【試合結果】11・25 HEAT-UP新百合ヶ丘大会 【ユニバーサル王座】田村和宏vsノリ・ダ・ファンキーシビレサス ダイスケ&兼平大介vs長井満也&CHANGO 新井健一郎&ヒデ久保田vs阿部史典&伊東優作
『ありがとう感謝を込めて☆2017』
日時:2017年11月25日(土)
開始:18:00
会場:神奈川・新百合トゥエンティワンホール
観衆:339名
HEAT-UP道場発表会
(第1&第2レフェリー兼平大介、第3&第4レフェリー近藤"ド根性"洋史)
▼第1試合 グラップリングマッチ3分1ラウンド
○今来唯夢(ねわざワールド品川) 1-0 ●臼井直弥(HEAT-UP道場)
※2分40秒、今の腕十字固め
▼第2試合 グラップリングマッチ3分1ラウンド
○馬場宏幸(HEAT-UP道場)
1-0 (57秒 下からのアームロック)
●てっしー手島(HEAT-UP最強スタッフ軍)
▼第3試合 キッズクラス発表会(10分1本勝負)
○河嶋樹
2分57秒 カサドーラ
●田村和宏先生
▼第4試合 繋ぐ道場の炎〜栗平道場最後の晩餐会~プロレスクラス発表会~ 30分1本勝負
等々力ひろし/野田順久/○浅野陽介
9分19秒 バース
柳雅和/海和択弥/●山本和希
本戦
▼第1試合 新百合ヶ丘オープニングバトル~HEAT-UP vs ガッツワールド~ 20分1本勝負
○藤田峰雄(チンコ)/渡辺宏志/磐城利樹(フリー)
7分7秒 スワントーン・ボム→片エビ固め
ガッツ石島(ガッツワールド)/翔太(ガッツワールド)/●大谷譲二(ガッツワールド)
▼第2試合 ド根性侍、新百合ヶ丘鬼退治の巻 20分1本勝負
○近藤"ド根性"洋史
9分58秒 スピア→ジャックナイフ式エビ固め
●梅沢菊次郎(アライヴ)
▼第3試合 我闘雲舞提供試合~最後のことり寿司~ 20分1本勝負
里歩(我闘雲舞)/○「ことり」(我闘雲舞)/SUSHI(フリー)
11分32秒 ペダル式バードリッジ
さくらえみ(我闘雲舞)/●アーサ米夏(我闘雲舞)/沙紀(フリー)
※合体攻撃が認められる我闘雲舞特別ルール
▼第4試合 スモーキークリミナル vs 煩悩兄弟~俺たちのターンオーバー~ 30分1本勝負
[SMOKY CRIMINAL]○新井健一郎(DRAGON GATE)/ヒデ久保田(フリー)
16分8秒 ジャンピング・パイルドライバー→片エビ固め
[煩悩兄弟]阿部史典(スポルティーバ)/●伊東優作(DEP)
▼第5試合 日々成長、日々進化~3年目の再会~ 45分1本勝負
○ダイスケ(ガッツワールド)/兼平大介
19分48秒 スライディングD→エビ固め
長井満也(ドラディション)/●CHANGO(フリー)
▼第6試合 HEAT-UPユニバーサル選手権試合(60分1本勝負)
【挑戦者】○ノリ・ダ・ファンキーシビレサス(今池プロレス)
23分38秒 バックドロップ→片エビ固め
【王者】●田村和宏
※王者田村が7度目の防衛に失敗、ノリが第2代王者となる。
“絶対王者”田村和宏敗れる!“灼熱王”ノリ・ダ・ファンキーシビレサスが第2代ユニバーサル王者に君臨!HEAT-UPに新しい風が吹く!
社会貢献活動
田園調布学園大学・和(かのう)ゼミが引率した地域の障がい者施設利用者の皆さんを雇用。今回は会場内椅子設置から始まり、配布物折込、新百合ヶ丘駅付近でのフライヤー配布、開場時にはチケットのもぎりや配布物を来場者への手渡し、ロビー及び場内案内に従事。
またTAKAYAMANIA等の募金活動も行い、来場した観客に大きな声で呼びかけていた。リング設置直後には障がいを持たれた方々との記念撮影、リングに上がった女性は跳ねて感触を確かめたり、近藤"ド根性"洋史の肩に乗って記念撮影等大いに喜ばれていた様子であった。選手入場式では就労された方々の賃金がまとめられ、代表者に田村和宏より手渡された。
HEAT-UP道場発表会
過去にも行われた発表会だが、この日は開場前特別に時間を設けてのものではなく開場時直後から開催され、より大勢の観客に観戦してもらう事に。
グラップリングマッチ、第1試合には臼井直弥(うすいなおや)が登場、ねわざワールド品川の今来唯夢(こんらいむ)と対戦。上背で今を上回る臼井だったが、グラウンドでせめぎ合ううちに一瞬の腕十字で一本取られ敗退。第2試合では元高田道場・馬場宏幸(ばばひろゆき)がレフェリー姿で臨んだ元U-FILE CAMPてっしー手島と対戦、てっしーの下になるもロープ際でアームロックを極めて一本を奪い勝利。
キッズクラスでは河嶋樹(かわしまいつき)君が登場、先日誕生日を迎え11歳になった河嶋君の相手は"ちっちゃいものくらぶ"コスチュームに身を包んだ田村和宏先生。入場時から河嶋君の眼前で威嚇する田村先生に館内から大きなブーイング、ド根性レフェリーとの掛け合いを目にして肩を震わせながら笑っていた河嶋君だが、いざゴングが鳴ると目つきが変わる。ロックアップからリストの取り合い、田村先生をヘッドロックに捕らえると「絞れ!絞れ!」の声。ロープワークからヘッドシザースホイップ、コーナーに振られるがフェイントで回避、自らロープに走ってクロスボディを決める河嶋君。「素晴らしい!」と握手を求めた田村先生…ガットショットから河嶋君を踏みつけると館内から怒号のようなブーイング。「これがHEAT-UP道場だ!」と我が子を千尋の谷に落とす獅子のように吠える田村先生。コーナーに振られてピンチに陥る河嶋君だが、突っ込んでくる田村先生をキックで迎撃、コーナーに飛び乗ってセカンドロープからダイビング・ボディアタック。先週の御殿場・プロレス合宿を思い起こさせる河嶋君の一撃は見事なフォーム。攻撃をかわしてスクールボーイ、ラ・マヒストラルで丸め込むと館内から拍手が。ロープに走った河嶋君に田村先生がキック…またも怒号のブーイング。バックを取られた河嶋君、持ち上げられるが飛びついてカサドーラで丸め込み、全体重をかけて押さえ込むとド根性レフェリーがカウント3を入れ見事に勝利。ウィナーコールを受けるとリング上で小躍りしながら喜ぶ河嶋君の姿、観客は惜しみない拍手を送った。
プロレスクラス発表会で浅野陽介が初登場。一番若い海和択弥はガウンを含めたフルコスチュームに加え、顔にペイントを施して入場。
先発は等々力と海和、人気のある等々力にヌドを仕掛けて屈辱を味あわせる海和。続けてコウモリ吊りを披露する海和、しかし等々力の回転エビで切り返される。野田と柳、人生のベテラン同士の絡みではまず柳がアームホイップから逆水平、「違うだろー!」と叫んだ野田は国際空手道振興会三段の持ち主、柳の分厚い身体に蹴りを打ち込む。キャッチした柳はボーアンドアロー、館内からやんやの声援。
山本と浅野、浅野のスリーパーを抜け出した山本はコブラツイストからグラウンドコブラ、逆さ押さえ込みで丸め込んでいく。ここから浅野が捕まり、野田の予告付きブレーンバスターを首固めで返すものの、海和は蹴り足を掴んでスクールボーイからマフラーホールドに繋ぐ。等々力のカットで難を逃れるが、今度は柳がSTFで絞り込む。ギブアップしないと見るやキャメルクラッチに移行、ド根性レフェリーの問いに人差し指を立ててギブアップしないの意思を示す浅野。柳の串刺しエルボーをかわした浅野は「舐めんな!」と叫んでド根性ホームラン。交代した等々力、柳に串刺しエルボーからスライディング・ボディアタック、野田との連携で柳の両膝をマットに叩きつける。野田は回転十字固めから「いくぞー!」と叫んで逆エビ固め、カットに遭いギブアップを逃す。
