6・19 HEAT-UP王子大会 岩本vs兼平 CHANGOvs川村 石田vs風戸 アラケンvs近藤
『ハレルヤ・ハリケーン2016~who is Raining Men~』
日時:2016年6月19日(日) 開場12:00/試合開始12:30
会場:東京・王子BASEMENT MON☆STAR
観衆:97名
▼"HEAT-UPユニバーサル王座次期挑戦者決定トーナメント1回戦" シングルマッチ20分1本勝負
○新井健一郎(DRAGON GATE)
9分13秒 突き飛ばしから強引に丸め込んで→エビ固め
●近藤"ド根性"洋史
▼"HEAT-UPユニバーサル王座次期挑戦者決定トーナメント1回戦" シングルマッチ20分1本勝負
○石田慎也(スポルティーバ)
12分10秒 △(デルタ)ドライブ→片エビ固め
●風戸大智(BASARA)
▼"王子梅雨明け宣言!~パワフルハレルヤハリケーン2016~" 6人タッグマッチ30分1本勝負
田村和宏/○藤田峰雄/渡辺宏志
12分58秒 スワントーンボム→片エビ固め
田中稔(WRESTLE-1)/藤原ライオン/●阿部史典(スポルティーバ)
▼"HEAT-UPユニバーサル王座次期挑戦者決定トーナメント1回戦" シングルマッチ20分1本勝負
○CHANGO
13分38秒 ロープを使った急所攻撃→横入り式エビ固め
●川村亮(パンクラスism)
▼"HEAT-UPユニバーサル王座次期挑戦者決定トーナメント1回戦" シングルマッチ20分1本勝負
○岩本煌史(スポルティーバ)
18分21秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド
●兼平大介
次期挑戦者決定トーナメント、準決勝に駒を進めたのは「元無宿」の三人と岩本!復活した宏志塾に何故か参加したアラケン、新宿FACEにて練習生飯塚優のデビューが決定!!
▼オープニング
復活した渡辺宏志による「宏志塾」。かつて近藤や兼平も参加していた肉体と精神を鍛錬する場である。リング上には渡辺と練習生3人…ここまではいつもと変わらないが、この日の宏志塾には誰もが目を疑う光景があった。何と新井健一郎がリング上で汗を流しているのである。しかもプッシュアップバーを使っているという…思わずカメラを向ける観客、トーナメントにエントリーしている各選手が現れ不思議そうな表情をしていく。そんなリング外の異変にも全く動じず、ゴッチ式トレーニングを続けていくリング内の5人。
終了の時間となり、締めの言葉を伝える渡辺。と、練習生の一人である飯塚優(いいづかゆう)を呼び寄せる。
渡辺「ええ、練習生飯塚優ですが、次回7月21日新宿FACE大会で、デビューが決まりました!」
会場内から「おおっ」という声と拍手が湧き上がる。HEAT-UP生え抜き3人目のレスラーが産声を上げた瞬間である。渡辺は飯塚に対しこう続ける。
渡辺「実際に試合をするのは、練習の3倍疲れることだと思って欲しい。デビューが決まった今が一番大変だぞ。耐えられるか?」
飯塚「はい!!」
渡辺「よし、頑張れ!!」
館内のあちこちから「おめでとう!」という声が響く。昨年1月に練習生として入団してから1年半、いよいよ『現役大学生レスラー』の誕生となる。そんな飯塚や他の練習生に握手を求めるアラケン。この光景を見た田村和宏が我慢できずエプロンに上がる。しかし渡辺は田村にこう答えた。
渡辺「宏志塾は来るもの拒まずだ。志が同じ所にあれば、俺は誰であろうと導くぞ!」
納得できないような表情をして引き下がる田村。渡辺と練習生が去った後もコーナーで座っているアラケン。そのままてっしー&やぶちんのインフォメーションコーナーに突入する。
