【試合詳細】6・24 みちのくプロレス 新崎人生30周年記念 宮城大会 新崎人生vs MUSASHI フジタJrハヤト&日向寺塁&のはしたろうvs義経&景虎&望月成晃 橋本千紘&愛海vs岩田美香&高瀬みゆき

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『みちのくプロレス 新崎人生30周年記念大会』
日程 2023年6月25日(日)
時間 15:00
開始 宮城県・仙台サンプラザホール
観衆 1888人(満員)

▼シングルマッチ 15分1本勝負
○ラッセ
5分2秒 逆エビ固め
●山谷林檎

▼シングルマッチ 20分1本勝負
○郡司歩
3分26秒 首固め 
●愛澤NO.1(フリー)

▼タッグマッチ 20分1本勝負
ヤッペーマン1号/○ヤッペーマン2号
4分50秒 十字固め
卍丸/●Ken45°

▼シングルマッチ 20分1本勝負
○シーサー王
6分29秒 スーパーラリアット→体固め
●OSO11

▼シングルマッチ
○朱祟花(フリー)
6分17秒 みちのくドライバー→エビ固め
●岡優里佳(仙女)

▼シングルマッチ 30分1本勝負 ※ザ・グレート・サスケが欠場に伴いカード変更
●バラモン・ケイ(フリー) with バラモン・シュウ(フリー)
無効試合
●神取忍(LLPW-X)

▼再試合 ハンディキャップマッチ
○神取忍(LLPW-X)
2分7秒 腕ひしぎ逆十字固め
バラモン・シュウ(フリー)/●バラモン・ケイ(フリー)

▼センダイガールズプロレスリング提供試合 30分1本勝負
橋本千紘(仙女)/●愛海(仙女)
8分38秒 雷音→片エビ固め
○岩田美香(仙女)/高瀬みゆき(フリー)

▼6人タッグマッチ 60分1本勝負
フジタJrハヤト/日向寺塁/●のはしたろう
7分54秒 一騎当千→エビ固め
義経(フリー)/○景虎(DRAGON GATE)/望月成晃(DRAGON GATE)

▼メインイベント シングルマッチ
○新崎人生
29分51秒 スパニッシュフライ→片エビ固め
●MUSASHI

新崎人生が30周年で初披露のスパニッシュフライで鮮烈勝利しYouTuberデビューを宣言?!サスケがコロナ罹患で欠場も怒りの神取忍がバラモン退治!

オープニング


新崎人生がChatGPTで作成した挨拶で謝辞を述べた。

第1試合


 2022年5月5日にデビュー以来研鑽を積んできた山谷林檎。ラッセとのシングルマッチも数を重ねるうち徐々に粘りと根性を見せるようになってきた。

 試合開始早々からラッセは林檎の背中へ回りグラウンドの態勢を狙うが林檎がラッセの腕を取って切る。すかさず切り返し首に手を回しクラッチしようとするが、林檎が先手を取って回り込んで逃れスタンドの態勢へ。リストの取り合いからヘッドロックの態勢を取ったのは林檎。締め上げるがラッセが力技で切ってグイグイ締め上げながら林檎にロープを背負わせる。林檎がドロップキックで反撃。ラッセのチョップに張り手で果敢にやりあうが打ち負かされラフプレーにもくじけず、重いラッセをミサイルキックで吹き飛ばしボディプレス。ラッセのフライングニールキックにも耐え、手段選ばず丸め込みの応酬で勝ちにいく。がフォール取らせずはねのけたラッセが遊びはこれまでと林檎の足を掴んでいつものパターン。エビ固めががっちりと決まって試合終了。

ラッセは試合後林檎に近づき、肩をそっと叩いて健闘をねぎらった。

第2試合


 両者ともに酒を携えリングイン。「飲み友になりましょう!」と愛澤から差し出された手を郡司が取ると見せかけボコボコに。コーナーポストに逆さに吊って踏みつける。あまりの暴挙に愛澤が怒りのレッグラリア―トでお返し。トラースキック、みちのくドライバーIIと畳みかけ、コーナーポスト最上段から凄まじい勢いのミサイルキックを投下。勝利を確信してポージング決めた愛澤に郡司が無情のゴールデンボール(急所攻撃)から丸め込んで3カウント奪取。

