PANCRASE276でダンシングMMA対決を行う安永有希が「向こうはダンスしてない」とバッサリ
2月29日夜、都内北区の東京イエローマンズにて、安永有希が公開練習をおこなった。3月13日、「PANCRASE 276」(ディファ有明)でリルデシ・リマ・ディアス(NALDAO TEAM)と対戦する安永は2分1ラウンドのスパーリングを披露。フライ級にして身長182cmの体格を持つリルデシを想定し、パートナーは188cm。打撃、グラウンドと多彩な動きを見せた。
試合まで、あと2週間ほど。安永の動きにはキレがあり、コンディションは良さそうだ。安永自身も「いい感じで仕上がって来ています。とても良いです」と話す。
対戦相手のリルデシは昨年7月、パンクラスに初参戦。獅庵、上田将竜(同年11月)をチョークスリーパーで破った。文字通り彗星のごとくパンクラスに現れ、強い印象を残している。
安永は「リルデシ選手は182cmあるので、やはり身長のある人と練習してきました。実戦を想定しての練習を見ていただこうと思いました」と公開練習の意図を語った。
リルデシの印象を訊ねると「背が高くて、足技が多彩ですね。サイドキックとか回し蹴りがある。下になっても、長い手足を生かして色々面倒くさい感じです。でも、あとは何もないんじゃないですかね」と意外な答えが返ってきた。
この試合は、動き続ける安永と、見事な1本勝ちを収めているリルデシをたとえて「ジャパニーズ・ダンシングMMA VS ブラジリアン・ダンシングMMA」と言われているが、安永は不満げだ。「僕はたくさん動くので踊っているように見えるかも知れませんけど、向こうはダンシングじゃないですよね、ダンスしていない。ただ普通に蹴ってくるだけですから」とバッサリ。
リルデシ対策は「彼のやってくること、得意な攻撃への対処はやってきました」とだけ語る。「そもそも彼はそんなに特別な選手だと思っていません。他の選手と闘うのと変わらない、僕の格闘技生活の中の普通の1試合です。ただ、外国人選手なので、勝てばボーナスが頂けるのが嬉しいなという感じですね」と、“いつもの試合の1つ”と捉えている。
しかし、この試合に勝てば、タイトルマッチが待っている。勝者は、先頃、清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A)の王者査定試合に勝った神酒龍一(CAVE)と次期王者の座を争う権利を得られる。非常に大事な一戦なのだ。しかし、安永は「いつも通りですね。特に変わったところはありません。いつもの試合前と同じように過ごしてきました。もちろん、勝って、タイトルマッチにつなげたいと思います。でも今は、先のことよりこの試合にしっかり集中してやるだけです。次のことは、終わってから考えようと思います」と、非常に冷静だ。
現在、4連勝中。「100連勝くらいしたいです」と答える安永に、やはり緊張や気負いはあまりないようだ。「そうですね、気負いとかはないですね。試合前はいつも緊張はするので、今回もするとは思いますけど、それもいつも通りです」と、あっさりしたものだった。
安永と言えば、独特のダンスをしながらの入場や、コスチュームなど、観客を楽しませるサービス精神旺盛なイメージがあったが、本人は至って淡々としている。「入場やコスチュームは、サービス精神というより、自分が目立ちたかったり、人と違うことをしたかったり、楽しくやりたいと思ってしているだけなんです。でも、それが結果的にサービスになっているのなら嬉しいですね」と語る。
理想は、何事においても、いつも淡々としていることだという。「もちろん感情の起伏はありますけど、基本的には淡々としていたいです」と話す安永。今度の試合も、淡々と闘い、淡々と勝って、淡々と去って行く……そんな姿を理想に闘う。
(写真・文/佐佐木 澪)