【試合結果】11・20 HEAT-UP愛知大会 田村和宏vsロッキー川村 佐藤光留&阿部史典vs兼平大介&渡辺宏志
『新章開幕 in NAGOYA』
日時:2016年11月20日(日)
開場:14:30 開始:15:00
会場:愛知・枇杷島スポーツセンター
観衆:158名
▼“新章開幕~燃えよ!HEAT-UPPER三人衆~” 6人タッグマッチ20分1本勝負
○高井憲吾(チームでら)/那須晃太郎(フリー)/小仲=ペールワン(666/GUYZ!)
12分16秒 ホフラリアット→片エビ固め
近藤"ド根性"洋史/飯塚優/●井土徹也
▼“Fantastic☆Time~守れ名古屋のお宝~”シングルマッチ30分1本勝負
○藤田峰雄(フリー)
12分56秒 スワントーンボム→片エビ固め
●石田慎也(スポルティーバ)
▼“悪党の宴~善よりも悪に傾く者達~”6人タッグマッチ30分1本勝負
-新井健一郎(DRAGON GATE)/ヒデ久保田/ヤス久保田
15分58秒 両チームのレフェリー暴行により収拾つかず→ノーコンテスト
-PSYCHO/CHANGO/影山道雄(チームでら)
▼“名古屋パンクラチオン伝説”タッグマッチ45分1本勝負
○佐藤光留(パンクラスMISSHON)/阿部史典(スポルティーバ)
11分25秒 逆片エビ固め
兼平大介/●渡辺宏志
▼“PROMISE~俺たちの約束~”シングルマッチ60分1本勝負
○ロッキー川村(パンクラスism)
14分40秒 バルボアブロー→体固め
●田村和宏
新章幕開けの名古屋でエース田村にロッキーが勝利しその勢いで王座に挑戦表明!光留と兼平が刺激的な遭遇!アラケン&クボブラ対サイチャンゴ&影山は収拾つかず…
▼オープニング
大会開始前の午後2時30分頃、地元の施設より障がいを持つ方々が来場。配布物の綴りを行ったり、開場後は会場入り口にて来場した観客に配布物の手渡しに従事。川崎で行っている取り組みを名古屋でも実施したHEAT-UP、今後も継続していく。
オープニングでは弥武リングアナに呼び込まれた地元のミュージシャンである匠(たくみ)と中浦義道(なかうらのりみち)がリングに上がり、HEAT-UPのために作った曲「CROSS MONSTER」を披露。残念ながらとどろきアリーナには間に合わなかったが、この日のためにリングでお披露目された事は嬉しい。
選手入場式、やはり意気上がるのは地元・名古屋を中心に活動しているレスラーたち。選手代表挨拶は近藤"ド根性"洋史。
近藤「(館内のド根性コールから)ド根性ーっ!皆さんこんにちわ!!プロレスリングHEAT-UP名古屋大会にこんなに多くの方のご来場、そして関東からも来てくれた方がいらっしゃるようで、本当にありがとうございます!」
…と、ここで言葉が続くはずなのだが、弥武リングアナの「ありがとうございました、選手退場!」の言葉で遮られてしまうというトホホな展開に。こうなっては近藤も笑うしかなく、満面の笑みで「ド根性ーっ!」とアピール。明るいリング上に館内からも笑いと拍手が贈られ、1年ぶりとなるHEAT-UP名古屋大会はスタートした。
▼第1試合
1年ぶりとなる名古屋大会、オープニングマッチでは高井と小仲の地元勢に那須が加わった連合チームに近藤&飯塚&井土のHEAT-UP若手勢が挑む。井土、飯塚がそれぞれ那須、小仲と対するがキャリアの差を見せつけられる。高井が出てくると近藤が待ってましたとばかりに飛び込む。全力のタックル合戦でぶつかり合う両者、ここは近藤が競り勝って意地を見せつけると高井は舌を出して倒れる。
那須との対戦から連合軍に捕まってしまう井土、高井のボディスラムの洗礼に表情をしかめる。那須と小仲も息の合った連携、ブレーンバスターをこらえた井土が走りこんでかち上げ式エルボースマッシュを那須に叩き込んで脱出。
