【試合詳細】8・12 新日本プロレス日本武道館大会 【G1優勝決定戦】飯伏幸太vsジェイ・ホワイト 棚橋弘至&オカダ・カズチカvsザック・セイバーJr.&鈴木みのる KENTA&YOSHI-HASHI&石井智宏vsタンガ・ロア&タマ・トンガ&バッドラック・ファレ
『HEIWA Presents G1 CLIMAX 29』
日程:2019年8月12日(月・祝)
開始:15:00
会場:東京都・日本武道館
観衆:12,014人(札止め)
▼タッグマッチ 15分1本勝負
●辻陽太/成田蓮
9分53秒 逆エビ固め
カール・フレドリックス(LA DOJO)/○クラーク・コナーズ(LA DOJO)
▼6人タッグマッチ 20分1本勝負
タイガーマスク/獣神サンダー・ライガー/○ジェフ・コブ(ROH)
7分36秒 ツアー・オブ・ジ・アイランド→片エビ固め
[鈴木軍]●金丸義信/タイチ/ランス・アーチャー
▼6人タッグマッチ 20分1本勝負
[CHAOS]SHO/YOH/○ウィル・オスプレイ
7分57秒 ストームブレイカー→片エビ固め
[BULLET CLUB]石森太二/チェーズ・オーエンズ/●高橋裕二郎
▼タッグマッチ 20分1本勝負
○トーア・ヘナーレ/ジュース・ロビンソン
6分19秒 TOAボトム→エビ固め
●海野翔太/ジョン・モクスリー
▼10人タッグマッチ 30分1本勝負
田口隆祐/●本間朋晃/矢野通/後藤洋央紀/真壁刀義
8分56秒 ラウンディング・ボディプレス→体固め
[L.I.J]BUSHI/鷹木信悟/○SANADA/“キング・オブ・ダークネス”EVIL/内藤哲也
▼6人タッグマッチ 30分1本勝負
KENTA/YOSHI-HASHI/●石井智宏
8分35秒 体固め
[BULLET CLUB]タンガ・ロア/○タマ・トンガ/バッドラック・ファレ
▼タッグマッチ 30分1本勝負
棚橋弘至/●オカダ・カズチカ
15分27秒 ゴッチ式パイルドライバー→体固め
[鈴木軍]ザック・セイバーJr./○鈴木みのる
▼「G1 CLIMAX 29」優勝決定戦
【Aブロック1位】○飯伏幸太
31分1秒 カミゴェ→片エビ固め
【Bブロック1位】ジェイ・ホワイト
※飯伏幸太がG1 CLIMAX 初優勝
飯伏幸太が悲願のG1 CLIMAX初優勝!KENTAがまさかのBULLET CLUB入りで恩人・柴田を袋叩き!G1選外のみのるがオカダを撃破し王座挑戦表明!
第1試合
日米ヤングライオンの対抗戦とも呼べるこの試合、ゴング前から4人は小競り合いを展開し、辻とカールでゴングが鳴ると両者同時にドロップキック。さらに正面からチョップを打ち合い、辻の突撃をリープフロッグでかわしたカールがクロスボディ。両者タッチ。
成田とクラークは堅実なグラウンド戦を展開するも、クラークがハンマーパンチやヒップトス、ボディスラムと続けて優勢となるとカールに繋ぐ。
カールとクラークはダブルのショルダータックルを見舞い、両者軽快にタッチを回しながら成田にガットショットやチョップ等を打ち込んでいく。成田は歯を食いしばって耐えしのぎカールにエルボーを連打し突撃するがカールがスパインバスターで叩きつけ、クラークがスピアー。再び窮地に陥る成田だったが、カールの突撃をカウンターのフロントスープレックスで投げ捨てると辻にタッチ。
辻はカールと正面からチョップを打ち合っていき、フラップジャックで放り捨てる。
辻とクラークのマッチアップとなると辻は逆エビ固めやハンマーパンチとパワー殺法を仕掛けるが、クラークがドロップキックで迎撃し逆エビ固め。これを抜け出した辻へクラークがスピアー。続けて逆エビ固めでしっかりと腰を落とす。辻がロープを目指すもクラークは何度も中央に引き戻していき、心が折れた辻は無念のギブアップ。
ゴングが鳴っても4人は全員入り乱れての乱闘騒ぎとなり、最初は引き止めていたセコンドのヤングライオンたちもLA DOJO生たちとバチバチムードを展開。日米ヤングライオンたちは睨み合ってからリングを後にした。
第2試合
