全国の学生が集った学生プロレスのオールスター大会が当日券無しの超満員札止め!大歓声を受け「未来の学プロは明るいです」

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 17日、東京都・新木場1stRINGにて学生プロレスのオールスター大会『学プロALL STARS』が超満員札止めの観客を集め開催された。

 学生プロレス(以下学プロ)とは、大学生・短大生・専門学生などがサークル活動・部活動といった形を取って行うプロレス活動の1つ。学園祭内でのプロレス大会の実施が活動の中心となっているが、近年ではプロが使用する会場で自主興行を行うことも多い。
 関東においては、かつてジャイアント馬場さんから教えを受けたMEN'Sテイオーが古巣のUWF関東学生プロレス連盟へ指導ノウハウを持ち込んだことから技術が体系化。その技術は今日に至るまで先輩から後輩へと口伝で受け継がれており、年々そのレベルは向上中。

 卒業後にはアマチュアプロレス団体で選手を続けるための環境も充実している他、プロテストを受けて正式にプロレスラーとなる例も珍しくない。また、全国各地のローカルインディープロレス団体などでも学プロ出身者が指導に携わっていることが多く、“学生プロレス”という文化はプロレス界の裾野を広げている立役者と言っても過言でない。

 かつて各大学のプロレス同好会・研究会が一同に会す『学生プロレスサミット』が地上波でも放送されていた時代があり、2008年にUWF関東学生プロレス連盟(早稲田、慶応、駒沢、法政、東海、中央、東洋など)、SWSガクセイプロレス(帝京など東京都多摩地区の大学を中心)、日本大学プロレス研究会(NUWA)、一橋大学世界プロレスリング同盟(一橋大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、東京大学、津田塾など/HWWA)の関東圏の団体により復活。
 2017年の記念すべき10回目の大会では九州産業大学プロレス研究部(KWF)を加えた5団体にて開催し、後楽園ホールを満員にする盛り上がりを見せていた。
 だが学プロからプロになる選手も出始めると本格志向が広がり始め、その最中に怪我が起きた事などから学プロサミット2018が中止に。その後は復活する事なく、新型コロナウイルスの蔓延により文化祭なども中止になると学生プロレスサミットは記憶から薄れていった。

 だが関西ではRWF(立命館プロレス同好会)、DWA(同志社プロレス同盟)、OWF(大阪学院プロレス研究会)、W-CROSS(佛教大プロレス格闘技研究会)の4団体による『関西学生プロレス祭』が2017年に行われ、その後関東のUWFやSWSも参加。
 西日本で盛り上がりと連携を維持し続けて来た学生プロレスを、今回KWF(九州産業大学プロレス研究部)代表の素潜り名人てつをを発起人に関東関西が合流した『学プロALL STARS』が全7試合で開催されることとなった。


 第1試合には来月からDDTプロレスにインターンとして入ることが決まっている“母の子”マザコン・キッドが登場。大きなクマのぬいぐるみに見えるHWWA所属のクマサンに2秒で丸め込まれ敗北するが、「僕がプロレスラーになるって言った時に泣いて反対した母親が、今日はわざわざ静岡から初めて僕の試合を見に来てる」と会場を説得し、マザコンが持つHWWA・東京大学二冠統一ヘビー級王座をかけた再試合へ。
 クマサンのドラゴンスクリューや雪崩式フランケンなど高度なプロレスムーブに翻弄されたマザコンだったが、最後は強烈なショートレンジラリアットからフェニックス・スプラッシュを投下し3カウントを奪った。

 メインイベントはラブジュース・ロビンソンvs素潜り名人てつをの戦いへ。
 1年前の同カードではてつをが勝利しているが、手の内がわかっているため小細工なしのゴツゴツした打撃戦へ。お互いの胸が赤く腫れ上がっているにも関わらずチョップやエルボーを要求し受け合い、てつをがダイビング・ボディプレスを投下すればロビンソンはスパインバスターで叩きつけて咆哮。
 最後はロビンソンがラストライドで叩きつけて30分に及ぶ死闘に終止符を打った。

 試合中に肩を痛めながらも勝利したロビンソンは「一つ、宣戦布告をさせてもらおう。UWF以外の学生プロレスラーの諸君、俺達は人数は多いし層も厚いんだよ。だから、おたくらみたいにわざわざ引退したOB勢に出てもらわなくったって結構なんだ」と吐き捨てると、会場にいるOBたちからブーイングが飛ぶ。
 さらに「俺達は団体の中でも戦い続けるし、他のところに呼ばれりゃそこでも戦ってやるよ。だからな!今回みたいに俺等だけが勝つような事になっちゃったらさ、次回オールスターズなんてできないね。UWF対その他学プロのみなさんってことで。お前ら他の奴らよ、しっかり団体背負って戦ってこいや。それでこそ学生プロレスだろ」と学プロ界のメジャー団体として全方面を挑発した。


 激しい戦いと興行を終えたプロデューサーのてつをは「この興行事体で、これからの学プロを背負っていくレスラーたちの熱いものとか色んなものを感じた興行になったと思います。俺から言いたいのは一つ、未来の学プロは明るいです。これだけお客さんが入って会場が一体となって、外国人の方にも来ていただいて嬉しかったです。学プロって、本当に一生のうちに経験できるか出来ないかっていうスポーツなので、その分練習もキツいですけど、このたった15分、20分の試合のためだけに……そこでキレイな技、説得力のある技を出すためだけに千時間、一万時間かけるようなことをやらなきゃいけないんですけど、それは大学生のうちしか出来ないことだと思うんです。勉強とか、バイトとか頑張っても良いんですけど、何かもう1つ普通の人では経験できない学プロやってベルト獲れば……自分はまだ社会人は経験してないですけど、自分が思うに社会人生活でキツいことがあっても乗り越えられる自信が自分の中ではある。そういうことも含めて、学プロに是非、興味本位でもいいんで、経験してみてほしいと思います」と晴れやかな表情でコメント。

 当日券もない超満員となった本興行は間違いなく未来に繋がり、コロナ禍を終えた学生たちが青春を燃やす場として一つの希望となりえるものだった。
 4月から各大学に入る新入生たちが学生プロレスを知り、来年さらに大きな規模となって行われることを期待したい。

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