【インタビュー】偏見との闘いや苦労を重ねてたどり着く頂点…IWGP挑戦の朱里が放った「私のための闘いを始める」の真意とは

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 “モノが違う女”朱里(しゅり)が、4・27横浜アリーナでIWGP女子王座に挑戦する。昨年の1・4TDCホール大会で同王座に挑戦しているが、以降は一歩引いたポジションにいた。だがその朱里が「私のための闘いを始める」と2025年に再始動。
 2008年にハッスルでデビューしている朱里は、プロレスラーとしてはTAJIRIを師匠に持ち、SMASH、REINA、CMLL、センダイガールズ、WNC、OZアカデミーなど様々な団体のベルトを獲得。格闘家としてもKrush、PANCRASEで王者となり、UFCでは日本人女子初の勝利をあげている世界で活躍する“モノが違う女”だ。
 その朱里がなぜ今IWGPのベルトに照準をあわせたのか?

「スターダム所属になったきっかけが、赤いベルトを絶対に巻きたいっていう思いでした。岩谷麻優の持つ赤いベルトに挑戦して負けた時(2020年10月:横浜武道館大会)にスターダムに所属をしたいっていうのをリングで言って、11月から正式に所属になり、一年後に赤いベルトを巻いて10度防衛し、2022年度の女子プロレス大賞を受賞しました。その後、自分の目標が見えなくなってしまったんです。自分自身目標がないとモチベーションを保てない性格で...でもその時にIWGP女子のベルトが新しく出来て、新日本さんの世界に知られているベルト。『次はこれだ』っていう光が見えたんです。絶対に次はこのベルトを巻きたいって心の底から思ったベルト、それがIWGPなんです。」

 だが朱里はこの1年IWGPの名を公には口にすることはなかった。それはスターダムの体制変更や離脱騒動を見て「今いろいろ自分が前に出る時ではない。自分のやるべきことをしっかりやることが今のスターダムにとって大事なことなんだ」と自分に言い聞かせてしまったという。
 その中で周りは成長を見せ、海外で活躍も始めた。朱里の悔しさが爆発したのが、今回の王座挑戦とも言える。
「やっぱりプロレスラーは一歩引くものじゃない。たった一度の人生、朱里っていうレスラーここにありっていうのを、今年はIWGPを巻いてしっかりと見せつけていきたい」
世界で闘いたい相手も、ロンダ・ラウジーやアティーナ、マライア・メイ、トニー・ストームやビー・プレストリーなど輝いた眼で次々名前があがる。


 もちろん自分のためだけに動いたわけではない。自身のユニット『God's Eye(ゴッズアイ)』の後輩たちの成長も目覚ましいものがある。
「みんながさらに輝いていいレスラーになってくれるのは本当に嬉しい。教えられるものがあるなら自分の持ってる技術を授けていきたいです。プロレス界の未来に対しても本当に大切なことだと思うんです。プロレスラーとして成長して進化して行くって本人たちの頑張りが一番だと思います。なので、本当に頑張ったんだなって。自分が教えてどうと言うよりは、本人の頑張りで輝いていってる事がすごい嬉しいなって」

 今は袂を分かってしまった小波や、朱里がきっかけで入団した八神蘭奈、REINA時代の後輩である坂本茉莉や小林香萌などの活躍には「本当に上手くなりたい、本当にいい選手になりたい、本当に輝きたいって本人自身が思わないとダメだと思うので」と努力を感じて喜びをあらわにする。だが過去から続く自分の闘いとして、AEWの志田光やWWEのASUKA(華名)、元REINAの真琴ともいつかリング上で出会う日を望んだ。


 元々女優になりたくて上京してきた朱里は、ここに来るまでにたくさんの苦労を重ねてきた。ハッスルでは「あんな弱い奴に何ができるんだ」とバカにされたあげく給料未払い。悔しくて始めたキックボクシングでKrush王者になれば「格闘技からプロレスに来て何ができるの?」と、プロレスからデビューしたのにプロレスファンから何故か偏見をもとに嫌味を言われ、PANCRASEやUFCでさらに結果を出すとプロレス界からの偏見はより強くなった。プロレスと格闘技を両立して真面目に取り組み、世界最高峰の団体で結果を出すほどに練習してきた朱里は「今あの時代に戻れって言われたら本当に絶対嫌だし、そのぐらいもうやばいぐらい練習してきた。生半可な覚悟ではなかったし、格闘技はやりきったと自信を持って言える」とはっきりと断言。二刀流に戻るより、他団体所属を辞めてスターダムのトップ、女子プロレス界のトップをとりに来た思いを成就させたいと語る。

 2年間IWGP女子王座を防衛し続けている岩谷麻優を純粋に尊敬しているというが、「今の自分は過去最高のコンディション」と語る朱里は自信に満ちている。
 それはスターダムの体制が落ち着き、環境が整ってきた事も大きい。
 朱里から見ても岡田太郎社長の手腕は「いい風に乗ってる」と感じ、他団体選手も注目を団体内外から受けられる状況に「自分もちっちゃい団体だったりフリーだったりで苦労したので、良い選手でも見られないと意味がない。せっかくプロレスラーとして一生懸命やって、こんな怪我する仕事をやってるのにいろんな人に見てもらえないってすごい悲しいことだと思うんです。なのでたくさんの人に見てもらえたら、選手としてモチベーションがかなり上がるし、お客さんもこんな面白い選手いるんだってなると思うので、スターダムはすごくいい場所になっていると感じてます」と語る。
チケットノルマや営業、自身でテーピングを購入し怪我に備え、怪我をしたまま無理に試合に出続けグッズを作り販売してきた苦労はものすごく大変だったというが、その経験が今の朱里を形作っている。
 お客さんが全く入らない苦労も経て、「今見てくれているお客さんに恩返しもしたい」と語る朱里。自分でやらなくてよくなった苦労は、全てプロレスラーとしてのクオリティアップに生かせる。スターダム入団後に生み出された四神技(朱雀、青龍、白虎、玄武)も、常に世界を研究して成長し続ける朱里ならではこそ。
 一番気に入っているという白虎は今後もいざという時に頼っていくという。

 キャリア17年目になった朱里は時代とともに変化して行く。かつて見てくれていたファンも、今のファンも大切にしている朱里は最後にこう語った。
 「自分は日々進化しています。4・27の横浜アリーナ大会は見に来てほしいし、スターダムは本当に面白いと自信を持って言えます。1回見たら見え方が変わると思うんです。面白いって絶対思ってもらえる団体だし、だからこそ所属しています。会場に足を運んで見てほしい。そのきっかけとしてやっぱり自分のベルトを巻いた姿を目に焼き付けて欲しいです」

 ここ数年は常に母のように周りに気を使い、後輩や仲間たちを見守ってきた朱里。だが間違いなく朱里の強さと実力は女子プロレス界トップクラスだ。その朱里が最高のコンディションを持って、4・27横浜アリーナでIWGPの名を冠するベルトを奪いに行く。

『カードファイト!! ヴァンガード Divinez presents ALL STAR GRAND QUEENDOM 2025』
日程:4月27日(日)
会場:横浜アリーナ
開始:15:00

▼IWGP女子選手権試合 60分1本勝負
【王者/STARS】岩谷麻優
vs
【挑戦者/God's EYE】朱里
※第3代王者は10度目の防衛戦

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