どうしてもコーナーのアラケンが気になってしまうてっしー。無宿時代に散々な目に逢わされている事が脳裏に浮かんだのか。恒例となっているてっしーの一発芸は「新井さんのために捧げます」と目前で披露したものの…
新井「今日の試合で怪我したらお前のせいだからな。」
大やけどを負ってしまったてっしー。よって、一発芸の内容は彼の名誉に関わることになるため、省略させていただきます。
選手入場式の際もアラケンはコーナーで念入りにストレッチを行っている。兼平の代表挨拶、全選手が退場してもアラケンはリング上に…
▼第1試合
アラケンの行動に対し、もう一人気にしていた男。それが対戦相手である近藤であった。いつもの黒いツナギではなく、トレーニングウェア。しかも上半身を脱いでいるというコスチュームで試合に臨むアラケン。
のらりくらりとしながら近藤のやる気を削ぐようなアラケン。それに対し近藤はスクワットで筋肉疲労を起こしていると思われる下半身を攻める。一発のローキックであからさまに嫌な顔をするアラケン。片足タックルからアキレス腱固めに移行する近藤。しかしアラケンにとって寝技はお手の物。近藤が攻めていると思われた次の瞬間横十字固めで丸め込んでいる。
ならばとタックルでぶっ飛ばす近藤、調子に乗った所でアラケンはマンハッタンドロップから一気にパイルドライバーの体勢に。しかし筋肉疲労を起こしていたアラケンの大腿部に激痛が走り、パイルは未遂に。
アラケンのペースは崩れない。今度は近藤の腕を攻めていく。しかも反則スレスレな「3本以上の指を極めながら」同時に腕を極める。立ち上がった近藤にアラケンはコブラツイスト、フィンガーロックのおまけつき。腰投げで跳ね除けた近藤はド根性デスロックへ。さすがにこれはまずいと感じたアラケンはステップオーバーする前にロープに逃げる。
ジャンピング・ブレーンバスターから今度こそド根性デスロック。絞る近藤だがアラケンロープへ。串刺しエルボーからロープに飛んでラリアット…当たらずに前のめりに倒れるアラケン。ダウンカウントが数えられるが、近藤はアラケンを引きずり起こそうとする。ところがこれはアラケンの「死んだふり」。首固めで丸め込んでいくがカウント2で返される。
近藤が拳を握り締めるとアラケン「待った!」とコーナーに後ずさり握手を求めていく。手を握った近藤、離さないアラケン。引き剥がそうと腰を入れて引っ張る近藤、これが仇となった。パッとアラケンが手を離すと、大きく後ろに吹っ飛んでいく近藤。そこに全体重をかけてエビ固めで丸め込んでカウント3。
真正面から突っ込んでくる近藤を上手くいなして勝利し、トーナメント準決勝に駒を進めたアラケン。試合後突っかかってくる近藤に頭を指差して「ここの差だよ」と小馬鹿にする。かと思えば四方に礼をしてリングを去ったアラケン。近藤だけでなくこの日の観客すらも手玉にとったようである。
▼第2試合
おそらくこの両者のシングル対決は初めてと思われる。元気に握手を求める風戸に対し、石田は「やれやれ」と言うような表情でこれに応える。ファーストヒットは石田のドロップキック。風戸は石田の突進をかわし、エプロンから胸板へのニーを叩き込みリバースのスタンガン。スタンディングでのネックロックからフライングメイヤー、腕を極めながらチンロック。エルボーからボディスラムで叩きつけると場内にアピールする風戸、石田の得意とする「BOOM BOOM」エルボーを放つがこれは自爆に。
