【試合結果】10・31 HEAT-UPとどろきアリーナ大会 【ユニバーサル王座】兼平大介vs井土徹也 【ユニバーサルタッグ】TAMURA&藤波辰爾vsザ・グレート・サスケ&大谷譲二 新井健一郎&ヒデ久保田vs近藤“ド根性”洋史&風戸大智 鈴木悟&飯塚優vs鈴木秀樹&渡辺宏志
『平成30年度川崎市都市ブランド推進事業/障がい福祉青少年育成チャリティー 川崎炎上シリーズ・とどろきの乱』
日時:2018年10月31日(水)
開始:18:00
会場:神奈川・川崎とどろきアリーナ
観衆:1068名(満員)
▼第0試合 ヒートアップ道場キッズ発表会
変則タッグマッチ7分1本勝負
○河嶋樹/○入口優寿/○佐藤大地/○RAIMMAN(HEAT-UPキッズ)
4分58秒 RAIMMANのスィート・チン・ミュージックからキッズ全員で体固め
●近藤“ド根性”洋史
▼第1試合 Welcome to TODOROKI~川崎大炎上スタート!~
8人タッグマッチ20分1本勝負
○TAJIRI(フリー)/レッドイーグル(CTW)/スーパーキッド(CTW)/バリヤンアッキ(インド)
6分48秒 バズソーキック→体固め
プリンス・カワサキ/●室田渓人/阿部史典(BASARA)/伊東優作(DEP)
▼第2試合 GOING-UP提供試合~関節技の鬼にはばかる陰謀~
6人タッグマッチ30分1本勝負
○藤原喜明(藤原組)/ガッツ石島/マスクドミステリー
6分6秒 ワキ固め
藤原秀旺(アライヴアンドメジャーズ)/松崎和彦(フリー/アライヴァル)/●秀・オブ・ザ・イルミナティ(アライヴァル)
▼第3試合 我闘雲舞提供試合~ヒートアップする川崎の女神たち~
6人タッグマッチ20分1本勝負
Sareee(ディアナ)/○里歩(我闘雲舞)/水森由菜(我闘雲舞)
9分10秒 ダイビング・ダブルフットスタンプ→片エビ固め
井上京子(ディアナ)/さくらえみ(我闘雲舞)/●駿河メイ(我闘雲舞)
▼第4試合 鈴木悟プロレスデビュー戦~TAKE IT HARD~
タッグマッチ30分1本勝負
○鈴木悟(TAKE IT EASY)/飯塚優
8分19秒 首固め
鈴木秀樹(フリー)/●渡辺宏志
▼第5試合 近藤“ド根性”洋史引退試合~やり返して終わるのがド根性だ!~
タッグマッチ30分1本勝負
○新井健一郎(DRAGON GATE)/ヒデ久保田(フリー)
16分46秒 ジャンピング・パイルドライバー→体固め
●近藤“ド根性”洋史/風戸大智(BASARA)
▼第6試合 HEAT-UPユニバーサルタッグ選手権試合
タッグマッチ60分1本勝負
【王者組】○TAMURA/藤波辰爾(ドラディション)
15分16秒 ムーンサルト・プレス→片エビ固め
【挑戦者組】ザ・グレート・サスケ(みちのくプロレス)/●大谷譲二
※TAMURA&藤波組が2度目の防衛に成功。
▼第7試合 HEAT-UPユニバーサル選手権試合
シングルマッチ60分1本勝負
【王者】○兼平大介
12分42秒 strike of the knee→エビ固め
【挑戦者】●井土徹也
※兼平大介が3度目の防衛に成功。
HEAT-UP最大級のビッグマッチで兼平が18歳の井土を撃破し王座防衛!TAMURA&藤波の“ヘルニアタッグ”がサスケ&大谷を撃破しV2!近藤“ド根性”洋史が涙の引退で「全部やり尽くした!」
開場前~開場後
市民ボランティア70名、就労体験の障がい者30名、計100名のサポートを受け会場設営が行われた。養生シート敷きから始まり、リング設営、椅子の設置、座席タグ貼り、入場ゲート作成と作業は様々であったが、予定時刻を大幅に早回って終了。
会場ロビーでは川崎万博の展示が。中央にド根性の塔、日本エレクトライク社製三輪電気自動車の展示。ド根性の塔には来場したファンからたくさんのメッセージが書き込まれている。顔ハメボードの展示では、近藤“ド根性”洋史が逆水平を打ち込む場面も作成されていた。ド根性展ではこれまでの戦歴写真、引退する近藤へのはなむけ。復帰を祝うTAMURA展は過去の写真やTシャツ、更に内視鏡手術で除去したヘルニアも展示されていた。中原区からリングビー体験コーナーも出展、近隣区から川崎グルメの出店、その前ではアイドルグループが突如ライブを行うなど、子供から大人まで来場した全員が楽しむことができるスペースとなっていた。
第0試合
HEAT-UPキッズの発表会。当初は先生チームにTAMURAが入る予定だったが、タイトルマッチに集中したいという要望から近藤“ド根性”洋史が単独で子供たちの成長を受け止める役に。初出場の入口優樹くんは試合前かなり緊張していた様子であったが、リングに上がって先発すると小気味好い動きで近藤を翻弄。キッズの中では一番古株に当たる河嶋樹くんはセカンドロープを蹴りクロスボディ。体格の良い佐藤大地くんは近藤にぶつかっても体格負けしないほど。RAIMMANは近藤の突進をかわしてワキ固め、腕十字に繋ぐが、軽々と近藤に持ち上げられてしまいコーナーに叩きつけられる。近藤がRAIMMANをアルゼンチン・バックブリーカーに捕えると、控えていたキッズ3人が飛び出し救出に。串刺しトレインからボディプレス連発、締めはRAIMMANのスゥイート・チン・ミュージック。全員でカバーしてカウント3。この日引退する近藤に成長ぶりを見せたHEAT-UPキッズたちであった。
第1試合
TAJIRI、そしてCTWのスーパーキッドがHEAT-UPマット初登場。先発のプリンスとイーグルが華麗な空中戦で観客を魅了。優作のケンカキックが炸裂すれば、アッキは見事なドロップキックで返礼。ここで局面は阿部とスーパーキッドに、阿部をからかうキッド、胸を突く阿部。自ら丸まって阿部の意表をつくキッド、不思議そうに阿部が転がすと急に丸め込みフォールを狙っていく。阿部はお返しのサッカーボールキック、スリーパー。キッドがロープに逃れると室田にタッチ。室田のエルボーにのけぞるキッド、倒れると思わせて胸板へのヘッドバットを放ちTAJIRIに交代。臆せず向かっていく室田はチョップ、TAJIRIは肩口へのキック。
5分経過、押していく室田はチョップからタックルでTAJIRIを倒していく。味方のフォローもあり、コーナーから倒れこみ式のダイビング・ヘッドバットを初公開した室田。フォールはアッキがカット、プリンスを場外に放り出したアッキは阿部にドロップキック、キッドは優作に同じ技を放ち場外へ。ロープに走るとアッキは阿部にトペ・コンヒーロ、キッドは優作にトペ・スイシーダを同時に放つ。リング内では室田がTAJIRIにモンゴリアンチョップ、ヘッドバット。コーナーに下がるTAJIRI、いつの間にかコーナーに登っていたイーグルが不意打ちのクロスボディを室田に放つ。勝機を見逃さなかったTAJIRI、バズソーキックをピンポイントで放って室田から3カウント。機動力と見えない絆で結ばれていたワールドカルテットがオープニングマッチを制した。
<試合後コメント>
TAJIRI&レッドイーグル&スーパーキッド&バリヤンアッキ
TAJIRI「ナマステのおかげで勝てましたよ(笑)」
アッキ「先輩と一緒に試合して、ホントにホントに嬉しいです。子供の頃から、テレビで見ましたね。TAJIRIさんがWCWとかWWEとかWWFとか、出てたとき、スゴイ見てましたね!今日一緒に試合してありがとうございました!」
