【試合詳細】12・13 PANCRASE新木場スタジオコースト大会 村山暁洋vs菊入正行 冨樫健一郎vs金田一孝介 上田将竜vs杉山廣平 八田亮vs尾崎龍紀
『Owltech presents PANCRASE 320』
日程:2020年12月13日(日)
開始:14:00
会場:東京都・新木場スタジオコースト
観衆:567人(コロナ対策のため)
[メインカード結果]
▼第1試合 ライト級 5分3R
○丸山数馬(Tri.H studio)
1R 3分32秒、三角絞め
●白川洸太(DESTINY JIU-JITSU)
▼第2試合 ストロー級 5分3R
○リトル(GUTSMAN)
判定3-0
●佑勢乃花(フリー)
▼第3試合 フライ級 5分3R
○荻窪祐輔(K-PLACE)
判定2-1
●中村龍之(Lotus世田谷)
▼第4試合 ミドル級 5分3R
●荒井勇二(GUTSMAN)
1R 0分17秒、KO(スタンドのパンチ)
○内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム)
▼第5試合 バンタム級 5分3R
○花レメ紋次郎TK(リバーサルジム新宿Me,We )
判定3-0
●土肥 潤(総合格闘技道場MIBURO)
▼第6試合 バンタム級 5分3R
○東 陽子(リバーサルジム新宿Me,We)
判定3-0
●直DATE(Team DATE)
▼第7試合 フェザー級 5分3R
○Ryo(RINGS)
1R 1分12秒、フロントチョーク
●林 優作(ZOOMER)
▼第8試合 ストロー級 5分3R
○八田 亮(ストライプル オハナ)
1R 1分39秒、フロントチョーク
●尾崎龍紀(総合格闘技道場コブラ会)
▼第9試合 フライ級 5分3R
○上田将竜(緒方道場)
判定2-1
●杉山廣平(SPLASH)
▼第10試合 セミファイナル ライト級 5分3R
●冨樫 健一郎(パラエストラ広島)
判定2-1
○金田一 孝介(K-PLACE)
▼第11試合 メインイベント ウェルター級 5分3R
○村山暁洋(GUTSMAN)
判定3-0
●菊入正行(NEVER QUIT)
[第26回ネオブラッド・トーナメント決勝 結果]
▼第1試合 ストロー級 5分3R
○山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)
判定3-0
●谷村泰嘉(禅道会)
▼第2試合 フライ級 5分3R
○山中憲次(FREEDOM@OZ)
判定2-1
●聡-S DATE(Team DATE)
▼第3 試合 バンタム級 5分3R
○井村 塁(Nexusense)
1R 1分40秒、三角絞め
●修我(総合格闘技スタジオSTYLE)
▼第4試合 フェザー級 5分3R
●井上雄斗(パラエストラ加古川)
2R 1分45秒、三角絞め
○岩本達彦(BLOWS)
[ポストリミナリーファイト結果]
▼第1試合 フライ級 5分3R
●川北晏生(TRIBE TOKYO M.M.A)
2R 1分05秒、アームバー
○髙橋拓也(K-PLACE)
▼第2試合 バンタム級 5分3R
○風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)
1R 4分08秒、腕十字
●山本敦章(パラエストラ千葉)
▼第3試合 バンタム級 5分3R
○三宅輝砂(ZOOMER)
判定3-0
●矢澤 諒(パンクラスイズム横浜)
▼第4試合 バンタム級 5分3R
○髙杉遼介(新潟イエローマンズ)
判定2-1
●聖王DATE(Team DATE )
▼第5試合 フェザー級 5分3R
○立成洋太(パラエストラ千葉)
2R 0分25秒、KO(スタンドのパンチ)
●DARANI DATE(Team DATE)
▼第6試合 フェザー級 5分3R
―中田大貴(和術慧舟會HEARTS)
※中田の体調不良により中止
―上田厚志(総合格闘術骨法烏合會 矢野卓見道場)
▼第7試合 ライト級 5分3R
●春川広明(パラエストラ広島)
1R 4分27秒、リアネイキッドチョーク
○木村裕斗(パンクラスイズム横浜)
村山が菊入に勝利し若手の壁となることを宣言!金田一が2年ぶりの試合でランク1位の冨樫に勝利し王座戴冠を熱望!1年ぶりの試合を勝利した上田が感謝の涙!快勝で涙のRyoを前田日明が祝福!
