【インタビュー】難病・メニエール病と闘う近藤“ド根性”洋史が引退前の想いを語る!「『昔HEAT-UPにスゲー選手がいたんだぜ』と語り継がれる選手になりたい」

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 某日、10月31日のHEAT-UPとどろきアリーナ大会での引退を表明している近藤“ド根性”洋史にインタビューを行った。

 近藤“ド根性”洋史は、めまいや吐き気を発作的に繰り返してしまうメニエール病という厚生労働省で難病指定されている耳の病気と闘いながら28歳でプロレスラーデビューした遅咲きの苦労人。病気をド根性でねじ伏せながらプロレスラーとして活躍する近藤の生き様はメニエール病に苦しむ患者に勇気を与え、その活動はテレビ東京『生きるを伝える』でも紹介された。
 しかし、近藤の病状はド根性の限界を超えて悪化の一途をたどり、約4年間の現役生活に終止符を打つ決断を下していた。

 引退を決断し、気持ちのモヤモヤが吹っ切れた結果「今一番コンディションが良い」と語る近藤“ド根性”洋史の心境を聞いた。

<前回インタビュー:難病・メニエール病と戦うプロレスラー・近藤“ド根性”洋史がテレビ東京『生きるを伝える』に出演!「僕の“ド根性道”を見て欲しい」 https://battle-news.com/?p=39630

――改めて、引退を決意された理由についてお聞きできますか
「やはり、メニエール病の影響が大きいですね。僕も32歳になって今後の人生を真剣に考えたときに、このままプロレスラーとして突っ切るのかどうかという悩みにぶち当たったんです。そこで、メニエール病を引きずったまま、病気付き合いながら現役を続けるために力をセーブしながらやるとなると、僕は不器用なんで中途半端な気持ちでリングに上って、全力じゃない近藤“ド根性”洋史をお客さんに見せることになると思ったんです。そういう気持ちは自覚の有無関係なしにリングの上で出てしまうと思っているので、引退という決断を下しました」

――休業ではなく、引退を選んだ理由は
「僕は、お客さんが10人だろうが7000人だろうが10000人だろうが、路上だろうが居酒屋だろうが東京ドームだろうが、その日の試合は二度と来ないと思って、いわばすべての試合が引退試合だと思って“後悔なく全力で”をポリシーに臨んでいました。『とりあえず休業して、病気が良くなったら復帰すれば?』とよく言っていただくんですけど、そういう中途半端なことは近藤“ド根性”洋史がやっちゃいけないと思ったんです。
 『いつか戻って来ます』と言って休業して、いつ復帰できるかもわからないのにファンの方に期待を持たせるようなことしたくなかった。すごく苦しい決断でしたけど、自分の気持ちに嘘はつけないなって。HEAT-UPに入団するときも3ヶ月くらい悩んだんですけど、辞めることを言い出すときには一年以上悩みました。最初は一時的にナーバスになってるだけかなと思ったんですけど、それからどんどん自分の中でモヤモヤが大きくなっていったんですよね」

――違和感を覚え始めた時期や、引退を決意する最後の引き金になった出来事は
「引き金……。それは考えたことなかったですね。二年前のとどろきアリーナ大会をやってすごい満足して、去年8月の後楽園ホール大会で満足して……あぁ、思えば去年11月の相模原大会が引き金かも知れないですね。自分の地元・相模原で凱旋興行をやって、対戦相手にライバルの兼平大介を指名して、今年新木場大会でもやって……兼平との闘いは僕の中でもベストバウトなんです。今年だと大谷(譲二)くん、田村(和宏)さん、あとは大谷晋二郎選手にシバかれたり、デビュー戦の相手も務めてくださった佐野巧真選手との再戦……。印象に残った試合の話をするとキリが無いんですけど、相模原の兼平大介戦が僕の中ではすごく特別で、後にも先にもあれ以上の気持ちが出せないなって。
 僕の中でやりたかったことを全部達成して一区切り付いたときに落ち着いて、兼平には勝てなかったし、結局ベルトを巻くことも出来なかったという心残りがあるけど、満足したなって。成仏できるなって思ったんです」

