「そのキャラで満足したら上に行けない」“やられキャラ”として愛される泥水レスラーにトップ選手が真剣なアドバイス
24日、東京都・新木場1stRINGにて『MARIGOLD Summer Gold Shine 2024』が開催。【ミライサク】MIRAI&桜井麻衣がマリーゴールド・ツインスター王座の初防衛に成功した。
マリーゴールドはロッシー小川が代表取締役となって5月20日に旗揚げされた新団体。
スターダムおよびアクトレスガールズを離脱した選手を中心に構成されており、全員がハングリー精神をむき出しにしていることから士気は高い。生え抜き第1号として南小桃がデビューした他、元センダイガールズの瀬戸レア(丸森レア)、府川唯未の娘で元WAVEの田中きずなが入団。大向美智子の娘である15歳の心希(しんの)、女子ビーチレスリング全国一位のエリートである17歳の山岡聖怜(やまおか・せり)を始めとして多数の練習生を抱える一大勢力となりつつある。
7月13日に旗揚げ2ヶ月弱で行なわれた両国国技館大会も成功を収めており、ますます勢いに乗っている団体だ。
マリーゴールドでは、独自のベルトを4本創設。
団体最高峰の“真紅のベルト”マリーゴールド・ワールド王座はSareeeが、 “純白のベルト”マリーゴールド・ユナイテッド・ナショナル王座(UN王座)は青野未来が、55kg以下の軽量級王座であるマリーゴールド・スーパーフライ級王座は翔月なつみが初代王者に。
そして、タッグ王座であるマリーゴールド・ツインスター王座はスターダム時代から固い絆で結ばれている【ミライサク】MIRAI&桜井麻衣が戴冠を果たした。
この日は【パッション・シスターズ】高橋奈七永&石川奈青がミライサクへ挑戦。
奈七永&石川は初代王者決定タッグトーナメントにエントリーされていたものの、1回戦前日に石川が体調不良で欠場が決まり不戦敗となっていた。これを踏まえ、石川は「本来だったらここでそのベルトを巻いてるのは私達だったはずなんだよ!」とあまりにも理不尽な挑戦を突き付け、冷静な正論で返すMIRAI&桜井をノリと勢いとパッションで押し切って挑戦を認めさせた。
ゴングを待たずにパッション・シスターズが奇襲し、「パッションッ!パッションッ!」とコールを煽りながらのマシンガン・チョップや「パッショーンッ!」と叫びながらのダブルのエルボードロップなど元気に猛攻。
中盤からは奈七永が敢えて石川に任せる場面が増え、ミライサクの連携や強烈な打撃を受けて大苦戦。ズタボロにされる石川だったが、MIRAIに垂直落下式ダブルアーム・スープレックスを決め、奈七永のバックドロップに石川のランニング・ネックブリーカー・ドロップを合わせる合体攻撃を決めて逆転し、ダブルの変形チョークスラムや二段式冷蔵庫爆弾も決めていく。
パッション・シスターズがサンドイッチ式のラリアットを狙うが、MIRAIが奈七永へラリアット、桜井が石川にレッグラリアートを見舞う形で挟撃し、2人の腕をクロスさせる形でダブルの変形STO。桜井が石川にタイガー・スープレックス・ホールドから手首をクラッチせずに落とす変形グロリアス・ドライバーで突き刺して3カウントを奪った。
マイクを取った桜井が「私はパッション・シスターズを卒業してミライサクで未来を咲かせていきます。アンタたちと組んでても未来なんて無いんだよッ!」と奈七永との決別を宣言すると、奈七永は「パッション・シスターズ卒業?なんにも成し遂げてない奴が何抜かしてんだよ!中途半端な奴がよ!貴婦人なのかなんなのかも分かんねーしよ」とド正論で反論。今月31日の大阪大会でのDREAM✴STAR GP開幕戦で対戦する2人はバチバチと視殺戦を展開した。
その後、リングに【tWin toWer】天麗皇希&後藤智香が上がってきてミライサクへ挑戦を表明。初代王者決定トーナメントで実現しなかった注目のカードが王座戦で実現することになりそうだ。
バックステージに戻ったMIRAIは「石川は自分よりも出来ること、技も多くてマイクとかも全然うまい。けど、なんで勝てないのか。それはきっと、その場所が居心地がいいからじゃないですか?そのキャラが安定してて、そのキャラで満足してしまっている。だからもう一歩が踏み出せない。もう一歩先に行けない。そこを乗り越えないと石川は勝てないよ」と真剣な表情でアドバイスを贈った。
石川のプロレス人生は、“不憫”の一言に尽きる。
石川はデビュー前からの病気や怪我に苦しみ、様々な不運に見舞われながらも自ら行動して活路を拓こうとしてきた。しかしその動きのどれもが周囲の環境変化やアクシデントといった外的要因で潰えていき、常にのし上がるチャンスを逃し続けてきた。それでも“プロレスラー”として生きることに強い誇りを持っており、泥水をすするどころか泥まみれになりながらもあがき続けるその姿を応援するファンは多い。
MIRAIは、石川がその“やられキャラ”に甘んじていることが飛躍を妨げていると指摘した。
「隅っこの女」「踏み台」「雑草」「期待されてない女」「口だけ」「連敗」「泥水」「ただの当たり屋」「無様」「噛ませ犬」「スペ体質」「不遇」と様々な罵倒を受けると同時に愛されてきた石川が覚醒するためには、これらの評価を一気に覆す何かが必要だ。
プロレスラー人生の岐路に立たされた石川の明日はどっちだ。