亀井晨佑と新居すぐるが第10代フェザー級KOP決定戦で激突!亀井は「薬剤師として働きながらベルトを獲れるぞっていう姿を見せたい」 新居は「パンクラスの王者としてRIZINでも他団体の選手を倒したい」と意気込み
9月15日夕、都内新宿区のパンクラスで、『PANCRASE 337』(9月24日、立川ステージガーデン)で行われる第10代フェザー級王者決定戦の調印式が行われた。
第9代王者・透暉鷹が、階級変更に伴いベルトを返上。亀井晨佑(パラエストラ八王子/1位)と新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/5位)が第10代王座を懸けて闘うこととなった。
亀井は2017年にパンクラスでプロデビュー。翌2018年、NBT同級で優勝を飾った。昨年7月には透暉鷹との暫定王者決定戦で敗れたが、今年4月、透暉鷹を苦しめたパン・ジェヒョクに勝利。これまでとは違った強さを見せた。
新居は2015年よりパンクラスに参戦。GLADIATOR、TTF Challenge、DEEP、RIZINにも参戦。パンクラスでは2年ほどブランクが空いたが、2019年より再び参戦。昨年はハンセン玲雄、高木凌をアームロックで下している。
調印式にスーツ姿で登場した両選手は、廣瀬隆司・パンクラス評議委員長の立ち会いのもと、出場誓約書にサインした。
選手との質疑応答は以下。
――まず、両選手の意気込みからお願いします。
新居「こんにちは、HI ROLLERSの新居すぐるです。去年7月、僕がパンクラスで復帰戦をさせてもらったときに、ちょうど(亀井の後輩の)高木(凌)くんもすごい派手なKOをして、亀井選手はタイトルマッチをやっていて。前から思ってたんですけど、最後まで諦めないで向かってくる僕の苦手な、どんどん来る選手だなと思っていました。
それからちょうど1年ぐらい経って、こうしてタイトルマッチがやれるとは思っていませんでした。でも、僕は誰の腕でもつかんだら絶対極められるっていう必殺技を持っていて。柔術黒帯の人と渡り合えるとかそういうんじゃなくて、全然、黒帯からもガンガン取れるぐらい、僕はそのぐらい強い必殺技を持っていると思ってます。
亀井選手とは、最近流行ってる変なアオリとかしなくても、いろんな人の心をつかめる試合をできると思ってるんで、僕ももちろん倒しにいきますし、一切油断はしていません。闘うのが楽しみです」
亀井「こんにちは、パラエストラ八王子の亀井晨佑です。今回、透暉鷹選手のベルト返上という形でビックリはしてるんですけど、タイトルマッチということには変わりはないので、そこはかなり気合いが入っています。
新居選手はすごい必殺技を持っていると言っていましたけど、なかなか僕のことを崩すのは難しいと思います。でも、ランキングに入っている選手の中で唯一、僕を崩せるとしたら、新居選手であることには間違いないと思います。それぐらい一発があるので注意はしています。さっき新居選手も言ったように、無駄なアオリはする必要ないです。アオリがなくても、十分熱い試合を見せられると思います。気合いが入っているので、熱い試合をしようと思っています」
――意気込みで触れていましたが、相手に対してどんな印象を持っているか、改めて教えてください。
新居「極め切るというよりも、デクニックとスピードでどんどん相手を削って、相手の心を折って倒すというイメージですね」
亀井「自分はなかなか崩れない選手だと思っています。ただ、ランキングで唯一、僕を崩せる可能性があるとしたら新居選手。それぐらい、一発の極めだったり一発のパンチがある、怖い選手だと思います」
――この試合に向けて、どんなところを磨いてきたかなど、話せる範囲でお願いします。
新居「もちろん寝技は絶対的に自信があるんですけど、前回のRIZIN(※今年6月、飯田健夫戦)でも見せたように僕は打撃もできるし、組めば倒すこともできるんで。まだまだ出してない技がたくさんあるんで、その技を全部出し切って、なかなか崩れない亀井選手を崩していきたいと思います」
亀井「そうですね、特に何か変わったことはやっていないですけど、デビューした当初から、(僕には)倒せるイメージがあったと思うんですけど、今回、そういう亀井が帰ってきたと思ってもらえるような試合ができると思います」
――新居選手は、パンクラスのチャンピオンシップに挑戦するのは初めてです。パンクラスのベルト、王座を獲るということに対しては、どのような思いがあるのでしょうか。
新居「もともとパンクラスに出してもらったり、RIZINに出してもらったりしていたんですけど、僕としてはやはり、他団体で闘うんだったら、パンクラスでちゃんとベルトを持って、パンクラスの王者として、RIZINでも他団体の選手を倒したいっていう気持ちがあったんで、今回必ずベルトを獲りたいと思います」
――亀井選手は、暫定王座戦を一度経験して、今回、正王座戦ということになります。パンクラスの王座ということに関してはどのような思いがありますか。
亀井「暫定王座戦で負けてから思うなんて恥ずかしい話なんですけど、改めて、(自分は)すごくベルトが欲しかったんだなって、ずっと悔しい気持ちを持ちながら練習してきました。今回、改めて正規王座戦でベルトに挑戦できることがすごく嬉しいです。やはり今後、先のことはあまり話せないですけど、ベルトを持っていることが、世界と闘う交通手形みたいなものになると思うので、絶対獲りたいです。