野田の突進をかわした柳はアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げるが顔面を掻きむしられて逃れられる。野田と復活した浅野がツープラトンを狙うが、柳は二人まとめて胴タックルでなぎ倒す。山本に交代、ダメージの大きい浅野を攻めるが、蹴り足を掴んだ浅野がバックに回って山本の股間をすり抜け、そのまま後ろに倒れ込み丸め込む。セコンドに就いていた帯広さやかの目の前でバースを決めてカウント3、発表会初登場の浅野が見事に勝ち名乗りを上げた。
観客の大きな拍手に迎えられ、道場発表会は無事終了。栗平から稲田堤へと道場は移転するが、道場生の魂は引き継がれていくことだろう。
オープニング
今回の新百合ヶ丘では入場ゲートを含む各所に特殊なライト効果が設置され、観る者の視界を刺激し、更に試合が盛り上がっていた。時間の都合上選手入場式がすぐに行われる。選手代表挨拶は田村和宏。
田村「先程HEAT-UP道場生が素晴らしい闘いを魅せてくれました。僕らは…プロです。更に凄い試合を今日魅せてくれると思いますので、皆さん期待して待っててください!本日も応援、宜しくお願いします!!」
第1試合
翔太が2013年にHEAT-UPを退団してから約4年ぶりに真紅のマットへ"一時帰国"。HEAT-UPとチンコプロレス連合軍と言っても良いであろう、峰雄&渡辺&磐城のトリオ。ミスター村杉レフェリーのボディチェックが終わり、両軍握手…と思いきや、最初から互いを意識している渡辺と石島。先発は峰雄と翔太、峰雄のマンハッタンドロップが翔太に、何とも言えない表情で股間を押さえる翔太。ここからみねぴょん時空に誘い込まれるかと思われたが、その後はノーアクション。交代した磐城の足を踏み、背中を引っ掻いた翔太が譲二にタッチ、磐城の背中にWのスレッジハンマー、Wブレーンバスター。「ガッツさん!」コーナーで控える石島を呼び込むとラリアットから「立てコラ!」これに過敏な反応を示したのは渡辺宏志。リング内の攻防お構いなしに両コーナーから舌戦を繰り広げる渡辺と石島。
「何故ガッツ選手が渡辺選手を挑発しているのか、それには理由があるのですが、話すと長いので省略します。多分立ち見の辺りの方…だけしかわかってないですが、説明してもそんなに面白い話じゃないので」と特別解説の須山浩継氏の言葉。
そうこうしているうちにリング内では磐城のスパインバスターが翔太に。磐城が渡辺にタッチ、翔太と譲二を蹴散らした渡辺が遂に石島と相対する。南側中央で観戦する一部の観客から「おおっ」の声が上がる中、渡辺がパンチからサイドを取る。石島は首筋へのエルボーで防御、再度ヘッドロックに捕らえると渡辺のワンハンド・バックブリーカー。巨体の石島を見事に持ち上げてみせた。返す刀で突っ込んでくる翔太をいなしてショルダースルー、ロープに飛ばすが翔太のスインギング・ネックブリーカー。両軍交代、峰雄と石島という局面。出会い頭のドロップキックを見舞う峰雄だが石島は倒れない。もう一発、ロープに振ってカウンターの3発目でマットに倒れる石島。自らロープに走るが石島のパワースラムで迎撃される。
譲二に交代、石島の押さえる峰雄にミサイルキック、串刺しエルボーからランニング・エルボーを叩き込む。フィッシャーマン狙いの譲二、防いだ峰雄はステップ延髄からシャイニング・ウィザード。渡辺のカットは石島めがけて一直線、「なんだコノヤロー!」と激昂する石島。譲二峰雄にスクールボーイ、ステップ延髄をかわしてオクラホマロールと丸め込みを連発、あわやカウント3という所まで追い込む。逆さ押さえ込みを防いだ峰雄、バックの取り合いから磐城を呼び込み、突っ込んだ磐城は譲二にラリアット一閃。峰雄はボディスラムから一気にスワントーンと繋いで譲二を仕留める。
試合が終わっても場外でやり合っている渡辺と石島、果たして両者による次のラウンドは行われるのか、省略されてしまうのか。
<試合後コメント>
ガッツ石島&翔太&大谷譲二
ガッツ「なんだあのひょっとここの野郎お前お前いちいちガタガタ言いやがって。いつでもシングルやったっていいんだぞお前」
翔太「聞いたかHEAT-UP!責任者が渡辺宏志とシングルやってやっからなこの野郎!何発でもなぁ!『立てコラ!』やってやるからなぁ?!
ガッツ「そうだこの野郎!」
翔太「HEAT-UPを世直ししましょう!」
ガッツ「世直しだこの野郎!なぁにが渡辺だ!塾長とか言いやがって!ひょっとこみてぇな顔しやがってこの野郎!」
翔太「世直しだ世直し!」
ガッツ「世直しだこの野郎HEAT-UP覚悟しとけコラ!」
渡辺宏志&藤田峰雄&磐城利樹
峰雄「今日ね、家出てくる前、シャンプーして洗い流さないトリートメントしすぎて髪がサラサラになりすぎて、髪で視界が悪くなってね。そのハンディがあっても勝ちました。余裕ですよ、この二人が居たおかげで余裕でしたよ」
渡辺「しかし、なんですかね。ガッツ石島はどこかで見たことのあるような下品な巨漢レスラーのモノマネばかりして」
峰雄「多分ね、半分……いや、7割位の人はわかってないですよ」
渡辺「後ろで立ち見で見てる人たちしか分かってないとは思うんだけど……もっと大衆受けするネタで来いよ。わかんないよあんなの」
(峰雄が磐城に加勢するよう促す)
磐城「いや、僕は特に……(笑)」
峰雄「今日、彼は福島から来たんでね」
渡辺「この巨体を活かしたパワーファイトでね、今日勝利をつかむことが出来たんでね」
峰雄「最後ラリアットがバチコーンと入ったんでね。ガッツ石島?ターザン後藤?分かんないですけどね。そのラリアットが強烈だったから勝つことが出来ましたね」
第2試合
梅沢菊次郎という男、SMOKEY CRIMINALに入ってからというものはより一層化け物じみたレスラーと化している。HEAT-UPマットでのシングルマッチは意外にも珍しく4月23日の王子で兼平大介とボディスラムマッチで対戦しているのみ。近藤にとって対SMOKEY CRIMINALは避けて通れない道ではあるが、分厚い壁が立ちはだかる。
単独で入場してきた梅沢、近藤が握手を求めるが当然受けず。ゴングと同時に近藤はドロップキックを放つが、多少ステップバックするのみで効いた素振りは全く見せない梅沢。のっしのっしと歩み寄り近藤に額をつけて挑発、これに乗った近藤がタックルを連発するも動じず、モンゴリアンチョップとヘッドバットだけで倒してしまう。尚も突っ込んでいく近藤、その度に倒されていく。仁王立ちする梅沢、逆水平から活路を見出そうとする近藤をあざ笑うかのように立ち尽くし、一発の逆水平でぶっ倒していく。倒れた近藤を踏みつけ、髪の毛を掴んで挑発、逆水平からボディスラム、場内にも響くような「ゴツン」と音のするヘッドバット。気づけば全く汗をかいていない梅沢に対し、近藤の全身からは汗が滴っている。拳を握り、全身に力を込めて立ち上がる近藤、頭の固い梅沢に果敢にもヘッドバットを叩き込んでいくが勿論逆効果。
