、まずここでしっかりベルトを獲って、それからどんどんベルトの価値を上げていかないといけないと思っているので、どんどん強い選手と闘っていって、どんどん上を目指していきたいと思っています」
杉山「そうですね、このベルトを守ったら、また次の挑戦者が来ると思いますので、全て倒していって。まだちゃんとは言えないですけど、その先にあるものも見ながら。やはり自分は、大きな目標を持ちながらやった方が飛躍できると思っているので、そういう目論見も持ちつつ今回の試合をしっかり締めたいと思います」
植松「ベルトを獲ったら、この階級での象徴になりますので、それに見合った、恥ずかしくない試合ができるファイターになりたいと思っています。防衛する立場になったら、当然ベルトを守るのもそうなんですけど、ゆくゆくはその先の、もっと大きい舞台にも関われたらいいなと思っています。以上です」
黒澤「この階級でも、いろんな選手、いろんな団体がありますが、僕は本当にこの階級で一番になりたいと思ってやっているので、無事勝って、そこへ進んでいきたいと思っています」
――杉山選手、前回、お子さんが応援にいらして、ご一家で喜ぶシーンが微笑ましかったですが、今回も応援にいらっしゃいますか?
杉山「はい。来ます」
――ありがとうございます。では、オフィシャルからの質問です。まず、渡邉選手から。現在のご自分の打撃に対する自己評価と、いつから打撃が伸びたかということを教えてください。
渡邉「自分の打撃は、女子の中だったら一つ抜けてるんじゃないかなとは思っています。でも、技術的にはまだまだのところもたくさんあるとは思っています」
――ご自分の打撃のスキルが上がっているというのは、いつ頃から感じていましたか。
渡邉「そうですね、端(貴代)選手との試合の時(※昨年9月)から、少しずつ組みの中で打撃をどう混ぜるかというか、どういうタイミングで当てていくのかとか、そういうところの判断とか、その辺りは、あの試合からつかんだのかなと思っています」
――それは、どこで誰から教えてもらった打撃なのでしょうか。
渡邉「正直言って、自分の感覚の中でつかんだものなので、誰からとかはないんです。やっていくうちに徐々につかんでいったものだと思っています」
――前回も端選手というベテランとの試合でしたが、ここで勝ったことが自信につながっているでしょうか。
渡邉「そうですね、あそこで勝てたことは、一つ自分の中で自信になったとは思っています」
――パンクラスのベルトを奪いに行く、その先のキャリアプランがあったら教えてください。
渡邉「その先は、今回ベルトをどう獲るかによって変わるのかなとは思っているんですけど、自分は世界の強い選手たちとどんどん闘って倒していきたいと思っているので、そこは流れに身を任せる……じゃないですけど、とにかくやるべきことをやって、ベルトを獲って、それから考えていきたいと思います」
――ありがとうございます。では、杉山選手にうかがいます。杉山選手はバックボーンが空手で打撃には自信があると思いますが、渡邉選手の打撃とどう違って、どういうストロングポイントがあると思いますか。
杉山「そうですね、渡邉選手の打撃は恐れを知らないというか、思い切り打つ打撃だと思います。恐れを持たれるような、私がKOされたりとか、そういうことがあって私も思い切り振れなくなったりとか、いや違う、私の打撃はこういうふうに出す打撃じゃないというのも学んだので、そういったところが違うかなと思っています」
――前回は、キャリア初の戴冠となりました。今回はキャリア初の防衛戦となります。この“防衛戦”というものに対しては、どのような思いがありますか。
杉山「そうですね、前回、ラッキーで獲れた、ではないですけど、5Rかけて獲るつもりだったので、今回、それぐらいきつい試合を想定してやるつもりです。それぐらいきついと思って、先ほども舐めてないということを言ったと思うんですが、自分の実力を出すには舐めた態度じゃ出ない思うので、5R完封するつもりで行きたいと思っています」
――前回の試合で、嬉し涙の息子さんと笑顔のK太郎さんと、ご家族の喜ぶ姿が印象的でしたが、あのあと、ご家族からはどのような言葉をかけられましたか。
凄山「特にはなくて(笑)。すごく感情を出してくれる人たちなので、あの場ですごく喜んでくれて。あのあとは本人たちとは話していないです」
――ありがとうございます。では、植松選手にうかがいます。前回の高島(俊哉)戦、見事なフィニッシュでした(※昨年11月)。このKO勝利は、今回のチャンピオンシップに向けて自信になっていますか。
植松「そうですね。あの時は自分のキャリア初のKO勝利だったので、それは多少、自信にはつながっていると思います」
――前回、菊入選手直伝の必殺技があるとおっしゃっていましたが、それは試合の中で出たのでしょうか。
植松「前回は出せなかったので、今回の試合では出せたらなと思っています。絶対出します」
――ベルトの先に見据えるものは何でしょうか。
植松「先のことに関しては、正直、今考えるのは違うかなと思っています。とりあえず、まずベルトを獲ってから。先のことは、またか考えればいいかなと思っています。今はベルトしか見ていませんので」
――ありがとうございます。では、黒澤選手にお聞きします。先ほど、試合がなかなか決まらなかったというお話がありましたが、その間、どのように過ごしていらっしゃったのでしょうか。
黒澤「試合をしたいという気持ちはありましたけど、格闘技自体が好きで練習も好きで、新しい技を覚えるのも好きだし、繰り返しやったりするのも好きなので、試合をやりたいとは思っていましたけど、苦しくはなかったですね」
――そして、ようやく相手が上がってきました。
黒澤「そうですね。中途半端な感じでタイトル戦、防衛戦っていうのは嫌だなと思っていたので、しっかり勝ち上がって来てくれたのは嬉しいですね」
――各階級を見回しても、黒澤選手は“強い王者”の1人だと思いますが、今後のプランというのはどのように考えていらっしゃいますか。
黒澤「格闘技は相手との闘いですけど、自分との闘いでもあると思うので、自分に打ち勝つような、挑戦に値するような相手と闘っていきたいです」
――ありがとうございました。
(写真・構成/佐佐木 澪)