 勝った郡司は、金的を抑えつつ呆然自失の愛澤を残して意気揚々と退場。

第3試合


 尖がったムードでBAD BOYが先に入場。あとから明るくはじけまくって登場のヤッペーマンズ。先発の1号が卍丸にビビりまくり距離を詰められない。怖がりながらも2号に励まされなんとか組打つもののこらえきれずにロープエスケープ。双方交代。2号がKenをティヘラで飛ばすと1号と卍丸にダブルのドロップキックで場外へ落してコーナートップからダブルで場外ブランチャ。ところがKenと卍丸がこれをかわしてあえなく落下、自爆。リング上2号をコーナーに押し込んだBAD BOYが串刺しエルボートレインからサンドイッチ攻撃。Kenが2号をパワーボムの態勢にセット。これを返してKenを逆打ち。そのまま十字固めで両肩をホールド。3カウント決まってしまい、卍丸とKenがレフリーに詰め寄っている隙に勝ったヤッペーマンズ速やかに去る。

第4試合


 野獣対決。大事そうに玉手箱を抱えて現れたシーサー王は中からキラキラ光る赤い球を取り出し観衆に見せびらかす。OSSOはいつも通り魚を振り回しながらドスドスリングイン。相変わらず敵が誰か判別できない風で、レフリーをコーナーポストに押し込んで威嚇するOSSO。ロックアップ。小手調べはOSSOが押し勝ってシーサー王にロープ背負わせレフリーが割って入ってもクリーンブレイクせずシーサー王を足蹴にするOSSO。するとショルダータックル合戦では全力でOSSOを倒しにいったシーサー王が、倒れたOSSOを踏みつけ「めんそ~れ」とグリコポーズ。ダイビングエルボーでOSSOにダメージ蓄積。譲らぬ重いエルボー合戦、激しい肉のぶつかり合い、ラリアット合戦を制したのはシーサー王。OSSOの後頭部に打ち込んだあと正面からスーパーラリアットを叩き込んでフォール。OSSOダウンして肩上がらず3カウント。

シーサー王は、来た時と同じく玉手箱を大事に小脇に抱えて退場。

第5試合


 朱祟花がリングインの最中に、岡が背後から怖れを知らぬ奇襲攻撃をかけ、さらに場外ブランチャだが朱祟花激怒。岡をエプロンに叩きつけムーンサルトアタックを狙うが避ける岡。朱祟花は激怒のビッグブーツで岡を蹴り倒す。ボディプレスでしたたかに叩きつけダウンの岡を上から見下ろす。朱祟花の胸元に拳を打ち込むが、朱崇花のビンタ一撃で岡ダウン。カウント2でフォール跳ね返しなおも食い下がる岡のダイビングボディプレスを朱崇花がドロップキックで粉砕。だが朱祟花のムーンサルトプレスも岡がかわして自爆させる。自らを鼓舞するかの咆哮あげながらエルボーを打ち下ろす岡だが、朱祟花の重いエルボー一撃で倒される。それでも果敢に反撃のブレーンバスターでフォールもカウントは2。ならばとコーナートップから旋回式ボディープレスを放つが朱祟花の膝剣山が待ち伏せ。膝立ちの岡にトラースキックでフォールも返す岡に嫣然と笑みを浮かべた朱祟花がスピンキックからみちのくドライバーで岡をマットに沈めて3カウント。

 精魂尽き起き上がれずにいる岡との力の差歴然。女王は無傷の笑顔満面余裕の呈。ベルトを観衆に見せつけながら帰っていった。

化けるシンガーソングライター霧愛ミニライブ


 武藤敬司の長女でシンガー・ソングライターの霧愛が、リング上では初となるミニライブを行い人生の30周年に華を添えた。
 今年の3月には人生のふるさと徳島県で開催した大会には武藤敬司が来場し、引退後初となるトークイベントを行っていた。

 リングアナからの紹介を受け選手入場門から登場した霧愛は、白いドレス姿で仮面を付けて入場。
 アコースティックギターで弾き語り。透明で張りのあるヴォイスが響き渡ると立て続けに5試合激闘が続き興奮状態の会場の空気が次第に和んで自然発生的に手拍子が始まり、それがさざ波のように広がっていき、やがて霧愛を大きな渦となって包み込んでいった。

