藤波辰爾が“敵前逃亡事件”で因縁あるエル・カネックと約30年ぶりの激突!「“生ける伝説”の我々はいつ戦っても満足する試合ができる」
19日、東京都・後楽園ホールにてドラディション『THE REVENGE TOUR IN TOKYO』が開催された。
メインイベントでは、藤波のメキシコ遠征時代から日本まで続くライバル関係を築いた“仮面の魔豹”エル・カネックが約7年ぶりの来日を果たし藤波辰爾と対峙した。
カネックといえば、1978年に王者・藤波とのWWWFジュニアヘビー級王座戦を当日にドタキャンした“敵前逃亡事件”がファンの間で語り継がれ、その後も両者は激しい抗争を繰り広げていたことが知られているが、現在の2人の関係は良好。
当時から約40年の時が経ったが、66歳となった現在もカネックはメキシコの最前線で戦っている。藤波も今年6月に64歳にしてHEAT-UPタッグ王座を戴冠するなど日本の最前線で戦いを続けており、カネックと藤波の再戦には多くの期待と注目が集まっていた。
藤波辰爾&越中詩郎&丸藤正道vsエル・カネック&藤原喜明&KAZMA SAKAMOTOの6人タッグマッチで行われたこの試合は、藤波とカネックの組み合わせでゴングが鳴るも、互いのコンディションを確かめ合うかのような攻防の後にすぐにタッチ。
その後、KAZMAが集中砲火を浴び、越中のヒップアタックから藤波がドラゴンスリーパーを決めるが、即座にカネックがカットに入り、2人の直接対決に期待が高まる。
ここでカネックに気が向いた藤波の隙を突きKAZMAがフロントハイキックを放つが藤波はこれをキャッチしてドラゴンスクリューで反撃。続けて逆さ押さえ込みで3カウントを奪い、カネックとの決着はお預けとなった。
試合後、藤波とカネックは固く握手。そして互いの腕を掲げ合い健闘を称えた。
その後、2人と同じ時代を駆け抜けた同志でもあるビッグバン・ベイダー、マサ斎藤に向け黙祷を捧げた。
バックステージに戻った藤波は、約30年ぶりに肌を合わせたカネックとの闘いについて「やっぱり組み合うとね、蘇りますよ。お互いに飛び技が出せずじまいでしたけど、『隙あらば飛んでやろう』という考えがよぎるんだよね」と往年の闘志を感じさせる力強いコメント。
一方のカネックは藤波について「我々は日本でもメキシコでも40年以上戦いを続ける“生ける伝説”だ。ルチャドールとして、プロレスラーとして一番大切なことはなにかといえば、技ではなく経験だ。我々にはそれが40年もあるのだから、いつ戦っても満足する試合ができる」と誇らしげに語る。
続けてカネックは「藤波さんは本当に素晴らしいレスラーで、日本では特別なアイドルだった。ここで再会できたことは本当に嬉しい。そして、マサ斎藤とベイダーを追悼することが出来て良かった」と久々の来日について振り返る。そして最後に「まだ来日したばかりなので今日の調子は50~60%くらい。大阪でも藤波と闘う機会があるのでしっかりとぶつかっていきたい」と21日のドラディション大阪大会への抱負を語った。