引退前最後の武道館大会となるライガーが入場すると場内は大歓声で迎え入れる。
試合はいつものように鈴木軍の奇襲でスタートし、ライガーを集中攻撃。タイチがライガーをコーナーに上げてマスク剥ぎを狙い、金丸とともにダブルアタックを狙うがライガーはタイチに風車式バックブリーカーで迎え撃ちロメロ・スペシャルを狙うがアーチャーがカット。ここにタイガーが飛び込んでくるがアーチャーが受け止めてボディスラムで叩きつける。タイチはタイガーもコーナーに上げてマスク剥ぎを狙っていく。
金丸、アーチャーがタッチを回してタイガーの顔面を踏みつけるなどいたぶっていき、タイチが出てくるとタイガーはコンビネーションキックでコーナーに追い詰め串刺しアックスボンバー。さらにパンタロンを脱ぎ捨て天翔十字鳳を放つがタイガーがこれをキャッチしタイガードライバーの体勢へ。これを金丸がカットも振り払ってタイチにタイガードライバー。両者タッチ。
コブとアーチャーのマッチアップとなると両者重厚な肉弾戦を展開し、アーチャーがケンカキックでコブを吹き飛ばすとロープに上ってオールドスクール。さらにEBDクローを狙うがコブがこれを白刃取りし、振り払ってロープに走るが、十字ロープワークでアーチャーが横からタックルで吹き飛ばす。タイチと金丸がコンビネーションキックでアシストすると金丸がディープインパクトを狙うが、コブがキャッチしてアスレチックプレックス。そして金丸をラリアットで吹き飛ばし「ガチムチ!」と叫んでツアー・オブ・ジ・アイランドを狙う。これを丸め込みで切り返そうとする金丸だったが、これをこらえたコブがツアー・オブ・ジ・アイランドで叩きつけ3カウントを奪った。
<試合後コメント>
タイチ
「おいヅライガー。てめぇよ、なんだ昨日の放送の解説。俺のこと好きだろう。お前が一番興奮してどうするんだ、ヅライガー。俺のこと好きだろう。お前の言いたい気持ちはわかるよ。なんで興奮してるか。そうだよ、俺はジュニア上がりだよ。お前らと一緒にやってきたよ。だから鷹木やオスプレイがヘビーに挑戦してるのとは訳が違うよな。ヅライガーから見たら。きっと感情深いんだろう。あいつらがポッと来て、ポッと出て。ヅライガーとは10何年もやってきて、そうやってG1ではこうやって結果を出して。俺のことを誇りに思ってるんだろう。
わかるよ、ヘビー級に挑戦して散っていった連中。ライガー、井上亘、ミラノ・コレクション、KUSHIDA.。その多大勢。みんなヘビー級に敵わなかった。ヘビー級の壁がどれだけ高いか、お前らよく知ってるだろう。その中で俺がやってることを応援してるんだろう。誇りに思ってるんだろう。お前らの気持ちを背負ってやってやるよ。俺はやさしいからよ。
俺は聖帝。退かぬ、媚びぬ、省みぬ。俺にあるのは前進制圧のみだよ。これからもだ。楽しみにしておけ。じゃあな。しばらく会うこともないだろう」
獣神サンダー・ライガー
「タイチの昨日の試合、俺は心底凄いと思った。タイチすげぇって。昨日のベストバウトだって言ってもだれも文句言わないような試合だったよ。それがなんだ今日は!元のタイチに逆戻りかい!マスク(を剥ぐ)必要ないだろう。俺の顔はファンはみんな知ってるだろう!なんでそんなことやる必要があるんだよ、あれだけの実力を見せて。G1と、そうでない試合でそんなに差をつけるのか?それがプロかよ!昨日言ったことは全部撤回するわ。クソ野郎だ!」
第3試合
YOHと石森でゴングが鳴ると石森が巧みな技術でYOHの攻撃をヒョイヒョイとかわしていきコーナー上からのルーテーズプレス。しかしここにSHOが入ってきてコンビネーションドロップキックを放っていくが、ここにチェーズが入ってきて二人まとめて蹴散らしていく。これを撃退したSHO&YOHは場外飛びを狙っていくが、チェーズと裕二郎が足を引いて場外に引きずり出して痛めつけ、リングに戻した石森がYOHへネックツイスト。裕二郎にタッチ。
裕二郎はYOHの顔面にスライディングキック。チェーズにタッチ。
チェーズはYOHにショートレンジラリアット。石森にタッチ。
