3週間後に引退を控えた“ハードコアクイーン”KAORUが右膝&右足首を負傷し引退延期!「ホントに何が起きるかわからないから、プロレスって」
19日、東京都・後楽園ホールにて『Marvelous5周年大会』が開催され、引退を直前に控えたKAORUが試合中に負傷。長与千種によって引退の延期が決定された。
マーベラスは2016年5月3日に『クラッシュギャルズ』として一世を風靡した長与千種が旗揚げした団体。
KAORUは全日本女子プロレスやGAEA JAPANで長与と行動をともにしてきた大ベテランであり、かつてユニバーサル・プロレスリングに所属していた頃には“日本初のルチャドーラ”と呼ばれるなど女子プロレスの発展に大きく貢献してきた選手の1人。軽やかな動きからハードコアまでこなすその幅の広い実力や人柄で慕われており、マーベラス内の精神的支柱とも呼べる選手だ。
KAORUはデビュー35周年記念日にあたる今年8月8日での引退を表明。デビュー年である1986年と同じ日曜日であるこの日に引退することを何年も前から決めていたといい、この日は約3週間後の引退を前に聖地でハードコアマッチを行った。
この試合は渡辺智子&宮崎有妃&神童ミコトvsKAORU&永島千佳世&朱崇花の6人タッグマッチで行われ、KAORUがラダーで殴りかかって奇襲。
相手3人をそれぞれパイプイスに座らせた上でビッグブートの三重奏を叩き込み、リングにラダーを立てて渡辺にミサイルキックを狙うものの、宮崎&ミコトがラダーを横から吹き飛ばすとKAORUはロープを超えて場外に落下。KAORUは着地時に足を痛め、場外で右膝や足首を押さえながら動けなくなってしまうアクシデントに見舞われる。
試合はKAORUを抜いた5人で続行され、最後は朱崇花がラダー上からのムーンサルト・プレスでミコトから3カウント。KAORUは永島&朱崇花に両サイドから支えられながら退場。その後病院へと緊急搬送された。
この日のメインイベントでは、昨年の10月に試合中のアクシデントで右膝膝前十字靭帯損傷、右膝内側側副靭帯損傷、右膝外側半月板損傷の怪我を負って長期欠場中だった“長与千種の後継者”彩羽匠が復帰戦で勝利。
その後、マイクを取った長与は「大きな試合には大きな責任がともないます。わかってます。大事な時に、(GAEA JAPANの)解散直前に大きな怪我をして、リングに立つことができませんでした。それはKAORUです。今度の8月8日の引退式は、必ずリングで試合をして、ちゃんと10カウントゴングを鳴らして花道を作ってやりたいという自分の先輩としての親心としての気持ちがあります。しかし今の状態で、絶対に8月8日試合ができると言い切れません!申し訳ないです。KAORUの、引退式を、延期させてください!」と深々と一礼し、KAORUの引退延期を決定した。
試合後、彩羽はKAORUの引退試合の相手に指名されていたことを明かすと、「8月8日に急に復帰戦で引退試合ってわけにもいかなかったので、それは自分の中で失礼だと思ったので、ここの7月19日に戻ってこれました。それがモチベーションでした、全ての」と胸中を語る。
そして、「KAORUさんだって、最近決めた引退じゃなくて、実は何年も前から決めてたんですよ。8月8日、デビュー記念日、日曜日なのがこの年しか無いからって。『コロナなのにいいんですか?紙テープ飛ばせないですよ』って言っても、KAORUさんは『8月8日の日曜日がいい』って言って……ずっと前から、何年も前から決めてたのに……」と涙をこらえながらKAORUを慮った。
彩羽は「自分が復帰したらリング上で『これで女子プロレス界の怪我がストップしますように!』と言いたかった」とさみしげに笑いつつ、「悪いイメージがつくかもしれないです、お客さんからしたら。『女子プロレス、怪我多いな』とか『ちゃんと練習しろよ』とか『身体づくりしろよ』とか……。でも、ホントに何が起きるかわからないから、プロレスって」と真剣な面持ちで語った。
なお、大会終了後に長与はTwitterにて「病院にて医師の所見で右脛骨近位端骨折(ひざ)右脛骨遠位端骨折(足首)2箇所の骨折となり、明日再度詳しい検査を致しまして最終結果を再度お伝え致します」とKAORUの状態を報告した。