TAJIRI「僕も知らなかったんですけど、レッド(イーグル)もそうだけど世界には色んないいレスラーいっぱいいるから、こういうのがゴチャゴチャいっぱいいるのは面白いですね!面白かったです。すごく!」
アッキ「私達、夢みたいな試合でしたから、ありがとうございます!」
TAJIRI「夢はね、どんどん未来に行きますから。あなたたちは未来です。次はあなた達が夢です!」
プリンス・カワサキ&室田渓人&阿部史典&伊東優作
(グロッキー状態の室田を3人で気遣いながらコメント開始)
プリンス「室田!室田!大丈夫か!」
室田「……うぅ……お、終わったんスか……?」
プリンス「何でやられたか、覚えてるのか?!」
室田「バズソーの体勢に入ったのはチラっと見えたんです」
阿部「技名分かってるやないか(笑)やられた技分かってるやないか(笑)」
室田「い、いや、来るのは見えたんで、多分それなんじゃないかと……」
プリンス「そんなんじゃないかと!」
阿部「技名分かってますよ」
プリンス「そ、それくらい直前まで意識があったのに一発で記憶を全部刈り取る!それが世界のバズソーキックだよ!クソーッ!」
室田「全然、全然でした……」
プリンス「それでいいのか室田!」
阿部「そうだよ。ごめん助けられずに」
室田「世界はすげぇなぁ」
プリンス「すげぇなで終わっていいのか!室田くん!このままでいいのか!」
室田「絶対!」
阿部「おう(笑)」
室田「絶対!」
阿部「おう(笑)」
室田「絶対そこに!」
阿部「おう(笑)」
室田「そこに到達したいです!」
阿部「WWEかそれは!」
室田「WWEです!」
一同「おぉ~!」
室田「WWE……んあ~!分かんねぇけど!いてぇ!首いてぇ!」
プリンス「……そういうことです!」
阿部「もっかい、もっかい刈り取っていいですか?」
室田「これから!これから!これから!どんどんHEAT-UPは大きくなっていくと思うので……」
(唐突に阿部が室田にバズソーキックを見舞い、室田が悲鳴を上げて倒れる)
プリンス「負けないぞー!がんばるぞー!」
(倒れたままの室田を置いて三人で退席)
第2試合
GOING-UP提供試合ということで、リングアナはどら増田、実況をマグナムNOGEが務める。最近メディアに注目されている藤原秀旺、先日の神田プロレスでレッドイーグルから防衛したCCWカナディアンヘビー級選手権のベルトを腰に巻き入場。GOING-UP軍はワルキューレの騎行が流れる中、藤原喜明をパートナーにし堂々の入場。秀旺は自ら先発、組長との「藤原対決」がいきなり実現する。ロックアップからコーナーに組長を押し込んだ秀旺、体勢を入れ替えて顔を張っていく組長。チョップを放っていく秀旺、組長は張り手で応戦。一本足頭突きから背中へのハンマーブロー、正攻法では攻め込めないと判断したのか、秀旺は松崎、イルミナティを呼び込み乱戦に持ち込む。リング内にはミステリーとイルミナティ、スインギング・ネックブリーカーから松崎にタッチ。松崎カウンターのスリーパー、イルミナティ正面急所蹴りからブレーンバスター、アライヴァルトライアングルを突き出したままランニング・ダブルニードロップとミステリーを攻めていく。秀旺ガウディングからボディスラム、ハンマーブロー。ロープに走るがミステリーのスクープサーモン、石島が登場。一人でアライヴァルを蹴散らす石島、ラリアットからアッパーブローで秀旺を攻撃。ロープに走るが秀旺のフライング・ニールキックが高い打点で決まる。しかしコーナースローを対角線ラリアットで制した石島、両軍ミステリーと松崎に交代。松崎コブラツイスト、逃れたミステリーはサイド・スープレックス。予告チョークスラムを防いだ松崎、プロレス界の“伝統芸能”ジャンピング・ネックブリーカードロップ。
5分経過、バックドロップを押しつぶしたミステリー、松崎キチンシンクからイルミナティにタッチ。ミサイルキックを受けたミステリーは組長と交代。アライヴァルトライアングルは…流石に組長には通じず。ヘッドバット、一本足頭突きで3人まとめてなぎ倒す組長、石島のラリアット、ミステリーのチョークスラムから組長がフォールに入るが秀旺と松崎がカット。場外で4人がやりあっている最中にイルミナティは組長にガウディング、ロープに走ってラリアットを放つが電光石火のワキ固めが極まり即座にイルミナティがギブアップ。ゴングが打ち鳴らされても組長はお仕置きとしてワキ固めを離さず。勝利の花道を堂々と戻っていくGOING-UP軍であった。
<試合後コメント>
藤原喜明&ガッツ石島&マスクドミステリー
藤原「試合やった気がしねぇよお前」
ミステリー「組長、さすが!」
藤原「お前なんかに褒められたくねぇよ!」
(ミステリーの頬を叩き不機嫌そうに退席)
藤原秀旺&松崎和彦&秀・オブ・ザ・イルミナティ
秀旺「よぉ、気持ちいいぞお前、藤原喜明!やるなら一試合してお前よぉ、オイ!一番今日言いたいこと、プロフェッショナルレスリング、藤原ファミリー!復興に必要なのはこの藤原秀旺じゃねぇか本当はよぉ。そのへんわかったかお前ら。今日はそれだけだよ」
第3試合
同じく川崎を中心に活動しているワールド女子プロレスディアナより、井上京子とSareeeが初めてHEAT-UPのマットに上がる。特に青コーナーサイドは全員がタイトルホルダーという豪華ぶり。さくらのコール時には“とどろきの妖精”を加える弥武リングアナの心憎い演出。会場内のあちこちから各選手への声援が飛ぶ中、先発はさくらと里歩。さくらがいきなりヘアホイップ、2発目をかわした里歩ボディアタック、キャッチして叩き落とすさくら、フォールをブリッジですり抜ける里歩。両軍メイとSareeeに交代、メイは出会い頭のドロップキックを連発するがSareeeは倒れず。悔しがるメイはエルボーを放つが、Sareeeの一撃にダウン、お返しのドロップキックを食らう。ボディスラムをかわしたメイ、リング内を駆け巡るアームホイップからドロップキックを放ち一矢報いる。青コーナーから里歩と水森がフォロー、合体式ドロップキックをメイに。Sareeeはボディスラムから変形鎌固め、メイの身体が必要以上に反り返る。なんとか向け出したメイ、Sareeeは里歩にタッチ。本部席には解説にガッツ石島が登場、そんな中里歩はメイに串刺しジャンピング・ニーを連発。フォールを返されるとすぐにクロスフェース、メイロープへ。水森に交代、トロピカル・ヤッホーの体勢で館内を煽るが回転エビに切り返すメイ。耐えた水森は雷電ドロップ、逆エビ固めへ。危険を感じたメイはすぐにロープへ。水森ロープスロー、目の前でジャンプしたメイのフェイントからカニ挟み、ドロップキックでローンバトルから脱出。京子にタッチ、水森に出会い頭のラリアット。フォールは里歩とSareeeがカット。ロープにもたれた水森に京子は追撃のラリアット、里歩とSareeeがカット。早くもナイアガラドライバーの体勢に入るが、ここでも里歩とSareeeがカット。3人でドロップキックを放つが京子はロープを掴んで決めさせず。再びナイアガラへ、Sareeeのエルボーから水森のタックルで京子を倒していく。