第1試合
丸山は2015年よりパンクラスに参戦。同年NBTウェルター級で優勝している。2016年より3連勝と快進撃し、昨年4月、5位の髙木健太に挑んだが左フックに沈んだ。本戦は復帰戦となる。
対する白川は、2019年全日本アマ修斗ミドル級優勝の実績を持つ。これがパンクラスデビュー戦となる。
1R。パントを振っていく白川。丸山はパンチを潜ってタックルへ、腕を狙う白川だが、これは決まらない。丸山は外して爆に回る。さらに投げて上に。白川は下からボディを殴り、返して上に。さらにサイドポジションへ。下から三角を狙う白川。苦しい白川。鉄槌を入れるが、丸山の三角絞めが見事に極まった。
丸山 ケージ上コメント
「1年8ヶ月、長かったです。会場に来てくれたみんな、練習して来売れた仲間、みんなに感謝しかありません。ありがとうございます! 来年も精進したいです」
第2試合
リトルは修斗に参戦したのち、2014年よりパンクラスに上がっている。昨年は宮澤雄大、前山哲兵に連敗。今回は1年ぶりの試合となる。絶対に勝って来年へ繋げたいところ。
対する佑勢乃花は昨年9月に初参戦するも、宮澤雄大に判定負け。1年3ヶ月ぶりのパンクラス、連敗は避けたいところだ。
1R。フェイントをかけるリトル。タックルからケージへ押し込んでテイクダウン。佑勢乃花がボディを殴りながら三角を狙うが、リトルは外して立つ。
パンチで出ていく佑勢乃花。組んでケージへ押し、投げてテイクダウン! しかしリトルは立ってケージへ押す。佑勢乃花がヒザを入れ、ケージへ押してヒザを入れる。入れ替えたリトルがケージへ押すが、すぐに離れる。
打ち合う両者。リトルがタックルに入るが佑勢乃花が切る。再びリトルがタックル、佑勢乃花に尻もちをつかせたところで終了。
ジャッジは三者10-9で佑勢乃花。
2Rもパンチで出る佑勢乃花。リトルは距離を取っている。さらにパンチからぶちかましてケージへ押し込んだ佑勢乃花がヒザ。リトルはやや消耗しているか。しかしリトルがテイクダウン。細かく殴りながらサイドからハーフマウントへ。リトルがボディを殴るが、ブレイク。
パンチで出ていく佑勢乃花。リトルがタックルからテイクダウンしたところで終了。
ジャッジは三者10-9でリトル。
雌雄を決する3R。お互い打撃を出していく。リトルがタックルからテイクダウン。佑勢乃花は下から腕を狙う。これは外されてしまうが、ひっくり返した。立とうとするリトルだが、佑勢乃花は殴って立たせない。しかし、リトルが上を取り返した。佑勢乃花は上体を起こすが、リトルは殴っている。
残り2分。佑勢乃花は脱出できない。リトルがケージへ押していくと、ケージを使って立った。足をかけ投げを打つ佑勢乃花。しかし潰されてしまう。リトルはヒジ、鉄槌。さらに首を狙ったところでタイムアップ。
判定は三者29-28、3-0でリトルが勝利。
第3試合
2014年NBTスーパーフライ級優勝の荻窪は2012年より参戦中。粘り強く食らいついていくファイトスタイルが身上だ。昨年は3月に中村龍之に勝利しているが、同年7月のボカン・マスンヤネ、今年2月の猿飛流戦と2連敗中。コロナでなかなか試合が組まれにくい状況だけに、必ず勝っていい締めくくりにしたいところ。しかも、一度勝っている相手。絶対に負けられない。
対する中村は2015年よりパンクラスに参戦。2018年は2連勝しているが、昨年は3連敗。その中に3月の荻窪戦がある。必ずリベンジしたい。
1R。気合がみなぎる荻窪。力強くパンチを振っていく。さらに左右にパンチで前に出る。中村は左ハイ、ヒザ。荻窪は蹴り足をキャッチするが、中村がバックに回る。しかし荻窪が返した! 立ってケージへ押し込み、ロー、ヒザ。
中村は入れ替えるが、荻窪がさらに入れ替えて押し込んでいく。殴り、ヒザを入れる中村、抱えてバックを取る。荻窪は相手の左腕を抱えているが、終了。
ジャッジは1人が10-9荻窪、二者が10-9中村。