こうして間近でベルトを見ると、気持ちがアガりますね。どんなベルトより一番かっこいいです。歴史を感じます。多くの選手の思いがこもっているベルトなんだなと。近くで見て、ますます欲しくなりました」
――チャンピオンシップ、5分5Rの試合になります。どんな試合展開、どんな勝ち方をしたいと思っていますか。
新居「5Rもできないので、1Rで決めます」
亀井「1Rで決められるなら、崩せるなら崩してみろという感じです」
――亀井選手にお聞きします。先ほど新居選手から高木瀬(凌)選手の話が出ましたが、高木選手に新居選手は1R秒殺(※アームロック)で勝利しています。それに関しては、後輩の敵討ちといった思いもあるのでしょうか。
亀井「今回、この試合が決まって、周りとしては敵討ちといったような見方もあると思うんですね。でも自分は、高木と練習していて高木がものすごく強いというのが分かっているので、敵討ちっていうのは高木に対してリスペクトがないと自分はそういう認識でいます。この試合は、あくまでも新居選手と僕の1対1の闘いだと思っています」
――この試合は、パンクラス30周年記念という節目の大会のメインイベントです。どんな姿を多くのファンに見て欲しいですか。
新居「僕は普段。週6くらいで練習と同じくらいの頻度でお酒を飲んで遊んでるんですけど、これだけ遊んでいてもベルトを獲って、可愛い子とたくさん遊んで、お酒を飲んでっていうのを、ほかの若い選手にも夢を持ってもらえるようなチャンピオンになりたいですね」
亀井「僕はそういうタイプじゃないんですけど、心のどこかでちょっと羨ましいかなとは思いますね(笑)。でも僕は、週5、週6、薬剤師として働いています。そんな僕でもベルトを獲れるぞっていう姿を見せたいです。
あと、デビューからずっとパンクラスでやらせてもらっていて、NBTも獲らせてもらっているので、パンクラスで成長した姿を、ベルトを獲って見せられたらいいなと思っています」
――透暉鷹選手のベルト返上という、ちょっと意外な形でのチャンピオンシップになりましたが、この試合が決まった時の気持ちを教えてください。
新居「ランキングに入っている選手を見ても、いずれ近いうちに闘うことになるんだろうなと思っていたので、それがちょっと早まっただけで、特にそこは何ともないんですけど、ただ、30周年記念大会のメインで亀井選手とタイトルマッチっていうのは、すごく嬉しいです」
亀井「正直、自分は、別の選手、海外の選手とかとやるのかなと思っていたので、決まった時はちょっとビックリしました。
透暉鷹選手に関しては、再戦を考えて練習していましたけど、階級変更ということであれば……仕方ないです。でも、新居選手は、現状のランキングを見て、対戦していてもおかしくはない選手だったので、闘えるのを楽しみにしています」
――亀井選手、もし新居選手に腕を取られたらどうなると思いますか。
亀井「取られたら、ですか。難しい質問ですね。取られてみないと分からないですけど……。去年の7月、(透暉鷹戦で)思いっきり腕を取られたんですけど、耐えられるなら頑張って耐えたいですけど、もしかしたら身体を凌駕する精神力が出てくるかも知れないですね」
――極められるところまでじゃなくて、つかまれたくらいのところでは、どうでしょう。
亀井「つかまれたら、ですか。ブン殴りに行くか、剥がすかどっちかでしょうか」
――では新居選手、亀井選手の腕がつかめなかったら、どういう闘いになると思いますか。
新居「つかめなくても、殴って倒せると思ってたんですけど。25分間あってつかめないってことは絶対にないので。想像できないですね、腕をつかめない自分が」
――お2人に伺います。9月24日は試合ラッシュです。日本中できっと30数試合あると思うんですけど、パンクラスのこの大会、自分たちの試合が他よりここが抜けているんだというポイントをアピールしてください。
新居「僕は普段から、格闘技に興味のない人でも試合を見てくれたらいいなと思ってSNSを発信してるんですけど、パンクラスは僕が唯一のインフルエンサーだと思っているんで。格闘技に興味のない、もともとどの格闘技があろうと、どんな試合があろうと見る気はないけど、新居すぐるが出るなら見てみる、っていう人に見てもらおうと思っていたから、他にどんな大会があってもそこは関係ないと思っています」
亀井「団体が掲げているように、圧倒的実力至上主義。他の団体、分からないですけど、よく分かんないカードもあったりすると思うんですよ。でも、パンクラスはやっぱり、そういう意味では見ている人には伝わるカードだと思うし、今回そういったカードが並んでいる中でメインが務められるのはすごく嬉しいです。もしこの大会を見られなかったら、そのことを後悔するような試合をしたいと思います」
静かな雰囲気の中、淡々と話す新居と亀井。しかし、その目はすでに闘いを見据え燃えていた。新居が伝家の宝刀アームロックを極めるのか、亀井が速攻で倒すのか。パンクラス30周年の節目に、新しいキングが誕生する。絶対に見逃せない一戦だ。
(写真・文/佐佐木 澪)