5分経過、水森トロピカル・ヤッホーを京子に放とうとするが持ち上がらず。SareeeがアシストしW攻撃を狙うが京子の豪腕に阻まれる。さくらに交代、さくらえみ70キロからWアーム式背骨折りを狙うが、水森がリバースしSareeeにタッチ。Sareeeさくらにミサイルキック、得意のフィッシャーマンを狙うがさくらスクリュー式フェースバスターでお返し。メイにタッチ、ヘッドロックからコーナーへの突撃、フルネルソンで絞めるがロープに叩きつけるSareee、エルボーで座り込んだメイに低空ドロップキック。里歩に交代、ロープに走って619、コーナーからクロスボディ、カウント2。メイはエルボーからフルネルソン、振りほどいた里歩にエルボー、ロープに走るがカウンターのジャンピング・ニーからノーザンライト・スープレックス・ホールド、さくらカット。さくらはカットしたSareeeだが、京子のダブルアックスハンドルにダウン。水森にはラリアットを放ちメイをフォロー。心強いフォローを受けたメイ、突進する里歩にカニ挟みからエビ固め、カウント2。続けておんぶ式外道クラッチ、Sareeeのカットでフォールは奪えず。突っ込んでくる里歩にさくらは風車式バックブリーカー、倒れる里歩に京子とさくらのファンタスティックフリップが決ま…らず。京子にWのドロップキックを見舞った里歩とSareee、場外の京子とさくらめがけて時間差プランチャ。リング内では水森がメイにコーナー叩きつけトロピカル・ヤッホーを繰り出しアシスト、Sareeeのフィッシャーマンから里歩のダイビング・ダブルフットスタンプに繋いでカウント3。王者トリオがとどろきのリングで嬉しい勝利を挙げた。
<試合後コメント>
井上京子&さくらえみ&駿河メイ
京子「助けらんなかったぁ~!ごめ~ん!ごめんね!全然フォローできなかった!」
さくら「京子さんに圧倒されてしまって」
京子「あたしとさくらさんが助けなきゃいけなかった」
さくら「メイちゃん!京子さんに今謝られてるんだよ?!」
メイ「うあああああ!ごめんなさ~い!」
京子「もうちょっと頑張れるかな?どうしよう?って思ったのが悪かったね」
さくら「今度は助けてもらうんじゃなくて、京子さんと対戦を!メイちゃん!させてもらってください!」
メイ「助けるなんて言葉を言わせないくらいに!」
京子「じゃあさくらさんやっつけてからお願いします(笑)」
メイ「すぐやっつけてくるんで!」
一同「ありがとうございました~!」
Sareee&里歩&水森由菜
一同「ありがとうございました~!」
里歩「Sareeeちゃん、初HEAT-UPですか?」
Sareee「初です!」
里歩「どうでしたか?」
Sareee「川崎にディアナもあるんですけど、同じ川崎に道場を構えている団体として切磋琢磨していきたいなと思います。呼んでいただいてありがとうございました!」
里歩「私達いつもHEAT-UPで提供試合させてもらってるんですけど、ほぼ同世代のSareeeちゃんが加わると刺激が強くなったので、またよろしくお願いします!」
3人「HEAT-UP!!」(拳を突き上げる)
第4試合
とどろきアリーナに響く小柳ゆきの「愛情」。鈴木悟がプロレスのリングに上がる。パートナーの飯塚優は悟のコスチュームに合わせたか、黒で統一されたショートタイツを着用。先にリングに上がっている飯塚、悟は場外でシャドー。徐々にシャドーの回転が上がっていき、サビに入る部分でリングインする悟。渡辺宏志が先導し、腰にBJW認定ストロング・ヘビー級のベルトを巻いて入場する鈴木秀樹。様々なマットに上がっている秀樹だがHEAT-UPマットは初。渡辺のみ握手を交わし試合開始、先発は渡辺と飯塚。渡辺のフェースロックに飯塚の羽根折り固め、譲らないグラウンドの展開を観客は固唾をのんで見守る。飯塚がアームドラッグ、ドロップキックを放つと両軍交代、悟と秀樹が対峙する。牽制のキックを放つ悟、キャッチした秀樹はスタンドで足首を極めていく。悟ロープへ、秀樹は飯塚にエルボーを放ち悟を場外に蹴落とす。秀樹、渡辺も場外に出て乱闘。秀樹は悟を捕まえて南側観客席でド迫力の場外乱闘を繰り広げる。プロレスの洗礼を悟に、そして観客に教え込んでいるよう。村杉レフェリーの場外カウント18でリングに戻った悟と秀樹、悟は場外戦のダメージが尾を引いている。下から秀樹のボディにエルボーを突き上げる悟だが、秀樹は涼しい顔でエルボーを突き刺し、フライングメイヤーからダブルニードロップ。片エビ固めをカウント2で跳ね返す悟。
5分経過、秀樹のボディスラムを空中で切り返した悟は胸板への右フック一閃。コーナーに下がる秀樹に悟のパンチラッシュ、SSC(スズキサトルサイクロン)が襲いかかる。だがプロレスで拳を使った攻撃は反則、村杉レフェリーが見逃すはずがない。悟を止める村杉レフェリー、なぜか秀樹が蹴っ飛ばすと再び悟はSSCへ、正面から急所を蹴り上げストップさせる秀樹、レフェリーを蹴っ飛ばしたのはこれが目的だったのか。秀樹は渡辺にタッチ、秀樹のビッグブートが悟の顔面を捕らえる。渡辺はかち上げエルボースマッシュからロープに詰めて腕パンチ、ヘッドロックパンチから左ジャブ、右の腕パンチ。サードロープを蹴って飛び上がりヘッドバット、サイド・スープレックスと悟を攻め立てる。カウント2で悟が返すと秀樹は控えの飯塚を場外に落とすフォロー。そして秀樹がコーナーに腰掛け、渡辺がパイルドライバーの体勢。デビュー戦の悟に対しハイジャック・パイルドライバーの大技を繰り出した秀樹と渡辺、場内から「ヤバい!ヤバい!」の声が響く中飯塚が必死のカットでフォールは奪えず。フォローに入った秀樹に対し、飯塚は飛びつき腕十字を敢行し場外へ。秀樹を飯塚がカットする中、リング内では渡辺が悟にダイビング・ニードロップやワンハンド・バックブリーカーと面白いように攻撃を加えていく。だが、立ち上がらせようとした次の瞬間悟は渡辺を首固めで丸め込み一瞬の3カウント。抗議する渡辺だが判定は覆らず。秀樹と渡辺の洗礼に対し「死中に活を求める」を実践しプロレスデビュー戦で勝利を奪った鈴木悟。駆け寄って思わず抱きつく飯塚、道場で共に汗を流した者同士だからこそ嬉しかったのだろう。
<試合後コメント>
鈴木秀樹&渡辺宏志
渡辺「最後、(カウント)1つで上げたつもりだったんだけど、でも今は、ここでは何を言っても言い訳にしかならないので、基本から出直します」
秀樹「もっと試合の時も激しく教えたほうがいいと思います。指導してるんですよね?もっと激しく教えたほうがいいと思います。まだ出来る。勝敗だからね、これはしょうがないです。僕が最後チェックできなかったから。一緒に負けてるから。また彼の相手を僕らでやりましょう」
鈴木悟&飯塚優
悟「ありがとうございました!タッグ組んでもらえて心強かったです!」
飯塚「僕もありがとうございました!鈴木さんには鈴木さんの、デビュー戦っていうテーマがあると思うんですけど、僕は“打倒・鈴木秀樹”を掲げていたんですけど、全然追いかけられなかった。もっともっとぶつかっていけたなと思うので、どんどんあの首、狙っていきます!」
悟「デビュー戦にお付き合いいただきありがとうございました!今できることのすべては出せたと思います。試合と練習との違いっていうのは、格闘技やってたときから分かってました。格闘技の世界で闘ってきましたけど、本当に死ぬか殺すかというような闘いですね」
――初のプロレスのリングはいかがでしたか?
悟「しんどかったです。でも、何事も経験していかないと。また練習に取り組む気持ちも変わると思います。ヤバくなったら打撃でなんとかしようと思ってたけど、打撃だけはできたと思います」
――これからもプロレスを続けていきたいですか?