5分経過、梅沢の張り手に対し顔面を張っていくがこれも梅沢の大きな手でリターン。須山氏も思わず声を上げる程の一発は近藤の脳を震わせたかと思われる程の威力。そろそろ終わりにするぞとロープに振った梅沢はラリアット、かい潜った近藤はカウンターのフライング・ショルダータックルでようやく梅沢の身体をぐらつかせる。すかさず近藤はコーナーに駆け上がりダイビング・ショルダータックル、巨木がようやく倒れる。串刺しエルボーから串刺しドロップキック、勢いのまま担ぎ上げようとする近藤だがそうはさせじと舌なめずりする梅沢が背中へスレッジハンマー。ロープに走る梅沢、近藤は低空ドロップキックで右膝を蹴飛ばす。そして太い脚にド根性デスロック、良い位置で極まりさすがの梅沢も表情を曇らせるがなんとかロープブレーク。
追撃せんとロープに走る近藤、梅沢スパインバスターで動きを止める。子供たちが近藤に声援を送っているが「うるせえオラぁ!」と吠えた梅沢、ランニング・ボディプレスはカウント2。担ぐのはこうやるんだと言わんばかりにアルゼンチン・バックブリーカー、更にそのまま投げっ放すようにバックフリップ。もういいだろうとゆっくりとコーナーに登ってダイビング・セントーンを発射、寸前でかわした近藤はロープに走ってスピア、そのままジャックナイフで固めるとカウント3が入る。セコンドに就いていたてっしーも思わず手を挙げて喜ぶ逆転で近藤が初めてSMOKEY CRIMINALから白星を挙げた。
まさかの敗戦に村杉レフェリーに詰め寄る梅沢、声援を送っていた子供たちを睨みつけるがアクションを起こさずそのまま去っていく。道場生浅野が見せたド根性ホームランは近藤へのエールだったのか、相模原目前に嬉しい勝利を挙げた近藤であった。
<試合後コメント>
梅沢菊次郎
「オイ、オイ、3つ入ってたよな?村杉この野郎お前……どうせお前ら田村から金もらってんだろ?フン、これで終わんねーぞ」
近藤“ド根性”洋史
「ヨッシャアー!やったぞ!やったぞ!梅沢さん、重い!強い!俺の攻撃は殆ど効かなかったけど、ド根性は立ち止まらないんだ!ド根性は、やるんだ!強かろうとデカかろうと、僕は、全部正面でぶつかって、今回!次回も!勝ち切って勝ち切って、強いって言わせてやる!僕は止まらない!相模原大会に向けて前に進むんだ!ド根性ッ!ド根性ッ!ド根性ーーーッ!!」
第3試合
「ことり」の我闘雲舞卒業につき、HEAT-UPのリングに立つのもこれが最後となる。里歩、SUSHIと一緒にリングサイドを周り観客とハイタッチ、リング内でSUSHIダンスを披露。コール時には一番の量が飛び交う紙テープ。アーサは前回の対戦時同様おにぎりを被って入場、試合前の握手時もやたらSUSHIを意識する。ゴング前には三人で寿司握りのまま「エイエイオー!」と勝どきを上げる里歩、「ことり」、SUSHI。
先発はさくらと「ことり」、さくらはコールを煽るがどうしても「ことり」にコールが集中してしまうのは仕方がない所。片手を掴み「いくぞー!」と声を上げ、軽々とコーナーに登ってアームホイップ、「ことり」の定番ムーブだが真紅のHEAT-UPマットでは見納めとなる。里歩と沙紀の攻防の後、もうひとつの注目である"寿司対おにぎり"が再び開戦。アーサが「おにぎり」コールを促すと館内はそれに応えるが、須山氏は「タダでご馳走してもらえるなら寿司でしょう」とSUSHIを支援(?)。おにぎりを被って、と言うよりおにぎりになりきっているアーサ、しかしこの試合唯一の男性であるSUSHIは体格も大きくそれだけで不利。ヘッドロックに捕らえられると脱出するのも難しい。アーサがロープに振る、スポンと抜けてしまうおにぎり…いや、お米と海苔が中の具だけを置いてけぼりにしてしまう。会場内から一斉にブーイング、具であるアーサは泣きそうな表情。
だがSUSHIは"寿司の上におにぎりを被せる"という炭水化物の活断層をリング上で披露。里歩に交代、SUSHIと「ことり」との合体ストレッチ"ここの寿司屋は日本一!"を完成させる。「ことり」の実家が寿司屋であることも告げられる。具だけになっても米への愛は消えず、アーサは里歩に米アタック、米プレスを立て続けに繰り出し劣勢をひっくり返す。さくらもこれに続き、串刺しジャンピング・ニーをキャッチし放り捨てると『さくらえみ70キロ』で突撃。沙紀も相手コーナーに見せつけるようなカンパーナ。
5分経過、反撃のドロップキックをアーサにかわされた里歩、カサドーラからフットスタンプをストマックへ、再びおにぎり対寿司。さすがに体格差があるため正面から突っ込んでも簡単に返されてしまう。沙紀やさくらも応援に駆けつけるが、SUSHIはまさに"ちぎっては投げ"状態。ここでアーサはSUSHIの腕に噛みつき…いや、かじりついてシャリを減らそうとする作戦。更にしっぺ…いや、シャリを叩いて固めていこうとする。しかしまだSUSHIの余裕は消せず、すると沙紀、さくらが入ってきてSUSHIを囲み"かごめかごめ"状態、予想がつかず慌てるSUSHI、三方向に分かれた三人が一斉に米アタック。倒れたSUSHI目掛けて組み体操式米プレスを投下、沙紀と交代。大型のSUSHIをダイヤル固めで回してまさしく"回転SUSHI"状態。だがブレーンバスターで逆に投げ飛ばされ「ことり」へのタッチを許す。"ことりほ"による時間差クロスボディからバードリッジ狙い、踏ん張った沙紀はもう一度ブレーンバスターへ、里歩がカットに入るが二人まとめて投げ飛ばしブロディばりのビッグブーツ。アーサと「ことり」がエルボーのラリー、打ち勝った「ことり」がロープに走るとスッとさくらが入ってきてケブラドーラ・コンヒーロ。これを受けたアーサが「ことり」へのコブラツイスト、絞り込むとさくらと沙紀が相手をカット。拷問コブラ状態まで絞ったアーサだが、なんとか右足をロープに伸ばした「ことり」。
10分経過、アーサのボディスラムを空中で切り返した「ことり」がエビ固め、カウント2。ロープに走るがアーサはカウンターの"空中米絞め落とし"、カウント2。沙紀のリバーススプラッシュ、さくらとアーサの合体米プレスを立て続けに食らうが里歩が懸命のカット。気合を入れてロープに走るアーサ、しかし「ことり」はカウンターの払い腰で叩きつける。里歩とのWダイビング・フットスタンプからSUSHIのダイビング・ヘッドバットに繋ぎ、「ことり」が押さえ込むがさくらがカット。「終わりー!」と両手を広げた「ことり」、二回転するペダル式バードリッジを決めてカウント3。HEAT-UPでの最終試合を自らの手で締めくくった。
勝利した「ことり」はSUSHIポーズで舌を出す。里歩&SUSHIと三人仲良くSUSHIポーズ、最後はSUSHIが「ことり」を肩車して館内の声援に応えた。一番最後にリングを後にした「ことり」、全く湿っぽさのない明るい試合で真紅のマットに別れを告げた。
<試合後コメント>
里歩&「ことり」&SUSHI
里歩「楽しかったです~」
SUSHI「楽しかったねぇ。でも、俺が若干……若干、足を引っ張っていたような……」
ことり「いやいやいや!(笑)」
里歩「勝てたので!(笑)」
ことり「最後の肩車もすごく嬉しかったです!」
里歩「ねーっ!素敵だった!めっちゃ高かった!2mくらいあった!」
SUSHI「だって、「ことり」ちゃんのおじいちゃんが」
ことり「そうなんです。寿司屋なんです」
SUSHI「寿司一家やん!」
ことり「寿司一家なので!(笑)」
里歩「あっ……私仲間はずれ……(笑)最初で最後の“こと里歩SUSHI”が出来たので私は楽しかったです」
ことり「その気持ちも、この中に……(胸を抑えて)」
SUSHI「あっ……もう最後か……」
ことり「そうなんです~」
SUSHI「最後やん!」