――とはいえ、以前近藤選手は『“次期エース”としてこれからのHEAT-UPを盛り上げていきたい』と語っていました。やり残したことがまだまだあるのでは?
「本音で言うと、また僕の地元・相模原で僕が選手として出る凱旋興行をやりたかったですね。あそこ(相模原市立総合体育館)の大体育室は全面開放すると2000人くらい入るんですよ。新日本プロレスさんとか全日本プロレスさん、UWFさんとかがあそこでやってて、自分も見に行ったことあるんです。ポスターとかもいっぱい貼ってあって、友達と『スゲーな!プロレス来るんだ!』って話した記憶もあるし、いつかHEAT-UPもそうなって『スゲーな!HEAT-UP来るんだ!』って言われるようになれたら良かったなって思いますよ。自分をまだ知らない人にもっともっと自分を見てほしかったし、自分を知ってる地元の人にも『近藤スゲーな。成長して帰ってきたな』って言われたかったですよ」

――引退を発表されたのは6月末でしたが、それから約3ヶ月半の引退ロードはいかがでしょう
「実は、今人生で一番コンディションがいいんです。長く迷っていたことに一つの答えを出して吹っ切れたというのもありますし、おかげさまで最近は他団体さんに出させていただいても紙テープや声援が飛んだりすることもあって……嬉しいですよね。母ちゃんも僕がプロレスをやることに大反対で試合も見に来てなかったんですけど、引退試合は見に来るって言ってたんで照れくさいですけど、嬉しいですね。
 あと、引退ロードでたくさん試合をしていて気付いたことがあるんです。おこがましい話ですけど、今まで僕は『プロレスで人を感動させたい』と思って試合をしていたんですけど、いつの間にか『感動させなきゃ』っていうのがマストになってて、自分を押し込めていたのかもしれない。それで『まず自分が感動できる試合をしよう』と思って試合をしたら、今まで以上に気持ちが乗って声も出て、自分が感動する試合ができると、それがお客さんに伝わる。自分で言うのもアレですけど、それが分かってからスゴイいい試合が出来てるんですよ。だから、『もっと出来んじゃないか』って色気がちょっと出てきているんですけど、やっぱりどんな仕事にも始まりと終わりがあって、“辞め時”っていうのもあると思うんで、引退を撤回したいとか、そういうのは無いです」

――近藤選手はHEAT-UP道場の講師も務めていらっしゃいますが、最近生徒さんから嬉しいプレゼントがあったとか
「そうなんです!道場生の方はほとんど年上の方なんですけど、嬉しいことに『近藤さんを送り出す会』みたいのをやってくれて、下は女子中学生、上は結構なおじさんまでの道場生と最後に10人がけをやったんです。それで、終わった後に生徒さんが手作りのベルトをプレゼントしてくれたんです。僕はベルトには縁がなかったけど、『近藤“ド根性”洋史先生は僕たちのチャンピオンです』って。そこでホントに涙出てきちゃって、初めてベルトを巻く喜びっていうのを知って、『あぁ、やっぱ俺ベルト欲しかったんだな』って思いましたね」

――引退試合の相手である新井健一郎選手&ヒデ久保田選手は5月の御殿場大会でタッグ王座に挑戦して敗れた因縁の相手です。その時と同じ風戸大地選手とパートナーに臨む引退試合についての想いは
「まず、あの2人については去年8月の後楽園ホール大会で、大谷晋二郎選手をパートナーに初めてベルトに挑戦して負けてしまったという苦い思い出があります。御殿場大会もそうですし、あの2人には悔しい思いばかりさせられてきました。僕は試合が終わったらノーサイドで握手というか、礼に始まって礼に終わるプロレスがしたいんですけど、あの2人はそれをしてくれないばかりか悪口ばかり言って去っていく。
 すげぇムカついてるんですけど、2人のことをレスラーとしては尊敬しているんです。御殿場大会のあともヒデ選手に『おいド根性、お前辞めるんだってな。壁になってやるから何回でも来い。潰してやるよ』って言われて、あんなカッコいいマイクされたら燃えるじゃないですか。最後の最後であの二人に認めさせてやりたいというか、試合後に『よくやった』って言わせて握手させてやりますよ。試合でも勝って、プロレスでも勝ちます。『花を持たせて欲しい』とかそんなものは期待してないです。風戸さんとの“ド根性兄弟”タッグで勝って、あのとき見せられなかった勝利を御殿場の子どもたちにも見せたいです」

