「西の神童」石井一成、KNOCK OUT初戦でKO勝利も「出来は30点。もっとレベルアップします!」

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 4月1日、大田区総合体育館で開催された「KNOCK OUT(ノックアウト) Vol.2」。旗揚げ大会とVol.1で「衝撃のKO」を見せた「神童」那須川天心は、4月16日のRIZIN(横浜アリーナ)を控えて今回は欠場。「天心抜き」のカードを見て、観戦を見送った格闘技ファンは今頃後悔していることだろう。観客動員こそ過去2大会より落ちたが、試合は熱戦に次ぐ熱戦で「観客満足度」の高い大会となった。

 セミファイナルでは「KING」梅野源治が、立ち技最強ムエタイのトップ選手、ロートレック・ジャオタライトーンと対戦。蹴り、パンチ、ヒジ、ヒザで互いの体力を削り合う激闘となり、5ラウンドがあっという間に終わる見応えのある戦いだった。判定は2-0でロートレック。梅野はKNOCKOUT3戦目で初黒星を喫した形だが、試合内容は過去2戦よりも上。ロートレックとフルラウンド、互角にやりあえる日本人が梅野以外にいるだろうか。梅野が「日本ムエタイ界の至宝」であることを再確認する試合だった。

 過去2大会メインを務めた梅野に代わり、今回メインイベントに抜擢されたのはKNOCKOUT初のトーナメント、初代ライト級王座決定トーナメント1回戦の森井洋介対宮越慶二郎である。
 この大一番で勝負強さを見せたのが「野良犬2世」森井洋介だ。師匠藤原敏男(ムエタイ史上初の外国人王者)と、指導を受ける「野良犬」小林聡が共にライト級の選手で、森井は本来のスーパーフェザー級から1階級上げて参戦。対戦相手の宮越慶二郎のフットワークと強打を封じるべく、森井は序盤から得意の打ち合いに持ち込むと、力強いパンチで初回に2度ダウンを奪い、2回も「ここを逃すと相手が盛り返してくる」と速攻を仕掛け、渾身の左フックで豪快なKO勝利。森井のアグレッシブファイトに場内は興奮のるつぼと化した。
 森井はマイクを掴むと「これがKNOCKOUTのメインです!」と絶叫。そして「今年はライト級トーナメントが一番盛り上がるんで見に来てください。全試合ノックアウト!」と堂々の「エース宣言」をした。
 前回(2月大会)は引き分けに終わり「ヘマをしてしまった」と反省。この大会に向けて小林聡トレーナーと1か月間、マンツーマンで練習を重ねてきた。「絶対に勝ちたかったので1か月これだけに集中して体調も良かった。(1階級上げて)体格差も感じなくて普通にやれました。(小林からの)絶対倒せ、というプレッシャーが凄かったです」と語った。
 
 小野寺プロデューサーに「本当に凄かった」と言わしめたのが、注目の18歳、石井一成(いっせい)だ。対戦相手はWPMF日本フライ級&蹴拳フライ級二冠王、矢島直弥。強打に定評のある矢島がパンチの連打で押しこむ場面もあったが、石井は防御を固めてクリーンヒットを許さず、キレのいい右ローキックで応戦。2回から多彩な蹴り技とパンチで徐々にペースを掴み、3回に思い切り踏み込むと、矢島のアゴに右のヒジ打ちをクリーンヒット。これで矢島をグラつかせると、さらにパンチとローで攻勢をかけてダメージを負わせ、矢島陣営がタオルを投入。3回TKOで石井の勝利となった。

 噂通りの実力を見せつけた石井だが、本人は納得していなかった。
「緊張して思い通りの試合が出来ませんでした。相手がパンチで来るのは分かってたのでローで足を効かせて、動きを止めようとしたんですけど、相手の気持ちが強くて。今日の出来は…30点ぐらいです」
 昨年「キック&MMAの二刀流」としてブレイクした那須川天心が「東の神童」なら、同い年の石井は「西の神童」。タイを主戦場とし、本場ムエタイのリングで6連続KO勝利を収めた後、今年2月にランシットスタジアムでTrue4Uフライ級タイトルを獲得。3月に高校を卒業し、4月からは大学に通いながらムエタイで最も選手層の厚い軽量級(フライ級)でさらなる高みを目指す。

 ムエタイの頂点を目指す石井だが、昨年12月に誕生した「KNOCKOUT」には心を動かされたという。
「普段、僕がやっているヒジありルールでこういう大きな舞台が出来て、とても嬉しかったです。僕は、タイで認められる存在になってから日本に凱旋したいですし、世界で活躍したいと思ってます。(那須川)天心君の活躍は凄いと思いますし、励みになりますね。僕はタイのトップ中のトップと戦って、もっともっと自分の力を上げていきたいです」
 石井の次戦は、タイでのWMC世界タイトルマッチ。今後もタイを主戦場としながら「日本で活動する時はKNOCKOUT」(小野寺プロデューサー)とのこと。キックとMMAの二刀流で活躍する那須川天心、先日のK-1WORLDGP初代ライト級王座決定トーナメントで準優勝した平本蓮、そしてタイと日本で活動する石井一成と、格闘技界を席巻する「スーパー18歳」からますます目が離せない。

(スポーツライター茂田浩司)

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