ことり「なので心のなかにその気持をしまっておきます」
SUSHI「さみしいね……」
里歩「さみしい~」
ことり「寿司仲間なのに」
SUSHI「まあまあ、年末もこっちに戻って来たくなったらね」
ことり「はい!」
全員「てやんでい!!」
第4試合
負傷により11月5日新木場を欠場した伊東優作だったが、人気の高い阿部史典との煩悩兄弟は全く心配する事無く復活。アラケン&ヒデ入場、後ろに控えるは梅沢菊次郎と…政宗が姿を現した。ところがヒデは政宗の登場に少々ナーバス気味、首を横に振ったりしている。「まあまあ」とアラケンが取り繕うといつものようにリングイン。二人でベルトを踏んづけ、煩悩兄弟を挑発するタッグ王者コンビ。尚この試合よりてっしー手島がレフェリングを再開。政宗の握手に応えないヒデ、追い払うような仕草。アラケンが仲を取り持って試合開始。
グラウンドで「髪を引っ張った」「タイツを掴んだ」とレフェリーにチェックするようアピールし、隙を突いて攻撃に移るという常套手段に出るヒデ。チンロックから額に肘を落としレッグロックへ。切り返した優作が腕十字狙い、キーロックにスイッチ。うつ伏せになって回避したヒデ、マットに優作を叩きつけグラウンドへ、切り返した優作アームロックからヘッドロック。スタンドでのアームロックの攻防、ブリッジを駆使してヒデを叩きつけた優作がグラウンドで絞っていく。ヘッドシザースで返したヒデ、両者離れると館内から拍手が。向かい合う両者、と突然ヒデはコーナーの阿部にツバを吐きかける。「ええ~??」と声を上げ不思議な表情をしている阿部、煩悩兄弟タオルで拭いていた。両軍交代、阿部はロープ際で挨拶代わりのローキックを一発。リング内を回るアラケン、と今度は優作の顔面にツバを吐きかける。ネックロックやスリーパーでしつこく絡みついたアラケン、ロープワークから右膝に低空ドロップキックを見舞った阿部。グラウンド式のドラゴンスクリューからスピニング・レッグロックでアラケンの右足を攻める阿部。
5分経過、煩悩兄弟のWレッグスプレッドから優作がロープを使ってアラケンの足を攻める。ヒデがカットに入ろうとするのをてっしーが止めている間、優作は足に、阿部はアラケンの生え際の髪を摘んで抜いていく。阿部にタッチ、コーナーで足に乗っかっている阿部をトップロープ越しに落としていくアラケン。ここから四人入り乱れての場外戦へ、アラケンが阿部を鉄柱に叩きつけると、ヒデは優作を南側席上段まで連れていき"池田屋階段落ち"攻撃へ。どさくさに紛れて梅沢も乱闘に参加、ヒデは東側席で優作の頭にコーラをぶちまけるという暴挙に。リング内はヒデと阿部、阿部の口や鼻の穴に指を突っ込んで広げていくヒデ。アラケンは優作を攻撃、いつの間にか煩悩兄弟タオルを奪って自軍コーナーへ。ヒデは阿部を場外へ、待ってましたとセコンドの梅沢と政宗が阿部を攻撃する。優作はてっしーのチェックでカットに入れない。理想的なSMOKEY CRIMINALの術中にはまってしまう煩悩兄弟。たっぷりかわいがった阿部をリングに戻す梅沢、待ち構えていたアラケンはコーナーでいたぶっていく。
10分経過、アラケンのアームロックに捕まる阿部、ヒデに逆襲しようとしてもコブラツイストを決められてしまう。優作がカットに入るが、ここでヒデとアラケンが交代、優作を追おうとするヒデを止める中、先程奪った煩悩兄弟タオルで阿部にチョーク攻撃を見舞うアラケン。完全にSMOKEY CRIMINALのペース。アラケン地獄突きからロープへ、阿部のドロップキックをかわして反対側のロープに走るが、もう一発ドロップキックが待っていた。優作にタッチ、ランニング・エルボーを連発する優作、返す刀でヒデもカット、突っ込んでくるアラケンをかわして腹部にソバット。コーナーに振って串刺しニー、カウント2。キックアウトされるとすぐに腕十字へ、苦しむアラケンだが足をロープに伸ばす。
優作は腕へのパンチからロープに走る、アラケンマンハッタンドロップで動きを止め両軍交代。阿部ボディへのパンチからぐるぐるソバット、キチンシンクからランニング・ロー。ロープに走る阿部、アラケン背中に膝を突き立てスタンガン。エプロンで見得を切るアラケン、ロープに走ったヒデをかわした阿部がアラケンに叩きつける。振り向いたヒデにステップ延髄、優作にタッチ。ツープラトンのミドルキックから優作ランニング・ニー、カウント2。優作がヒデを押さえ阿部がコーナーへ、ここでヒデはバック急所蹴り、優作をコーナーに叩きつけると阿部は股間をトップロープに打ち付けてしまう。アラケンに交代、対角線で鉢合わせを狙うが上手くひるがえした煩悩兄弟は両コーナーで串刺し攻撃。アラケンを孤立させ連携からサンドイッチサッカーボールキック、優作フォールに入るがカウント2。煩悩兄弟優勢、須山氏も「あと一発ですね」と後押し。
15分経過、優作の右ハイが阿部に誤爆、アラケンがガウディングからロープに走るが優作のトラースキック、更にバズソーキックを立て続けに食らってダウン。てっしーのカウントが入るが、ここでヒデがてっしーに絡みついて視界を奪う。
梅沢がのっしのっしと場外で動き始めているのを見ていない優作、とどめを刺そうとロープに走るが、梅沢のぶっとい右腕を食らって1回転。両手を広げたアラケン、梅沢のアシスト付きジャンピング・パイルドライバーをグサリ。ヒデがてっしーを開放、全く今までの出来事が見えていなかったてっしーはそのままカウント3を入れた。これには須山氏も「上手いですね~」と賞賛を送る。最初から最後まで煩悩兄弟を手玉に取ったSMOKEY CRIMINALの完勝劇とあいなった。
試合後、アラケンが政宗からベルトを受け取り、ヒデはダメージの大きい優作を場外に放り捨てSMOKEY CRIMINALがリングジャック。マイクを掴むアラケン。
アラケン「おい、おい、ま、見ての通り、え?我々SMOKEY CRIMINAL、見事なまでに、正々堂々と勝ちをぶん取りましたよ(館内からブーイング)。おい、おい、おい、ちょっと一つだけ言わせてくれお前。おい、ヒデちゃん、ヒデちゃん、俺たち一応栄えある初代タッグ王者なのに、アナタ今日ベルト持ってきてませんでしたね(館内笑い)。って言うか前回の王子の時も、ベルト持ってきてませんでしたね。ええ?これはどういう事かと言うと、ねえヒデちゃん、アナタはワタシと同じ、売れっ子だ。ね!前回の時も今日も、明日も試合で、仕事で、ねえ。カバンに2試合分のコスチュームと、ねえそれとベルト入れたら重くて持ってこれねえって。おい、これマジだぞ。って言うかおい!ヒデちゃんがベルト持って来ねえ理由は他にある。おい、こんなベルト、何の価値もねえんだ(ベルトを放り投げる)。おい、おいおい、おい!控室にいるよおいHEAT-UP!所属の人間も、レギュラーで上がってる他団体の人間も聞け!おい、おい、(ヒデと梅沢がベルトを踏んづける、近藤がエプロンに上がる)お前らよお、このベルト、どうするんだよおい!俺とヒデちゃんのタッグチームに対抗できるチーム、相変わらず、え?このベルト新設されてもう半年以上、10ヶ月位経つけどなあ、未だに対抗できる、え?タッグチームが…(近藤が「俺がやるよ!」と身を乗り出す)おい、そう言うの簡単なんだよ。(近藤に向かって)じゃあお前よお、え?お客さんに近藤と誰かが組んでこのベルトに挑戦して、絶対こいつなら俺らからベルトを引剥せるっていうタッグパートナーいるのか?」