 最後の曲を披露する前にマイクで「お父さんは私をパンツ一枚の姿でプロレスで育ててくれました」と語ると、温かい拍手と笑いが起こった。
 プロレスファンの欲目としてはやはり武藤敬司とのデュエット曲を聴いてみたくなるが、おそらくしばらくの間は共演することはないと思われる。
 ベストファーザー武藤としては、娘の成長していく姿をひとりでどこまで頑張れるかをつかず離れず見守っていたいというところだろう。

 ミニライブを無事に終えたあとのSNSで霧愛は、「私は少しでも花を添えられればと思い リング上から歌をお届けしたのですが、人生さんの"人間性"と"優しさ"に感動した1日でもありました」とコメントしていた。

第6試合


 第6試合は、サスケがコロナ罹患によりまさかの欠場となり、急遽バラモンケイと神取のシングルマッチが組まれることとなった。そもそも3月18日に行われたみちのくプロレス30周年記念大会第一弾で、神取にスリーパーで仕留められたサスケが試合後に差し出した手を神取が取ったことから実現した夢の共闘タッグだったのだが。

 バラモンは「なんでサスケは今頃コロナになるんだ!」「これがサスケのやり方だ!」と気色ばむ。ただ、急なカード変更でぶちぎれるのは無理もないのでいつもよりは正論に聞こえた。ゴングが鳴るや、場外へ脱出。リングに戻ってくると「殺人パンチ一発で終わらせてやる!」と空元気。神取が迫って来るやシュウが白い粉で目つぶし。神取のたうちまわりバラモン竹刀持ち出しレフェリーストップ。試合が流れて「終わりだ、終わり! 帰るぞ」と早くも撤収にかかろうとすると観衆が「えええーっ」と大ブーイング。バラモンを神取が止める。「じゃあ1対2でやってやるよ!」と調子づきハンディキャップマッチとして再試合開始。

困惑気味の神取に「あいつ1対2の意味わかってねぇのかよ!」とバラモン火に油。ボウリング攻撃が見事神取の股間に命中、痛がると「あいつはやっぱり男」と騒ぎ立て、交通標識を取り出したシュウが力任せに振り下ろすといつもの誤爆。神取はケイを背負い投げから流れるように腕ひしぎ十字固めを極めてケイたまらずタップで完勝。

神取はバックステージでも「あいつらめちゃくちゃ」と怒りよりも呆然コメント。


<試合後コメント>
神取忍
「コロナ憎しだよ! 今日はサスケさんと新崎さんの30周年っていうことで、初めて組めるってことで楽しみにしてた。そしたらこんな展開だよ。お客さんはすごく楽しかったんじゃない? まさか1対2になるっていうのもあるしね。想定外だらけだよ。30周年だからね、それぐらいいろいろあってもいいんじゃない。プロレスは波乱万丈が当たり前だからね!それに対応していかないと。」
「アイツらホントタチ悪いヤツらだね。もう一回やりたいよ、スッキリした形でね」

 欠場のサスケについては機会があったら組みたいとラブコール。

 サスケの復帰が待たれる。

第7試合


 高瀬が愛海にドロップキックを決めたあと、岩田と合体攻撃、ダブルのドロップキックと愛海にターゲットを絞って集中攻撃。高瀬が愛海にローリングクレイドルを仕掛けると観衆が拍手喝采。愛海いきなりピンチを迎えるがなんとか自力で切り抜け橋本と交代。橋本がエンジン全開で高瀬と岩田に突進。二人まとめてぶっ倒し、高瀬を寝かせてサマーソルトドロップで圧殺。グロッキー状態の高瀬をコブラツイストで搾り上げ、高瀬悶絶。バックフリップと畳みかけ、ダメ押しとばかりにコーナーからサマーソルトドロップを見舞うがこれはかわされ自爆。