風戸の攻勢は続く。ボディへのエルボーからカウンターのバックハンドエルボー、串刺しバックハンドエルボーからコーナーに石田を座らせて変形のネックブリーカー。そして左肩と首を極めブリッジを効かせて絞り上げる風戸。ロープに手を伸ばして脱出した石田、今度はリング中央で石田を担ぎ上げた風戸だが脱出されフラップジャックを食らう。ボディスラムから正調「BOOM BOOM」エルボーを叩き込む石田、スリーパーで風戸を絞めあげる。追い込まれた風戸だったが、セコンドの近藤"ド根性"洋史の声に助けられてなんとかロープに。
一気に△(デルタ)ドライブで勝負を決めようとした石田だが、抜け出した風戸は変形のココナッツクラッシュ。続いて石田を担ぎ上げ、旋回式のフェースバスター。大きく両手を広げた風戸、丸め込んでフォールを狙うがカウント2。そこから変形のストレッチプラムで絞り上げた風戸、脱出を試みる石田の左肩にエルボーを叩き込んでもう一度絞っていく。しかし石田は上手く身体を預けて風戸を押さえ込んでいく。カウント2。
トラースキックで劣勢を覆そうとした石田、だが風戸がキャッチしてアックスボンバーへ。拳を握り締め場内にアピール、爆発的なアックスボンバーを狙うが、石田はカウンターのトラースキックで打ち落とす。ダウンする風戸、大きく首を掻っ切るポーズから石田の△(デルタ)ドライブ。真っ逆さまに首からマットに突き刺さった風戸、カバーを跳ね除ける力は残っていなかった。
「無宿ができなかったことを僕がやる」長髪をかきあげた石田の表情は、野望に一歩近づいた会心の笑み。次の相手は岩本か、兼平か。どちらでもいい。
▼第3試合
田村和宏がメインではなく第3試合に出場というのは、旗揚げ以来初めての出来事。藤原ライオン初登場、田村と稔王子で二度目の対戦、負傷から戻ってきた藤田峰雄の登場と豪華なラインナップ。
渡辺が握手を求める。阿部とライオンは応じるが稔はすかす。先発は田村と稔、ここで稔はコーナーで控える渡辺に握手を求め田村のやる気をすかす。そんな稔に開始直後からソバットをぶち込んだ田村、「ミノルスペシャルいくぞー!」とアピールするがそうはさせない稔。逆にアームドラッグからドロップキックを見舞っていく稔、ライオンとのダブルミドルキックを田村にブチ込む。
田村とライオンの初対決、ライオンのエルボーに田村はチョップで反撃。コーナーへの突進をかわした田村だが、ライオンは冷静に膝への低空ドロップキックから顔面をこするようにもう一発。
両軍交代し、阿部を担ぎ上げた渡辺は自軍コーナー最上段に座らせる。峰雄の快気祝いの生贄をセットアップし、いよいよ峰雄登場…しかし阿部に襲いかからない峰雄、普通に握手を交わす。
阿部へのマンハッタンドロップから、みねぴょん祭りが開始される。ワンハンドからジャイアントバックブリーカーを阿部に決め、右手は首に、左手は急所に。確かに膝を支点にするので効果的な手の置き方なのだが、峰雄の左手がショートスパッツの中で丸ごと生掴みしようとするとてっしーがチェックに入る。
「みんなこれを見に来てるんだから!」と更に阿部を陵辱にかかる峰雄、てっしーが両者を引き剥がすと阿部は股間を天に突き出したブリッジ。
峰雄「プロレスでちんちん触ったって違法じゃないでしょ!」
てっしー「法律に触れていると真摯に受け止めて!」
峰雄「じゃあ厳しい第三者の目で調べてもらわないと!(観客に)どうですか?アリかナシか…どっちですか?(明確な返答が出来ない観客に苛立ち)じゃあ弥武さん!」
弥武「はい。」
峰雄「実況でどっちですか?」
弥武「え~、股間攻撃はプロレスに於いて必要でもあるので、認められます!」
その言葉を聞いた瞬間、レベルメーターがMAXとなった峰雄。阿部の急所にかじりつくと、今までのキャリアで受けたことのない痛みなのだろうか、唇を尖らせてまさしく『潮吹き面』になってしまった阿部。てっしーが強引に引き剥がして5分経過。