「もちろんです。もっとしっかりしたプロレスができるようになりたいですね」
第5試合
HEAT-UPマットを盛り上げてきた近藤“ド根性”洋史が最後のリングに上がる。パートナーは「ハイテンションド根性兄弟」であるBASARAの風戸大智、ロープを上げているのは盟友大谷譲二。コール時には大量の紙テープが乱舞する。これまで近藤が関わってきた人々から激励の花束や手作りのベルトが手渡され、和やかなムードが館内を包み込む。しかしそれをぶち破ったのはSMOKEY CRIMINAL、近藤応援用の横断幕を広げたアラケンとヒデ、入場ゲートで叩きつけて踏みにじり管内のブーイングを誘う。ヒデのコールが終わるや否や飛びかかっていく近藤と風戸、兄弟の奇襲攻撃から試合開始。場外でアラケンを攻撃する近藤、リング内では風戸がヒデを攻める。風戸に声援を送る観客に唾を吐きかけるヒデ、ドロップキックをヒットさせた風戸が近藤にタッチ。Wタックルでヒデを倒し、場内を煽りに煽って腕をクロスさせエルボードロップ。「ド根性!」の連呼でまたも場内を煽り、コーナーのヒデに突っ込んでいく近藤だがビッグブートでストップ、背を向けておりこの状況を見ていなかった風戸に近藤をぶつけていくヒデ。「誤爆するのも全力投球ですね」とはガッツ石島の好解説。アラケンにタッチ、ネックロックからスインギング・ネックブリーカー、更に後頭部に膝を突き立てる。控えの風戸はエプロンを渡り赤コーナーまで詰め寄っていくが、ヒデに突き落とされてしまう始末。近藤はヒデに逆水平、チョップで返すヒデ、「あれはなんだ」から正面急所蹴りで近藤をストップさせる。それを見てコーナーで拍手するアラケン。ヒデは解説のガッツ石島にも唾を吐きかけて挑発する。「近藤は俺の代わりにやり返して欲しいですね」と石島解説。アラケンは腕を取ってヘッドシザース、近藤が脱出してもすぐに腕を引き同じ技を繰り出し絞めつけていくアラケン。近藤コールを煽る風戸、しかし近藤は蟻地獄のようなSMOKEY勢の攻めに捕まっている。ヒデは巻き込みからチキンウイング・アームロック。
5分経過、ロープに逃げられたものの近藤の腕を踏みつけたり、そのまま腕を極めていくヒデ。観客に唾を吐きかけるヒデ、増していく近藤コール、しかし敵陣に捕まってしまう近藤。アラケンへの逆水平で活路を見出したかに思えたが、ガウディングからロープに走るアラケン、近藤と同体でぶつかり両者ダウン。ヒデに交代、風戸はヒデのカットで場外へ。コブラツイストが決まるとアラケンはコーナー最上段に登り風戸を挑発、近藤のフォローに入るはずの風戸を自分への攻撃に向けさせる。勝利を確信したSMOKEY勢、ヒデがブレーンバスターの体勢に入るとアラケンは両手を広げて館内を挑発。しかし近藤が投げ返すと表情を一変させ近藤を攻撃しタッチをさせない。ナックルで動きを止めロープに走るアラケン、近藤はジャンピングショルダーを叩き込み反撃、ようやく風戸にタッチ成立。エルボーとドロップキックでヒデ、アラケンを吹っ飛ばす風戸、ヒデには串刺しバックエルボーから飛びつきウラカンホイップ、ジャンピング・アックスボンバー。十分に間合いを取ってミサイルキック、カウント2。近藤にタッチ、串刺しバックエルボーから風戸が近藤を踏み台にして串刺しドロップキック、近藤はヒップアタックを連発、勢いに乗るがヒデはカウンターのマンハッタンドロップから髪を掴み後頭部をマットに叩きつける。アラケンにタッチ、するするっとコーナーに登ったアラケンはダイビング・ダブルスレッジハンマー。
10分経過、アラケン額へのナックルから再びコーナーに登るが、気づいた近藤がデッドリードライブ。近藤場外ホームラン、ショルダースルー。そのままロープに走るが場外のヒデが足を引っ張る好フォロー。ヒデに目がいく近藤の背後から忍び寄るアラケン、御殿場で絞め落としたスリーパーホールドへ。投げて振りほどこうとする近藤、絡みついて離れず絞めあげるアラケン。ぐったりする近藤にとどめのジャンピング・パイルドライバー、これをノーカウントで跳ね返した近藤。館内からはどよめきが、アラケンは驚きの表情。雄叫びと共に立ち上がる近藤、アラケン尻餅をついたまま動けず。背後からヒデが襲いかかるが、近藤は倒れない。鈍い音を立てるヘッドバット一閃、場外にエスケープするヒデ。アラケンの攻撃にもビクともしない近藤、覚醒とはこういうことだと室田渓人に見せつけるよう。スパインバスターでアラケンを叩きつけ、風戸も場外から戻ってきた。ここで兄弟の見せる技は当然ピョン吉スプラッシュwithアンナカッター。ヒデがカットに入りカウント3は奪えず。風戸のドロップキックでヒデは再び場外へ。追撃のプランチャを放った風戸だが、ヒデに叩きつけられ場外憤死。近藤は直下式ブレーンバスターからスプラッシュ連発、だが3発目はアラケンのヒザ剣山で自爆に。場外から戻ったヒデはサイドキックからコーナースロー。自分の攻撃をかわさせておいてアラケンのジャンピング・パイルドライバーに繋ぐフォロー。決まったかと思われたが風戸が間に合いカウント2。風戸アックスボンバー、かわしたヒデは高角度のバックドロップ、リングに近藤を孤立させる。
15分経過、グロッキーの近藤にこれ見よがしのジャンピング・パイルドライバーを決めたアラケン。これでフィニッシュかと思われたが、何故かアラケンはフォールにいかず。目を拭うような仕草を見せるヒデ、譲二が近藤の声をかける中場内の近藤コールを煽る。コールを煽りながら近藤を立たせたヒデ、近藤を抱きしめ悲しそうな表情。アラケンも近藤を称えるように抱擁、更にヒデが近藤コールを煽る仕草。近藤の引退を惜しむようなSMOKEY勢のように見える。ところが一変、ヒデが首を掻っ切るポーズから親指を下に向け、両手の中指を突き立てている。アラケンは両手を広げ、この日4発目となるジャンピング・パイルドライバー。全く動けなくなった近藤に覆いかぶさってカウント3。
勝ち名乗りを受けるSMOKEY勢、いつの間にかヒデの額から血が。おそらく近藤のヘッドバットで切れたものと思われる。一応近藤を称えたのか、SMOKEY勢は何もせず…いや、ヒデが石島を挑発して帰っていった。試合後のリング上にはパートナーの風戸、盟友の譲二、そして元練習生であった佐藤の姿が。全てを出し切った近藤“ド根性”洋史の最後は満ち溢れていた表情だった。
<試合後コメント>
新井健一郎&ヒデ久保田
アラケン「絵になるねぇ!」
(アラケンが額から出血したヒデに称賛の声を上げ、ヒデが誇らしげに額を指差す)
アラケン「いやぁ、こんなシチュエーションになると俺達は絵になる。絵になる男!花なんか持たせねぇよお前。SMOKEYはそんな甘ちゃんじゃないよ。バイバイ、ド根性。ちょっと俺、リング上でいいたかったけどよ、プロレスラーの引退なんて誰も信用しちゃいけねぇぞ。まあお前のインタビュー読んだけど、体のこともあって、『カムバックはない。これでキッパリ辞める』と言ってるけどよ、俺とヒデちゃんは40代半ばだぞ。普通、同級生が俺らの姿見たらよ、『アイツらいい年していいカッコしちゃって(笑)』って鼻で笑うぞ。45、6の男がよ、こんなんやってる場合じゃねぇけど、なんで俺らがリングに立ってるか分かるか?リング上っていうのはな、夢の中そのものなんだ。俺達はずーっと20年近く夢見っぱなしなんだよ。すべて夢の舞台なんだよ、近藤!お前はそこから足洗えるのか?!(ヒデが手招き)そんなもんで終わりかお前!カムバックしろ。待ってるぜ。でもよ、ただ普通にカムバックしたんじゃ面白くねえからな、こんだけ肌合わせたらよ(自らのツナギに触れながら)大体どんなもんかサイズ分かってるからよ、カムバックする気になったら俺の連絡先弥武さんにでも聞いてよ(ヒデが電話のジェスチャー)、近藤にピッタリのこれ(ツナギ)用意してよ、サプライズ復帰待ってるぞ。もっといい夢見てぇだろこの野郎!俺達はまだ夢の中にいるぜ!まだまだ居続けてやる!それから最後に一つ、風戸よ!お前これでHEAT-UPで仕事がねぇな。風戸ももうお払い箱だ。大丈夫?ヒデちゃん?(ヒデが中指を立てる)ハッハ(笑)おつかれさん」