石森はフロントハイキックを放っていくが、YOHがキャッチしてドラゴンスクリュー。SHOにタッチ。
SHOはチェーズにエルボーを連打し串刺しラリアット、左右のミドルキックと連撃。チェーズがエルボーで反撃していくとSHOもエルボーで応え打ち合いに。チェーズがビンタでSHOの虚を突くが、SHOがスピアーで迎撃。チェーズはラリアットでやり返すと両者大ダメージを負いタッチへ。
オスプレイと裕二郎となると、オスプレイがスピードで翻弄しジャンピングエルボー。さらにスワンダイブ式フライングフォアアームを叩き込みロビンソンスペシャルを放つも、裕二郎はこれを回避しスライディングキック。BULLET CLUBはオスプレイにトレイン攻撃を見舞い裕二郎がフィッシャーマンズスープレックス。さらに担ぎ上げていくがYOHがトラースキックでカットしたことで全員入り乱れての乱戦に。オスプレイがチェーズを撃退している間に裕二郎がリバースDDT。ここにSHOとYOHのカットが間に合い、チェーズと石森を場外に放り出すと二人同時のトペ・コンヒーロ。リング上ではオスプレイが裕二郎をストームブレイカーで沈めた。
第4試合
モクスリーが入場とともにジュースを奇襲して試合開始。
モクスリーはショートレンジラリアット、エルボードロップと続け海野にタッチしてエルボードロップ。
海野はジュースの足にエルボードロップからレッグロック。さらにレッグスプレッドをかけながらモクスリーにタッチ。
モクスリーはジュースの足を受け取るとドラゴンスクリューからレッグロック、足を持ったまま逆片エビ固めへ。ジュースがブレイクするとジュースの足をロープに引っ掛けてキック。さらに突っ込んでくるモクスリーをキャッチしたジュースが山折りで一矢報いてヘナーレにタッチ。モクスリーも海野に繋ぐ。
ヘナーレと海野は正面から打ち合っていき、これを制した海野がブレーンバスター。さらにジャーマンスープレックスを狙っていくが、これを耐えたヘナーレが逆水平連打。さらに海野のドロップキックをかわし、首固めを狙う海野をぶっこ抜いてブレーンバスターで叩きつけるという怪力を見せつける。ここでモクスリーが救出して海野との合体攻撃に持ち込もうとするが、ジュースがモクスリーをスピアーでカット。ヘナーレが海野にかち上げ式のスピアーで突っ込んでいき、TOAボトムを狙うが、海野が耐えてジャーマンスープレックス。さらにフィッシャーマンズスープレックスを狙うが、これをこらえたヘナーレがTOAボトム。これで3カウントを奪った。
試合後、モクスリーはジュースを付け狙い場外でテーブルを立てるとテーブルへロックボトム。倒れ伏すジュースにUSヘビー級王座のベルトを掲げてモクスリーは退場していった。
第5試合
真壁がいの一番に前に出ていくが、L.I.Jの面々はゆっくりと拳を合わせる結束のポーズを取り真壁を焦らす。
真壁とEVILでゴングが鳴ると、ショルダータックルで正面からぶつかり合い真壁のラリアットをかわしたEVILがショルダータックルでなぎ倒す。二発目を狙うが今度は真壁がショルダータックル。田口にタッチ。
田口はヒップバッドを連打しロープに振ってヒップアタック。さらに串刺しヒップアタック、もう一度ヒップアタックを放つとEVILはアトミックドロップで迎撃。すると田口はEVILの技・EVILをかけようとするがEVILにあっさり回避されストンピングの雨あられを被弾。内藤にタッチ。
内藤は田口の尻をひっぱたき、さらに田口の後頭部に低空ドロップキック、スイングネックブリーカーなどを叩き込んでBUSHIにタッチ。
BUSHIはチョップ連打からミサイルキック。さらに田口のヒップアタックをアトミックドロップで切り返すが田口がメゲずにヒップアタック。タッチを求める田口を内藤がカットし後藤にツバを吐きかける。内藤は田口をロープに振るが田口は内藤とBUSHIを二人まとめてDDT&リバースDDTで同時に叩きつけて後藤にタッチ。BUSHIも鷹木にタッチ。
後藤は鷹木をコーナーに追い詰め串刺しニールキック。鷹木は正面からのエルボー合戦を挑み、後藤が怯むと逆水平からナックルパート。SANADAにタッチ。