交代した近藤は那須に串刺し攻撃からジャンピング・ブレーンバスター。ド根性デスロックに入ろうとするが、飯塚が交代を熱望する。飯塚は右ミドル連打で那須を倒しアキレス腱固め。予想以上に効いたのかロープに逃れようとする那須、フォローしようとした小仲だがかえって邪魔をしてしまい怒られてしまう。走りこんでPKを繰り出す飯塚、避けた那須はスクールボーイからミドルキック。
小仲は飯塚が立ち上がるのを待ってスワンダイブ式ブレーンチョップからトーキック連打、パキスタン式ネックブリーカードロップと繋げる。フォールをカウント2でキックアウトされると李日韓レフェリーに甲高い声でアピール、弥武リングアナは「お前は女子プロレスかっ」とタイミング良いツッコミ。小仲の地獄突きと飯塚のミドルがリレー、ロープに走った小仲に飯塚がドロップキックを叩き込んで両軍交代。
高井と井土、井土はカウンターのフォーアームから串刺しエルボー、ボディスラム。近藤が飛び込んできてコーナーの那須と小仲を排除し、井土をスローして串刺しエルボー、高井をスローさせてジャンピングヒップアタック。飯塚のPKから井土がスライディングDに繋ぐ連携を見せる。フォールは那須と小仲がカット。
高井のバックを取った井土、踏ん張る高井に対しロープに飛ぶ。その井土を抱え上げた高井がハングリーバスター、観客を煽ってホフラリアット。スレッジハンマーの要領で両腕を使ってカットした井土、エルボーバットで反撃。一瞬揺らいだ高井だが走りこんでくる井土にカウンターのホフラリアットを叩き込んでカウント3。
勝利した連合軍、小仲は近藤に対し何故か「ベルトに挑戦させろ」とアピール。デビュー当初の事を思い出したのか那須は若手3人の健闘を称える。飯塚に対しては激励なのか軽く顔面に張り手を入れて去っていった。
▼第2試合
2年前、場所も同じ枇杷島でアラケンと結託し無宿入りした石田。月日は流れシングルプレーヤーとして躍進した今年の総決算とも言える藤田峰雄戦に臨む。若い石田が相手とあって、開始直後からいきり立つ峰雄はリビドーが止まらない。そんな峰雄に石田は動きを真似してみたり、ちんちん攻撃を冷静にかわしていく。
石田の突進をリープフロッグでかわ…せなかった峰雄、石田の頭が自分のみねぴょんに激突して悶絶。だがこれで火が点いたのか、カウンターのマンハッタンドロップからみねぴょん空間に引きずり込む。レフェリーが李日韓ということもあり、弥武リングアナは「女性レフェリーにとってツッコミ辛い所を突いております」と実況。
場外にエスケープしようとした石田、見逃さなかった峰雄はサードロープに石田の股間を食いこませ左足を引っ張る。続いて弓矢固め、もちろん右手でちんちんをまさぐる。5分経過、セコンドの近藤に助けを求める石田だが、峰雄は容赦なく凌辱する。ボディスラムからギロチンドロップ、一瞬まともな攻撃を見せた峰雄だが、コーナーに下げておいたみねぴょんタオルを手にしてチョーク攻撃。チェックする日韓に「みねぴょんタオル1枚2000円なんだよ!」と駄々をこねながら宣伝する抜け目のない峰雄。
隙を突いた石田が反撃、コーナーで峰雄を踏みつける。
取り上げた直後だったので日韓レフェリーの手にはみねぴょんタオルが。反則カウントに攻撃を止めた石田、ぶら下がっているタオルの片方を掴んだ峰雄は立ち上がってグイグイ引っ張る。石田の股間が酷い目に遭っており反則を注意する日韓レフェリー、タオルを取り上げようと引っ張って更に被害を受けてしまう石田。恐るべしみねぴょん空間の魔の手。
コーナーへの突進を両足キックで防いだ石田、カウンターのドロップキックを叩き込みヘッドシザースホイップで場外に峰雄を振り落とす。ロープに走った石田は場外の峰雄目がけて初公開と思われるトペ・コンヒーロ、峰雄のお株を奪う場外弾で反撃。リング内に峰雄を戻してクロスボディ、カウント2で返されるとスリーパーへ。
スリーパーに耐えた峰雄、石田をロープに振って突進をリープフロッグでかわ…せず再びみねぴょんが直撃を受ける。思わぬ展開だが攻勢のままである石田、息を整えレフェリーに反則ではないと確認し逆水平を叩き込んでいく。ロープに振る石田、振り返した峰雄はカウンターのドロップキック、決めのポーズを数秒間。ここで10分経過。
