【会見】PANCRASE296一夜明け会見で上田将勝、藤野恵実、田中半蔵が今後の展望を語る
5月21日午後、都内新宿区のパンクラスにおいて、「PANCRASE 296」一夜明け会見が行われた。
会見には、前夜、激闘を繰り広げた上田将勝(パラエストラ東京)、藤野恵実(FIGHT FARM)と、試合が中止となった田中半蔵(FUNS)が出席した。
上田は顔がキズでいっぱい、さらに左足の負傷で傘を杖代わりにして出席。会見の間も、ずっと氷で足を冷やしていた。藤野はパンチをもらって顔が腫れまくり、大きなサングラスをかけていた。特に目のあたりが腫れているという。闘いの勲章でいっぱいの両選手は、会見開始前、にこやかに大会を振り返っていた。
試合がなくなった田中は、大会では特にあいさつなどなかったため、ファンにメッセージを送るのかと思われたが、さにあらず。「PANCRASE 298」(8月5日、スタジオコースト)でマイク・グランディ(TEAM KAOBON)との対戦がサプライズ発表された。
実は、田中は計量会場ですでに打診され、オファーを受けていたという。3選手のコメントは以下。
上田将勝
「負けた悔しさもありますが、出し切ったスッキリさもあって、悔いはありません。ダメージは鼻ですね。あと、左足が痛くて歩けないくらいです。これから病院に行きますが、鼻が折れていそうな気がします。耳が聞こえづらいのは、昨日パンチを受けたからだと思います。耳から血が出ていたので、昨日からおかしいです。試合前、柔術の練習中に背中と腰を傷めてしまいました。ギックリ腰みたいになっていて、ずっと傷めていたところを練習中にさらに傷めた感じです。練習は、そのときどきで出来ることをやっていました。
実は、公開練習(※5月11日)のときも背中が張っていました。いつギックリくるか分からないので、恐怖と闘っていました。質問を受けるときに正座していたのも、その方が楽だからです。試合中、石渡選手がずっと「クラッチを切れ!」とアドバイスしてくれているのは聞こえていました。でも、切りたかったけど切れなかったので、自分の得意なことをやり抜きました。
一夜明けてみて、ベルトを獲れなかった悔しさはやはりあります。応援してくれているみんなを喜ばせられなくて。シウバ選手は強かったです。でも、諦めずに勝負しました。出し切ってスッキリもしています。試合後、いつも試合を見に来てくれる人に「お疲れ」と声をかけてもらいました。泣いてくれる人もいました。仲間も「よく頑張った」「お疲れさま」と声をかけてくれました。「ありがとう」と言ってくれた人もいて嬉しかったです。
今後はどうしようか、まだ悩んでいます。これからゆっくり考えます。格闘技への関わりとしては、練習を一緒にやってきた仲間のサポートは続けて行きたいですし、今、週1回、格闘技スタジオBLOOM(東京都板橋区)で指導をしているので、それは続けて行きたいです。
引退して、これからやりたいことですか? うーん、特にないんですけど……(しばらく考える)、好きなものを食べられるからいいかな(照れ笑い)。カルビーのポテチ、コンソメ味が好きなんです。ミルクティーと一緒に食べるのが美味しくて。実は、試合のあと、こっそり食ったりしてたんですけど(笑)」
藤野恵実
「シャロンは自分と似ているタイプだと思っていたんですけど、その通りでした。それだけに、競って勝てたことは自分の大きな成長に繋がったと思います。大きな怪我はありませんでしたが、顔が腫れまくってます。特に目のあたりにパンチをもらっていて。女の人の方が気が強いですからね(笑)。あとは筋肉痛くらいです。そんな感じなので、試合が終わって早くお酒を飲みたかったですけど、止められたので、しばらく我慢します。
名前はわからないんですけど、お腹の中にしまうような感じのチョーク、やりやすかったんですけど、シャロンの首も力が強かったので、かからないなと思いました。フロントチョークはリスクがあると思いましたね。
シャロンはレスラーということなんですけど、私はレスリングが出来る方ではないので、タックルがそんなに来なくてよかったです。そんなに危ないところはなかったと思うんですけど、思っていたよりもグラウンドのバランスがいいなと思いました。パンチに関しては、ずっとセコンドから「絶対に手数を出せ」と言われていたので、その通りにやりました。相手の攻撃は、蹴り上げが効いたのと。組んでいる時にローブローが入ったんですけど、自分が押し込んでいたので、ここで休ませたくないと思って。パンチをけっこう目にもらったので、視界がなくなったりしたので、距離を置かないとやれませんでしたね。
昨日の試合では、競って、そこを取り切ることを目標にしていました。技術的には課題はありますけど、とにかく気持ちでは負けないこと、競り勝つこと、そこはクリアできました。闘っている時は自分ではダメだと思っていたので、周りが褒めてくれて驚いています。アジアで試合が続いていたので、今回は世界的に見て自分がどこまでいけるか知りたいと思っていました。INVICTAの中でもシャロンは弱い選手ではないと思うので、闘っていける自信になりました。格闘技を続ける限りは強い相手とやりたいし、より上の選手と闘いたい。ベルトも欲しいで助けど、なかなか縁がなくて」
と、ここで、坂本靖・パンクラス運営本部長から「8月大会で、ヴィヴィアニ・アロージョ(CERRADO MMA)とのタイトルマッチをオファーしたい」とサプライズ発表。藤野が「いきなりでビックリしました! 体調を見て頑張ります」と答えると、坂本本部長は「ヴィヴィが待っています」。
タイトルマッチを闘うには、ランカーになる必要があるが、おそらく今回の結果で藤野がランキング入りすることはほぼ間違いない。あとは、藤野にINVICTAからオファーが来たり、ヴィヴィアニの意向を確認するなどクリアしなくてはならないことがいくつかあるが、実現すれば非常に楽しみなカードとなる。夏真っ盛り、藤野の熱いファイトが実現することを期待したい。
田中半蔵
「昨日の大会は、いい試合がたくさんあって、見ていてそこに自分が入っていないことにモヤモヤしていました。試合ができなくて本当に残念でした。でも、今回のお話はおとといの計量会場でいただきました。減量でフラフラでしたが、次に向けてやってやろうという気持ちになりましたね。
グランディ選手と斎藤裕(修斗世界王者)選手との試合(2017年1月)は会場で観戦していました。斎藤選手が普通に負けてびっくりしました。組みが強そうな感じなので、自分が押さえ込んで判定で勝つイメージが浮かんで来ないので、ビックヒットを当てて勝ちたいです。
今は九州でのジムオープンに向けて動いているんですけど、九州にいる上田将竜選手、林大陽選手、原田維紘選手、それからプロシューターが何人かいるので、集まって練習しています。あとは九州共立大学のレスリング部にも出稽古に行っています。
パンクラスのベルトを目指してやっています。少しでもランキングをあげて王座に近づきたいですね」
(写真・文/佐佐木 澪)