――近藤選手が引退した後のHEAT-UPに期待することは
「田村さんが掲げる『プロレスで社会貢献』というテーマに僕はすごく共感していましたし、大きくなっても地元密着型は忘れずにHEAT-UPがメジャーになって行ってほしいですね。兼平大介、井土徹也はそれが出来る選手だと思っているので、期待してます。その2人以外にも、飯塚優、大谷譲二、室田渓人もいますし、先輩のガッツ石島さん、マスクドミステリーさん……あと、プリンス・カワサキやイナダマンだっている。いつか、大きくなったHEAT-UPを見て『俺はあのHEAT-UPの生え抜き第一号選手だったんだぜ』って世界中に自慢できるようになって欲しいなって思います」

――では、最後にファンへのメッセージをお願いします
「僕は引退試合だろうが、とどろきアリーナという大会場だろうが、いつもとやることは一緒です。『引退試合だから頑張ります』とは言いません。いつも通りのド根性を……やられてもやられても立ち上がる、ガッツと気合で頑張ってる姿を見て何かを感じて欲しいです。HEAT-UPに近藤“ド根性”洋史というプロレスラーがいたことを覚えていて欲しい。『昔HEAT-UPにスゲー選手がいたんだぜ』って語り継がれる選手になれるよう最後まで頑張ります!ド根性ーッ!!」

『障がい福祉青少年育成チャリティー大会~川崎炎上シリーズ とどろきの乱~』
日時:2018年10月31日(水)
開始:18:00
会場:神奈川県・とどろきアリーナ

▼第0試合 ヒートアップ道場キッズ発表会 変則タッグマッチ 7分1本勝負
田村“スパルタ”和宏/近藤“ド根性”洋史
vs
河嶋樹/入口優寿/佐藤大地/RAIMMAN

▼第1試合 Welcome to TODOROKI~川崎大炎上スタート!~ 8人タッグマッチ 20分1本勝負
プリンス・カワサキ/室田渓人/阿部史典(BASARA)/伊東優作(DEP)
vs
TAJIRI(フリー)/レッドイーグル/スーパーキッド/バリヤンアッキ

▼第2試合 GOING-UP提供試合~関節技の鬼にはばかる陰謀~ 6人タッグマッチ 30分1本勝負
藤原喜明(藤原組)/ガッツ石島/マスクドミステリー
vs
藤原秀旺(プロレスリングメジャーズ)/松崎和彦(フリー/アライヴァル)/秀・オブ・ザ・イルミナティ(アライヴァル)

▼第3試合 我闘雲舞提供試合~ヒートアップする川崎の女神たち~ 6人タッグマッチ20分1本勝負
井上京子(ディアナ)/さくらえみ(我闘雲舞)/駿河メイ(我闘雲舞)
vs
Sareee(ディアナ)/里歩(我闘雲舞)/水森由菜(我闘雲舞)

▼第4試合 鈴木悟プロレスデビュー戦~TAKE IT HERO~ タッグマッチ 30分1本勝負
鈴木秀樹(フリー)/渡辺宏志
vs
鈴木悟/飯塚優

▼第5試合 近藤“ド根性”洋史引退試合~やり残して終わるのがド根性だ!~ タッグマッチ 30分1本勝負
近藤“ド根性”洋史/風戸大智(BASARA)
vs
新井健一郎(DRAGON GATE)/ヒデ久保田(フリー)

▼第6試合 HEAT-UPユニバーサルタッグ選手権試合 タッグマッチ 60分1本勝負
【王者組/タムラドラゴン】TAMURA/藤波辰爾(ドラディション)
vs
【挑戦者組】ザ・グレート・サスケ(みちのく)/大谷譲二
※王者組、2度目の防衛戦

▼第7試合 HEAT-UPユニバーサル選手権試合 シングルマッチ 60分1本勝負
【王者】兼平大介
vs
【挑戦者】井土徹也
※王者兼平は3度目の防衛戦。

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