ヒデ「(地声で)コイツ大谷(晋二郎)と組んだじゃん」
アラケン「え?ああ。お客さん納得させるだけの、タッグパート…おい!お前ら全員よお、おい最近シングルのリーグ戦やったらそっちに集中したいのわかるけどよお、その時なんにも考えてねえだろ。『俺は誰と組んだらあのベルト手に入れることが出来るのか?』なんにも考えてねえだろ!それがこの現実だ、おい今マジ説教だぞこの野郎オラ!(高笑いする梅沢、館内から笑いと拍手)おい、これたっぷり選手に言いたかったんだけどそれじゃ今しかねえだろうがよお。(ヒデがリング上に横たわる)なんにも考えてねえんだ!おい!どうすん…おい!お客さんに聞くぞおい!改めて聞くぞ!このベルト、俺とヒデちゃんのこのベルト、HEAT-UPの中にこのベルト引剥せるタッグチーム、いるって奴、本気で思ってる奴、拍手してくれ(館内から拍手)。具体的に、じゃ誰がいるんだ?マジでよお、具体的に聞きてえ所だけどよお、ま、(会場)借りてる時間もあるんでねえ、俺ら帰んなきゃいけねえけど、ホントよお…お前ら、考えてくれもうちょっと。考えろよ。考えろよ。ええ?四六時中考えろ。タッグ戦線どうすんのか。(地声で「バカ野郎!」)ま、そういう訳で今日、流石俺らの…確かにね、まあこんな試合になりましたけども、政宗ちゃん、今日プライベートで来てくれて、本当に心強い男ですよ。ありがとうございました。」
政宗とアラケンが握手を交わす。そしてヒデとも…躊躇するヒデ、アラケンが仲介しようとするが距離を取ったままのヒデと政宗。睨みつけるヒデ、改めて握手を求める政宗だが手を握ろうとしない。「仲間だったらツナギ着てこいよ」とアピールするヒデ、アラケンが言葉をかけるがさっさと一人で退場。それを追うような形で退場するアラケン、梅沢、政宗。タッグ戦線に於ける対抗馬も気になる所であるが、SMOKEY CRIMINALにまさかの不協和音が響いているのも見逃してはならない。
<試合後コメント>
新井健一郎&ヒデ久保田&梅沢菊次郎&正宗
アラケン「改めて紹介しましょう、我々の新メンバー、正宗さんだ!」
(ヒデは気に入らないといった様子で正宗にガンを飛ばし、胸を小突いて不機嫌そうに退席。政宗も売られたケンカを買おうとする)
アラケン「ごめんなさいごめんなさい、ヒデちゃん!あとで話しましょ!あとで!(政宗を抑えながらヒデに頭を下げる)……まあまあまあ、全然こんなの何も波風なんか立っていない。一切立っていない。さざ波すら立っていない。まあ、政宗さん!あなたの色を最大限に引き出せるのは我々SMOKYCRIMINALですから。よぉ~く考えてください!」
正宗「アラケンさん……やりますよ!」
アラケン「もうね、何も言わなくても分かり合える。この間も一緒に飲みましたもんね!まあ、そういうわけで、リング上で言ったとおりだ。敬語で言いますわ、もう。ホントにHEAT-UPの皆さん、所属、もしくはレギュラーで上がっている他団体の方、お願いですからタッグチームをもうちょっと考えてください。何も考えてないのがお客さんにもバレてますよ。あんなのはお情けの拍手ですよ。とりあえずHEAT-UPについてるお客さんだから、俺らからベルトを引剥したいですよ。でも、拍手したお客さんの中でも、誰ひとりとして対抗馬となり得るタッグチームは……近藤が来ましたけど、他に誰がいるんですか?実績ありますか?なにもないんです。ということは、このベルトは……お飾りなんですよ(ベルトを床に放り捨てる)」
梅沢「ハッハッハ……!」
アラケン「俺も、持ってくるのやめようかな。ほら、映せ映せ!」(ベルトを何度も足蹴にする)
梅沢「ハーハッハッハ!!」
アラケン「梅沢さんもやっちゃってくださいよ!」
梅沢「ハーハッハッハッハッハ!!」(梅沢も体重をかけてベルトを踏みつける)
アラケン「あー!あー!あー!わざわざアメリカで作ったベルトが!(笑)わざわざ関税かけて輸入した高いこのベルト、足蹴にしてやりましたよ。ここまでしてるんですよ!HEAT-UPの皆さん?!お願いですから、もう今から!今から考えてください。誰と組んだタコのタッグ戦線を盛り上げられるのか!ホントお願いします。じゃないと私、仕事になりませんから。頼みますよ」
正宗「正論。正論だよ」
ヒデ久保田
「なんで政宗は(SMOKY CRIMINALの正装である)ツナギを着てないんだ?カッコつけやがってよ。一番嫌いなんだよそういう奴が!」
阿部史典&伊東優作
阿部「大丈夫?」
伊東「ズルいなぁ……!」
阿部「まずさ、政宗さんとか梅沢さんがいる理由も分かんないけど、まあでも、悔しいね。相手の方が一歩、二歩、上を行かれたってことですね。首大丈夫ですか?優作さん。まだ終わりじゃないですからね。HEAT-UPもまだ何回もあるから……またもっと研究して行きましょう!」
伊東「いや、強いわ……」
第5試合
2014年11月2日、愛知・枇杷島スポーツセンターにてプロレスラーの産声を上げた兼平大介。あれから3年が経過、押しも押されぬHEAT-UPの看板レスラーに成長を遂げた。当日用意されたカードの中にはデビュー戦の相手、長井満也の名前。「俺とやりたいならもっと腕磨いて来い!」と一喝された3年前の苦い思い出。時を越えて再び"腕を磨いた"兼平と長井の対戦が始まる。更にガッツワールドのダイスケが最後のHEAT-UPマット登場、最初で最後の"ダイスケコンビ"が実現した。
後に入場した長井&CHANGO、いきなり兼平は長井に額と額をくっつけてゴンタ顔合戦を仕掛ける。てっしーが間に入って分けるが、ガウンを脱いだ長井と相対すると再びゴンタ顔。ダイスケとCHANGOが互いを分ける形になり、はやる兼平をあざ笑うかのようにCHANGOが先発して試合開始。
兼平のバックを取ったCHANGOは馬乗りになり「(長井と闘うのは)早えんだよ!」と言いながら後頭部を叩く。兼平はCHANGOを相手コーナー側に放り投げるようにボディスラム、タッチが成立し長井がリングイン。ゆっくりとリング内を回る両者、手四つからロックアップ、長井がロープに押し込むとクリーンブレーク。今度は手四つから力比べ、若さと勢いで優勢に立つ兼平、立ち上がった長井はダブルリスト・アームサルト。グラウンドのヘッドロックで兼平を絞めつける長井、兼平が脱出すると離れて睨み合う。親しい子供から「大ちゃんがんばれ~!」の声が響くと長井はそっちに向かって「うるせえぞこの野郎!!」と凄む。これには館内からブーイング、思わずCHANGOが「泣かないでね」となだめる珍しいシーンも。ともあれこの一言で会場全体を敵に回した超ヒール長井満也が新百合で誕生した。
5分が経過して両軍交代、気づけば青コーナーにはガッツ石島や大谷譲二の姿。ダイスケヘッドロック、CHANGOはロープに振ろうとするが髪の毛を掴んで走らせない。変則ロープワークからエルボーを叩き込んでお返しするダイスケ、ボディスラムから兼平にタッチ。腕を極めてストマックへのニー、ボディスラムからクイックタッチ、ダイスケボディスラムからチンロックへ。エルボードロップ連発、カウント2、ロープに固定して逆水平からロープに走る。が、長井がダイスケの背中にキック、CHANGOが顔面に低空ドロップキックを放つとダイスケは場外へ、長井がそれを追い初めてダイスケと絡む事に。CHANGOも兼平を場外へ、場外戦が展開される。