 高瀬は橋本にミサイルキックを放って岩田と交代。岩田が蹴撃で橋本を追い込む。だが、二発目のバズソーで振り抜いた右足首を掴んだ橋本がアンクルホールド。辛くも逃れた岩田が橋本に下から三角締め。力づくで切ろうとする橋本を岩田は逃さずネックをがっちりホールドすると橋本苦肉のブレーンバスターで岩田を切り離すことに成功。橋本は岩田を弱らせ愛海に託す。ミサイルキックからノーザンライトスープレックスホールドもカウント2。ならばとコーナー最上段で「フォー!」と雄たけび上げダイビングボディープレス。フォールも岩田返す。膝立ちの岩田に愛海がエルボー打ち下ろすが、ロープに走ったところを高瀬が待ち伏せ。尻もち状態の愛海を岩田の膝が襲う。岩田のバズソーでダウンもカウント2で返す愛海。ニーアタック、ランニング・ダブルニーと決死の反撃も高瀬がカットに入って3カウントに至らず。橋本の誤爆が命取りとなり、最後は岩田が愛海に雷音を決めて3カウント。

第8試合


 セミファイナルは豪華メンバーがずらり。みちのくプロレスの過去と現在が交錯するドリームマッチに。
 入場ゲートに意気揚々と先陣を切って現れたは景虎。そのうしろから義経と、この日デビュー通算4000試合目となる望月が闘志漲らせリングイン。3人並ぶと壮観でオーラに圧倒される。

 続いて現在のみちのくプロレスでトップを張る日向寺、のはし、フジタが登場し、望月とハヤトで試合開始。じわりじわりと距離を詰めていた二人だったが、先制のカーフキックで闘いの口火を切ったのはハヤト。すかさず望月もカーフを返すが、ハヤトがカーフ蹴りからミドルを打ち込むと望月も負けじとミドルをお返し。ショルダー合戦も互いに譲らず再び蹴り合い。ハヤトがハイキックを望月の顔面にヒットさせれば、望月もハヤトの顔面を洗うが如くハイで返す。

 双方プロレスというより総合格闘技の一撃必殺の鋭い切れ味の蹴りを繰り出し会場の空気が震撼とする中、望月がハヤトの右ハイをよく見て反転。交わしていったん日向寺と義経に交代。

 日向寺のショルダーで倒れた義経がカウンターのドロップキックで反撃。場外に飛ばした日向寺に仕掛けるタイミングでのはしが割って入って「頭!」と叫んで義経の腰へヘッドバットを見舞うが、調子づいていると景虎が助っ人に来てのはしを蹴散らし青コーナーへ押し込むと、今度は望月がのはしの頭に張り手。捕まるのはし。

 自力で逃れてコーナーでジリジリ待っていた日向寺に代わると、待ってましたとばかりにラリアット、スピアーで義経、望月と次々に蹴散らしていき、のはしとサンドイッチ攻撃を敢行するが景虎再び。またものはしが捕まって猛攻の餌食に。あわやのことろでハヤトがカットに入って望月をジャーマンでぶん投げる。そのハヤトのテンプルに望月が右ハイ、刃の切っ先の如く足の甲をぐさりと突き刺すがハヤト倒れず望月にやり返し。ロープ背負った望月に突進した勢い余ってエプロンに滑り落ちたハヤトがロープを引っ張り望月を場外へ落としてエプロン走ってダメ押しの一蹴も義経が千本桜で攪乱サポート。場外のハヤト、日向寺カットに戻れぬまま景虎がリング上でのはしを捕まえ一気に畳んで3カウント。勝った景虎はコーナーへ上がって片手挙げ大観衆に勝利をアピール。

 のはしたろうはこのあと7月2日(日)ドラゴンゲートKOBEプロレスフェスティバル2023に景虎(kagetora)と組んで6人タッグマッチに参戦する。ドラゲーのひざ元で一矢報いることができるか、眼目の一戦が待機。

第9試合


 MUSASHIはフジタ"Jr"ハヤト不在のみちのくプロレスで、ハヤトの抜けた穴を埋めるべく看板を張って活躍を続けてきた。体格はひとまわりもふたまわりも大きくなり実力も充分備わってきている。

 新日本プロレスの『SUPER J-CUP』や『BEST OF THE SUPER Jr.』にも参戦して知名度を高め活躍の場を拡大していた矢先の2017年にガン(脊髄腫瘍髄内腫瘍上衣腫)が見つかり、闘病生活を余儀なくされてしまったハヤト。だが、2022年7月2日後楽園ホールで5年ぶりに復帰するやいなやMUSASHIが輝きを鼓舞してきた東北ジュニアヘビー級のベルトを奪取。王座陥落のMUSASHIはその後ハヤトを追い落とさんと世代闘争をぶちあげるが2023年5月6日、翌7日ともに結果残せぬままハヤトによって抗争の終焉が宣言される。