SANADAは後藤へスワンダイブ式の攻撃を狙うが、後藤が追いすがって担ぎ上げて牛殺し。本間にタッチ。
本間はSANADAに串刺しバックエルボー、エルボードロップから小こけしを狙うがBUSHIがカット。それでも諦めずにもう一回小こけしを放って命中させエルボー合戦へ。本間はロケットこけしを放つがSANADAが歩いてこれを回避し、L.I.J勢のトレイン攻撃。SANADAがバックドロップからフォールも真壁がカット。SANADAは本間にドラゴンスリーパーも矢野が髪を掴んでカット。内藤が矢野の髪を掴んで排除。真壁がダブルラリアットで突っ込んでくるのを足を引いて倒して場外に排除するとSANADAが本間にドラゴンスリーパー。本間はこれを回転エビ固めで切り返すが、キックアウトしたSANADAがバックフリップ。そしてコーナーからラウンディング・ボディプレスを投下して3カウントを奪った。
第6試合
YOSHI-HASHIがBULLET CLUBに突っかかっていき、自ら先発を買って出る。BULLET CLUBはゆっくりとウルフパックポーズを合わせてファレが前に進み出てゴング。
両者は組み合うもファレが圧倒的なパワーでYOSHI-HASHIを追いやっていくが、YOSHI-HASHIがヒザへのドロップキックからヘッドハンター。しかしファレもショルダータックルでぶちかまし、ロアにタッチ。
ロアはコーナーに上ってYOSHI-HASHIのあたまにナックルを落としスワンダイブ式のエルボードロップ。タマ、ファレと軽快にタッチを回しながらYOSHI-HASHIをいたぶっていき、ファレがYOSHI-HASHIを踏みつけながら歩いてエルボードロップ。さらにファレとロアが二人分の体重をかけてYOSHI-HASHIを踏み潰す。タマ&ロアは合体フォアアームを叩き込み、タマがYOSHI-HASHIにナックルを入れていくが、タマのブレーンバスターを着地してネックブリーカーで切り返したYOSHI-HASHIが石井にタッチ。
石井はロアとショルダータックル合戦を展開し、打ち勝った石井がファレにアタックを掛けるがファレはビクともせず石井が逆に吹き飛ばされ、石井は驚愕の表情。ロアは石井にラリアットで畳み掛けオクラホマスタンピード。タマにタッチ。
タマとロアは二人で石井に打撃を見舞っていくが、石井はタマを地対空ラリアットで叩き落としロアにはジャーマンスープレックス。KENTAにタッチ。
KENTAはタッチを受けるとなぜかリングから降り闘いを放棄。リング上や観衆が戸惑いでざわつく中、YOSHI-HASHIが石井を救出して奮闘するが、タマがYOSHI-HASHIを蹴散らして石井にガンスタン。これを返した石井がファレを垂直落下式ブレーンバスター。そしてタマにラリアットを見舞い決着かと思われたが、ここでKENTAが飛び込んできて石井にブサイクへの膝蹴り、さらに石井へgo 2 sleep。割れんばかりのブーイングの中KENTAは不敵に笑い、タマがKENTAを笑顔で見つめながら石井をフォールし3カウント。
その後、当然CHAOS勢はKENTAに詰め寄るが、メンバーの増えたBULLET CLUBはいとも簡単に蹴散らしていく。そこへKENTAを新日本プロレスに呼び込んだ後見人である柴田勝頼がリングに飛び込んで来てKENTAにエルボーから串刺しフロントハイキック。タマ、ロア、ファレと蹴散らしていき、KENTAには串刺し低空ドロップキックからスリーパーホールド、PKを狙って走るが邪道の竹刀攻撃に崩れ落ち、KENTAが柴田にPKを叩き込み、柴田の上であぐらをかいて不気味に笑い会場を後に。
怒りと落胆で胸が一杯になった柴田にファンは励ましの大声援を贈った。
<試合後コメント>
BULLET CLUB
タマ「今日はなんと素晴らしい日なんだ。今日こそがバレット・クラブ・デーと呼ぶにふさわしい日だ」
タンガ「タマが昨日ツイッターで書いていただろう。『俺たちは最高のアスリートをリクルートする予定だ」とな」
KENTA「誰だ?」