近藤“ド根性”洋史&風戸大智
風戸「クソっ!近藤!……負けたな。近藤、最後だ!最後出し尽くしたか!」
近藤「出し尽くしました」
風戸「やり残したことねぇか?!」
近藤「無いです」
風戸「本当か?!」
近藤「はい」
風戸「近藤!まだまだ足りないだろう!お前の夢!お前のプロレスで!みんなを勇気づける!その夢!そして、ド根性の名前を日本中に、世界中に広げるという夢!まだ果たしてねぇよな!だけどよ!近藤!安心しろ!お前の!お前のその夢!お前のド根性で!日本中を明るくするという夢は!俺が!俺がちゃんと引き継いでいってやるよ!近藤!ありがとう!」
(2人はガッチリと握手して抱き合い、2人で土下座しあって気持ちを伝える。風戸は先に退席)
近藤「まず、この場に来ていただいた皆さん、You Tubeで見てる人、HEAT-UPを見てる人、本当に今までありがとうございました。やり残したことは、ないです。もちろん負けたことは悔しいです。けど、勝負は勝ちもあるし、負けもあります。僕は人生負け続けて、雑草みたく、デビューしても中々勝てなくプロレスも全然出来なく、やってきたけど、でも、巻けた分だけ僕は学んできたと思います。そして、本当に本当に悔しいけど、対戦していただいた新井選手、ヒデ選手、ありがとうございます!僕は、今後、プロレスラー近藤“ド根性”洋史はこれで終わりですけど、風戸さんの言う通り、近藤“ド根性”洋史として日本を明るくすべく、自分の目の前の人を明るくすべく、さらに精進して頑張っていきますので、またどこかでお会いしたら応援してください!今までありがとうございました!ありがとうございました!」
藤倉茂記川崎市副市長&後藤晶一川崎議会副議長あいさつ
藤倉副市長「こんばんわ!川崎市の藤倉でございます。川崎のスポーツの聖地とも言えるとどろきアリーナでの今大会の開催、本当におめでとうございます。今大会は川崎市の都市ブランド推進事業というものに選定させていただきまして、市としても応援をさせてもらっております。また本日はプロレス以外でもホールにて川崎万博と称しまして、川崎で頑張っている人たちの写真などを展示させていただきまして、川崎の魅力を発信してこの大会とともに、川崎を盛り上げていただいております。また、この大会の運営と致しましては、障がい者の方々の就労体験や、先ほど行われました小学生キッズの発表会、お子様方を無料で招待していただくなど、障がい者の方々への支援、青少年の育成にも大変力を注がれているようでございまして、TAMURA代表をはじめ、このHEAT-UPの選手の方々、関係者の方々に改めて敬意を評しますと共に、感謝を申し上げるものでございまして、川崎らしい素晴らしい大会になったと感じているものでございます。HEAT-UPの皆様にはこれからも、プロレスを通じて地元の川崎に夢と希望を与えていただきたいですし、川崎市としてもしっかりタッグを組んでこれからも応援していきたいと思います。ぜひ皆様も我々と一緒に、これからももっともっと応援していただきたいので、よろしくお願いします。ありがとうございました。」
後藤副議長「こんばんわ〜!只今ご紹介にあずかりました、川崎市副議長の後藤晶一と申します。本日は2年ぶりに開催されるとどろきアリーナでのHEAT-UPの大会、誠におめでとうございます。多くの皆さんのご参加で盛大に開催され、お慶びを申し上げます。また、本日は先ほど試合が行われた近藤“ド根性”洋史さんの引退試合ということで、私もリングサイドで観させていただきまして、大変興奮いたしました。ロビーには『ド根性の塔』が設置されておりまして、各自署名をしていただけるということで、私もぜひ署名したいなと思っております。おかげさまで川崎市も152万人(の市民達成)を迎えようとしております。非常に若い市でございまして、若い方々が今後どんどん市に入ってこられる、大変活気のある市でございます。HEAT-UPの皆さんと同じように、川崎市の人々の力で盛り上げていただきたい、そのように思っております。如何でしょうか?(館内拍手)ありがとうございます。この後も試合が予定されております。しっかりとヒートアップさせていただきたいですし、私たち議会もプロレス、議会全員をあげて応援していきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。」
第6試合
9月18日、自身のデビュー15周年記念大会から1ヶ月半。腰のヘルニアを発症したTAMURAの復帰戦にもなるこの試合。挑戦者組として大谷譲二がパートナーとして選択した選手はザ・グレート・サスケ。HEAT-UPマットにムーの太陽マスターが降臨する。先発はTAMURAと譲二、約1ヶ月実戦から離れていたTAMURAに対し譲二のチョップがうなる。TAMURAが最初に放った技はアームドラッグ、小手調べ程度の攻防から両軍交代、藤波とサスケという珍しい組み合わせ。気を放っていくサスケだが藤波には通じずと見たか、リング中央でロックアップ。ロープ際に押し込んだ藤波がクリーンブレーク、館内から拍手。本部席に陣取っている弥武リングアナ、解説に入った渡辺宏志も思わず固唾を飲んで両者の対戦を見つめる。藤波のハンマーロックにサスケは足タックルからレッグロック、腕十字からキーロックに切り返していく藤波。続けて巻き込みからヘッドシザースで絞める藤波、抜け出して袈裟固めにいくサスケ、再びヘッドシザースで切り返しスタンドでハンマーロックを極める藤波。TAMURAにタッチ、初対決でも臆さずサスケの肘を攻めていく。
5分経過、TAMURAはコーナースローから串刺しエルボー、スリングブレイド。徐々にリングの感触に順応していくTAMURA。場内を煽ってコーナーに登るTAMURA、気づいたサスケと譲二がコーナー最上段にTAMURAを釘付けにし、サスケのデッドリードライブ。腰を痛打するTAMURA、サスケはフェースロックからカバージョへ、苦痛に顔を歪めるTAMURA。譲二にタッチ、コーナーでチョップを放っていく譲二。ロープに走る譲二、TAMURAドロップキックにいくが自爆、またもや腰から落ちる。「容赦無く腰を狙っていく」と宣言していた譲二、ボディスラムから逆エビ固め。見かねた藤波がカットに入る。譲二ボディスラムからサスケにタッチ、足を取った変形のカバージョで攻めるサスケ。フライングメイヤーからラムジャムを煽るサスケ、飛び込むがこれはTAMURAがかわして自爆。TAMURAロープに走ってPK、キャッチしたサスケは膝へのヘッドバットからブレーンバスター狙い。これをTAMURAが投げ返す。若干腰砕けになってしまったのは腰へのダメージからか。藤波にタッチ、背中へのハンマーブローからロープスロー、カウンターのスリーパーからドラゴンスリーパーへ、譲二がカットに入るがよく見ていた藤波、蹴り足をキャッチしてドラゴンスクリュー。サスケドロップキックからキックを放つが、それもキャッチした藤波ドラゴンスクリュー。