渡辺との出会い頭でドロップキックを食らったライオンだが、サッカーボールキックやPK、ミドルと蹴りまくってお返し。蹴りをキャッチした渡辺はキャプチュードで放り投げる。カウンターの逆水平をランニングネックブリーカーで反撃するライオン。田村と阿部、ドロップキックからサッカーボールキックで攻める阿部、カウンターのウルトラタイガードロップでお返しする田村。
峰雄は阿部にコーナーからクロスボディ、蹴りをキャッチさせて延髄斬り。負けじと阿部はオーバーヘッドキック、フォールを返されてもすぐにワキ固め。田村と渡辺がカットに入るが、稔が田村に膝十字、ライオンは渡辺にコブラツイストと逆カット。肘にパンチを放ってギブアップを迫る阿部、何とかロープに手を伸ばす峰雄。
稔→ライオン→阿部の順で峰雄にハイキックを次々に叩き込み、g2sを狙って担ぎ上げた阿部。背後に降り立った峰雄はてっしーに阿部をぶつけ、振り向いた阿部に正面から急所攻撃!みねぴょんタイムパートⅡが始まる。稔へは蹴り上げ急所、ライオンを押さえた田村に誤爆急所、ライオンには稔の蹴り足を急所にぶつけ、「よくも稔さんを~!」と怒った阿部の頭を稔の股間に、そんな峰雄も阿部に思い切り急所を蹴り上げられる。気づいたてっしーもリングインの際峰雄が不用意に上げたロープに急所を打ち付けてしまい、リング内は股間を押さえてのたうち回る野郎共の巣窟に。
「お前らいつまで遊んでるんだー!!ちゃんと試合しろ!!」とHEAT-UPの良心である渡辺が激怒。阿部をワンハンド・バックブリーカーで打ち付けてコーナー最上段に。拳を握って「よーし、いくぞー!」と見栄を切る渡辺…稔とライオンがよろけてロープを揺らすと、哀れ渡辺のヒロシがトップロープに直撃。遂に魔窟となったリング内、いつの間にかコーナーに上がっていた峰雄が阿部にスワントーンで降下してカウント3。試合が終わってどっちが勝ってどっちが負けたのか判別できない光景がリング内に展開されていた。
急所の痛み…なのか、恍惚の表情となっている藤田峰雄。時折なんとも表現しづらいような吐息をマイクに向かって放っている。
藤田「田村さん、そしてHEAT-UPファンの皆さん。先月は自分の怪我による急な欠場をしてしまってすいませんでした。改めまして、HEAT-UPにちんちんの人が帰ってまいりましたー!!(館内何故か歓声、一部の観客からお下品な笑い声)
ところで…ところで田村さん、自分が休んだ間に、その田村さんが持ってる金金なベルトへの挑戦者が続々と現れて、『田村包囲網』凄いことになってますね。田村さんには先月休んでしまった借りがあるので…自分はひとつ考えたことがあります。HEAT-UPに田村さんのことを守る軍団を作りたいと思います!軍団名は…『セイキ軍』です!(館内歓声から笑いに)…(地声で)全日本プロレスに『聖鬼軍』ってありましたよね。」
田村「ああ~、助かりますわ~、それ!(館内笑い)」
藤田「あなたのこと、今、トーナメントで争って狙ってる人間がうじゃうじゃいます。その『セイキ軍』で田村さんの『セイキ』をずっと守ってイキたいと思っています!!(またもや館内の一部からお下品な笑い声)」
田村「お願いします!『正規軍』!!」
藤田「正直、メンバー私しかいません。でも次、7月21日、HEAT-UP新宿FACE大会ありますよね。その時までに新メンバー必ず用意します!」
田村「いや、みねぴょんさん。心強いですね。是非新宿FACE大会までにいっぱい集めて、僕を守ってください!よろしくお願いします!!」
取り残されてしまった渡辺宏志の表情が、このやり取りの結末に嵐が来る事を予測していたのかも知れない…
