「女子プロレスの世代交代?そんなのとっくに私の中では終わってる!」引退を控えた里村明衣子がSareeeとの最後のシングルマッチで激勝し次世代の創る新しい時代に期待!
- 2025-1-23
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23日、東京都・新宿FACEにて『Sareee-ISM Chapter Ⅵ』が開催。Sareeeと里村明衣子がシングルマッチを行った。
Sareeeはジャガー横田や井上京子が所属するディアナの若きエースとして君臨していた選手であり、24歳という若さでWWE入団が決定。2021年にWWE(NXT)でSarray(サレイ)としてスーパースターデビューを果たした。
2023年3月にWWEとの契約を満了して帰国し、同年5月16日に新宿FACEにて『Sareee-ISM』を開催して日本復帰。ライバルの橋本千紘との大熱戦を展開し、「私が日本の女子プロレス界を変えて見せる」と決意を新たにした。
その後のSareeeの活躍は目覚ましく、精力的に数多の団体へと参戦。男子団体である全日本プロレスの参戦や、SEAdLINNNGの至宝・BEYOND THE SEA、マリーゴールドの至宝・真紅のベルトを獲得するなど常に話題を振りまいてきた。
フリーでありながら女子プロレス界のトップの1人になっていると言えるSareeeだが、まだまだ超えなければならない壁は多い。
その内の1人が“女子プロレス界の横綱”の異名を取る里村明衣子。里村は長与千種の弟子として1995年4月のGAEA JAPAN旗揚げとともにデビュー。GAEA解散後はセンダイガールズプロレスリングを旗揚げし、女子プロレス界のトップに君臨。2019年からはWWE(NXT)の臨時コーチを務め、後にWWEとコーチ兼選手契約。NXT UK女子王座を戴冠するなど“日本の女子プロレス”を世界に向けて発信してきた偉大な選手として世界に評価され続けている。
そんな里村だが、30周年となる今年4月29日に現役引退を表明。現在は引退ロードとして心残りが無いよう様々な選手たちと精力的に試合を行っている。
里村は2011年4月17日にSareeeのデビュー戦の相手を務めた。2013年12月15日には2回目のシングルマッチを行うが、ここでも里村が完勝。しかし、2019年4月16日に行われた3回目のシングルマッチではSareeeが初勝利を収めている。
4回目となる今回が両者の最後のシングルマッチ。Sareeeは「里村選手に勝って『これからの女子プロレスをSareeeに任せてもいいな』って思われるくらいの闘いをしたい」という意気込みを語って決戦のリングに上った。
かの流行り病が無ければWWE女子王座をかけての対戦もあり得た両者の試合。
ゴングが鳴ると互いの地力を測り合うかのようなじっくりとしたグラウンド戦に始まり、里村が純粋な身体能力でSareeeを圧倒。しかしSareeeは一歩も引かず感情が乗ったエルボー&ドロップキック、鎌固め、観客席から場外へのダイビング・フットスタンプなどの得意技で畳み掛けて「里村!来いよ!」と吼える意地を見せる。
里村は、デビュー戦でSareeeの心を折りかけたローキック連打で足を潰していき、NXT UKでのフィニッシャーであったSTF、デスバレー・ボムといった大技で畳み掛ける。Sareeeもこれを真っ向から受けきり、裏投げ2連発から奥の手のリストクラッチ式裏投げを狙っていく。これをぶっこ抜いてデスバレー・ボムで切り返した里村がスコーピオ・ライジングを脳天に叩き込んで3カウントを奪取。両者のシングル戦績は里村の3勝1敗で終わった。
試合後、里村はヒザをついてSareeeと握手を交わしつつ「Sareeeが言う女子プロレスの世代交代?そんなのとっくに私の中では終わってる!でもな、世代交代してもこうやって生き残ってるのが里村明衣子だッ!あたしはな、なにがなんでも新しい世代を創っていく!Sareeeと14年前にデビュー戦の相手をさせてもらった……よく、よくここまで来れたと思います!私からは『ありがとう』と言いたいです!」と涙ながらにSareeeへの思いを語ってリングを後に。
マイクを取ったSareeeは「2025年に入って私は2本のベルトを失って、『ここで私がもし里村明衣子に負けたら本当に終わりだな』って思ってました。でも、まだ終わりじゃないです。メチャクチャ悔しくてメチャクチャ情けないのにここ一番に燃えてます!本当に里村さんには感謝しかありません。貴女がいたから私はここまで来れた。これからも私は里村明衣子を追い続けます。貴女が引退しようが私は里村明衣子を必ず超える!皆さん絶対に見届けてください!」と胸中を吐露。
そして「私には今年必ず巻きたいベルトがある。私が闘いたい“最強”を連れてくる」と、かねてから熱望している岩谷麻優とのIWGP女子王座戦を行うことをほのめかした。
バックステージに戻った里村は「終わってみるとSareeeのデビュー戦を思い出しますね。あんなほっそい14歳の女の子がよくここまで来たなぁって思いますね。14年前って今の時代と全然違って、同期も同じくらいの世代のライバルもほとんどいない状態で、あの子は3世代上の選手たちとずっと闘ってのし上がってきた選手で。それをずっと見てきました。下積みも長かったですしね。昨年の女子プロレス大賞を獲ったときは本当に嬉しかったです。あの子はもっと(上に)行きますよ。もしかしたら私が今後お世話になる選手かもしれないですしね(笑)だから私は最後の最後まで絶対に負けたくなかったです」と語る。
こみ上げるものがあったのかしばらく言葉に詰まり、涙声になりながら「やっぱり現役最後が近くなると、自分が今まで積み上げてきた位置が全部出てくるんですよ。だからこれから私が若い世代の選手と闘うとしても、私は絶対に丸くならないし、最後まで自分を貫き通します」と強い意志を示した。
試合前のSareeeの意気込みを基に「Sareeeに女子プロレス界を任せられると思うか」という質問が飛ぶと、里村は「1人ではダメでしょうね。そのためには、橋本千紘もいる。岩田美香もいる。まだまだ1回、2回勝っただけでトップは頑張らせないですよ。センダイガールズの選手もいるんだってことはウチの選手もアピールすべきですね」と下の世代が築いていく新たな時代に期待を寄せた。