10分経過、両手を広げてサスケの背後に立った藤波、再度ドラゴンスリーパーへ。下からの蹴りで逃れたサスケ、譲二にタッチ。トップロープから藤波にミサイルキックを放った譲二、覆いかぶさるがカウント2。フォローに入ったサスケは「譲二!いこうぜ!」と叫び手を握ってWエルボードロップ。しかし二人の蹴り足を掴んだ藤波はまとめてドラゴンスクリューを放っていく。ここでTAMURAにタッチ、TAMURAは譲二の腕へのキック、譲二はチョップで応戦。不用意にロープに走った譲二、TAMURAのアックスボンバーが火を噴く。立ち上がった譲二にソバットから串刺し式殺人ミドルキック。ロープに走ったTAMURAを担ぎ上げた譲二は盟友近藤の得意技場外ホームラン。またも腰を痛打するTAMURA、譲二コーナーに登って追撃のピョン吉スプラッシュ。片エビ固めはカウント2。譲二ジャーマン、バック宙で降り立ったTAMURA、譲二コーナースロー、TAMURAカウンターのウルトラタイガードロップ。ここがチャンスと拳を握って立ち上がるTAMURA、ソバットコンビネーションからミノルスペシャルへ、かわした譲二がエルボーから変則ロープワーク、飛びついてRKOをぶっ放す。逆転、譲二のダルマ式ジャーマンがリング中央で決まるが藤波カット。サスケが藤波を場外へ、譲二はスライディングD、キャッチしたTAMURAがアンドレ。素早くリングに戻ったサスケが低空ドロップキックでカット。藤波がコブラツイストでサスケをカットする間にTAMURAがバズソーキック、かわした譲二スクールボーイ、逆さ押さえ込み、ラ・マヒストラルと丸め込みを連発、しかしカウント3は奪えず。再びスライディングDを放つ譲二、かわしたTAMURAは背後からバズソーキックへ。譲二カウント2で肩を上げる。15分経過のコールと共にTAMURAはティルトスラム、トップロープに登りムーンサルト・プレスへ。これがズバリと決まってカウント3。復帰戦、セミファイナル、タイトルマッチ、藤波辰爾というプレッシャーを全て跳ね返して掴んだ勝利であった。
勝負が決した後、譲二に駆け寄ったのは近藤。ベルトを手にし勝利の余韻を感じているTAMURAと藤波を悔しそうに見つめているのが印象的だった。場内の拍手に手を挙げて応えるTAMURA、藤波はその腰にベルトを巻く。TAMURAも藤波の腰にベルトを巻き、IWGP以来となる藤波辰爾のベルト姿がとどろきアリーナで実現した。入場ゲートではなく、観客の中に入って喜びを分かち合うTAMURA、苦しんだ約40日間を全て忘れ去ってしまったような笑顔であった。
<試合後コメント>
TAMURA&藤波辰爾
TAMURA「いやぁ、勝ちましたぁ。ちょうど一ヶ月前に手術しまして」
藤波「内視鏡?」
TAMURA「内視鏡で手術しまして」
藤波「いやぁ、トップロープから投げられたときはヒヤヒヤした」
TAMURA「やっぱ欠場前よりも違和感はあるんですけどね」
藤波「多少痛みはあると完璧じゃないからね」
TAMURA「でもプロレスラーとしての回復力をね」
藤波「いやいや、リングの上だからそういう気持ちになるんだよ。リングの中はそういう魔物が居てね、僕なんかもヘルニアを二十数年、自分の人生はヘルニアとの、腰との付き合いだからね」
TAMURA「ほんとに今日終わってもいいと思うくらいのビッグマッチで、自分はこれにかけてたんで、最後もムーンサルトね、ホントはこんな状態ではやるべきじゃないかもしれないですけど、でもこれが自分の覚悟!」
藤波「ま、自分の団体だからこれが宿命だな」
TAMURA「はい!まだまだ藤波さんとこのベルトを……」
藤波「俺も何年かぶりに勧められて腰に……(笑)」
TAMURA「やっと巻いてくれました!(笑)」
藤波「僕的にはね、悪い気はしないね(笑)もう一度ね、腰に巻く日が来るなんて。……貴重な写真が撮れたんじゃないの?(笑)」
TAMURA「今日も生き残ったんで、まだまだ藤波さんから吸収するものたくさんあるんで、まだまだ防衛していきましょう!是非!」
ザ・グレート・サスケ&大谷譲二
サスケ「譲二、私のアシストが足りなくて今日は負けてしまったね。チャンスがあったらまた、次も譲二がパートナーでやろうぜ!」
大谷「ありがとうございます!」
サスケ「譲二といえば、みちのくひとり旅。譲二選手に神のご加護を~ッ!ハレルヤ!」
大谷「もっかいはないっすよねー。もうこのシチュエーションはないんだから。後悔してますねー。あー、いやーっ、こんな後悔するんだったら挑戦なんかしなきゃよかった。あーっ、クソッ!でも今日はたくさん見に来てくださいました。後悔しないようにがんばります。ありがとうございましたー!」
――大谷選手、場外ホームランやピョン吉スプラッシュなど、近藤選手の技を繰り出していました
「今後使うって約束できないですけど、あの近藤さんの、ダーッと雰囲気を持ってく技って他にないから。ちゃんと意志だけでも僕が持っていようと思いまして、メッセージでした。いやぁ、そこまでしたのに……そこまでしたのになぁ……」
第7試合
2年前のとどろきアリーナでデビュー戦を飾った井土徹也、新井健一郎のジャンピング・パイルドライバーで一敗地にまみれた。近藤の引退という事実から「誰かが近藤のポジションに代わっていかなければならない」と決意した18歳の若者が団体の最高峰に挑む。普段はリングインしてもアクションを起こさない井土だが、決意の現れか場内に向かって渾身のアピール。一方受ける側の兼平大介、新しい入場テーマに乗って入場。引退したノリ・ダ・ファンキーシビレサスから奪還した至宝も気づけば3度目の防衛戦。まだ時代を変えるわけにはいかないと引き締まった表情で花道を進む。
午後7時53分、試合開始のゴング。先に仕掛けたのは井土、エルボー連打からロープスロー、返した兼平はカウンターの逆水平。もう1発放つ兼平、おかまいなしに走りタックルで倒していく井土、館内から歓声が上がる。ボディスラムからジャンピング・エルボードロップ、細かいエルボーからロープに振ろうとする。これを切り返した兼平はバックドロップ、試合開始から3分ほどで放たれた一撃。ボディへのニーからキチンシンク、サッカーボールキック、ボディプレスとたたみかける兼平。逆水平にチョップで応戦する井土、体重はそこまで差がないにも関わらず兼平のそれは重く響く。腕を取ってボディへのニー、アームブリーカーから巻き込んでチキンウイング・アームロック。まず兼平が腕攻めで流れを掴む。立ち上がる井土の顔を張っていく兼平、井土はバックエルボーからステップ延髄。ロープに走るが兼平がヒップトス腕十字へ、慌ててロープに足を伸ばす井土。
5分経過、兼平のブレーンバスター狙いを逆に投げ返す井土。エルボーからアームホイップ、ジョンウーに繋いでいく。続けて串刺しバックエルボーからハーフハッチ、井土得意の流れ。しかしそれをせき止めるのはやはり兼平の膝。ボディへの膝からコーナー最上段に釘付けにし、ボディめがけて思い切り膝を突き立てていく。雪崩式ブレーンバスターを放った兼平、早くもstrike of the knee、ガードした井土はボディへのエルボーからDDT、フィッシャーマンズ・バスター。腰を押さえている井土、雪崩式ブレーンバスターが想像以上に効いたと見える。エルボーを打ち合う両者、ところが井土は腰を押さえてへたり込んでしまう。顔を張って気合いを入れる兼平、呼応した井土はエルボー、兼平のローリング式にカウンターを合わせるが、兼平は井土にカウンターの虎王。互いに意地の投げ捨てジャーマン、両者ダウン。カウント8で膝立ちになる両者、そのまま顔の張り合いに。エルボーから突っ込んでいく井土に兼平のニー、肩口へのランニングニーをキャッチした井土、ローリング・エルボーを打ち込む。
10分経過、ロープに走った井土に兼平の虎王、キャッチした井土がバックを取る。振りほどきロープに走った兼平だが、再びバックを取った井土がジャーマン・スープレックス・ホールド、カウント2。再び井土ジャーマン狙い、踏ん張る兼平がロープを掴もうとするとその手をクラッチした井土のアングルスラム。すかさずジャーマンで投げた井土、しかし投げられながら腕を取った兼平がチキンウイング・アームロックへ。立ち上がって逃れようとする井土、エルボーで反撃するが離れた瞬間兼平の虎王、肩口へのランニング・ニー。カウント2で返した井土に兼平がバックドロップ、カウント1でキックアウトする井土。ならばとstrike of the knee、ガードされても至近距離で放つがカウント2。そしてダメ押しのstrike of the kneeが放たれると井土に返す力は残っていなかった。カルッツかわさき、とどろきアリーナの川崎2大会場で王座を防衛した兼平大介であった。
エンディング〜近藤“ド根性”洋史引退セレモニー
勝ち名乗りを受ける兼平、大の字のままの井土、明暗がはっきり分かれた試合後のリング。とどろきアリーナの天井を見上げている井土に対し、兼平が話す。
