4・26墨田区で上野勇希の持つKO-D無差別級王座に挑む彰人「一レスラーとしてじゃなく、37年間生きて来た西垣彰人として臨む覚悟」
DDTプロレスが4月19日、都内で『DDT×ジークスター東京 特別興行「DDZT」』(26日、東京・ひがしんアリーナ=墨田区総合体育館)に向けタイトルマッチ調印式及び記者会見を行った。上野勇希が保持するKO-D無差別級王座に挑戦するCyberFight副社長の彰人が“一人の人間”として臨む覚悟を示した。
同団体の慣例で、調印式では挑戦者から先に意気込みを述べることになっているが、彰人は「今回タイトルマッチの入り口が、僕が挑戦させてくれって言ったわけじゃなく、上野君から挑戦してくれって言ってるんですよ。毎回挑戦者が意気込み語って、チャンピオンがそれを受けてしゃべる。そういう形式は今回やめませんか? チャンピオンから語ってほしい」と面倒くさい提案。
上野は「そんなものはどちらでも大丈夫で。先に言うのがイヤだとか、それこそ何の価値もない面倒くささであるということを、この1ヵ月よく感じていたなと思います」と前置きして意気込みを語り始めた。「彰人さんは常に一歩引いて副社長であるということで、リング外でもリング上でもバランスをよく見る選手で。そんな人が挑戦する、本気で獲りに来る。そんな姿はどんな姿になるんだろうと思って、挑戦してきてほしいと言ったわけなんですけど。前哨戦を通して、プロレスというのは一人ではできない。対戦相手がいて、レフェリーがいて、お客さんがいて、セコンドがいて成り立つもので。チャンピオンはその何より自分であることが大事です。彰人さんにはリング上で唯一彰人だけがいない。彰人を勘定に入れてない。だから今までこのベルトを獲ってないんだな。それを感じた日々でした。このタイトルマッチも、上野勇希は王者であるから勝つんだろうし、僕はこれからもチャンピオンとしてDDTを作っていく。その姿になっていくんだろうなと思います」とコメント。
彰人は「今のを聞いて、僕は一つ、思ったことが確信に変わったことがあります。3月(17日)、僕は上野君にリングで目録を渡したタイミングで、次指名しますからと言われました。そこからリングでなんだかんだあって、僕が今まで出して来なかった思いの丈というものを、言うなればプロレスラー彰人じゃなくて、37年間生きて来た彰人としてのDDTに対する気持ち、プロレスラーとしての覚悟と気持ちをリングで語らせてもらいました。それを語った以上、今回のタイトルマッチ、一レスラーの彰人として臨むんじゃなく、37年間男として生きて来た(本名の)西垣彰人として臨む。その覚悟でやってます」と話した。
さらに「チャンピオン上野勇希は、プロレスラー上野勇希でそこにいるんです。上野君は本当に素晴らしいチャンピオン。リング上で自分が出してなくても、自分の本音を自然と引き出すことができる稀有なチャンピオンだと思ってます。じゃあ一人間・上野勇希としてリングで何か声に出して発言したり、戦ったり、アピールしたことが1回でもあるのかなって。もしかしたら出してるでしょと言う方もいるかもしれないですけど、僕にはそう見えなくて。聖人君主の皮を被ってるプロレスラー上野勇希をずっと演じてるって思ってます。だから、僕は墨田区、その場所でレスラーとしてではなく、彼が生きて来た人生分の上野勇希として、リング上で対峙してほしいと思います。そうじゃないとフェアじゃないと思ってるんで。君が思い描いてるプロレスラー像の上野勇希じゃなく、一人間の上野勇希として僕の前に立ってください。泥臭くたってなんだっていい。君が思う本当の上野勇希、裸の上野勇希を僕の前に出してください」と持論を展開。
それを聞いた上野は「僕の本心が出ていない。どう感じるかは僕が押し付けることではないですから、彰人さんがそういう風に見えているということだけであると思うんですけど。僕は両国でクリス(ブルックス)からベルトを獲って、少なくともその試合から心が爆発したことに変わりない。納谷(幸男)とも、男色(ディーノ)さんとも、HARASHIMAさんとも何もかもあふれ出て。僕とタイトルマッチをしたみんなは、僕からしたら何もかもさらけ出し合えたと感じてますから。タイトルマッチで彰人さんがどう感じるか、もし彰人さんが僕のことを感じれてないとするならば、それは彰人さんが37年生きて来た自分を出し切れてないことだと思います」と反論。
一連の前哨戦を“削り合い”と表現した彰人は、その成果について「体を削るのも前哨戦だと思ってますけど、前哨戦を通して、僕は上野勇希という人間の喜怒哀楽を揺さぶりたかったところが大きくて。そういう意味では彼のいろんな顔を見れたんじゃないかと思います。最終的にそれを経て、彼は今の感情になってると思うし。僕の言葉を聞いて今の感情になってる。そのままタイトルマッチに来てくれてもいいし、違う感覚で来てくれてもいい。そこはフタを開けてみなければわからないけど、前哨戦は常に僕の手の上で転がされてたんじゃないかと思っております」と発言。それに対し、上野は「そういう意味では、僕は前哨戦を通して、彰人さんに心動いたのはタイトルマッチが決まったあの後楽園のあの瞬間以外にはなかったです」と反発した。