2R。荻窪が大きく動いてパンチを振っていく。離れた中村が左フック。しかし荻窪が素早いタックル! 受け止めた中村がケージへ押していく。荻窪が立って入れ替える。中村は首を狙うがこれは決まらない。お互いヒザ、荻窪は大きく踏みつける。
残り2分。蹴り、ヒザを入れて倒そうとするが、中村がバックに回ろうとする。体勢を崩しながらも荻窪がケージへ押し込み、殴ったところで終了。
ジャッジは1 人が10-9荻窪、二者が10-9で中村を支持。
3R。荻窪は最終ラウンドも気力が途切れず、パンチで前に出ていく。組むが、中村が入れ替え。さらに荻窪が入れ替えてケージへ押す。振り切る中村だが、荻窪は粘り強く組みついてケージへ。フロントチョークを試みる中村だが、これは外れる。荻窪が立ち、ケージへ押し込みテイクダウン。中村は相手の頭を引きつける。荻窪がハーフマウントへ。中村は左腕を抱えて殴る。肩パンチを連打する荻窪。中村が立つと、荻窪も立ってさらにケージへ。絶対に譲らないという執念を感じる。
残り1分。お互い入れ替え合うが、離れる。中村がタックルからサイドポジション。ここでタイムアップ。
判定は1人が29-28中村、二者が29-28で荻窪を支持。2-1で荻窪がギリギリの勝負を制した。
勝負はハッキリしている方がいい。一本やKOで勝ったり、判定なら3-0と圧倒するような勝負が一般的には好まれる。
しかし、今回の荻窪の闘いを見て、2-1というギリギリの闘いにも人の心を動かすものは大いにあると認識された。今回の荻窪は、入場時から表情が違っていた。コロナ禍の中組まれた試合であること、チームの若手選手が続々と育っている状況、そして連敗……。荻窪の胸の中には、さまざまなことが去来していたのではないだろうか。とにかく今回の荻窪には、気力と決意がみなぎっており、人の心を動かす力に溢れていた。
ギリギリであれ、勝ちは勝ち。まさに、荻窪の真骨頂と言える泥くさい闘いだった。
第4試合
荒井は2014年よりパンクラスに参戦。2015 年にNBTにエントリーしているが、この時は準優勝に終わっている。その後、ミドル級という階級に選手が少ないこともあり、なかなか試合が組まれない時期が続いた。20a8年11には、約3年ぶりに組まれた試合で一慶に挑んだが、腕十字で一本負けを喫してしまう。
さらに1年のブランクを経て、今年のNBTに再びエントリー。9月、TKOで見事な優勝を飾ったのは記憶に新しいところだろう。今回はあまり時を置かずして組まれたカード。今後も見据え、デビューしたばかりの内藤に対し、どのような闘いを見せるのか。
対する内藤は今年9月、プレリミナリーファイトで初参戦、1ラウンド1分2秒、チョークスリーパーで一本勝ちという衝撃のデビューを果たした。
内藤は、子供の頃からパンクラスP’sLABのキッズラボ(子供向けクラス)でレスリングを学んだ。P’sLAB卒業後もレスリングを続け、中学・高校では全国大会で表彰台に乗る。国士舘大学でも2018年全日本学生選手権・フリースタイル92kg級2位など活躍した。
一時はMMAでなくレスリングに進むという話もあったが、昨年、アマチュア修斗全日本3位に入賞。満を持してパンクラスに上がった。
子供の頃から師事した多くの先輩が見守る中、どのような闘いを見せるのか。
1R。お互いパンチを出す。内藤の右パンチがヒット、荒井がケージ際で尻もちをつくようにダウン! 内藤はすぐにカバーに入るが、レフェリーが止めた。
なんと、わずか17秒のKO劇に、会場が大きくどよめいた。内藤もパンチをもらい、鼻から出血しているが、大きく手を挙げ歓声に応えた。
内藤ケージ上コメント
「小さい頃からパンクラスで川村先生に習っていたので、今こうしてインタビューを受けているのが夢のようです。皆さん日曜日に自分のために時間を割いていただき、ありがとうございました。