 世代闘争が果たしてハヤトの宣言通りにあっさり終わりを迎えるのかどうかはともかくとして、6月25日(日)仙台サンプラザホールにおいて開催された新崎人生30周年記念興行メインイベントで、人生とのシングルマッチ一本勝負が行われた。

意外にも思えたが二人は今回がシングルマッチ初顔合わせ。

 新崎人生は1992年11月19日ユニバーサルプロレスでマスクマンとしてプロレスラーデビュー。翌年1993年6月に新崎人生として素顔でみちのくプロレスに登場以来30年を経たいまなお驚異のグッドシェイプで若手と並んで一切のそん色なく存在感を放ち続ける。2023年3月に郷里である徳島県で開催された30周年記念大会後のインタビューでも「30周年は通過点に過ぎない」と、引退はないと明言したゆまず成長を続けていく意欲を語っている。

 MUSASHIと人生の間に遺恨はなく、抗争・遺恨マッチが受ける傾向の我が国では、逆に「なにもない」ところから始まる闘いは、どうなるかまったく予想がつかないので興味深いものがあった。ジャッジは、全日本プロレスから和田恭平名誉レフリーが特別レフリーとして招かれた。

 試合開始前に、人生の後援者、ファンのお客様が花束を手にリングイン。入場してきた人生に花束贈呈後、人生を囲んで記念撮影が行われた。人生のあとに入場してきたMUSASHIの表情は意外にも能面の如く無表情で、心中伺い知ることは難しかった。しかし押し合いからロープを背負わせた人生への離れ際のMUSASHIの張り手に空気が一変。人生のまなざしに怒りの焔が宿ったと見るや察した和田レフリーが割って入ってここは人生に抑えろとジェスチャー。

 再度手合わせ。力比べで人生に圧されたMUSASHIがブリッジで魅せる。人生MUSASHIのリストを取るがMUSASHIも負けじと取り返す。ならばと人生が地獄突きを見舞うとMUSASHIはジャーマンで流れを力づくでもぎ取り人生は場外エスケープ。和田レフリーに促されカウント15でリングイン。

 MUSASHIのショルダータックルに人生が地獄突き。コルバタ狙ったタイミングで人生がパワーボム。フォールもカウントは2。ここでショルダークローで畳みかけMUSASHI苦悶。なんとか切りぬけるも人生のドロップキックにもんどりうって倒れたまらず場外へ逃れる。追って場外へ降りた人生が藪蛇。したたかに腰を打ち、ダメージが尾を引くこととなる。

 ペースを再度掴んだMUSASHIが人生の腰を集中攻撃。コーナーに人生をセットして雪崩式ブレーンバスターの体勢も人生粘って逆にMUSASHIを担いでスーパーパワーボムでマットに叩きつける。勢い人生はコーナーに上って、拝み渡りを披露すると三階席まで入った観衆は拍手喝采。しかしパワーボムを辛くも切ったMUSASHIが人生の腰をエプロンに叩きつける。人生が場外へ転落したと見るや伝家の宝刀ノータッチ・トペ・コンヒーロで急降下。和田レフリーが絶妙に遅くカウント。カウントアウトギリギリに戻ってきた人生を待ち受けMUSASHIはドロップキック、テキサスクローバー・ホールドと畳みかけるも人生辛くもエスケープ。MUSASHIの攻撃は止まらず。蹴りをがっちりと掴まれながら人生に延髄斬り。咆哮勇ましく串刺しエルボーから裏投げでフォールもカウント2で人生返す。MUSASHIはエストレージャ・フトゥーロで勝負に出るが、人生の非情の足剣山が腹を突き刺す。人生はMUSASHIをボディスラムで叩きつけ、リバース・スプラッシュで圧殺、フォールもカウント2。MUSASHI反撃、トラースキックをきっちり決めてフォールもこれも返されるとロコモーション式ジャーマンスープレックス3連発でフォールとこれも決まらない。ならばとエストレージャ・フトゥーロをリベンジ。フォールせず、コーナーへ上がって再度。これもカウント3には至らず。テキサスクローバーも人生堪えてしのぐ。人生の大ピンチに観衆から大人生コールが起こる中MUSASHI二天一流で決めの態勢。これもカウント2で返した人生。二発目を狙うが人生許さず。MUSASHIのトラースキック、人生は輪廻。両者ダウン。先に立ち上がったのは人生。MUSASHIはスタミナ切れか動きが緩慢。これを勝機と人生が驚異のスタミナフル稼働でパワーボム。決まらぬと見るや曼荼羅ひねりからの満を持しての念仏パワーボムも、これもカウント2。もはや本能的に返しているかの様相。MUSASHIをコーナーへセットした人生が最上段からスパニッシュフライを華麗に決め、MUSASHI散らしてフィニッシュ。