タマ「そう。能力の高いアスリート。それはKENTAのことだったんだ。現役最高と言える男、このKENTAが俺たちの仲間に入った。俺が初めて日本に来た頃、KENTAは日本のプロレス界を席巻していた。その彼がこの新日本プロレスに来たということは、GODにとっては嬉しいニュースでしかなかった。バレット・クラブはこれから彼のこのすばらしいエネルギーをいかんなく発揮していくユニットになるだろう。もう俺たちがイカサマでないことはわかっていると思うが、バレット・クラブはKENTAがゼッコーチョーになるためのプラットホームを彼に作っていくつもりだ」
KENTA「絶好調(笑)。いやぁ最後、G1締めたね、メチャクチャ気持ち良かったな。ブーブー言ってたな。ブーブー言ってた(笑)、柴田も嬉しかったろう。あんだけ久々に声援浴びて。あ?礼のひとつも言いに来いって。今日から新しい始まりだよ。俺から目を離すなって言っただろう、ここ何日か、ずーっと。まだまだ終わらないぞ」
石井智宏
「くだらねぇな。やり方がくだらねぇんだよ。バレットに行くなら最初から行けよ。2対4でやってやるよ。やり方がくだらねぇよ。KENTA、これがお前のプロレスか。くだらな過ぎるんだよ」
YOSHI-HASHI
「これがお前のやりたかったことか?この野郎。ふざけんなクソ野郎!」
柴田勝頼
「・・・あいつはなんて言ってたんですか?KENTAはなんて言ってたんですか?
――久し振りに声援を浴びて柴田も喜んでいるだろうと・・・
「俺があいつのためにどれだけ苦労したのか。どれだけ苦労してこのリングにつなげたのか。あいつ、これっぽっちもわかってねぇよ。でもいいんじゃねぇの。いいんじゃねぇの。自分で道を見つけて、お仲間もたくさん増えて。いいんじゃないですか。ただこれだけは言っておく。どこへ行っても、どこのリングでもちゃんとKENTAでいろ。
関係ねぇよ、別に。仲良しこよししたくて連れて来たわけじゃないし。あいつだって言ってたじゃん。迷子が道を見つけられてよかったじゃん。それだけの話だ。別にいいよ。どうってことねぇ。いいんじゃねぇの。あとこれだけは言っておくよ。人の顔を蹴ろうとした時に転ぶな。バカ野郎。以上!」
第7試合
棚橋とザックでゴングが鳴ると、腕関節の取り合いからグラウンド戦となりザックが棚橋の泣き所である足関節を狙いに行くが、棚橋もこれを呼んでおり逆に足関節を獲りに行く。ザックが距離を取るとクロスボディからのエアギター。ここでオカダが入ってきて二人でエルボーも、ザックが下から棚橋の腕を取って腕十字へ。棚橋が必死のブレイクを見せると、みのるがオカダを場外で鉄柵を使った腕固めで痛めつけ、ザックも棚橋を場外に出して鉄柵を使ったチキンウイングアームロック。ザックは棚橋のヒザを踏みつけてからみのるにタッチ。
みのるはふらつく棚橋をいたぶるようにミドルキックを放っていき、ザックの腕十字にみのるがヒールホールドを合わせる同時攻撃。大ダメージを負った棚橋だったがザックのエルボーを受けきりザックの十八番のコブラツイスト。さらに足を取ってドラゴンスクリューで一矢報いてオカダにタッチ。
オカダはランニングバックエルボーからDDT、ダイビングエルボードロップを狙うがザックがこれを回避。ザックは飛びかかるとオカダはキャッチしてリバースネックブリーカーを狙うが、ザックが上から絡みつき卍固めを狙っていく。オカダがこれを振り払うとザックはみのるにタッチ。
みのるはオカダにサッカーボールキックから腕固め。これは棚橋がカットに入るがみのるは鬼の形相でその腕を離そうとせず、棚橋をニーリフトで撃退。オカダはエルボー連打で突っ張っていくが、みのるはニーリフトからフロントネックロック。そしてゴッチ式パイルドライバーを狙っていくが、オカダがリバースネックブリーカーで切り返す。両者タッチ。
棚橋はザックの蹴り足を取って太陽ブローの連打からスリングブレイドを狙うが、ザックが絡みついて卍固め。棚橋はザックの足を取るフェイントからツイスト・アンド・シャウト、スリングブレイドと決めていくがみのるがこれをカット。棚橋がコーナーに上ってハイフライフローを投下も、ザックは膝を立ててこれを迎撃し三角絞め。棚橋はこれをジャックナイフ式エビ固めで切り返すが、キックアウトしたザックが走り込んでPK。両者タッチ。