長井はダイスケにミドルキックから鉄柱へのスロー、CHANGOは椅子で兼平の膝を攻める。場外戦で流れが変わった両チーム、ダイスケをリングに戻すとCHANGOがスリングショットギロチン。意外にも長井&CHANGO組が成立していると弥武リングアナが言うと「当たり前だ!誰だと思ってんだこの野郎!!」と反応する長井。大ヒールでありながら館内の拍手を受ける。ダイスケのエルボーとCHANGOのチョップが交錯、ガットショットから髪の毛を掴んで倒しセントーンを放つCHANGO。長井と交代、「Wタックル行こうぜ」と長井が告げて一撃。返す刀でコーナーの兼平にビッグブーツを放つ長井。CHANGOも調子に乗り「おい!誰だと思ってるんだ!!」と本部席に叫ぶ。長井対ダイスケも最初で最後、チンロックから頸動脈クローでダイスケをいたぶる長井。
10分経過、CHANGOと交代した長井はまたもや兼平に突進、バックエルボーで場外へ。CHANGOはゼロ戦キック、ダイスケの両腕を固めるストレッチ技へ。ロープに逃れるダイスケ、長井交代してWブレーンバスター、カウント2。「止めろ止めろ!」とCHANGOに指示を出し、長井は逆片エビ固めへ。CHANGOは兼平をカット、かなりロープまで距離があったが意地でブレークしたダイスケ。ダイスケへの声援にも「ダイスケダイスケうるせえんだ!」と観客に吠える長井。てっしーが長井を抑える、その隙にCHANGOがチョーク攻撃でダイスケを攻める。ローンバトルを強いられたダイスケだが、長井のブレーンバスターをかわしてドロップキック、ようやく兼平にタッチ。兼平は長井のストマックにニー、キチンシンク連発。エルボー合戦から額をくっつけ更にエルボー、兼平逆水平、長井ミドルキックと意地をぶつけ合う。兼平ボディへのニーから虎王、ロープに走るがCHANGOが背中にニーを当ててちょっかい。
15分経過、背中を見せた兼平に長井スレッジハンマーから声援を送る子供たちに「ガキは黙ってろ!」と一喝。場内大ブーイング。負けずに声を出す子供の声に後押しされたか、兼平ボディへのニーからブレーンバスターで投げきる。ロープに走る兼平、長井はガットショットからキャプチュード、CHANGOと交代。シザースキックから長井との連携、CHANGOの延髄斬りから長井の魔界ドライバー、ジャックナイフで固めたCHANGOだがダイスケがカット。
長井はダイスケを場外へ、兼平を寝かせたCHANGOはコーナーに登る。ダイスケが阻止、気づいた兼平は雪崩式を狙うがCHANGOコーナー上でガウディング、スルリと兼平の股間を抜け両膝の裏を蹴りそのままエビ固め、カウント2で返されると変形のキドクラッチ、カウント2。ロープに走るCHANGO、兼平キチンシンクでお返し、コーナーにダイスケが登っておりミサイルキック。Wダイスケ(new)の連携、兼平リフト式虎王からダイスケランニング・エルボー、兼平ボディスラムからダイスケのフロッグ・スプラッシュに繋ぐが長井カット。勝負をダイスケに託した兼平は長井と場外へ、スライディングDをかわしたCHANGOが回転十字固め、カウント2。
トラースキックを避けたダイスケ、フルネルソン・スープレックスを狙うが防がれエルボーからローリング・エルボー、ブロックされてもローリング・ラリアットを決めてCHANGOがダウン。そして真紅のマットでラストとなるスライディングDを完璧に決めて3カウントを奪った。
ジェネレーション・ダイナマイトが鳴り響く中、ダイスケと兼平がウィナーコールを受ける。場外から長井が兼平に歩み寄り何やら叫ぶ。兼平と長井がもみ合うがダイスケが分け、長井はリングを去る。兼平大介にとっての新たな標的長井満也、最初で最後のWダイスケが勝利を喜ぶ間も兼平は鋭い眼光を絶やさなかった。
<試合後コメント>
長井満也&CHANGO
長井「オォイ!CHANGOお前!なにお前あの引退するクソ野郎に負けてんだよ?!」
CHANGO「すいません……」
長井「兼平!三年前よりちょっとは使えるようになってんじゃねぇか!HEAT-UP!アイツと勝負するステージ、もう一回俺に用意しろ!分かったかオイ?!」
CHANGO「あの野郎……ッ!」
長井「お前負けたのに喋ってんじゃねーよ!この野郎!」(長井は荒々しく退席)
CHANGO「……クソッ!ダイスケこの野郎!俺から3つを取るっていう引退試合のプレゼント、受け取ったかこの野郎?精々気持ちいい顔して引退しろこの野郎……!」
ダイスケ&兼平大介
ダイスケ「今日はね、兼平くんと初めて組みました。ありがとうございました!」
兼平「ありがとうございました!」
ダイスケ「ホントに、もう時期的に最初で最後になっちゃうけど、同じ“ダイスケ”として、自分も兼平くんに頑張って欲しいと思っているんで、今日は何かキッカケになったらなと思ってこの試合に臨みました。兼平くんと長井さんがデビュー戦やったときから僕は見てますけど、その頃から比べてホントに体も大きくなったと思いますし、選手としてもすごく立派になってきてると思うんで。ただ、ここぞというときに掴みきれないものがあるから、あと一歩!なにかつかめれば、もっと上のステージに行けると思うんで、これからも頑張ってください!」
兼平「やっぱり、3年振りに長井さんと試合しましたけど、デカくて強くて、ぶつかりがいがある相手ですね。でも、僕もこの3年間で色んな体験して、僕もまだ長井さんに到底及ばない部分もありますけど、僕はまだまだこれからプロレス界で上を目指して頑張っていきますので、今日、もう少しで引退されるダイスケさんとこうしてタッグマッチで組ませて頂ける僕はありがたいです。引退しても、また機会があれば教えてください!」
第6試合
HEAT-UPマットに登場する度に強くなっているノリ・ダ・ファンキーシビレサス。兼平を破り灼熱王の称号を得たノリの前に立ったのは"絶対王者"田村和宏。7度目の防衛戦に向かう"川崎王子"に白と赤の紙テープが宙に舞う。午後8時8分、試合開始のゴングが打ち鳴らされる。
まずグラウンドでノリをコントロールする田村、テレホン・アームロックに行こうとするがノリがヘッドシザースで切り返し、一旦離れる両者。田村スタンディングのアームロックから再びグラウンドへ、狙うはノリの左腕。ノリもヘッドロックで返し、ロープに振られるとショルダータックルで田村を弾き飛ばす。田村は変則ロープワークから人工衛星ヘッドシザース、場外にノリを放り出す。
リングを駆けた田村はスライディングキック、怯んだノリにエプロンを走ってトペ・コンヒーロ。先手を取った田村、リング内にノリを戻すとスリーパー、フェースロック、袈裟固めの状態でノリの首にダメージを与えていく間に5分経過。立ち上がった両者、ノリのチョップが火を噴くと顔をしかめる田村。それでも果敢にチョップ合戦を申し込む。エルボーで怯ませロープに走るが、ノリのドロップキックが待っている。場外に出た両者、東、南、西と場所を変えながらチョップ合戦、乾いたチョップの音が観客の目の前で響く。ノリ優勢、リングに戻るとボディスラムからエルボードロップ、スリーパーからネックロック、ノリの腕力でのネックロックは強烈。リング中央に引きずって首四の字、リバースさせて返した田村はダブルレッグロック、力で返したノリはフェースロック、ここで10分経過。