兼平「井土、井土。とどろきアリーナのメインイベントでのタイトルマッチ、終わった感想を率直に聞かせてください(井土の上にマイクを置く、館内笑い)。」
井土にとっては屈辱以外なにものでもないが、館内の井土コールに押されて素直にマイクを握って答える。
井土「…率直な感想は…まずは挑戦を受けてくれたことに感謝します(館内拍手)。だけど!負けてこのまま諦めるつもりはないし、これから先ベルトを獲るのは俺だから。ただ一緒にこのリングを、プロレスを盛り上げたいって気持ちだけはあなたと一緒だと思っています(館内拍手)。」
兼平「井土、今日が最後じゃないよ。とどろきアリーナのメインはあくまで第一歩だよ。次に、次やるときはもっと大きな会場でタイトルマッチやろうよ。その時までHEAT-UPで一緒に頑張ろう。おめでとう!(館内拍手、両者握手)
本当はこのまま締めたいところですが、今日このHEAT-UPを引退する人をもう一回リングに呼びたいと思います。近藤さん!!」
場内からの近藤コールと手拍子も近藤の背中を押した。ロープを上げるのは兼平、近藤がリングに戻る。まず兼平からは心のこもった寄せ書きが詰まったド根性の塔が手渡される。風戸大智からは近藤が大好きなDeNAベイスターズのユニフォーム、背番号18が着せられる。大谷譲二からは記念の寄せ書き、TAMURAからは花束の贈呈。弥武リングアナから経歴の紹介がなされた後、最後の挨拶。
近藤「本日は…え〜っと…こんなに…盛大な…あの…もう、すごい…言葉が出てこないんですけど、試合でも声援していただいて本当にありがとうございました(四方に礼、館内拍手)。今でこそ近藤“ド根性”洋史っていうリングネームをいただいて、自分で言うのもアレですけど、その名の通り熱いファイトはできているんですけど、知っている方もこの中には多く来ていただいて…僕は正直、社会人で挫折し逃げ帰るように地元に帰ってきて、そんな中TAMURAさんと出会って、プロレスと出会って、ああカッコいいな、やられてもやられても立ち上がる姿に惚れて加入することに決めて、その頃は本当にダメダメで、病気を理由に練習をサボったこともあったりだとか、あと諦めるじゃないですけど、どうせ自分なんかって気持ちもすごく多く、心が折れたりしたのも何度もあったんですけど、やっぱり自分を変えるために頑張って頑張っていたら成功していって。元々野球をやっていた頃も僕は失敗だらけだったんで、挫折から始まって失敗を糧に這い上がってきた人間なんで…まあなにくそと思って頑張った積み重ねがここまで来れたことだと思います。本当に、TAMURAさんの指導には…もう、感謝しかないので、はい、ありがとうございます(館内拍手)。自分としてもやっぱり、メニエール病というか、保守的な気持ちでリングに上がりたくないということなので…身体のキレもいいんですけど、身体のことも考え引退を決意しましたが、本当に悔いはないです!今日の試合も全部、勝ち負けはどうしてもついてしまうので…負けてしまったのは本当に悔しいんですけれど、自分の全てを出したので悔いはないです。なので、負けたけどこれがただの負けで終わらないように、また一から努力して、負けを糧に努力すればいつか僕も勝者になれると思うので…プロレスラー近藤“ド根性”洋史はここで引退ですけれど、一人の人間近藤“ド根性”洋史として、皆さんにどんな形であれ勇気を与えられる人間になりたいと思っています(一礼、館内拍手)。最後に、僕も子供の頃は野球を見てプロ野球選手カッコいいと思って、自分がこんな…嬉しいのはわざわざ茅ヶ崎から道場に来てくれる子とか、御殿場で一回合宿しただけなのに花束をくれるみんなだとか、多くの子供たちに勇気を…与えられたかどうかはわからないですけど、子供たちだけでなく皆さんの声援をいただけて、頑張ってきてよかったなと思いますので…皆さん、5年とあまり長くはなかったのですけれど、幸せでした。本当にありがとうございました(深々と四方に礼、館内拍手)。」
近藤の言葉が終わると、10カウントゴングが鳴らされる。最後の「赤コーナー、167センチ87キロ、近藤“ド根性”洋史〜!!」が弥武リングアナにコールされると、会場内からこの日一番の紙テープがリングを埋め尽くす。再び四方に礼をした近藤、花道には選手有志によるアーチが。その間をくぐっていく近藤。ゲートに到着すると再び近藤。
近藤「はい、皆さん、あの、本当に…僕は最後ですけど、どんな形であれ大きくなって帰ってきて貢献したいと思っています。そしてHEAT-UPもまだまだ大きくなると思っていますので、引き続き応援をお願いします!(館内拍手)」
近藤がゲート周辺に参戦した選手を呼び込む。そして最後の団体訓を述べ、「とどろき、ヒートアップ!」で大会は締められた。さらば近藤“ド根性”洋史。全てのド根性に幸あらんことを。
<試合後コメント>
兼平大介
「井土と闘うのは今回が4回目くらいだと思うんですけど、俺の知っている井土徹也じゃなかったですね。でも今まで戦ってきて、自分の後輩だと思ってたんですけど、今日を機に僕のライバルですね。リング上でも言いましたけど、今日が本当のスタートなんで、僕もとどろきアリーナをHEAT-UP最大のビッグマッチだとは思ってないんで、これからどんどん大きくして、もっともっと大きな会場でメイン張れるよう僕もがんばります」
――HEAT-UPの中では所属同士のヘビー級対決という今までには見ないカードでした。そういった新人が育ってきたことについては
「ホントに飯塚も井土もそうですけど、他のメジャーの団体に比べて恵まれた環境とは言えないんですけど、そういう部分でしっかり練習して、色んな大変なことも歯を食いしばって頑張って、TAMURAさんにしろ僕にしろちゃんと付いてきてくれて、練習してくれて、本当にHEAT-UPの宝だと思っています、アイツは。今日は僕が勝ちましたけど、いつ僕が負けてもおかしくない。僕も簡単に負けたらチャンピオンじゃないと思ってるんで、井土も強くなってまた挑戦してきてくれることを期待します」
――チャンピオンとして、TAMURA選手が欠場する可能性がある中でメインを任され、結果メインを締めたことについての想いは
「あんまりメインで試合するっていうのは極力考えないようにしてて、緊張するんで、僕もあまり気が大きい方じゃないんで(笑)まあ第1試合だろうがメインだろうが、僕は一生懸命全力でやるというスタイルで僕もやってきたんで。まあ今後違う会場でメインをやっていくかも知れないですけど、全力で、死ぬ気で、明日のこととか考えずにまた戦っていきます」
――盟友の近藤選手が引退されましたが、それについては
「いやぁ……本音を言えば……本当は近藤さんともタイトルマッチやりたかったですし、こんなこと言ってもアレなんですけど、早く復帰してほしいですね(笑)多分、僕の感ではそのうち退屈になって戻ってくるんじゃないかと読んでるんですけど、そんときは復帰戦の第一戦は、新木場で言ったように僕がやりたいと思います」
井土徹也
「今回、とどろきのメインでタイトルマッチ、兼平大介とやって、やっぱりHEAT-UPのビッグマッチで今までにない責任感がありました。でも自分が言ってきたとおり、HEAT-UP最大のビッグマッチは、HEAT-UPの所属選手同士でやることに意味があると思うので、自分がそれを出来て……負けたので達成とは行かないですけど、一歩自分が踏み出せる事ができたのかなと思います。あとは最後、握手をしたのは、兼平大介に負けを認めて『いい試合したね』の握手じゃなくて、これからプロレス界、このリングを一緒に盛り上げていこうっていう気持ちが一緒で、一緒にやっていくっていう気持ちでの握手で、自分は負けて握手したとは思ってないんで。自分はもっと大きい舞台で、ベルトを必ず兼平大介から獲って、必ず自分がチャンピオンになります!とどろきで終わりじゃない!これからスタートなんで、皆さんよろしくお願いします!」
――兼平大介がチャンピオンである内にベルトを獲りたいという気持ちはありますか?
