NJC二回戦でコルト・カバナが矢野通との笑いと歓声溢れる“曲者対決”を制して準々決勝進出!「20年以上のキャリアで最高の1日だ!」
16日、東京都・後楽園ホールにて新日本プロレス『NEW JAPAN CUP 2019』が行われ、同トーナメント二回戦でコルト・カバナが矢野通を破り準々決勝に駒を進めた。
矢野は幼少期からレスリングに親しみ学生時代は全日本学生選手権を制するなど無類の強さを誇ったレスリングエリート。早くから凶器攻撃などを使うヒールキャラに転身し現在はコミカルなファイトが目立つが、秘めたる実力には誰もが一目置く存在。
対するカバナもROHやWWEの最前線で闘い数々の王座を獲得してきた実力者ながら、その明るいキャラクターや、どんな大一番の試合でもユーモアを忘れない一貫したファイトスタイルがファンに愛されている。
今年2月にカバナが新日本プロレスに参戦した際は矢野とともにコミカルなファイトで観客を沸かせていたが、今回はNJCでそんな“曲者”同士のシングルマッチが実現。前日の後楽園ホール大会での前哨戦ではコーナーマットの奪い合いなどで白熱した笑いを届けていただけに、この日の2人がどのような引き出しを開けてくるのかに注目が集まっていた。
試合開始とともにカバナが矢野のバックを取りながら矢野のパンツの中に手を入れて探りテーピングを発見。カバナがこれを抗議している間に矢野はスクールボーイでの決着を狙うがこれはカウント2。
怒るカバナに対して矢野は「イッツ・ジョーク!」と弁解しつつコーナーマットを外しに行くが、カバナに怒られると自らがプロデュースしたカレーをプレゼントして謝罪。カバナがこれを客席に放り投げると矢野は慌てて場外に出てこれを拾いに行き、その後場外戦となるが、カバナは矢野が用意したテーピングでコーナーの一つをぐるぐる巻きにして外せなくする。矢野はまんまとこれを引っかかりコーナーマットが外せず困惑。
カバナは矢野が既に外していたコーナーマットを持って「ヤ~ノ~サ~ン♪」とニッコリ笑うと矢野はレフリーに抗議。反則を恐れて両者はコーナーマットを投げ合うキャッチボールのような展開となり、カバナのバイオニックエルボーをかわした矢野が急所攻撃からコーナーマットで殴りかかるが、カバナがこれを回避するとトップロープを殴ってしまい反動でよろけてしまう。カバナは矢野の背後で四つん這いになって転ばせると、そのままスーパーマンで試合を決めた。
試合後、両者は健闘を称え合い笑顔。矢野は自らがプロデュースしたカレーをカバナに手渡すと、カバナは大喜びでこれを持ち帰った。
バックステージに戻ったカバナは大興奮のまま思いの丈を早口でまくしたて、「俺の20年以上のプロレス人生でNJCに出られたと言うだけでも満足していたようなものだったんだ。真壁を倒して二回戦に進出出来ただけでも嬉しかったのに、矢野に勝って準々決勝にまで進んだんだ!本当にスゴいことだ!20年以上のキャリアがたった一夜のお祭りで終わってしまわないようにしないとな!」と喜びを露わにした。
しかし、感極まったカバナは泣きそうになりながら「歌手であっても、詩人であっても、アーティスト、ビジネスマンであっても、どんな人にでも言えることだが、同じことを長く続けていると自分自身が信じてきた才能や努力を段々忘れていってしまうことが多い。ただただ、惰性で続けるようになってしまうんだ。でも俺がこうして長くやってきて、ずっと信じ続けていた本能のようなものが今日の矢野からの勝利を呼んだんだと思う。次の相手にSANADAが来ても鈴木みのるが来ても怖い相手だよ。でも今、俺にはいい流れが来ている。今日、ファンが俺の名前をコールしてくれていたのも聞こえた。俺が特別な存在なのかどうかはわからない。でも、MSGで試合が出来ることになったら最高だし、とにかく今日は最高の1日だったよ!アリガトウゴザイマス!」と想いを叫び、矢野からもらったカレーを宝物のように抱えながら去っていった。
なお、この日のメインイベントではSANADAが鈴木みのるを破って準々決勝に駒を進めており、3月21日の浜松大会でカバナと対戦することが決定している。