PANCRASE292に出場のISAOが公開練習!元UFCファイター・粕谷を相手に移籍後初勝利を狙う!「守りに入らないことが一番。自分のスタイルで悔いのないよう勝ちに行く」
11月27日夕、都内江東区のNEVER QUITで、ISAOが公開練習をおこなった。ISAOは「PANCRASE 292」(12月10日、ディファ有明)で、元UFCファイター・粕谷優介(総合格闘技道場CROWN)と対戦する。
元ライト級キング・オブ・パンクラシストで現在フェザー級5位のISAOは、今年8月の「PANCRASE 289」でナザレノ・マレガリエの持つフェザー級KOPタイトルに挑む予定だったが、マレガリエの左膝負傷のため延期となった。ISAOは急きょ代役で参戦したカイル・アグオン(SPIKE 22)に判定負け。戦国時代の様相を呈するパンクラスのフェザー級で、5位とランキングを下げてしまった。
しかし、今年9月、心機一転、坂口道場一族からNEVER QUITへ移籍。新しい環境で巻き返しを図る。
公開練習では2分1ラウンドの打撃を披露。舞うように軽やかな動きに、コンディションの良さを感じさせた。
質問に答える表情も明るく、やや落ち着いた雰囲気。新しい環境で良い練習ができているのだろう。絶対に負けられない試合ではあるが、余計な力みはなく、リラックスしている様子だった。
——コンディションはいかがですか。
「しっかり集中して、あげて来ています」
——今回のオファーが来た時の気持ちは?
「前回はタイトルマッチが決まっていましたが、相手が変わって負けてしまったので仕方ないです。やり直すしかないです。しょうがない。なので、不満はありません。相手はUFCや海外で経験を積んで来て実績もある相手なので、やり甲斐があると思います」
——粕谷選手の印象はいかがですか。
「試合をいくつか見ましたが、けっこう寝技の極め力があるなと思いました。やられそうになっても最後で極めていたり、逆転もあるので、終わるまで気が抜けない相手だと思っています」
——どう闘いますか。
「きっちり勝たないと次に行けないです。相手も、前回、松嶋こよみ選手に負けていて(※今年8月)、負けられないところです。だから、いい内容でしっかり結果を出さないといけないです。1本かKO、最悪でも判定で勝たないと」
——フィニッシュすることには、こだわりがありますか?
「やっぱり、極め切りたい気持ちがあります」
——さて、今年9月にNEVER QUITに移籍されました。そのきっかけは何だったのでしょうか。
「アメリカに住んで練習していたんですけど、負けてしまって、日本に帰って来た時に、たまたまこのジムから近距離のところに引っ越して来たんです。当初は坂口道場に行っていたのですが、やはり遠いし、スケジュールが合わなくて、なかなか通えない状況になってしまって。どこか練習できるところはないかとネットで探していた時に、ここの存在を知りました。代表の安藤さんとはもともと知り合いだったので、練習させて欲しいとアポを取ると、快く受けていただけました。それがきっかけですね。
——このジムの雰囲気などはいかがですか。
「すごくいい雰囲気です。若い子たちもたくさんいて、刺激になります。みんなで練習したり、僕が若い子たちに教えたりすることで、自分を見直すことができています。安藤さんからもアドバイスをいただけていますし、刺激的な環境です。
移籍をする時は、やはり悩みました。でも今は、応援してくれている人たちに、少しでも成長した姿を見せたいと思っています。心機一転、再スタートです」
——今回は、移籍後初の試合です。
「絶対に、納得いく勝ち方をしたいです。まず守りに入らないことが一番ですね。自分のスタイルでしっかり攻めて、悔いのないよう勝ちに行きます」
——さて、ISAO選手は選手生活の大部分をパンクラスで闘って来ました。最初の頃とは随分変わって来たと思いますが、いまのパンクラスをどう見ていますか。
「世界標準という言葉を掲げていますし、競技として確立していて、日本人選手のレベルも上がっていますし、世界でも通用するレベルになっていると思います。アマチュアもレベルが上がって来ていますし、変わって来ているなと思います。
——そのなかで、ISAO選手の役割はどんなものだと思いますか。
「年月のなかで経験を積んで来ましたし、まだ上を目指せると思っています。まだまだ下の人に負けていられません。勝ちに行きたい、そして輝き続けたい気持ちがあります」
——現在、パンクラスのフェザー級は、とんでもない状況になっています。
「そうですね。選手もたくさんいますし、新しい選手もどんどん入って来て、激戦区になっていると思います。ランキングの入れ替わりも激しいので、いつ誰と当たってもおかしくないと思っています。だからこそ、この試合に勝たないとステップアップできませんし、さらに上を目指すことができません。心して集中しています」
——今回は20代最後の試合、そしてディファ有明最後の大会です。
「僕はほとんどの試合をディファでやって来たので、思い入れのある会場です。なくなってしまうのは寂しいです。だから、最後のディファでいい試合をして勝って、ありがとうと言いたいです。
高校を卒業してから(総合)格闘技を始めて、もう20代も終わりで、時は早いと驚いています。でも、やはりたくさん経験を積ませていただきましたし、色々考えるようにもなって、いい時間を積み重ねて来られたと思っています。20代で経験したことを生かして、今後も頑張っていきます」
NEVER QUIT 安藤晃司代表は、ISAOについて「自分とは正反対のキャラクター。彼が来てくれたことによってジム全体のバランスが取れ、いい雰囲気になっている」と言う。
安藤代表は、ISAOのアドバイザーでもある。「移籍1戦目というのは、良い試合をすれば“よかったね”となるが、負ければ“やっぱりね”となるもの。ISAO選手はパンクラスのフェザー級のエースだと思うし、象徴でもある選手。前回の敗戦を踏まえて、しっかり勝ちに行くことを考えている」と話した。
しばらく、どこか悩みながら闘っているように見えたISAOだが、今回の公開練習では持ち前の柔らかいオーラが戻り、のびのびと本来の自然体に戻れているように見えた。
これまでの21戦中、19戦を闘って来たディファ有明。苦しみも、喜びも、すべてここで味わって来た。その思い出深い会場で、新たなスタートを切るISAO。少し大人になって、しかし小さくまとまることなく、思い切り暴れてくれることだろう。
(写真・文/佐佐木 澪)