ストロングスタイルを目指したこのまま市川(ストーカー市川)が棚橋弘至と引退試合を行い26年のプロレスラー人生に幕!

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 17日、東京都・後楽園ホールにてDRAGON GATE『FANTASTIC GATE 2024』が開催。このまま市川(ストーカー市川)が26年間の現役生活に幕を下ろした。

 市川は闘龍門2期生として1997年12月12日にデビューし、初期からほぼ一貫して“世界最弱キャラ”として闘龍門およびDRAGON GATEのお笑い戦線を牽引。長らく『ストーカー市川』等の名を冠してきたが、2019年12月に『このまま市川』に改名。
 この改名は色々あって本名&素顔で出場するようになっていた市川がウルティモ・ドラゴン校長から複数の奇抜な新リングネーム案を提案された際、変更を希望しないという意味で「このまま市川で」と返したところ、その場の悪ノリで『このまま市川』に決まってしまったという経緯。すぐに長年親しんだリングネームへ戻すかと思われていたが、市川は引退までこの名前を貫き通した。

 “お笑い枠”としてカウントされる市川だが、闘龍門時代から今日まで四半世紀以上生き抜いてきた猛者の1人。時折キラリと光る技術力を見せる陰の実力者として知られており、男女問わず超レジェンドレスラーたちとシングルマッチで数々の名勝負(?)を見せてきた。現役選手の中で最もトップスター選手との対戦歴が多い選手と言え、歴史の生き証人という側面もある。

 市川の引退試合の相手は、なんと新日本プロレスの社長・棚橋弘至。
 同じ岐阜県出身であり、偉大なレスラーたちと対戦を重ねてきた市川を強くリスペクトする棚橋が名乗りを上げた形。棚橋自身も2026年1月4日での引退を表明している中で介錯人を務めることとなった。


 市川は、闘龍門の仲間たちとのトレインで入場。そのまま全員ズラリとセコンドに付いて市川に大声援を贈るという感動的な場面を作り出す。
 棚橋と対峙した市川は「棚橋さんも再来年の1月4日に引退試合するそうじゃないですか。だけどなあ!その引退試合までに無事に辿り着けると思うなよォ?!今日お前のレスラー人生、終わりにしてやるよォ!」と啖呵を切り、決戦のゴングが打ち鳴らされる。

 市川が突っ込んでチョップを連打も、棚橋は微動だにせずドラゴン張り手一閃。これで3カウントが叩かれ、16秒で試合終了。
 棚橋もセコンド陣もさっさと帰っていき、超高速10カウントゴングから斎藤了GMが「お疲れ様でしたぁ!素晴らしい試合でしたよ」と簡潔に挨拶をして引退セレモニーも終了。

 市川はこのまま引退……かと思われたが、慌ててマイクを取って「そりゃ無いよぉ?!セコンドも早速帰るしよぉ?!俺の26年間なんだと思ってんだよぉ?!流石にこれじゃ終われねーだろ!やり直しだよやり直し!棚橋さん!コラ!もう1回だ!棚橋ィ!」と必死の訴え。
 大・棚橋コールに応えた棚橋もひょっこり戻って来て再試合が決定。おなじみの流れに会場全体が笑顔になる。


 市川が突っ込んでチョップを連打も、棚橋のドラゴン張り手を被弾。これで終わりかと思いきや、市川が気迫のキックアウト。
 市川はコルバタで場外に放り出してプランチャを発射も、棚橋が徒歩で回避したため自爆。オールドスクール(※ロープ渡り)に付き合ってくれない棚橋を説教してから2人で息を合わせてトライするも、案の定足を踏み外して股間を痛打。

 棚橋はドラゴンスクリューからのテキサスクローバー・ホールドを狙うが、振り払った市川がカンチョーをズブリ。逸材ボディには全く効いていない様子も、スクリュー・カンチョーで棚橋の肛門をえぐって大逆転。735からのラ・マヒストラルで攻め立ててブレーンバスターを狙うが、棚橋が切り返してツイスト・アンド・シャウト3連発からスリング・ブレイド。会場が鳴動するほどの市川コールに加え、棚橋の一挙手一投足にブーイングが飛ぶ。