オカダはみのるが出てくるとショットガンドロップキックからコーナーに上ってダイビングエルボードロップ。続けてレインメーカーポーズからレインメーカーを狙うが、みのるが振り払ってエルボー。オカダも打ち返していくと両者ニヤリと笑い、足を止めて大ぶりのエルボーを受け合っていく。みのるはオカダのドロップキックをすかすとPK。そしてスリーパーホールドからゴッチ式パイルドライバーを狙うが棚橋が飛び込んできてスリングブレイドで豪快なカット。さらにザックにもスリングブレイドをみまってい、場外に逃れたザックへプランチャ。オカダはみのるの後頭部にドロップキックを叩き込むとフラップジャック。みのるはロープに走ってミスティカ式腕固め、さらにスリーパーホールドでオカダを弱らせゴッチ式パイルドライバーで突き刺し3カウントを奪った。
みのる「おい、オカダよ。G1にも出させてもらえない俺に負けてだらしねえなおい。要するにこういうことだよ。俺をあの仲良しグループに入れちまったらお前らの予定にないこんなことが起きちまうんだ。まあオカダ、今日の本題を聞いて帰れ。オカダ・カズチカ!そして新日本プロレス!そのIWGPヘビーのベルト、俺によこせ!おい新日本プロレスよ。今度は逃げるなよ?俺は逃げも隠れもしないぜ。なんでかっていうと、俺、プロレス界の王だからな。おい!武道館!……俺たち鈴木軍、イチバーン!」
<試合後コメント>
鈴木みのる
「ここで改めて言わせてもらおう。なに俺抜きで最強とか名乗ってるんだ、この野郎。最強とはな、俺のことだ。プロレス王の名前だ。なに俺のいないところで名乗っちゃってるの?見たろ。見ればわかるだろう。そうだ、この日をずーっと待っていた。一ヶ月間。うしろでじーっとしながら、今日この日、このカードが組まれるように。おい新日本!今度は逃げるなよ、ごまかすなよ。もみ消すな。オカダよ。IWGPをかけろ。そして差し出せ!
そりゃ困るよな。予定調和をはじからドンドンぶち壊すヤツがいたら困るもんなぁ!そうだろ?新日本プロレスの方々。お前らが作ろうとする偽りの、ニセモノの最強の世界。俺がすべてぶち壊す。まぁでもおかげで一ヶ月間いいトレーニングができたよ。こんなに屈辱的で悔しさにまみれた一カ月はなかった。夜も眠れないくらい悔しかった。おかげでなん歩もなん歩も強くなったぜ。
お?もしかして俺が強くなるために時間をくれたのかな?リーグ戦が終わり、気が抜けて、体力も残り少ない。この日たった一日。この日を狙っていた。あとはどうこのカードを組ませるか。その一点だけだった。
新日本プロレスおもしろいな。俺の思う通りに踊ってくれちゃって。さぁ逃げんなよ。今度こそ逃げんなよ。IWGPのベルトは、あのベルトができた時から俺のものだ」
第8試合
先程BULLET CLUB入りしたKENTAが早速BULLET CLUBのTシャツを着て軍団に加わりジェイとともに入場。全員がセコンドに付きウルフパックポーズを合わせる。
レフリーは「セコンドを排除しないと試合開始のゴングを鳴らさない」という姿勢を示し、BULLET CLUBの面々は不平不満を言うが外道のみを残して渋々全員去っていく。
ゴングが鳴るとジェイは即座にリングから降りて「カモン!」と飯伏を場外に誘い込む。飯伏が付き合わずにいるとジェイが上がってきてロックアップで押し込み合い。飯伏がクリーンに離すがジェイがロープに捕まる飯伏の足を取り外道が介入の姿勢を見せるとこれにレフリーが激怒し外道の退場を宣告。