川村先生には必ず恩返しをしたい。いつか、“ランボー”ではなく“川村亮”を超えなきゃいけない。川村亮とバチバチやって、ぶっ飛ばしたい。それが、育てていただいたことへの恩返しだと思っています。これは、必ずやらなきゃならないことです。僕がいる限り、P’sLAB横浜は生きています!」
パンクラスの旗揚げは、格闘技界にとって大きな衝撃を与えた出来事だった。
それまでのプロレスでは考えられなかった選手たちの肉体、バッテンのロゴに驚いた人も多かった。
パンクラスはまた、さまざまな言葉も生み出してきた。今では普通に使われている「ハイブリッド」や「秒殺」もパンクラスから生まれた象徴的な言葉だ。
その中の1つに「SEED」がある。
Seedとは、植物の種のこと。植物の種が風に乗り、思わぬところで芽を出すように、パンクラスは新しい格闘技の種子となる、そんな意味であり、当時出版されたパンクラス オフィシャル写真集のタイトルともなっている。
その種子は、若い内藤の中にしっかり根付き、生きていた。今は遠くなったあの頃の“パンクラス魂”が心に蘇り、時を経て繋がって来た絆に感動したオールドファンは少なくなかったに違いない。
パンクラスが生まれて27年。その間には、選手もファンも変わってきた。今では、昔のパンクラスを知らないファンも多いことだろう。しかし、Pancrase is not dead. 「あの頃のパンクラス」は生きていた! 内藤の今後の活躍に大いに期待したい。
第5試合
花レメは2011年よりパンクラスに参戦。大阪、沖縄、そして東京大会とキャリアを重ねてきた。しかし、仕事の都合で2016年以降、パンクラスから遠ざかっていた。だが、転勤で東京在住となり、山崎剛のジムに入る。一般会員としての入会だったが、これまでのキャリアもあり再びプロの舞台に立つこととなった。2019年5月の復帰戦では坂野周平に敗れたが、今年7月にはランカー平岡将英に判定勝利。大阪時代よりさらに進化した姿を見せた。
一方の土肥はポーカーフェイスで寝技地獄に引き込む通称「聖帝」。地元・大阪を中心に闘っているが、東京大会にも参戦している。前戦は今年7月大会で関原翔に判定3-0で完勝している。
1R。ロー、ジャブの花レメ。土肥は組みにいくが、花レメは付き合わずパンチ。土肥はタックルのタイミングを窺うが入れない。花レメはパンチ、ロー。右パンチを当てている。
奴婢がパンチから組むが、回って立った花レメ。ロー、右パンチがヒット。土肥がさらにタックルに入るが、頭を抱えて倒れない花レメ。バックから絡みついていく土肥。背中に乗りそうだが、花レメは立つ。それでも離さない土肥。ケージへ押し込んでいく花レメ。ヒザ。終了。
ジャッジは1人がc10−9で土肥、2人が10-9で花レメ。花レメは鼻から出血している。
2R。パンチを当てていく花レメ。左右パンチを打ち込み、土肥はややひるんだか。花レメは素早く入ってさらに右パンチを当てる。土肥もパンチを当ててはいるが、タックルには入れない。花レメが鼻から出血。さらに左目尻のあたりもカットしているか。
土肥が一気に入ってパンチ。花レメもフェイントを入れながらパンチを振る。さらに花レメがパンチ。終了。
ジャッジは三者10-9で花レメ。
3R。花レメが素早く回りながらパンチを打っていく。組んだ土肥、コーナーへ押して行く。しかし花レメが立って入れ替える。土肥が入れ替えると、花レメがヒザ。足を踏み、振り切って離れる。
回りながらパンチを当てていく花レメ。止まったら土肥に入られてしまうため、動き続ける。土肥は左ミドル。花レメは素早く入ってパンチ。タイムアップ。
判定は二者が30-27花レメ、1人が29-28花レメ。絶対に捕まらない、止まらない作戦を完遂した花レメが勝利。
第6試合
東は元柔道強化選手で、2017年よりパンクラスに参戦している。コンスタントに試合を行っており、4勝2敗の成績。ほとんどが外国人選手との対戦だが、その中で唯一、闘った日本人選手が直DATEだ。2018年7月、判定で勝利を挙げている。二度目の対決だけに、絶対に負けられない。