マンハッタンドロップを上手く着地して防いだ石田がトラースキック、トップロープを蹴ったスイングDDTをマンハッタンドロップで切り返す峰雄。後頭部へのレッグラリアットはカウント2、担ぎ上げてちんプラント狙い、石田回転エビ固めで切り返す。エビ固めの応酬、両者立ち上がると石田腹部にトーキック、ロープに走って飛びつき回転エビ固め。カウント2で返され、飛びつき前方回転エビを狙った石田。踏ん張った峰雄は石田を叩き付けそのまま押さえ込むがカウント2。
続けて峰雄ランニングニー、カウント2。今度はちんプラント、ガッチリ押さえ込むが石田必死で跳ね除ける。それならばと峰雄はボディスラムからスワントーンボムに繋いでカウント3を奪った。石田のお宝は散々な目に遭わされてしまったが、紆余曲折を経た名古屋のお宝が次に向けて輝きを増した対戦であった。
▼第3試合
アラケンとクボブラ、サイチャンゴと影山道雄という魅惑の合体ヒールユニット同士の対戦が組まれたこの試合。影山はここぞとばかりに持参した水を撒き散らしながら入場する。クボブラのテーマで入場したアラケン&クボブラ、両軍共にゴング前から取っ組み合いとなるのは必至か。
場外戦で所狭しと暴れまわる両軍、ヤスとCHANGOは真隣に設置してある畳の上で、ヒデと影山は本部席付近で、アラケンとPSYCHOは北側客席付近でそれぞれ乱闘。一歩先を走ったのはヤス、会場倉庫から持ち出したバランスボールが威力のある武器となり影山、CHANGOに投げつける。更に竹刀を持ち出すヤス、CHANGOはスプレーを顔に吹き付け手放させると払い腰で叩きつけて一本奪取。バランスボールを使った兄弟連携を見せるクボブラ、何故かセコンドの近藤、井土も被害を受けてしまう。
竹刀を使ったチョーク攻撃でヤスを攻めるCHANGO、本部席にあった弥武リングアナ私物である阪神応援シャツを着こむヤス、影山の撒いた水にヤスが足を取られるとPSYCHOとCHANGOが二人がかりで攻め込む。ヒデに照準を移したサイチャンゴ、そんな中きちんとシャツを返却しているヤスの姿。
リング内に戦場が戻ると攻め込まれているのはヒデ。サイチャンゴの連携からCHANGOはフェースロック+キャメルクラッチの複合技、かつてヒデとCHANGOが抗争を繰り広げていた時を思い出す。眉間に肘を落とされ一時的に視力を奪われたヒデ、相手側コーナーにタッチを求めに行くが藪蛇状態。影山がヒデの額にナックルを打ち付けコーナーに追い込むとスルスルッとPSYCHOがフォローに入る。ワルの連携はスムーズ。
影山がコーナーのヒデへの突進、防いだヒデだが大振りをかわされ胸板へのミドルを食らう。3発目をキャッチして膝へのエルボー、ココナッツクラッシュをお見舞いするとアラケンとヤスがサイチャンゴをカット。ヒデのかわず落としからヤスの低空ドロップキック、アラケンの倒れこみヘッドバットと連携。やはりワルの連携はスムーズ。
ヤスが影山を場外へ、アラケンが痛ぶる間にクボブラがサイチャンゴをけん制。捕まる影山、アラケンが巧みにサイチャンゴをけん制しつつ影山を攻撃する赤コーナーサイド。アラケンをブレーンバスターで投げた影山だが、クボブラのカットで交代できず。クボブラが影山を攻めれば、アラケンは握手の構えを見せて精神的にも翻弄。以心伝心ぶりをリング上で披露するアラケン&クボブラ、「最高だぜこの二人は!」と満足そうにアピールするアラケン。
丁度10分が経過した頃、アラケンへのレッグラリアットを放った影山がローンバトルから脱出。PSYCHOがクボブラを同時にDDTで叩きつけ、アラケンをハイジャック・バックブリーカーで担ぎ上げコーナーに叩き付け、その場飛びのカーフブランディング。シザースキックを止めたアラケンはネックブリーカードロップ、両軍交代。
