青木篤志さんの追悼大会で盟友・諏訪魔が青木さんのイタズラでラストライドを失敗?!「『カッコつけさせませんよ』って青木にやられた!(笑)」
15日、東京都・後楽園ホールにて全日本プロレス『2020 SUMMER ACTION SERIES 2 ~青木篤志メモリアル AAforever~【開幕戦】』が行われた。
青木さんは自衛隊出身の経歴とアマレスをバックボーンに2005年にNOAHでデビュー。2013年に全日本プロレスに入団した後は全日本プロレスのジュニア戦線を牽引する選手となったが、昨年6月3日夜に高速道路をバイクで走行中に事故に遭い、帰らぬ人となった。
そしてこの日はコロナ禍による有観客大会自粛を乗り越えた全日本プロレスが青木さんのメモリアル大会を開催し、青木さんに深い縁を持つ選手たちによる2試合が行われた。
1試合目は、青木さんの盟友・佐藤光留と、青木さんの中学時代の同級生で元ウェルター級キング・オブ・パンクラシストの和田拓也のタッグ“変態アブソリュート”に、青木さんの出身校・東京実業高校レスリング部の後輩であるKagetora&GOSAMARUがタッグを組んで対峙。
蹴り技や関節技を中心に攻める光留&和田に対し、東実タッグは低空タックルでのテイクダウンを狙うレスリングベースの攻撃を展開。終盤、GOSAMARUがムーンサルトプレスを放ち「これが東実魂じゃ!」と母校の誇りを叫んでジャーマン・スープレックスを狙うが、これを光留が足固めで切り返してタップを奪った。
試合後、光留は「変態アブソリュートはふたり独身で40越えて青木篤志に恋してるって本当にヤベーやつだから(笑)この闘い方を続けていくことが青木さんへの……弔いって言い方はしたくないし、これが僕らのメッセージです」と想いを語った。
そしてメインイベントでは、Evolutionの盟友である諏訪魔&石川修司、そしてDDT時代に全日本へ参戦していた際に青木さんに全日本へ馴染む手引きをしてもらったことを今でも恩義に感じているという入江がタッグを結成。
対角には青木さんの指導を受けた後輩であり全日本の中核と未来を担う宮原健斗とジェイク・リー、そして青木さんと同じく自衛隊出身でプロ入り時から親交があり、昨年のチャンピオン・カーニバルでも青木さんと戦った岡林裕二が立つ。
宮原と岡林の漫才の掛け合いのような罵り合いや、現在はヒールとして全日本に上がっている入江がかつて青木さんの居たころに全日本へ参戦していたときのように明るいキャラクターで諏訪魔にタッチを懇願したり、良かれと思って石川に加勢する入江の攻撃がことごとく失敗したりと随所でコミカルな場面が見られ、観客席から思わず笑いが漏れる “明るく楽しいプロレス”を展開されるが、終盤にはヘビー級とヘビー級が小細工なしで身体と身体をぶつけ合う全日本プロレスを象徴するかのような“激しいプロレス”を魅せる。
そして、諏訪魔は青木さんのいる天に人差し指を突き立ててからラストライドを狙うが、諏訪魔には珍しく体勢を崩してロープに後頭部を打ってしまう。諏訪魔は改めて天に人差し指を突き立ててから「青木!」と叫んでのラストライドで宮原からカウント3を奪った。
試合後、マイクを取った諏訪魔は「青木が旅立って1年ちょっと経つんだけど、未だに俺の横には青木がいるような感覚があるんだよね。セコンドに着いてくれてたりもするし、控室で佐藤とふざけた話をしてるときに青木が仲介してくれたりさ、子供にレスリングを教えているときもアイツがいるし、バイク乗ってるときもアイツが一緒にいるんだよ。でも、“いる”って感じるんだけど、会えない。すごいそれは寂しい」とその胸中を吐露。
そして「みんなで全日本プロレス……いや、プロレス界を盛り上げることが、青木が喜ぶことなんじゃないかな。みんな青木篤志を絶対に忘れないよ!今日来てくれた皆さん、青木篤志、そしてアイツが愛した全日本プロレスのリングを、これからも応援して下さい!」とファンへメッセージを叫び、最後は追悼の10カウントゴングで大会を締めた。
バックステージではそれぞれが青木さんへの真剣な想いを語るものの、諏訪魔がラストライドの失敗について「ずっこけてロープに頭打つなんて初めてだよお前!青木がそうさせたんだろうな。『先輩、このままカッコつけさせませんよ』って青木にやられた!」と悔しがると一同は破顔。
光留が「諏訪魔さんが『青木見てろよ』っつって天を指差した瞬問に、諏訪魔さんの足を引っ張る青木篤志がいましたよ。そういう(イジられて悔しがる)諏訪魔さんを見てね、またね、ニヤニヤしてんのよ」としみじみ語ると、石川も「青木さんのイタズラだったかもしれないですね」と笑顔で語った。
そして最後は諏訪魔が「青木が1回で見逃してくれて2回目決まってよかったよ。青木の野郎、覚えとけよお前。ニカッと笑ったよね。あんチクショー。うん。面白かったよ。また、青木のことをまた想うときまでさ、みんな頑張ろうよ」と明るく締めた。