飯伏はこの混乱に乗じてジェイにドロップキックを決め、場外に逃れたジェイへ三角跳びプランチャを狙うが、ジェイが下からキャッチして飯伏の左足首を鉄柱に叩きつけたり左足首を鉄柵に絡みつけた上で絞り上げたりと飯伏の古傷をえぐっていく一点集中反則攻撃。ジェイは飯伏をリングに戻し、足から落ちる角度でブレーンバスター。飯伏はエルボーで反撃していくがジェイは逆水平から高速ブレーンバスター、ターンバックルへのダブルアーム・スープレックス。飯伏は起死回生のフランケンシュタイナーを狙うが、ジェイは空中で飯伏の左足首をキャッチし叩きつける。さらにジェイは飯伏の左足首を取るが、飯伏は残る右足で延髄斬り、フランケンシュタイナーと反撃を開始。
飯伏はジェイにパワースラム、右足を起点にしたムーンサルトプレスを放ち、コンビネーション打撃からミドルキック、その場飛びムーンサルトプレス。飯伏はムーンサルト式ダブルニードロップを放つが、ジェイが回避したため自爆し飯伏の足に大ダメージ。のたうち回る飯伏を見つめてニヤリと笑ったジェイは左足にニークラッシャーからネックブリーカー。しかし飯伏もジェイの突撃をかわして背中にダブルフットスタンプをまっすぐ突き刺し、右のミドルキックからブレーンバスターを狙うが、ジェイが飯伏の左足を踏みつけコンプリートショットからフィッシャーマンバスター。ジェイは飯伏をコーナーに上げて下から逆水平。さらに雪崩式ブレーンバスターで叩きつける。ジェイはキーウィークラッシャーを狙うが、飯伏が意地で無理やり人でなしドライバーの形に持ち込んで突き刺してみせる。飯伏は目を見開いてジェイに重いエルボーをゆっくり何発も打ち込んでいく。ジェイがラリアットから裏投げ、キーウィークラッシャーと畳み掛けて逆転を狙うとブレードランナーの体勢に。飯伏はこれを切り返してドラゴン・スープレックス。両者消耗が激しくダウン。
飯伏はジェイにやり投げを狙うが、ジェイが着地して飯伏をレフリーにぶつけて昏倒させてしまう。するとジェイは急所打ち。ここで満面の笑みの外道が登場し、リングの下からイスを取り出してジェイに渡し、飯伏の足を固定。ジェイが飯伏の左足首に何度もイスを振り下ろし、足へのドラゴンスクリュー、裏足4の字と痛めつけるが飯伏は必死にブレイク。
ジェイは飯伏を引き起こすと飯伏はジェイの虚を突くオーバーヘッドキック。そしてやり投げでジェイをコーナーに突き刺し、エプロンに出たジェイをリング内のセカンドロープを踏み台にロープ越しのジャーマンスープレックス。そしてシットダウン式ラストライドを狙っていくが、ジェイは飯伏の左足にすがりついて打撃。
ジェイが飯伏の顔面に張り手を見舞うと、飯伏の表情が消えて真顔になり、キレた飯伏はそのまま息もつかせぬビンタの連打。飯伏は「来いよオラ!」と珍しく声を荒げ、ジェイにビンタを打たせるとノータイムでフルスイングのビンタを放つとジェイは崩れ落ちる。しかし飯伏がミドルキックを放つと即座にドラゴンスクリューで反撃するが、飯伏は怯むこと無く組み付いてシットダウン式ラストライド。そして滾って「イヤァオ!」からボマイェを狙うが、ジェイはバタリと倒れて死んだふり。
飯伏が引き起こそうとすると、外道が背後から忍び寄り、飯伏が気を取られた瞬間ジェイが組み付いてSSS。しかし飯伏が即座に起き上がって後頭部へのボマイェを叩き込むと、改めて滾り「イヤァオ!」から正調ボマイェ。続けて飯伏はカミゴェをアピールするが、ジェイは飯伏の足首にヘッドバッド連打で飯伏を転ばせるなどなりふり構わず勝利を狙いに行く。飯伏はジェイの顔面に右ハイキックを叩き込み、カミゴェを狙うがジェイが正面からキャッチしブレードランナー。両者大の字に。
ジェイは飯伏をクロスアームの状態から起こすが、飯伏がヘッドバッドで振り払い、逆にクロスアームのジャーマンスープレックス。そしてカミゴェを放つがジェイがキャッチしてSSS。そしてクロスアーム式ブラディサンデー、ブレードランナーとを狙っていくが、飯伏が両手を持ったまま正面からカミゴェを発射。これをジェイがかわすと即座にショートレンジジャンピングニーから崩れ落ちたジェイにカミゴェ。さらに正面から正調カミゴェ。これを返されるとさらにヒザのサポーターを降ろして3発目のカミゴェを叩き込むとジェイも肩を上げられず3カウント。
デビューから15年、新日本プロレス初参戦から10年、飯伏幸太が4度目のG1 CLIMAX参戦にして初優勝を果たした。