「やっぱり、兼平大介がチャンピオンで負けて、同じ(体格が)大きい選手っていう、自分が憧れていた部分もあって、兼平大介がベルトを持ってる内に挑戦したいっていうのはあるんですけど、兼平大介が獲られたら自分が別の人から獲って、兼平大介と防衛戦をして勝てばいいんだと思います」
――デビュー戦は二年前のとどろきアリーナ大会でした。その時と今日見た景色は違って見えましたか?
「全然。最初デビュー戦のときは全部が緊張しかなくて、余裕もなくて。ただ今回は緊張感は持ってやってるんですけど、いい意味での緊張感を持てたので、今回のほうが気持ちよく試合ができました。ただ、負けは負けですし、これで終わりじゃないので、もっともっと兼平大介に勝ってベルトを狙っていきます」
<大会後コメント>
近藤“ド根性”洋史
――引退式を終えて、正式に引退を迎えた今のご感想は
「もうホントに、燃え尽きたと言うか、やり尽くしたなぁと思うし。勝負事なんで、勝ち負けがある。勝者もいるし、敗者もいる。それはただの結果にしか過ぎない。ただ、今回は負けましたけど、それでその負けを生かさなかったら僕は敗者のままなので、ド根性らしく、今日は負けてしまってプロレスラーとしてリベンジすることは無いんですけど、今後の人生でHEAT-UPで入団してからの経験を生かしてまた次のステップで『あのときの負けがあったから』って思えるようになりたいです。僕も社会人になって失敗ばっかりしたからすごく悶々として、自分を変えたいと強く思った。メニエール病という病気もあったりとか、プロレスって想像以上にタフだなっていう部分もあったんですけど、逃げなかったのは今まで負けてたからなんです。勝ってたら『もういいや』ってなっちゃってたと思う。近藤“ド根性”洋史は、今日の試合を生かして、今後も……まあ、色々思ってくるのは明日以降だと思うんですけど、休んで回復してから今日の試合を振り返りたいと思います。率直な気持ちを言うと、やり尽くした!もうホントに全部出したかなと思います」
――タッグ王座戦で、大谷譲二選手が場外ホームランやピョン吉スプラッシュを出す場面がありました
「あれは嬉しかったですね!俺も知らなくて、試合中アイツがこっち見たんですよ。普段アイツは僕をバカにしてモノマネとかするんですけど、分かったんです。『やるんだ』って。で、一緒に声も出して……嬉しいなあ。今後も使い続けてほしいですね。フィニッシャーじゃなくていいけど、あれは僕のオリジナルと言うか、僕しかやってないんで。どうせアイツのことだから、スライディングヒップは拒否しそうだから(笑)スライディングヒップ継承してくれる人居ないかなぁ。まあ、是非ともあの技でのし上がってほしいですね、大谷くんには」
――では、最後にファンに向けてメッセージを
「声援も多かったし、紙テープもすごい多かったし、ホントに『一生懸命頑張ってやってきて報われたなぁ』って思った瞬間で。ファンの方、子どもたちにすごいいつも後押しを頂いていて、そういう皆さんの声援のおかげで僕はここまでこれました。今後もレスラーじゃないですけど、お手伝いとかで会場に来たときには声をかけて下さい。HEAT-UPがデカくなったときに『あんなスゴい選手が実は昔居たんだよ』って語り継いでいただければ嬉しいですね」
<大会総括>
TAMURA
――観客数が1000名を超えました
「二回目ということで苦戦はしたんですけど、思った以上にお客さんが来ていただいたので、これはこれでアリというか、いいでしょう!」
――ヘルニアの手術を乗り越えての復帰戦についてはいかがですか
「さっき、さくら(えみ)さんに言われたんですけど『ヘルニア詐欺だ!あんなに動ける人居ないよ!』って言われたんです(笑)でも、ホントに一ヶ月前は下半身動かなくて、何もしてなくても激痛だったんですね。でも手術して、地元のファンズアスリートクラブさんがトレーナーの方を派遣していただいて、トレーニングと治療を毎日やっていただいたので、その御蔭でコンディションをここまで持ってこられました」
――メインイベントについてはいかがでしょう
「兼平もマイクで言ってましたけど、『ここがスタートだ』って。ここをスタートとして、どう彼らは次にやるときにもっとお客さんが集まるようにやっていくかっていうのが彼の課題だと思うので、それに期待したいです」
――兼平選手、井土選手には心強さを感じる?
「やっぱ、デカいんで。HEAT-UPの未来はデカい選手に守っていってほしいなと。2人にはもっともっと成長してもらえたらなと」
――今回、GOING-UPが合流して初のビッグマッチでしたが、どういった効果があったと思いますか
「HEAT-UPだけじゃなくて、GOING-UPもこういうデカい大会を目指してね、王子だけじゃなくて、目指してほしいと思います。12月の新木場の沙紀も見てほしいと僕は思ってます。王子でずっと100人の人に見てもらうのもいいですけど、もっとたくさんの人にGOING-UPを見てもらうためには挑戦していくことが大事かなと。HEAT-UPがビッグマッチをやって、GOING-UPもビッグマッチをやって、それが合わさったときには超・ビッグマッチになれればいいかなと思います」
――年内のプランは
「来月から灼熱王トーナメントが始まるので、そこからまたニュースターが生まれてくれればいいかなと。自分はもちろんコンディションを整えてシングルのベルトも狙っていきたいと思うので、まだまだリハビリをがんばります。11月24日、宮前スポーツセンターで16名参加のトーナメントが始まります。ここもはじめての会場なので、そこを開幕戦にやりたいと思います。灼熱王も狙います!今日から3日経って大丈夫だったら出ます!……新百合ヶ丘大会の三日後に倒れたので(笑)三日後に生きていれば……」
――タッグ王座の防衛も続けていく
「藤波さんもやっとベルト巻いてくれたんで!(笑)愛着湧いてくれたのかなと」
――藤波選手がベルトを腰に巻いたのはIWGP以来だそうです
「オォ~ッ!デカいですね~!じゃあまたビートたけしさんのテレビとかにも出ちゃったりする……載っけてくれたらいいな(笑)」
<試合レポート・写真:鈴木“サモ・ハン”孝>