前半はMUSASHIが優勢に思えた。あわやのシーンはいくらもあった。或いは勝てた試合だったのかもしれない。そのことは人生も試合後マイクで触れていた。

勝者にあって、敗者にはないもの。MUSASHIには決定的に欠落しているものがある。それを補うためには、捨てねばならないものがある。

人生は拳王がこの前日6月24日(土)に徳島県で開催した『拳王 Debut 15th ANNIVERSARY 【MATCH】〜since 2008』で語った言葉「安定臨めば進化なし」を引用、精進を重ね35周年まで突き進んでいくと締めた。

人生はマイクを持つと、「昨日徳島で私の弟子、拳王が15周年の大会をおこないました。拳王が最後に言った言葉が安定を・・・なんて言ったっけな?そう。「安定を望めば進化なし」と言って、次の行動に出ました。MUSASHI、お前もそろそろいろんなものを壊して、前に進んでほしい。別に他人の足を引っ張ってあがろうとか、他人を蹴落としてあがろうとか、そういうことは言ってないけど、踏み台にするぐらいでいいと思う。俺でもいい。同世代、先輩、たくさんいる。踏み台にしてもっともっと上を目指してほしいと、たぶんここにいるみちのくのファンもそう思ってるはずだ。今日は勝てたけども、ほとんど京平さんが協力してくれたみたいなもんだ。ありがとうございました。これからのMUSASHIの先を、もっと俺は見たい。頑張れ。」

「ホントに5月にコロナが明けて、初めてののこういう大きな大会でした。お客さんたくさん集まってくれて、本当にありがとうございます。今日こうやって勝利できたのも、京平さんのおかげでもありますし、この2カ月ぐらいいつも自分はたこ焼きを焼いたりラーメン屋さんのほうに行ったり、シニアの方に人生体操を教えたりで、練習を削ったりしなければいけません。ただこの2カ月、スタッフみんながやってくれて自分はこの大会にむけてしっかりと練習ができて、今日いいコンディションで闘うことができました。この場を借りてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。」

「5年に1回、20周年、25周年、30周年と3回やりました。次は35周年やりたいと思います。」


 バックステージでも、新たなる試みとして「ユーチューバーになります。YouTubeチャンネル開設します。目指せ、登録者数10万人」と宣言。

(※後日、SNS上でノリで言ったとコメントしたが真偽の程は定かでない。)

 幾つになっても新しいことを臆せず挑戦し続ける人は老化しないそうだ。

 この日開場の物販コーナーには、発売されたばかりの新崎人生30周年記念Tシャツが仙台七夕の飾りのように色とりどりに並べられ、多くのファンが買い求めていた。

 Tシャツに描かれているのは三鈷杵。とても象徴的なデザインだ。

 三鈷杵は、煩悩を砕き智光を顕す、祈る者の三業がそのまま仏様の三密に通じるとされる。ちなみに高野山には、空海が投げて山に落下したと伝えられる『飛行の三鈷』金剛三鈷杵が保管されている。その空海の言葉「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば我が願いも尽きん」。デビューから30年を経てもシェイプされたボディ、存在感変わらず30周年にして新たなる技の会得に意欲。超然とやってのけてしまう永遠不変のプロレスラー新崎人生の生きざまはまさに「世界宇宙がなくなるまで、みちのくプロレスがなくなるまで、そして悟りの境地に到達するまで、終わることはない」だろう。

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