対する直DATEはパンクラス2戦目。東のプロデビュー2戦目の相手として上がって以来、試合からは遠ざかっていた。最近は所属するTeam DATE所属選手のレベルアップが目立つ中、同様に成長を遂げているか。こちらも負けられない一戦だ。
1R。東が強いパンチを繰り出す。直DATEは蹴り。東がパンチから組んでケージへ押し込む。ヒザを入れる直DATEだが、東は崩して上に。抱えられていた腕を抜き、立ち上がりながら殴る。東が潰してさらに強いパンチを落とす。サイドポジションに移り、力強いパウンド連打! さらに腕を狙うが、コテは決まらず。サイドでガッチリ押さえ込んで終了。
ジャッジは三者10-9で東。
2R。サイドキックを放つ直DATE。しかし東が組んでケージへ。パワーの違いを感じさせる。さらにヒザを入れてテイクダウン! 殴りながら首を狙う直DATEだが、東は頭を抜きパウンド、鉄槌を落とす。そしてサイドからマウントへ。組みつく直DATE。東はヒジ、パウンド。
直DATEが返して立つ。東は右パンチ、ボディからケージへ押し込む。お互い入れ替え合うが、残り20秒で離れる。エンジンがかかってきたか、直DATEの表情は変わってきたが終了。
ジャッジは三者とも10-9東。
3R。疲れが見える直DATEだが、サイドキックを放つ。組んだ東は引っこ抜いてテイクダウン。ハーフマウントへ。相手の頭を引きつける直DATEだが、東は頭を抜いてパウンド、ヒジ、鉄槌を連打。抱えられた左腕を抜いてさらにパウンド! 直DATEはヒジ。東がパウンド連打! 残り60秒。絡みつく直DATEだが、東は残り10秒で頭を抜く。タイムアップ。
判定は、三者とも30-27、3-0で東が力強く勝利。しかし、納得の行かない表情。愛息をケージに上げることなく、マットを後にした。
第7試合
第3代THE OUTSIDER 75-70kg王者・Ryoはこれがパンクラス2戦目。前戦は今年10月で、ベテラン・滝田J太郎に判定勝ち。間を置かず2度目の参戦となった。
対する林は札幌のイベントPFCの王者だ。Ryoと同じくパンクラス2戦目。初戦は今年9月、小森真誉に判定勝ちしている。
1R。開始とともに飛び出した林。しかしRyoもパンチで出て打ち合う。Ryoがテイクダウン! 立とうとする林だが、Ryoは殴って腕狙いからのチョーク! 締め上げると林がタップ。Ryoが鮮やかな一本勝ち。涙を拭くRyoに、客席から前田日明が「泣くな、バカタレ!」と声をかけた。
Ryo ケージ上コメント
「(泣くなと言われ)目にゴミが入ったみたいです。
前田さんがいてくださるから、僕は強くなったんです。皆さん、俺と前田さんとパンクラスを見てください。お願いします。前田さん、これからもよろしくお願いします!」
第8試合
元ZST王者・八田は2016年よりパンクラスに参戦。柔術をバックボーンに、毎回めまぐるしい攻防を見せかファンを沸かせている。2連敗のあと、今年2月に永井美自戒にフロントチョークで一本勝ち。連勝して来年に望みたいところ。
一方、尾崎は2013年よしパンクラスに参戦。大阪大会を中心に闘って来たが、昨年はNBTストロー級優勝。大阪勢に快挙をもたらした。今年は9月、前山哲兵にTKO勝ちを収め、ただいま6連勝中。さらに連勝記録を伸ばせるか。
1R。プレッシャーをかけていく八田。組みついてテイクダウン! しかし、尾崎はすぐに立つ。再び八田がタックルに入るが、上になったのは尾崎。八田は下から腕十字を狙う。腕を引き抜く尾崎。しかし、八田は両足をとり引き込む。尾崎に尻もちをつかせ、殴りながら首を抱える。耐える尾崎。しかし、タップした。
八田ケージ上コメント
「最近(パンクラスを)見てると、ストロー級のチャンピオンが他団体で負けすぎだと思います。良くないですよね。これではパンクラス・ストロー級の格が下がってしまいます。だから、他団体に勝つチャンピオンを作らないといけない。来年、北方選手とタイトルマッチを組んでください」