▼第4試合
パンクラシスト対破天荒ルチャ、全く試合展開が予想できない試合。本部席には解説で田村和宏が就く。距離を取って様子を伺うCHANGO、川村は予想以上のスピードでCHANGOを捕まえ腕を極めていく。フェースロックを引き剥がしてロープに飛ばすCHANGOだが、返ってこない川村。突進する川村を場外に放り出そうとするが、逆にキックを食らってしまうCHANGO。解説の田村が「こうなるとCHANGOに勝ち目がない」とバッサリ。
尚も川村は袈裟固め、後頭部へのマウントパンチからフェースロックと攻め立てる。顔面を掻きむしって逃れたCHANGOは場外へ、エプロンにパイプ椅子をセットするCHANGOに苛立つ川村はロープ越しに蹴りを放つが、これがCHANGOの狙い。蹴り足をキャッチしてパイプ椅子で挟み込むともう一脚で一撃、場外戦に引きずり込んでスタンディングレッグクラッチ。リング内に戻ってもロープを使って川村の右足を攻撃するCHANGO。
リング中央に川村をうつ伏せにしたCHANGOはロメロスペシャルを狙う。川村が抵抗すると、クラッチしていた両足でジャンプ。ダブルニークラッシャーという今まで食らったことの無い技に川村は悶絶。そこから「U系殺し」の足四の字固めを繰り出すCHANGO、もがき苦しむ川村だがロープに逃げる。
執拗に右足を攻めるCHANGO、ダメージを負った足で膝蹴りを放つ川村。キャッチされるが左足でハイキックを放ち、串刺しパンチを放って劣勢を挽回する川村。サッカーボールキックから走り込んで首落とし、CHANGOが逃れると腕十字から三角絞めに移行する川村。痛む右足でミドルを放つ川村、逆水平で対抗するCHANGO。川村は重いミドルでぶっ倒してフォール、カウント2で返されると再び走り込んで首落としからフロントチョークへ。
場外に逃れるCHANGO、追ってきた川村を場外戦に誘い込む。エプロンを使ったフェースバスターからリング内を駆けてトペ・コンヒーロ、場外カウントが進む中川村の足を掴んで離さないCHANGO。カウント15で場外ドラゴンスクリューを放ちすぐにリングイン。川村はカウント19ギリギリで滑り込む。
リングに戻るとCHANGOは丸め込み技を連発してフォールを狙う。首固めを踏ん張った川村は右フック一閃、コーナーに追い詰めるがキックをかわされてしまう。CHANGOはセカンドロープを使って急所攻撃、悶絶する川村をスクールボーイで丸め込む。レフェリーの死角をついてサードロープに足をかけ、体重をかけて押さえ込むとカウント3が入る。破天荒ルチャがプロレスでパンクラシストを破り準決勝進出を果たした。
▼第5試合
田村和宏から託されたメインイベント、立つのは岩本煌史と兼平大介という二人の若者たち。探りなぞいらない、最初からガッチリと組み合う両者。まずは兼平がショルダータックルで倒して先制、場外にエスケープした岩本。戻り際に兼平のニーがボディを襲い、フライングメイヤーからスリーパーへ。後頭部にエルボーを落とした兼平、ロープに走って再び後頭部にエルボースマッシュ。チンロックからアームロック、ヘッドシザースと関節と絞めを交互に繰り出す。解説の田村も「こういう攻めは嫌なんですよ」と一言。
カウンターのスリーパーで反撃を開始する岩本。サーフボードからキャメルクラッチ、スタンディングのネックロック。首筋にニーを落とし、ハンマーブローも首狙い。反撃しようとする兼平をエルボーで黙らせ、ロープに固定して逆水平を連打。
スクープスラムで反撃する兼平、マウント掌底で追い打ちしてロープに走る。バックエルボーを打ち返す岩本、同じくマウント掌底を放っていく。しかしこれは兼平の誘い、上手くボディバランスを取って腕十字へ。スタンドに戻りブレーンバスターの体勢で持ち上げた兼平は無造作に前方へ投げ捨てる。