コーナーを背にした田村、ノリはまたもやチョップ連打。ノリコーナーに振るが田村がカウンターのウルトラタイガードロップ。田村は走り込んでランニング・ロー、ノリこれをキャッチして立ち上がるがその勢いで田村が飛びつき腕十字へ。腕をクラッチして反転するノリ、田村アンドレに移行、右腕をフックして左腕を腕固めで絞っていく。腕力で振りほどき立ち上がろうとするノリ、田村は巻き込んでダブルリストロックへ。極まらないと見るや再び腕十字にスイッチ、ノリの左腕を殺していく。更にアンドレに移行するがノリロープへ。立ち上がろうとするノリの左腕にキックを放つ田村、下からチョップを打ち返すノリだが力が入らない。なおも左腕へのキックを続ける田村、ロープに走るがノリビッグブーツで迎撃。スタンドになったノリはチョップ、徐々に打つ力が戻ってくる。ロープ際で釘付けになった田村にもう一発ビッグブーツ、ラリアットを狙うが田村その腕にアックスボンバー。ヘッドシザースの状態で飛び込み、反対側に降り立つとアックスボンバー、ノリ倒れず。
15分経過、田村はアックスボンバーを叩き込むが倒れないノリ。三発目をダブルチョップで迎え撃ったノリ、両者ダウン。気づけば田村のセコンドには「ことり」の姿も。カウント8で立ち上がった田村、左腕へのキック、低空ドロップキック。コーナーに振る、振り返されて再びウルトラタイガー、ノリ駆け上がった所で撃ち落とす。前回シングルで対戦した際はここから田村の腕攻撃があったが、それをさせまいとノリヘッドバット一閃、セカンドロープからの雪崩式ブレーンバスター。田村の動きが止まる。
コーナーに登るノリ、立ち上がる田村の首筋目掛けてセカンドロープからのギロチンドロップを炸裂させた。ダイナミック過ぎる攻撃に場内がどよめく。追撃の滞空式ブレーンバスター、カウント2。ノリフルネルソンバスターへ、巻き投げで防いだ田村バズソーキック、かわしたノリスクールボーイ、カウント2。逆水平から田村をコーナーに振るノリ、片足キックで迎え撃った田村、ラ・ミスティカは体勢が崩れたが構わずワキ固めへ。左腕へのダブルニードロップ、コーナーに登ってダイビング・Wニードロップ、うつ伏せになったノリに再びアンドレ地獄。動けないノリだが、徐々に身体を起こしていきポイントをずらしていく。両腕を取った田村、膝立ちのノリにこの状態での膝蹴りである秘策のカミゴェ。続けてバズソーキック、先日のダイスケ戦でフォールを奪ったフィニッシュだったがカウント2。
20分経過、会場を煽る田村、立ち上がったノリに掌底コンビネーションからミノルスペシャル、ノリ担ぎ上げて回避、バックを取られた田村だがコーナーに叩きつけ串刺しミドルから串刺しエルボー、離れてスリングブレイド…キャッチしたノリはそのままフルネルソンバスターへ、カウント2。もう一発フルネルソンバスター狙い、回避した田村はスタンドでアームロック、こらえたノリはハーフネルソン・スープレックス、すぐに立った田村アックスボンバー、こちらもすぐに立ったノリ、ラリアットとアックスボンバーの打ち合いに。
田村の一撃をかわしたノリはバックドロップへ、カウント2。館内どよめく。とどめのバックドロップ狙い、首筋にエルボーを落として振りほどいた田村はニーを入れてロープに走る。が、タイツを掴んで引き戻したノリがバックドロップ、ロコモーション式でもう一発、更にダメ押しの一発はタメを作るノリ独特のバックドロップ。
これを食らってはさすがの田村も肩を上げる力は残っていなかった。遂に"絶対王者"田村和宏がユニバーサル王座から陥落した瞬間であった。拍手を送る、歓声を上げる、信じられない表情をする、館内の反応は様々であったが、"川崎王子"の王座陥落は新百合ヶ丘の観客を驚かせた。
エンディング
まさかの王座交代劇、ベルトを受け取ったノリはてっしーのウィナーコールに応える。Hero's Come Back!が大音量で流れ、セコンド陣に田村が抱えられて退場する中、マイクを握ったノリ。
ノリ「HEAT-UP、一生懸命応援していたチビッコたち…すまねえなあ(館内笑いと拍手)。思った感じと違う結果になっちゃって。でもオジさんは別に、悪いことをしに来た訳じゃないんだ(館内爆笑と拍手)。俺は名古屋っていう、関東から離れた…"大都会の田舎"っていう(館内笑い)素敵な街で、俺はコツコツコツコツ、コツコツコツコツ…今デビューして7年目だけど、6年半、誰にも見られず、誰の声も届かず…俺の声なんてのは豊橋超えたらかき消され(館内笑い)、なんとか大津に届けばいいくらいの話さ。東は琵琶湖でかき消され、そんな感じで俺は誰にも声を届けず、コツコツコツコツやってきた。そこに目をつけてくれたのが、ここ、さっきまでのチャンピオン、田村和宏だったんだよ(館内拍手)。
アイツが、アイツがここに呼んでくれなかったら、俺はただただ名古屋で腐って、訳の分かんない、全くよく分かんないベテランとイチャイチャしてたと思う(館内爆笑)。俺も一度…俺も男だ。一度プロレスのリングに上がった以上、どんなとこでもいい、どんな団体でもいい、どんな場所でもいいから一度はトップを見てみたかったよ(館内拍手)。
正直、この前の灼熱王獲った時にはもう…正直、このベルトに対するモチベーションだったり次の闘いのモチベーションは、ちょっと下がってたよ。だけど、田村和宏が…訳の分かんないタイミングで来て(館内笑い)…そう、灼熱王終わった後ね。俺が喋って、ありがとうございましたなんつったら、なんか音楽流れたのにこの辺立ち始めて、ベルト持って闘えなんて言ってきて。わっけわかんねえタイミングで言ってくるなと思って…(館内笑い)でそこでさあ、いいんだよ、そこでマイクのやり取りでも俺は圧勝したんだけど(館内笑いと拍手)、その後ねえ、アイツがコメントで…ラップし始めたんだよ(館内笑い)。箸にも棒にも引っかからねえ酷えやつ(館内笑い)。俺は、アイツと交わるまで6年半かかってここまで来たんだよ。アイツは思いつきのラップをラッパーの目の前でやったんだ(館内爆笑と拍手)。それは話が違うだろ。だったらこのベルト獲って、ラッパーとして叩き潰そうと思ったんだよ(館内拍手)。
だから負けらんねえなあともうひとつ、その誰もいなかった名古屋の場所でも、毎週2~30人はずっと俺の試合を観に来てくれる人がいたんだよ。今でもな。毎週毎週2~30人だ、必ず。そいつ等見て正直俺は思ったよ、こんな不毛なもの見てどうすると(館内爆笑)。毎週毎週だぜ。毎週俺ずっと6年半やってきた。何の結果も出してないよ。でも毎週観に来てくれるんだ。だったらそいつらになんかいいもん観してやりてえじゃねえか!(館内拍手)だから俺はこれ(=ベルト)が欲しくなったんだよ!だから負けられなかったんだよ!だから今日獲れたんだよ!!(館内大きな拍手)胸張って名古屋に帰るよ。初めてだ独りで結果出したの。俺nobodyknows+ってグループやってるけどあれグループだもんね。他に5人いるんだもん(館内笑い)。俺独りの力じゃ無理だ紅白なんて、当たり前。俺独りで出来るわけないよ、みんながいたから出れた。でもプロレスのベルトは違うよ、俺独りで獲ったんだよ(館内拍手)。
最後にひとつ、前チャンピオン田村和宏、これで来年からチャンピオンという重荷を降りて、経営者としてHEAT-UPを…HEAT-UPの経営に専念できるでしょう!(館内爆笑)来年から"川崎炎上"とかなんとか言ってますが、経営者として炎上させてください!俺が新チャンピオンノリ・ダ・ファンキーシビレサスだ!!今日はありがとうございました!!!!(館内大歓声と大きな拍手)」
