ウクライナ出身の24歳女子ファイターが日本で涙の訴え「子どもたちも、女性も、男性も、年寄りも、多くの人間が殺害され暴力の被害にあっています」
31日、さいたまスーパーアリーナにて『湘南美容クリニック presents RIZIN.37』が開催。第9試合に出場したウクライナ出身の女子ファイター、アナスタシア・スヴェッキスカが戦争の現状を訴えた。
アナスタシアは『RIZIN WORLD GP2022 スーパーアトム級トーナメント1回戦』に出場し、RENAを相手に対戦。試合は長い手足を活かした打撃の距離と、グラウンドでの絞め技でRENAの動きを奪っていく。だがRENAが細かい打撃でポイントを稼ぎ判定勝利となった。
試合には負けたアナスタシアだったが、バックステージでマスコミに囲まれると祖国・ウクライナの現状に関して「既に戦争が始まって6ヶ月が過ぎようとしていますが、ウクライナでは未だに戦争は終わっていません。そしてみんな戦争の犠牲になっていることは紛れもない事実です。兵士たちは勇敢に戦い、男女を問わず戦争に駆り出され、子どもたちも、女性も、男性も、年寄りも、多くの人間が殺害され暴力の被害にあっています。これは真実だということを今この場でも皆さんにお伝えしたいと思います。皆さんに是非言いたいことは、戦争はまだ決して終わっていないということです。ウクライナ国民はそういった状況の中でもお互いに助け合い、勇気を振り起してこれから国の発展のために尽くしていきたいと思っています。それは諸外国からの援助といったものも頂く機会が増えています。これは財政的な援助、モラル・道徳的な援助。私たちはすべての援助を受けざるを得ない状況になります。こういった国際試合に出る機会があったということで皆さんにアピールしたいことは、ウクライナという国は独立した、豊かな国であるということです。残念ながら露によって多くの領土が占領されている状況ですけど、私たちは決してこのような状況に甘んじること無く、自分たちの国を守っていきたいと思っています。戦争の状況下に置かれる母国を想いながら皆さんからの強いサポートをこの機会に訴えたいと思います」と涙ながらに訴える。
そして自身の今後に関して「格闘技を続けていくか、否か。これは国の状況に関係ありません。私は国の状況に言い訳を作りたくないんです。私が望むのならば、どんな可能性でもチャンスでもなんとか見出すことは出来ると思います。トレーニングに関しても同じです。どんな状況に置かれても、もしそれをどうしてもやりたいと思えば実現できるはずだと思いますし、私自身もそのような道を行きたいと思っています。可能性といったものが無いということは、国がどんな状況にあろうとも私は無いと思っています。必ず私は自分の望んだものを得るという強い意志を持っています。状況を言い訳にはしません。将来について言うならば、もう少しブラジルの柔術だとかレスリングの方に重きをおいていく可能性はあると思う。自分の体とも相談しながらこれからどういう技術を習得できるかということも考えながらこれからのプランを考えていきたい。最後にもう一度申し上げたいのは、私は自分が望むなら当然自分のキャリアを積んでいくことができるし、自分が嫌になってしまったら辞めてしまうと思います。誰にも強制されるわけでもないし、どこかの組織と契約をしてやりたくないのにやらざるを得ない、そういう状況は私にはありませんので、私は自分の意志でやりたいという気持ちがあれば私は続けていきます。実際に試合に出てみて、日本のファンのみなさんが本当に熱心に応援してくださる。ウクライナの国旗を掲げたり、私の名前を呼んで応援してくださったことが私にとってどんなに励みになったことか。みなさんが想像できないくらい嬉しいことでした。異国で闘うことは簡単なことではありません。私自身も知らなかったですし、このような厳しい状況の中でもファンのみなさんの温かい声援にものすごく勇気づけられました」と力強く語った。