 棚橋がハイフライフローを宣言すると、市川は必死に足にすがりついて阻止するガッツを見せる。しかし、闘龍門の仲間たちは口々に「せっかくだから食らっとけよ!」と助言。斎了GMの「食らっとけ!食らっとけ!」のコールに合わせて会場全体が大合唱。
 これを受けた市川は雰囲気に呑まれて自ら仰向けになって真っ直ぐ寝る。棚橋がハイフライフローでトドメを刺し、9分8秒の死闘に終止符を打った。

 マイクを取った棚橋は「市川さん、26年間お疲れ様でした。僕と市川さんは同じ岐阜県の出身で、『岐阜出身のレスラーがいるな、変わってんな、おもしれーな』と思ってました。僕がデビューして25年、市川さんがデビューして26年。こうしてリングで出会えた奇跡に感謝しています。市川さん、26年間プロレスを盛り上げてくれてありがとうございました!これからも続いていく後輩たちの活躍に是非力を貸してやってください。市川さん、本当にお疲れさまでした!」と深々と一礼。ドラゲーファンは棚橋に大歓声を贈った。


 続いて引退セレモニーが行われ、選手を代表して花束を贈呈したウルティモ校長は「市川、相変わらず面白いなお前な(笑)実はお前がデビューして、お前の試合を見るのが結構楽しみだったんだよ俺(笑)お前が俺んとこに入門してメキシコに来たときのことを思い出すとな、体弱いのにいつまで経っても辞めない。ずーっと道場にいるのに気付いたとき『あっ、あの子まだいるんだ』『どうしようかな、辞めさせるわけにはいかないな』と思って。ある日市川を呼んで『君は将来どういうレスラーを目指してるんだ?』って聞いたとき、お前なんて言った?」と問いかける。
 市川がしどろもどろになりながら「アントニオ猪木さんや藤原喜明さんのように黒いショートパンツで派手な技は無いけど粘り強くやって……」と語り始めると、校長は「お前“なんとかスタイル”って言ってたよな?」と追及。市川は「ストロングスタイルです!」とわざわざメキシコの闘龍門に入門してストロングスタイルを追究していたことを白状させられる。
 それでも校長は26年間お笑いキャラを貫いて一時代を築いた市川を称え、「市川!お前こそが本物の男だ!俺は『お疲れさん』とは言いたくない!市川、ありがとうッ!」と賛辞を贈った。

 最後にマイクを託された市川は「僕も1人では26年間も頑張れなかったです。だけど、周りの人たちがいて、校長もいて、支えてくれるファンの皆様があったから僕はやって来れました。どうもありがとうございました!僕はレスラーを引退しますけど、市川寛二として皆さんとまたお会いすることもあると思います。そのときは笑顔で楽しくお会いしましょう!26年間、どうもありがとうございました!」と涙のマイク。


 改めてしっかりと10カウントゴングが叩かれ、最後のコールからヒールを除く全選手で市川を胴上げ。割れんばかりの市川コールを背に受けて最後の退場を終えた。

 一足先にバックステージに戻った棚橋は「会場のファンの皆様の声援、セコンドに付いているDRAGON GATEの選手たちの表情を見てたら、市川選手がみんなにとってどういう存在だったかっていうのがすごく伝わってきて、僕も感動しました。数々の名だたるレスラーと闘ってきて『果たして(引退試合の相手が)俺に務まるか』って。プロレス界が厳しいときも良いときも、とにかく市川選手の生き方、リング上での明るさを見て『この人スゴいな、エネルギーあるな』と思って見てました。そのエネルギーを26年もの間出し続けた市川さんに尊敬の念が尽きません」と真剣な表情で語る。


 一方、市川は各方面への感謝の言葉を重ねつつ「棚橋さんより先に引退できて良かったです。棚橋さんの引退の後じゃショボくなっちゃうんで。五体満足で引退試合まで終わることが出来て良かったです。自分でもよくここまで辞めずに残ったと思います」と朗らかに笑う。
 まだまだ現役を続ける闘龍門の仲間たちへは「長い間一緒に同じ釜の飯を食った仲間たちで、長い長い第二の青春時代を過ごさせてもらったかけがえのない仲間たちです。『ありがとうございます』しか無いです。心の底から『ありがとうございます』です」とメッセージ。これからもプロレス界に残り続ける市川の第三の青春が幕を開けた。

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