ヒデとCHANGO、コーナー突進をかわしたヒデは背中への膝蹴りから「飛んでけ!」と叫んで正面飛びドロップキック。観客を煽ってブレーンバスター、カウント2。「行くぞ名古屋!」と叫んだヒデ、CHANGOをロープに振るがそこにPSYCHOが入ってきてツープラトンのシザースキック。影山はカットに入るヤスに中段蹴り、アラケンに拳を見せつけてけん制。「待った!」と懇願するアラケンが影山に握手を求めるが、知ったこっちゃねえと蹴とばし場外に排除。
サイチャンゴ+影山の串刺し攻撃からPSYCHOバックフリップ→CHANGOダイビング・セントーンで繋ぐがアラケンが日韓レフェリーの腕を掴んでカウントを入れさせない。CHANGOトーキック、ロープに走るがヒデのマンハッタンドロップからトラースキックを食らう。すぐに入ってくるヤス、影山を排除しクボブラ連携。ツープラトンの串刺しエルボーからヤスが「新井さーん!」と叫んでビッグブーツを呼び込み、ツープラトンのフラップジャックでCHANGOの顔面を叩き付ける。何とかカットするPSYCHOと影山。
ヤスのスラムからアラケンが追突注意、続けてヤ・スワントーンがCHANGOにヒットしこれで決着かと思われた次の瞬間、影山が竹刀を持ってヤスの肩口を殴打。これがきっかけとなりリング内で両軍が取っ組み合いになる。何とか止めに入ろうとする日韓レフェリーを影山、PSYCHO、ヒデ、ヤスの順で突き飛ばし、PSYCHOが振り払ったアラケンを直撃させる。収拾のつかなくなったリング内、日韓レフェリーは本部席にゴングを要請、ノーコンテストの裁定が下った。
早々に退散するサイチャンゴ&影山、ヒデは「なんでだよ!竹刀持ってたじゃねえかよ!」と叫び、打たれた箇所をヤスが見せて日韓レフェリーに文句をつけるが裁定は覆らない。挙句の果てに影山が場外からバランスボールを投げつけると、見事に日韓の左肩にヒット。ヤスも日韓に投げつけ、ヒデが振りかぶると一目散に逃げだす日韓レフェリーと散々な目に遭ってしまう。いつの間にか本部席からマイクを取るアラケン。
アラケン「あの野郎、ヒデさんもヤスさんもお前。次!えぇ?今日決着ついてないから、次あいつらと正真正銘の決着戦、ね!今日見てくれたからわかるだろお客さん!次俺たちの試合は…6人タッグのデスマッチだ!それも!それも!!『バランスボールデスマッチ』だ!(館内大きな声援と拍手)どうだ!おい!バランスボールを使ってなぁ!お互い血ヘド吐くまでやってやるからな!!」
ワル同士による決着戦はやはり血で血を洗わないとつかないのか。こうなってくると『バランスボールデスマッチ』の実現を待ちたい所である。
▼第4試合
「プロレスで『UWF』を圧倒する」と宣言している田村和宏、その言葉がまさかの対決を実現させる。ストロングプロレスを貫く渡辺宏志、新たなるプロレスの形を体現する兼平大介に対し、佐藤光留がHEAT-UPマット初登場。
先発は渡辺と光留、お互いに距離を測ってなかなか踏み込めない。けん制のローを光留が放つと渡辺両足タックル。グラウンドからスタンドで腕を極めていく光留、切り返した渡辺はグラウンドでヘッドシザース、離れると館内から拍手が。渡辺が光留を押し込む形となり阿部と交代、渡辺の膝蹴りで阿部がニーダウンすると兼平に交代。
光留は阿部に対しコーナーから声を飛ばす。その声が届いたのか、せいき軍入りを熱望していた頃がはるか昔に感じられるようなファイトを見せる阿部。光留がリングイン、兼平と対峙する。ベルトこそ失った兼平だが、2年前デビューを果たしたこの地を忘れるはずがない。パンクラスMISSHONの光留に対し堂々と正面から向かっていく。
体格で上回る兼平、光留のグラウンドにもついていく。スリーパーからアームロック、光留が上になれば下から腕十字を極めていく兼平、最初にエスケープしたのは光留であった。渡辺と交代、タックルにいった光留を上手く転がして横回転十字固め、フォールを返されると腹固めで光留の左腕を極めて2度目のエスケープを奪う。
阿部に交代、渡辺に腕を取られるが上手く体勢を入れ替えて膝十字へ。膝裏に手を差し込んで抜け出した渡辺、グラウンドで阿部をコントロールしスリーパー。脱出した阿部はアームロックから得意のワキ固め、指も極めていくとさすがの渡辺も悲鳴をあげる。前方回転で抜け出して兼平と交代。
