試合中に脊柱損傷の緊急事態から1ヶ月…延期された王座戦を終えた元全女の高橋奈七永が引退を発表!「五体満足でリングを降りないといけない」と第二の人生を見据える
13日、新宿FACEにて開催されたマリーゴールド『Winter Wonderful Fight2024』にて、“プロレス界の人間国宝”高橋奈七永(45)が引退を発表した。
奈七永(高橋奈苗)は1996年に全日本女子プロレスにて17歳でプロレスデビュー。つんくがプロデュースする『キッスの世界』として納見佳容&脇澤美穂&中西百重とともに歌手デビューし芸能活動も行っていたが、3年ほどでキッスの世界は解散。2005年に全女が解散すると、翌年にZERO1-MAXの姉妹団体的な立ち位置でプロレスリングSUNを夏樹☆たいよう(現:南月たいよう)らとともに旗揚げ。夏樹や華名(現:ASUKA)らとともに『パッションレッド』を結成すると団体の枠を超えて活躍し、様々な団体にパッションの遺伝子を残していった。
2011年のスターダム旗揚げに参加すると後進の育成を行うが、世IV虎vs安川惡斗戦の影響もありスターダムを退団すると2015年にSEAdLINNNGを旗揚げ。世志琥、中島安里紗、Sareeeなどが入団するも奈七永は2021年に社長業も辞任して退団し、2017年から鬱病を発症していたことを後に告白する。
スターダムやGLEATなどに参戦を始めると“プロレス界の人間国宝”を自称し始め、今年5月からは引退を見据えた形でマリーゴールド旗揚げメンバーとして参戦を行っていた。
現在マリーゴールドの至宝たるワールド王座(真紅のベルト)は外敵王者のSareeeが巻いている。今年8月にシングルリーグ戦でかねてから因縁がある高橋奈七永と対戦するも、仕留めきれずフルタイムドローに。奈七永は完全決着を求めてSareeeの持つ真紅のベルトへ挑戦を表明し、11月14日の後楽園ホール大会で王座戦が決定。
しかし、11月2日の札幌大会前哨戦にて、Sareeeの裏投げで奈七永が首を負傷して動けなくなる緊急事態が発生する。奈七永の的確な現場判断で大事には至らなかったものの、検査の結果全治1ヶ月弱の脊柱起立筋損傷と診断される。14日の後楽園ホール大会も断腸の思いで欠場を決め、タイトルマッチは延期となった。
プロレスラーに負傷はつきものだが、誰のどの技で負傷したのかを団体側が詳らかに公開するのは極めてレアケース。Sareeeの代名詞的な必殺技である裏投げの威力を改めて世に知らしめる形となっていたが、この件がSNSで炎上しSareeeが誹謗中傷の的となってしまった。
この日の王座戦に向けて戦前Sareeeは奈七永への裏投げを封印して勝利することを宣言し、奈七永は「ナメてんじゃねーぞ」とこれに激怒。
しかし終わってみれば奈七永の猛攻を受けきったSareeeが裏投げを出さずにスリーパーで絞め落として勝利する余裕を見せ、「お前大丈夫か?生きてるか?高橋奈七永とはまあ色々あったけど、今日しっかり私は決着つけたと思ってる。だから私は次に進ませていただきます。さようなら」と、女子プロレス大賞を受賞して女子プロレス界のトップとなったSareeeが奈七永という壁にピリオド。
マイクを持った奈七永は「勝っても負けても、皆さんにお伝えしたいことがありました。高橋奈七永、マリーゴールド1周年の来年5月に、プロレス界を引退することを決めました。大好きだから、大好きだから、引退を見据えて、どんな覚悟でこのリングに来たかわかる人もいればわかんない人もいると思う。わかんなくてもらっていい、だけど最後まで私は!最後まで私は!大好きなプロレスを、思いっきり!このマリーゴールドから届けていきますので、最後まで目を離さないでいただけると嬉しいです。今日はありがとうございました!Sareee、気持ちが交わんなくても、私は今日、Sareeeと試合ができてよかったよ。最後まで、追っかけるわ。ありがとう」と握手をして抱き合った。
キャリアも30年近くなり気づけば40代後半の年齢となった奈七永。「五体満足でリングを降りないといけない」と第二の人生を見据えての引退とのことだが、1・3大田区総合体育館ではグラビアアイドルとして有名な咲村良子のデビュー戦の相手に早速指名されている。
残り5ヶ月、高橋奈七永のパッションがプロレス界にどれだけ注入されていくのか最後まで目が離せない。