第9試合
上田は2-13年よりパンクラスに参戦。同年、NBTスーパーフライ級で優勝している。以降、コンスタントに試合を行い、2019年7月にはフライ級暫定KOP決定戦挑戦の切符をつかんだ。翔兵とともに試合前のパンクラス愛溢れるコメントから、好勝負が大いに期待されたカードだったが、残念ながら翔兵にTKO負けを喫した。その後、同年12月、元KOPの神酒龍一に挑むも判定負けとなってしまった。
今年はコロナの影響もあり、なかなか試合が組まれない状況が続いたが、1年ぶりの試合で爆発したいところだ。
対する杉山は2016年より参戦中。イキのいいファイトで、3連勝中。タイトルマッチ挑戦経験もある上位ランカーとの対戦で弾けるか。
1R。上田がパンチ、ハイキック、前蹴りから回り込んで組みつく。ケージへ押していくと、ヒザを入れて倒す。杉山は立地、ケージへ押していくが、入れ替える上田。上田が倒すが、杉山が立ってケージへ。
上田が入れ替えて押し込むと投げの打ち合いに。上田が上になり首を狙うが、これは決まらず。杉山が立って差し返し、足をすくってテイクダウン! 残り時間わずかだが、マウントから肩固めへ。上田が防いで終了。
ジャッジは三者10-9で上田。
2R。プレッシャーをかけながら前にでる杉山。上田がケージへ押すと、杉山は入れ替えて足をつかもうとするが出来ず。ケージへ押し込む上田。ヒザを入れて投げた! すぐに立った上田をケージへ押し込んでいく。今度は上田が投げを打ち上に。しかし、杉山はケージを使って立つ。
ケージへ押し込んで投げようとする上田、堪える杉山。さらに投げた上田がテイクダウン。バックに回るが、杉山が上を取り返してパウンドを入れたところで終了。
ジャッジは1人が10-9杉山、二者が10-9上田を支持。
3R。上田がパンチ、右ハイキックから組んでケージへ押し込む。入れ替えて足を掴む杉山。上田が立つが、杉山が倒して回りながらマウント! パンチを落とす。
しかし、上田は立ちタックル。尻もちをついた杉山だが、鉄槌を入れながら立つ。残り1分。
投げを打ち、首を狙う上田だが、これは決まらない。杉山は上体を起こし、鉄槌。殴り続けてタイムアップ。
判定は1人が29-28杉山、二者が29-28上田、21-1で上田が勝利。思わず涙がこみ上げる上田。
上田ケージ上コメント
「応援ありがとうございました。2連敗して、コロナで世の中が厳しい状況で、試合もできなくて、引退が頭をよぎったときもありました。でも、応援してくれる家族、仲間がいて、こうしてオファーもいただけて……。いろんな重圧がありましたけど、勝ててよかったです。
もう33歳になって、チャンピオンになりたいとか、海外に行きたいとかは言えません。でも、33歳になっても、強い奴とやりたいという気持ちは変わりません。これからも、強い相手と闘って行きたいです」
上田は福岡で消防士として働いている。地方公務員という立場上、長い間、職場には隠して格闘技を続けてきた。しかし、特別に認めてもらうことができ、現在は職場でも応援してもらっているという。
年を重ねると、家族が増えたり、また職場でも責任が重くなる。また、連敗を挽回したくても、コロナ禍で大会が開催できず試合が組まれない。こんな状況が続けば、気持ちが折れそうになるのは仕方のないことかも知れない。周りから信頼されるほど、応援されればされるほど、余計にそう思ってしまうだろう。
しかし、上田は帰って来た。それは、格闘技が好きだから。
それでいいのではないか。格闘技が好きだということは、格闘技を続ける必要十分条件だ。
語弊があるかもしれないが、上田のコメントに一種の「味」を感じた。それはきっと、年齢を重ねて来たから。そして、全てのことに真摯に向かって来たからだ。
格闘技選手は強くなければならないが、それだけではない。闘う姿を通して、何を見せるか。観客に何かを伝え、心の強さを見せることも大切なのではないか。上田は、きっとそんな選手になれるはずだ。