コーナーで岩本が立ち上がるのを待ってジョンウー、串刺しエルボーからフラップジャック。バックを取ってジャーマンを狙う兼平、サムソンクラッチで丸め込む岩本、カウント2。ロープワークを制した岩本がSTO、ロープに固定した兼平の背中にニーを叩き込んでネックスクリュー。
兼平を担ぎ上げた岩本、背後に降り立ってかわした兼平に孤高の芸術を狙うが踏ん張られる。ロープに走った兼平をコブラツイストで捕獲、グイグイ絞り上げるがギブアップは奪えず。再度担ぎ上げようとする岩本、兼平はフロントネックロックでお返し。ランニングニーをキャッチされるが、すかさずフロントネックロック。どうにか体勢を入れ替えた岩本、再び孤高の芸術を狙うが兼平は大きな弧を描いたバックドロップ。ガッチリ押さえ込むがカウント2。
勝機を見出したのか、ランニングニーを放つ兼平。キャッチした岩本はネックブロックからブレーンバスター。今度は岩本がジャーマン狙い、踏ん張る兼平。ロープに走る兼平、岩本はアストロブラスターからキチンシンク、ラリアット。「終わりだ」と両手を広げた岩本、ドクターボムの体勢へ。兼平踏ん張ってバックを取るが、読んでいたのか岩本が孤高の芸術。
残り時間が少なくなってくる。岩本は変則ロープワークから再びコブラツイスト。スタミナをロスした兼平はぐったりとする。こうなると岩本は波状攻撃、ハリケーンドライバーからガッチリ押さえ込むがカウント2。ロープにもたれかかるように立ち上がる兼平のバックを取った岩本は一気にジャーマンへ。残り2分弱で勝負を決めた岩本煌史が準決勝に駒を進めた。HEAT-UP勢は二人共1回戦で敗退してしまう結果に。
▼エンディング
てっしーのウィナーコールを受ける岩本。ふと岩本の視線がある方に向く。リング上には石田の姿が。反対側のニュートラルコーナーにはアラケンがどっかりと腰を下ろしている。更にCHANGOもスルスルッと現れマイクを握る。
CHANGO「オイ、トーナメントなんかやめようぜ。嫌だって言ってんだよ最初っから俺は!オイ、始まっちゃったよ。始まっちゃったよ。しかも1回戦勝っちまったよこの野郎!でもなあ…新井さん…何やってたんすか、最初。渡辺宏志とスクワットなんかやって。でも、でもさ、俺は今アンタが何を考えてるのか全くわかんねえけど…あなたに対する尊敬の気持ちはなんにも変わってないっす。俺はプロレス界に入って、初めにアンタにいっちばん大事なもの教わったんで。新宿FACE、シングルマッチよろしくお願いします」
アラケン「はあ…ま、お前(=岩本)の試合(地下一階を指差し)、あそこで見させてもらって、一つわかったことがある。おめえなかなかの人気もんだなオイ。まあいいや、今日ここにいる四人、勝ち上がって…オイ、まあ一人お前がいるけども、このメンバー見てもらったら、無宿を解散させた甲斐があったってもんだ。そしてこのトーナメントが終わった頃には、無宿を解散させた意義をはっきり見出す事だろう。オイ、この感じで行ったらトーナメント決勝は…俺と石田ちゃんのシングルになるのかなあ?オイ、まあいいや。何であろうとオイ!チャンピオンの田村さんよお、聞いとけオイ!俺は今日オープニングで恥をさらしたかも知れねえけどな、これからも俺は、お前の反対側にきっちりと立って、お前を追い詰めてお前からベルトをひっぺがしてやるからなオイ。ちょっとだけ俺は表現方法を変えてみたんだよな。勘違いするんじゃねえぞ!お前の!オイ、ベルトひっぺがすのは…この俺だ。オイ、覚えとけ」
何も言わずにリングを去る石田。するとどこからともなく藤田峰雄が現れる。