兼平がローなら阿部は掌打、コンビネーションを駆使する兼平、タックルで倒して裏アキレスを極める阿部。光留と交代、腕を取ってローを打ち込むと尻もちをつく兼平。ローから足を取って片エビ固め、カウント2で返されるとすかさずアキレス腱固めに持ち込む光留。悶絶する兼平だが逆にクロスヒールで切り返して形勢逆転。しかし一瞬緩んだ隙を突いてもう一度アキレス腱を絞る光留、兼平エスケープ。
エルボー合戦から「全然痛くありまっせん!」と叫んでミドルを放つ光留、しかし兼平の逆水平を食らうと胸を押さえて下がっていく。我慢する光留、館内からの声援を受けると蘇り「全然痛くありまっせん!」とチョップを振り下ろす。再び兼平逆水平、ロープにエスケープする光留。思わず阿部にタッチを求めるが、声援に後押しされるような形で交代せず。今度は阿部が光留に「痛くない!痛くない!」と声を飛ばす。
「あ~びっくりした。ホントにびっくりした。なぜなら全然痛くありまっせん!」からのチョップ合戦、ミドルを打ち込む光留に兼平がドラゴンスクリューで応戦、渡辺に交代。足を取った渡辺は珍しい監獄固め、首固めで返してフォールを奪おうとする光留。下がった光留に渡辺はローから足取り、スピニングトーホールドへ。しかし逆に足を取った光留はアンクルホールド、ロープに手を伸ばす渡辺をリング中央に引きずり戻して逆片エビ固め。渾身の力を込めて光留が絞り上げると渡辺ギブアップ。唐突ではあったが説得力のあるフィニッシュに館内からは大きな拍手。
この試合、実はツープラトン攻撃やカットに入ることが一度も無かったのである。フィニッシュの逆片エビの際も同様で、古のダブルバウトを見ているような感じであった。そこに「まだまだ『UWF』は奥が深いんだぞ」と田村に語り掛けているような光留の姿があったのは言うまでもない。
▼第5試合
9月10日横浜大会( https://battle-news.com/?p=23683 )にてロッキーが田村に一騎打ちをアピール、それが実現した形になる今回の対戦。ミドル級キング・オブ・パンクラチオンと東京インターコンチネンタルタッグ、2本のベルトを掲げて入場するロッキー。地元が近いロッキーにとって最高の舞台といえるだろう。とどろきアリーナを経て一回り大きく感じられる田村の背中。リング内には大量の紙テープが舞う。
午後4時50分、互いの拳を確かめ合うように合わせて試合開始。ロッキーのパンチを警戒し、グラウンドからローキックを見舞う田村。コーナーに詰めてチョップ連打、串刺しエルボーから走りこんでスリングブレイド。ロッキーの爆発力を抑え込もうと早めの仕掛けに出る田村。ミサイルキック狙いでコーナーに駆け上がる田村、左のパンチで撃墜しようとするロッキー、見切った田村はロッキーの左腕をトップロープに叩きつけるようにダイブ、ロープを掴んだロッキーの左腕にダブルフットスタンプとラッシュ。
左腕を押さえて苦しむロッキー、田村はそこを目がけて容赦なく腕攻め。キック、エルボー、サブミッションと左腕を集中攻撃。両腕を極めながら絞り込むグラウンドコブラのような形も見せていく田村。その度にロッキーの苦しむ声が館内に響く。ロッキーも覚悟を決めたのか、打ち込んでくる田村を「Come ON!」と挑発。しかし待っていたのは更に重いキックとアームブリーカー。
ロープに走った田村、左ボディブローで止めて右フックを叩き込むロッキー。ここまで劣勢に立たされていたロッキーだがここで反撃。立ち上がるのを待ってジャブから左右のボディブローで田村をダウンさせる。日韓レフェリーのダウンカウントは5、バルボアブローを狙ったロッキー、空振りさせた田村はスクールボーイで転がして低空ドロップキックでお返し。脇腹を気にした田村だが、雄叫びと共に立ち上がり直下式ブレーンバスターへ。