第10試合
冨樫は、パンクラス初参戦時、すでに修斗で25戦を闘って来た大ベテラン。正王者・久米鷹介、暫定王者・雑賀ヤン坊達也に続き1位に君臨している。
2018年はトム・サントス、上迫博仁に敗れたが、昨年4月にはアキラに判定勝ち。しかし、同年9月には林源平に判定負けを喫しており、勝って盛り返したいところだ。
対する金田一は2018年に、パンクラス初参戦。7年のブランクを経ての復帰戦だった。3連勝と快進撃を見せたが、またブランクが空いてしまった。
さらに、今年は8月に試合が組まれていたが、相手の度重なる欠場により中止の憂き目に遭い、約2年ぶりの試合となる。
上田厚志戦、松岡嵩志戦では豪快なKO勝ちをしており、ポテンシャルの高い選手だ。久しぶりの試合だが、イキの良さを見せてくれるか。
1R。冨樫がフェイントをかけながらパンチ、蹴りを出す。金田一は左右ジャブ。冨樫がパンチと右ミドル。金田一も距離を詰め打ち合う。冨樫がさらにパンチで出ると、金田一はタックルからテイクダウン! ボディにヒザを入れる。冨樫が立とうとすると、立ち際に金田一がパンチ。冨樫はパンチを出していく。金田一は遠い距離で蹴りを出して終了。
ジャッジは1人が10-9冨樫、二人が10-9金田一。
2Rも冨樫がパンチを振っていく。かわしていた金田一だが、冨樫のパンチがヒット。さすがに強いパンチだ。金田一は右ハイキックから組もうとするが、切られてしまう。
冨樫はボディブロー、金田一は右ミドル、右ハイ。しかし冨樫は距離を縮めていく。金田一がタックル。切られてしまう。再び組もうとするが、切る冨樫。金田一がパンチからタックルに入ろうとするが、またも切られてしまう。冨樫がジャブ、ボディとパンチを入れて終了。
ジャッジは二者10-9冨樫、1人が10-9金田一。
3R。距離を詰めていく冨樫。金田一がタックル、テイクダウン! しかしすぐに立つ冨樫。顔面に出血が見られる。それでも前に出ていく冨樫に、金田一がタックルからテイクダウンし、パウンドラッシュ! しかし冨樫は立ち、会場から拍手が沸き起こる。
スタンドに戻るとお互いパンチを打ち合う。金田一がまたタックルに入るが、切られる。しかし、冨樫も回られて入って行けない。それでもパンチで出て行こうとする。
残り1分。金田一のタックルが切られる。金田一は前蹴り。冨樫はパンチを振って終了。
判定は29-28冨樫、30-27金田一、29-28金田一。2-1で金田一が勝利をつかんだ。
金田一ケージ上コメント
「2年ぶりで、怪我も続いていて。でも、誘ってくれる小池さんや、地元の人たち、応援してくれている人たちに感謝しています。僕を応戦してくれている人、僕が出ていなくても、機会があればパンクラスに足を運んでください。
(インタビュアーの川村に促されて)言うんですね(笑)。じっちゃんの名にかけて、次も勝ちます。今日、1位の人に勝ったので、次は松本(光史)さんとやりたいです。僕と松本さんで次期挑戦者か、暫定王者決定戦をやらせてください。
ヤン坊選手、RIZINに行きたいなら(ベルトを)返上してください。僕たちは、あれが巻きたくてやってるんです」
多くの選手が大きな舞台や海外の団体に上がりたいと望む。それは決して悪いことではない。決して長くはない選手としての良い時期に、少しでも多く、強い選手と闘いたいと思うのは自然なことだ。
そして、他団体に上がるためのステップとしてパンクラスのベルトを巻きたいと思うことも、パンクラスがそれを推奨している以上、仕方のないことなのだろう。しかし、大きな舞台でやりたいと思う選手がいるのと同じように、「パンクラスで」闘いたいと思う選手もいる。
会場の大小じゃない。パンクラスが好きだから、ここで闘うことに意味があると思う選手がいてもいいはずだ。
2年も試合ができなくても、そういう気持ちを金田一は持ち続けていた。