ベルトを高々と掲げるノリ、最高にカッコイイエンディング…になるはずだったが、プロレスってものはそう上手くいかない。自軍の大将が獲られて黙ってるようではプロレスラーじゃない。リング下にいた兼平大介がすかさずリングに上がり、ベルトを掲げるノリの眼前に立つ。
ノリ「うぉいっ!!(館内爆笑)HEAT-UPはこういう感じかっ!!(館内爆笑)経営者といい、その次といい!今終わっただろ!!まーた上がってきやがって!お前新木場で負けた時それ見とったやろ!おんなじ事やるんかまたー!なんや言うことあるんやったら待ったるからだーっとらんとはよ喋れ!!」
兼平「本当はアナタに灼熱王の決勝戦で負けて、しばらくおとなしくしてようかなって思ってたんですけど、この状況見てここに上がらないようだったらHEAT-UPじゃないでしょ(館内拍手)。そのベルト、懸けて闘うかどうかはアナタに任せますよ。ただ俺はアナタにもう一回挑戦して、リベンジしたい。会場はどこでもいいです。もう一回、俺の…挑戦…受け…て…」
近藤「(兼平の言葉を遮るように)兼平!兼平!!かねひら!!!(リングに上がる)お前さ、灼熱王灼熱王言うてるけどさ、次の試合誰だと思ってる?首かしげんな、もうわかってんだろ?来月の相模原大会のメイン、俺とお前で決勝だよ…決勝じゃねえや、シングルだ。いっつもさお前後楽園でも『俺がベルト挑戦する』、今回も勝手に『挑戦する』、なあ、待て。いいよじゃあだったらさ、次の相模原大会で、挑戦権を懸けて闘おうぜ。どうですかお客さん!(館内歓声と拍手)次の相模原大会のメインは!HEAT-UPのベルト挑戦権を懸けた!一対一の!ガチの!!闘いをやりますよ!…いいな?異存あるか?」
兼平「挑戦権を懸けるかどうかは、ノリさんが決める事だ。」
ノリ「…なんだよこの茶番は!?(館内爆笑)挑戦権だなんだ勝手に来やがって、別に勝手だシングルするのはお前らの勝手だよ。その前にお前らもうちょい緊張感持て!!他団体の奴にベルト持ってかれてんだぞなんだお前決勝だとか訳わからん事ばっか言ってやがって!!もっと伝えろよちゃんと!!お前らもっと緊張感持って来いよ、そんなんじゃ俺は絶対お前らに挑戦権なんて与えねえ(館内拍手)。お前らの団体のベルトだ!名古屋に持って帰られるんだぞ。そこの緊張感わかってるよなこの野郎。」
マイクを投げ捨てるようにしてリングを去った新王者、言葉の最後はイライラを隠せないように歯ぎしりしながら伝えていた。ノリが去る中、しばし呆然とリングに立ち尽くす兼平と近藤。おもむろにマイクを掴む近藤。
近藤「いや確かにノリさんの言う通りだ。ただ僕は!気持ちで、全力でプロレスやってるんですよ。どの会場でも、ゲリラプロレスでも、新百合ヶ丘でも、王子でも後楽園でも、毎回毎回全力でやってるんですよ。そりゃマイクじゃ勝てないですよ。マイクじゃ勝てない。ただ僕は!プロレスで勝ちたいんですよあの人に!そして兼平に。さっきも新井さんに言われましたよ。確かに言う通りですよ。僕がベルトに挑戦、いきって言いましたよ。たしかに僕じゃ弱いかも知れないですよ。ただ!僕は常に全力でやってるんですよ。(「結果出せ!の声)結果出しますよ、結果を。(「じゃんけんで決めろよ!」の声、場内笑い)じゃんけんじゃ決めないです、プロレスで決めますよ。知ってる人も多いかと思いますが僕は、(デビュー前の)公開練習をやった時に、練習ついていかれなくて、基礎体ついていかれなくて、もう笑われて笑われて、最初から見てる皆さんは『もうコイツ絶対ダメだろうな』って思われてた、そりゃ知ってますよ。ただ!僕は真剣にやってるんですよ。そりゃ言葉間違えますよ、すぐ頭バーッってなりますよ、あたふたしますよ、リング上でモタモタしますよ。ただ!全力でプロレスやってるんですよ!(少々間を置いて館内から拍手)僕は自分を変えたくて、田村さん凄えと思ってプロレス凄えと思って、何もないとこから始めてるんですよ。今更恥もクソもないっすよ。だから僕の生き様を、来月の相模原で見て欲しいんですよ。そして!まずは!兼平とやる、ノリさんに言いたい放題言われてるから、僕が(兼平に)勝ってノリさんを潰す。来年HEAT-UPはもっとデカくなる、アラケンとヒデが持ってるベルト、俺が獲ってやるよ!(館内拍手)実力ねえよ!わかってるよ!だが今日だって、梅沢菊次郎に!俺は弱いよ、でも勝った!一生懸命やってるんだよ!!強いのが勝つんじゃない!俺がとにかく勝つんだ!今のまま、このまま、ありのままで勝つんだ!とにかく俺を全員見ろ!!(マイクを叩きつける)」
スイッチの入った近藤に対し、兼平はこう答えた。
兼平「まあ近藤さんの凱旋興行、せっかく所属同士だからハッピーエンドで終わらせようかと思ってたんですけど…気が変わりました。ボッコボコにして、血祭りにあげてやるよ、以上(館内の拍手に送られる中去っていく)。」
近藤「上等だ、やってやるよ。皆さんいいっすか?僕は本当に全力でやってるんですよ。だから全力で来る兼平に、全力で勝ちます!!(館内拍手)ド根性ーっ!!…とにかく来年、来年に向けて、そして未来に向けて、ド根性だけでなくHEAT-UP全員で、全員で熱くヒートアップするんで、応援お願いします!!(館内拍手)」
激昂する感情のまままくし立てた近藤に対し、兼平は冷静沈着でありながら静かな蒼い炎を燃やしていたようであった。これでHEAT-UPの至宝は全て流出してしまった現実、近藤と兼平に懸かったものは想像を遥かに超える大きさ。"川崎炎上"を掲げたHEAT-UPの明日はどうなる!?ひとつの答えが出るのは12.17相模原になる。
<試合後コメント>
田村和宏
「いやぁ……やっちまいましたね……。やっぱ、紅白出てる彼の勢いに乗らせたときの底力っていうのは、やっぱりたどり着けないところにたどり着いた人の強みというか……。大きな武器かなと。これで俺、来年『川崎炎上』って掲げてたけど、2017年、下半期に来てHEAT-UPが炎上しちゃったよ……。でも、こっからだ!炎上の序曲が!今!燃えたばっかりだ!面白いんじゃないの?2018年も炎上するための!着火が!今!始まった……!どうなるか、俺次第だ。面白くなってきたね。炎上させます!ありがとうございました!」
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス
「っしゃあ!やったぜ!……やったぜ!チャンピオンだってよ!名古屋のみんな!これであの……この間トロフィー重たくて持って帰れなかったから、今回ちゃんとこのベルト持って帰って、俺がちゃんと勝ったことをみんなと……なにしよう。キツかった……ダテに6回も防衛してねーな、チャンピオン。俺が何回防衛できるか知らねーけど、今リングで喋ってるド根性、兼平、両方に俺は勝ってんだよ。この間の決勝でも俺は兼平に勝ってんだよ。そんな簡単に挑戦できるのか?俺はここに来るまで6年半かかってんだよ。一回のチャンスでっ両方共モノにしたからな、灼熱王とチャンピオン!その辺履き違えんなよ。あと、アイツらに言っとけ。自分たちの団体のベルト獲られてんだぞ?あんなゆるい感じでいいのかよ。もっと緊張感持てよ。だから負けるんだ!次の相手は誰でもいい。俺が指名したっていいよ。俺の勝手なこと言ってやる。名古屋のスポルティーバで防衛戦やってやるよ!名古屋のみんな、待っとけ!今日はありがとうございました!」