藤田「兼平選手、今、時間大丈夫ですか?(館内笑い)自分HEAT-UPに新しい軍団、『セイキ軍』ってのを作ろうと思ってるんですけども…兼平選手、顔もかっこいいし、怖くないし、(兼平の身体をさすりながら)いい身体してるし…ここはひとつ、自分と『セイキ軍』、HEAT-UPの未来のために、やっていかないっすか?」
兼平「(館内笑いの中マイクを渡されて)…すいません僕、あの…そっちの『セイキ』には興味ないですから…(館内笑い)僕は今日、本気で岩本さんに挑んで、ベルトを目指していたんですけど負けちゃって、僕はまた一人で戦っていきたいと思っています。なので…すいません今回はお断りさせていただきます」
藤田「(速攻で攻める方向を変えて)…岩本選手(館内笑い)、HEAT-UPを盛り上げるために…」
岩本「(手で大きなバツ印を作って拒否)」
藤田「7月の…新宿ま…」
突如川村亮がリングに入ってきてマイクを奪う。
川村「藤田峰雄、ちんちん噛んだり、ちんちん蹴ったり、HEAT-UPの秩序が乱れてるんだよ。藤田峰雄、お前が本気で『正規軍』としてHEAT-UPの秩序を守っていくんだったら、俺と一緒にやろう!」
藤田「(地声で)HEAT-UPを正しい道に…」
ガッチリと握手を交わす藤田と川村。館内からは拍手が沸き起こる。
藤田「よし!じゃとりあえず、今ね、川村さんが『セイキ軍』一緒にやろうって言ってくれたんで、7月のHEAT-UP新宿大会、とりあえず、『セイキ軍』のメンバー、川村亮決定しましたー!!(館内拍手)…さよなら。」
場の空気を読んだのか、一目散に退散する藤田と川村。取り残されてしまう岩本煌史…
岩本「…俺らメインやったのに…あっちからこっちからゾロゾロゾロゾロと、あん?残ったベスト4の残り3人ね、元無宿…なんだかんだでしぶとい相手だしね、次デビューからずっと一緒にやってる石田慎也、HEAT-UPでも、無宿とたもと分かって、挑戦者決定トーナメント参戦した時も、『俺にいいとこ取らせない』って出てきたけど、いいとこ取り損ねてるのはおめえだってこと新宿でわからせたるわ。決勝はどっちでもいいっすわもう。目指すとこは一つしかないんでね。兼平、1回戦お前で良かった、ありがとう。正直ここまでキツい試合は最近記憶になかった位…キツかった…お前伸び代ハンパねーわ。また…すぐはちょっとしんどいから、期間開けてまたやろう。よっし、8月31日、新百合ケ丘。田村さん、待っててください。俺が必ずあなたの前に立ちます」
田村「岩本、俺は誰が来ても負ける気が全然しない。俺は必ず勝って、とどろきアリーナ向かうからな。おい、岩本。お前が本当にチャンピオンになりたいんだったら、最後勝つだけじゃなくて、大会を締めろー!(館内笑い)それができて、本当のチャンピオンなんだー!」
岩本「ちょちょちょ、ちょっと待ってください」
田村「できんのかお前にー!」
岩本「質問があります。一つ…所属じゃない僕が、HEAT-UPの大会締めていいんすか?」
田村「それはお客さんに聞けっ!!(館内歓声と拍手)」
岩本「いいっすか?いいっすか?いいっすか?」
かくしてHEAT-UP史上初、スポルティーバ所属の岩本煌史が単独で大会を締めるという無茶振りを行なった本部席の田村和宏(兼平はリング内に入らず)。ともあれ7月21日新宿FACE大会での準決勝は岩本煌史vs.石田慎也、新井健一郎vs.CHANGOに決定、双方の勝者が決勝戦で対戦する事となる。更に田村和宏を守るための『セイキ軍』、HEAT-UPの秩序を守るための『正規軍』として手を組む藤田峰雄と川村亮のタッグマッチが決定した。
(記事・写真提供 HEAT-UP)