飯伏は呆然としつつも顔にはほほえみをたたえ、ぽろぽろと涙を流してマイクを取る。
飯伏「このG1は僕にとって本当に人生でも一番大切な一ヶ月になりました。去年僕は決勝で負けることになりました。でも今日もうやって一年ぶりにまた決勝のリングに立たせてもらって、そしてそこで勝つことが出来て本当に嬉しいです!でもそれは今回出場した20名、その他全選手が頑張ったからこうやってこの武道館を満員にすることが出来たと思います。何回も言うけど、僕はここで去年のリベンジを果たすことが出来て、最ッ高に嬉しいです!こうやってどんどんどんどん新日本プロレスをみんなで大きくしていきたいです。わかります。僕が言うことじゃない。でも僕に言う権利が回ってきたので言わせてもらいます。もう一回いいます。こうやってみんなで!みんなで!新日本プロレス!プロレス界を盛り上げて行くぞーッ!これから新日本プロレスはまた新しい時代に進みます!みんな一緒について来てください!本当にありがとうございました!また次のG1もよろしくお願いします!」
<試合後コメント>
飯伏幸太
「これほどまでに過酷ですが、僕は去年からこの日を待っていました。なんとか掴み取ることができました。でもここまで頑張らないと掴むことができないと僕はわかりました。今までもわかっていたつもりだったけれど、わかっていたようなふりをしていたのかもしれない。でも今は最高にうれしいですよ!わかりますか、このうれしさが。最高にうれしいですよ。(テーブルの上のビールを取材陣に手渡しながら)みんなで乾杯しましょう!・・・いらないんですか?行きますよ!かんぱ~い!(ビールを一気飲みして)最高にうれしいです」
――去年の飯伏さんと今年の飯伏さんではどこが違うのでしょうか?
「すべてが違いますよ。特に精神的な面が違うと思いますよ」
――この優勝を手にして次の目標というのは見えているものはありますか?
「夏のG1をとったら次はなんですか?IWGPのベルトです。僕はそれを取りたいと思う。本当に思っています。そして本当にそれを実現させます。これから」
――今回は相手にはセコンドがたくさんいて、ご自身は一人でしたがそういった意味での心細さはありましたか?
「いや、僕はずっとひとりでした。・・・というのはもうやめましょう!」
――対戦相手のジェイについてはいかがでしたか?
「まだ一回目だから分からないですね。これから何回もやって積み重ねて。またやってみたいなと。今はただただ優勝できたことがうれしいです。それだけですよ」
――今年は毎日のように『あきらめない』とおっしゃっていて、この1年間を『覚悟という言葉の意味がわかった』ということで臨まれた今年の決勝戦はいかがでしたか?
「そうですね、僕の中でずっと覚悟はあったつもりだったんです。いまこうやって振り返ると、あの時はそういうつもりだったんだなって。それが確信になったと、今は本当に覚悟しています。これからも変わらないです」
――それがさきほどの「新しい時代を見せていく」ということでしょうか?
「そうですね。そのままです」
――ことあることに「僕にはもう後がないです」というせっぱつまったかたちでリングに上がってきました。その感覚は優勝したことで変りましたか?
「現在は変わらないですね。変わらないですけど、覚悟は変わりましたね。自分が言っていたのとは違った覚悟が」
――「新日本プロレスを大きくしたい」とおっしゃっていましたが、具体的に何か目指しているものはありますか?
「やっぱりもっともっとプロレスが可能性のあるものだと僕は思っているんで。もっとたくさんの人に見てもらいたいです。もっと可能性があるんで。それは僕だけじゃなくて、他の人とかかわり合って盛り上げていきたいと思います。そこは変わらないですね。そこは今までと変わらないです」
――これまでもいろいろなタイトルを獲得してきましたけれど、それらと比べてもG1の優勝は特別に重みがありますか?
「4回G1に出て掴むことができなかった。それがようやく取ることができて、最高にうれしいです」