強い者がベルトを巻く、これは当たり前のことだ。しかし、同じ巻くのであれば、そのベルトを踏み台と考えている選手より、そのベルトを愛している、心から欲しいと思っている選手に巻いてもらいたい。そうでなければ、その団体は決して強くはなれないからだ。
コロナ禍で大会が少なくなったり、外国に出ていくことが難しくなったりしている今こそ、足もとを固め、強くしていくべき時なのではないだろうか。
よそに出ていくためのベルトではなく、よそから獲りに来られるようなベルト。そんなベルトこそ、真に価値のあるベルトだ。
パンクラスのベルトは、誰が見てもかっこいい。そして金田一の目には、あの渋いシルバーのボディは、どのベルトよりも輝き、かっこよく見えているのだろう。来年は、金田一がベルトを一層輝かせてくれるだろうか。大いに期待したい。
第11試合
村山は、修斗で23戦を闘い、第4代修斗環太平洋ウェルター級王者となる。その後、2013年よりパンクラスに闘いの場を移した。2016年3 月には、第8代KOP鈴木槙吾を破り第9代KOPに。しかし同年10月、三浦広光の挑戦に敗れタイトルを失ってしまう。
その後、手塚裕之、J.J.アンブローズらに判定負けを喫したが、今年2月、近藤有己に判定勝ちを収めている。柔道がバックボーン。
一方、菊入はキックボクシングがバックボーン。2017年よりパンクラスに参戦し、ここまで8戦6勝1敗1分と高い勝率を誇り、特に今年は中村勇太(7月大会)に続き、高木健太(9月)に連勝している。さらにランキングが上の村山を食うことができるか。
1R。身体を振りフェイントをかける村山。菊入がパンチを出すと村山が組んでケージへ押し込む・菊入はヒザを入れて離れた。ロー、パンチえい入れる菊入。村山が左パンチ。さらにタックルで尻もちをつかせる。ケージへ押し込み殴る。素晴らしい動き。菊入は立つが、村山が組んだところで終了。
ジャッジは三者10-9で村山。
2R。菊入がパンチ。村山もパンチから組みつき、ケージへ押し込む。お互い入れ替え合うが離れる。菊入がパンチを鬱が、村山は片足を取りケージの方へ移動すると、引っこ抜くが、菊入は離れる。
村山は組んで倒そうとするが、菊入はこらえる。菊入が村山のタックルを切りパンチ。村山はさらに組みにいくが、逆に菊入がケージへ押し込んだところで終了。
ジャッジは三者とも10-9で菊入。
3R。入るタイミングを窺う村山に、菊入はパンチを合わせていく。村山はタックルに入るが切られてしまう。
村山がすくい上げるようにタックル、尻もちをつかせる。ケージに押し付ける村山。立ちたい菊入、させない村山。
しかし菊入が立った。入れ替えるが、離れる。菊入がパンチを打つが、村山が投げてテイクダウン! さらにマウント! エビで変え嘔吐する菊入。しかし村山はバックに回り首を狙う。菊入は首を外し、仰向けに。さらにたってケージへ押し込むが、両者離れる。
パンチで出ていく菊入。村山が潰すが、菊桐はすぐに立つと。ケージへ押すが、両者離れる。再び村山が組むが、離れてパンチを入れた。菊入もパンチを返して終了。
判定は三者29-28、3-0で村山が勝利。
村山ケージ上コメント
「(世の中が)厳しい状況ですが、応援していただきどうもありがとうございました、菊入選手はすごく強かったです、今後も若手の壁として跳ね返して行きたいと思います。応援お願いします」
コロナに深刻なダメージを受けた2020年。最後の大会は、会場内に約40基もの空気清浄機を設置して行われた。
格闘技界初のクラウドファンディングを行うなど、さまざまな試みを行ったパンクラスだが、コロナ禍はおさまらず、来年以降の開催がどうなるかもわからない状態だ。
なかなか試合が組まれない中、練習を続ける選手、そして運営スタッフの努力には頭が下がる思いだ。コロナは少しでも早く収束してほしいが、有効な薬やワクチンもまだ実用に達していない段階。今後は、コロナ収束後を想定するのでなく、コロナとうまく共存していく方法を考えるべきなのかもしれない。
(写真・文/佐佐木 澪)