「現実は美談じゃない」赤井沙希が10年間のプロレスラー生活に幕!父・赤井英和の事務所にコメントを拒否されるも直接電話し“家族”を知る

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 12日、東京都・両国国技館にてDDTプロレスリング『Ultimate Party 2023』が開催。赤井沙希が約10年間のプロレスラー生活に幕を下ろした。

 赤井沙希は元プロボクサーの赤井英和さんの実娘であり、2013年8月にDDTでプロレスラーデビュー。男子選手に混ざって奮戦を続け、東京女子プロレスやベストボディ・ジャパンプロレスなどでも活躍。174cmの長身とその美貌を活かしてファッションモデルやタレントとしても活躍してきた。
 また、2019年には人気ゲーム『Fate/Grand Order』の舞台『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』でルチャ・リブレを愛する陽気な女神、ケツ姉ことケツァル・コアトル役として出演。現在も「イキマース!」の掛け声とともに放つ必殺技、ケツァル・コアトル(※縦回転変型ラ・マヒストラル)を使い続けている。

 プロレスラーキャリアも10年を迎えようという5月24日、赤井は「私は、枯れて朽ちていく花ではなく、美しいまま散る花でいたい。それこそが赤井沙希のプロレス道の最終地点だと思っております」と11月12日の両国国技館大会での引退を発表。
 心残りの無いよう全力で引退ロードを突っ走る赤井は獅子奮迅の活躍を見せ、7月にはKO-D6人タッグ王座を、8月には全日本プロレスTV認定6人タッグ王座を戴冠する二冠王に。9月にはレギュラー参戦していたベストボディ・ジャパンプロレスでBBW女子王座を獲得して(アイアンマンを除く)初のシングル王座戴冠を果たすなど最後の花火をぶち上げてきた。

 そんな赤井の引退試合は、赤井沙希&坂口征夫&岡谷英樹vs丸藤正道&樋口和貞&山下実優の6人タッグマッチに。
 赤井が属するユニット【Eruption】の坂口&岡谷、元メンバーの樋口に加え、同期として公私ともに仲が良い山下と縁あるメンバーが勢ぞろい。NOAHの丸藤とは初対戦ながらもデビュー前から交流があり、赤井も「隣の家の親分をぶっ飛ばしてみたい」と意気込んでいた。


 涙声での声援も飛ぶ中で赤井は丸藤と対峙。赤井のエルボー連打を涼しい顔で受けきった丸藤が男子選手に放つものと全く同じ勢いの逆水平チョップを打ち込んでいくと場内は悲鳴と大・赤井コールに包まれる。
 続く山下も赤井を容赦なく蹴りまくり、樋口も強烈な張り手やオクラホマスタンピートと容赦なし。それでも赤井は気合の雄叫びを上げてコーナーから飛びついてのフランケンシュタイナーからのサッカーボールキックで反撃。
 赤井の気迫を見た坂口、岡谷も奮起。坂口が山下を押さえ、岡谷がボロボロになりながらも丸藤と渡り合ってバトンを再び赤井に託す。
 赤井は山下に水面蹴りやダイビング・クロスボディといった得意技の数々を見舞っていき、「イキマース!」と叫んでケツァル・コアトル。これをカットされるとすぐに2発目を狙うも、山下が振り払って正面からの蹴り合いを求める。
 これを制した赤井が新人賞で試合を決めに行くが、丸藤&樋口が立ちはだかる。赤井はヘビー級男子2人に囲まれながらも1sv2のエルボー合戦を挑んでいくが、丸藤が赤井の側頭部へのフックキック、樋口がゴツリと鈍い音が鳴るヘッドバッド。そこへ山下がアティテュード・アジャストメントからクラッシュ・ラビット・ヒートを叩き込むも赤井は最後の気迫を振り絞ってキックアウト。
 他の4人はアイコンタクトを交わすと場外へと降りていき、リング上は完全に2人だけの世界に。赤井が自力で起き上がって山下の前に立つと、山下がScull Kickで介錯。赤井の最後の試合はこうして幕を閉じた。

 試合後に赤井の引退セレモニーが始まると、新日本プロレスの棚橋弘至、真壁刀義、さらに天龍源一郎からのビデオメッセージが放映。
 その後は盟友である坂口&岡谷、仲が良いという彩羽匠&山下りな、赤井をプロレスの世界に導いた高木三四郎が花束を贈呈。ここで高木が「裏方としてDDTと一緒に歩んで欲しい。貴女は大事な仲間だ!」と提案すると、赤井も笑顔で快諾。これまでと形は違えども赤井の姿を見ることが出来そうだ。

 いよいよ最後のマイク……と思われたところで突如スクリーンにWWEの中邑真輔が登場。中邑は赤井の引退を労い「10年間お疲れ様!赤井沙希!イヤァオ!」とメッセージ。デビュー前から中邑ファンであった赤井は感動よりも驚きが勝り、ズッコケ芸を見せるという“らしさ”を最後まで貫いた。


 マイクを取った赤井は思いをしたためた手紙を朗読。18歳で上京して1人ぼっちだった中でDDTに出会い、プロレスラー人生の中で大切な仲間やファンに出会えた喜びを語り、「いつしか仲間という思いを超え、家族だと思うようになりました。皆さんが私にとっての家族なんです」と思いを吐露。これからも“家族”と人生を歩んでいく希望を語り、大量の紙テープが舞う中で最後の選手コールを受けて引退した。

 バックステージに戻った赤井は、現役生活を振り返りつつ「母には『大きな怪我無く無事に戻ってきました』と伝えたいです。怪我を一番に心配していたので。父が試合で怪我をするのを母は身近で見ていたので、そういう意味で10年間ずっと心配させ続けていたので」と母への思いを語る。

 父・赤井英和さんからなにかメッセージがあったかと問われると、「2~3日前にあるマスコミの方から『お父様にコメント取りたいんだけど沙希ちゃんいい?』って言われて、『どうぞどうぞ。多分断られると思うよ』って。ただの、前の嫁の子供なんですけど、今の奥様が、なんかちょっとイヤみたいで……。そこで問い合わせてくださったところ、代表の方から『コメントを差し控えさせていただきます』って回答が来たそうで。それを聞いて、『えっ?!やらかした?!』『なんでこんなことになるんだろう』って思って、直接父に電話しました。電話に出て、最初は誰か分からなかったみたいなんですけど、『前の嫁の娘の沙希です』って言って。『10年間プロレスをやって、今週の日曜日にリングを降りて引退します』って報告をしました。(事務所にコメントを求めた顛末を説明してから)『なんかないかな?』って聞いたら、『「お疲れ様」でええんちゃうかな?』って言われました。だから、皆さんが思うように、現実は美談じゃないです。改めてそれを感じて、自分は電話してよかったと思ってるし、この経験で、この人生で良かったと思っています。この思いが無ければ人に優しくできなかったし、DDTのみんなとこうやって出会えなかった人生かもしれなかったので、自分はこの人生で良かったと思ってます。“血の繋がりだけが家族じゃない”って思いました。血の繋がりはあるけど親ではない人……血の繋がりはないけどDDTのみんなは家族だと思いました」と、“家族”とはなにかを考えさせられる複雑な心境を吐露した。

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