コーナーに登る田村、ミサイルキックを突き刺してフォール、カウント2。観客を煽りコンビネーション、ソバットをかわしたロッキーが右フック、かわした田村はジャンピング・ハイ。倒れないロッキーに右ハイ、もう一発を叩き込むがこれは右フックと相打ちになる。両者ダウン、先に立ちあがったのはロッキー。カウント8で田村も起き上がる。10分経過、左右のジャブとチョップの打ち合い。ボディ連打で崩れそうになる田村、ロープに走ったロッキーにカウンターのアックスボンバー。
田村ランニングローからバズソー、カウント2で返されると左腕に腕十字。グローブのため両手のクラッチができないロッキーは大ピンチ。何とか動いて身体を反転させると今度はアンドレ。田村は一度外して左腕にニードロップ、再びアンドレへ。田村もう一度左腕へのニードロップ、コーナーに登っての一撃はロッキーに避けられて自爆。勝機を握ったか、ロッキーは走りこんでバルボアブロー、しかし両者ダウン。
立ち上がろうとする田村とロッキー、田村は左腕にエルボー、張り手。スタンドに戻ると田村は掟破りの左パンチ。チョップ連打で釘付けにするが、ロッキーもパンチで応戦するが徐々に押し込まれる。コーナーに振ろうとする田村、振り返されてカウンターのウルトラタイガードロップ、しかしこれをロッキーは右フックで墜落させる。
腰に大きなダメージを負った田村、ふらふらと立ち上がった瞬間ロッキーの右フック。カウント2で返されたロッキー、諸手を掲げて館内にアピール、左腕の痛みを堪えて想いのすべてを拳に込めたバルボアブローを叩き込み、魂のこもった体固めで押さえ込むと李日韓レフェリーはマットを3回叩く。初めてHEAT-UPのマットに上がってから9か月強で遂に大将・田村からピンフォール勝ちという結果を出したロッキーであった。
▼エンディング
ダメージの深い両者、大の字になっていたロッキーだが立ち上がってウィナーコールを受ける。マウスピースを外し、左腕の痛みを堪えながら館内の声援に応えるロッキー。
川村「(地声で)エイドリアーン!エイドリアーン!!田村さん…田村さん!次!タイトルマッチだ!!(館内大声援)やるぞ!この拳に賭けて、(HEAT-UPの)チャンピオンになる!エイドリアーン!!!」
館内に響くロッキーコール、右手を挙げてそれに応えるロッキー。座り込みしばし呆然としていた田村、左の頬を押さえながら立ち上がる。
田村「(地声で)ロッキー!負けたから、負けたからな、オイ、断る理由ねえよ。おう!タイトルマッチだ!HEAT-UPのベルト懸けて、お前とやってやるよ!!」
思えば以前、川村亮としてユニバーサル王座挑戦者決定トーナメントにエントリーし、1回戦で曲者CHANGOに敗れている( https://battle-news.com/?p=21971 )ロッキー。実力で奪った挑戦権、だれも異論を唱える者はいない。
一方敗れた田村、とどろきアリーナでの対鈴木みのる戦から『パンクラス』を背負う者に対し2連敗。ところがどうだろう、その眼は敗れた者ではなく、新たな好敵手を見つけたというような爛々と輝き、奥に青白い炎が灯った眼である。リング中央でにらみ合う両者、ロッキーはパンチ、田村は張り手でお互いの意思表示。互いの右拳をぶつけ合うと先にリングを去ったロッキー。
田村「ん…ああ、顔が痛い(場内笑い)。すいません、負けて締めるのもカッコ悪いですけど、HEAT-UP、1年ぶりに名古屋に帰ってきました!(館内拍手)負けて凄く悔しいですけど、こうやってまた皆さんに会えて、僕はとても嬉しいです。ありがとうございます!(館内拍手)また来年、やってもいいですか?(館内拍手で応える)また成長して帰ってきたいと思うので、皆さん応援よろしくお願いします!!(館内大きな拍手)」
HEAT-UP新しい章の幕開け、エースの田村が敗れるという波乱から始まったが、川崎で培った行動が名古屋でも芽を出したという嬉しい面も忘れてはならない。名古屋の障がいを持たれている方々にも笑顔と元気と希望を分け与えたHEAT-UP。灼熱の伝道師はこれからもプロレスの素晴らしさを伝えていくため、リングに上がり続ける。