「名前を出すのも恥ずかしい団体で俺たちは…」地の底から這い上がってきたプロレスラー2人が頂上決戦でインディー界統一に向け驀進!

21日、東京都・新木場1stRINGにてTTTプロレスリング『PROGRESS 5』が開催。定アキラと橋之介がインディー統一無差別級王座をかけて激突した。
TTTプロレスリングは、故・ターザン後藤さんが掲げた“インディー統一”の遺志を受け継ぐガッツ石島が旗揚げした団体。90年代インディーの空気を色濃く残したディープなメンバーが参戦しており、令和最新型の“平成”を創り上げている。
2020年1月に旗揚げしたTTTは旗揚げ直後にコロナ禍に見舞われ、いきなり興行が出来なくなり解散の危機に瀕するという波乱の立ち上がりを見せる。
しかし、TTTは同じくコロナ禍にあえぐ地元商店街とタッグを結成し、商店街振興のためのプロレスイベントを継続的に行うといった草の根運動で支持を拡大。この活動は行政にも認められ、東京都の商店街振興事業の一環として多数の商店街と合同で行われるようになるなど社会から高く評価。昨年12月には初の後楽園ホール進出、2026年1月9日に2度目の後楽園大会を決定しているなど上り調子だ。
TTTは観衆の洗脳活動を主とする奇行系ヒールユニット【ゴキブリ商会】から侵略を受けており、教祖たる“唯一神”藤原秀旺はTTT所属の正規軍よりもファンの支持を集めていた。
しかし、唯我独尊な神の行いに子ゴキブリたちがついにブチ切れ、今年4月大会にて秀旺をゴキブリ商会から追放。神の座を簒奪した定アキラが実質的な新リーダーとなり、5月大会ではガッツ石島を破って悲願のインディー統一無差別級王座戴冠を果たした。
定は小学1年生の時からU.W.F.スネークピットジャパンで修練を積み、15歳の若さで故・アントニオ猪木さん率いるIGFでデビュー。31歳にして約16年のキャリアを誇り、人生の半分以上をプロレスラーとして過ごしている若き古強者。会場にはいつも2人の子どもが応援に来ており、大声援を受けながらパパとして強さを見せつけている。
この日は、定の持つ王座に橋之介が挑戦。
橋之介はプロレス界の名脇役として名を馳せた故・ウォーリー山口さんの実子。タイガー戸口(キム・ドク)に師事して2019年9月にTCWでデビューしたが、以降は父の後ろ盾を使うこと無く一貫してフリーとして活動。2024年7月のTTT入団まで自らの意志で泥水をすすり続けてきた孤高のハイフライヤーだ。
定は橋之介のデビュー2戦目の相手となり、くすぶっていた橋之介の兄貴分として目をかけてきた。前座の前座扱いだった橋之介は「いつかメインで定さんとタイトルマッチをやりたい」という夢を語っていたといい、今回は約5年越しのその夢が叶うことになった。

試合は、ゴングとともに橋之介が突っ込んで顔面にドロップキックをめり込ませ、必殺のスワントーン・ボムを決める。定が2で返すと橋之介が2発目を狙うが、定がエプロンの角へとぶつけるデッドリードライブで切り返す超荒業で対抗。
以降は地力で勝る定が冷酷に橋之介を攻め立て、ゴツゴツと骨の音が響くエルボーやヘッドバッドで猛攻。橋之介も雄叫びを上げながらバチバチとビンタやエルボーで猛反撃をかけ、足を止めての真っ向勝負の打ち合いに観衆は大興奮。
橋之介は得意のハンドスプリングエルボーからノータッチ・トペ・コンヒーロを決め、スワントーン・ボムから奥の手中の奥の手である変形スカイツイスター・プレスを発射。これをかわした定が顔面へのパントキックからMADE IN NERIMA。これを2で返されると、定はエルボーパッドを放り捨てて橋之介が起きるのをじっと待つ。橋之介が立ち上がって定の目をまっすぐ見ると、定はそれに応えるかのように強烈なエルボーを叩き込んで3カウントを奪った。
マイクを取った定は「橋之介、分かるよ。お互いの立場的に、俺に『ありがとうございました』って言えないのも分かってるよ。俺と橋之介、ホント名前も出すのが恥ずかしいくらいの団体で第1試合とか第2試合とかでやってたんですよ。そこで『いつか定さんとメインでタイトルマッチ出来たらいいですよね』っつって、何年間も何年間もずーっとそういう夢見て。仲間ではなくなったけど、こうやって形にできました。ハシ、お前は俺に『ありがとう』って言わなくていいよ。俺からはサンキューって言ってやるよ」と橋之介に5年越しの思いを伝える。

その後、橋之介のタッグパートナーである神崎ユウキがリングに上って定へ挑戦表明。
定がTTTの某選手ととても険悪な関係とされる“某団体”のタッグベルトも持っていることを指摘してヒートアップした神崎は「某団体のベルトとTTTのベルトを同時に持ってることが腹立たしいです。メッチャムカつきます。ノってる定アキラを引きずり下ろしたい!次の挑戦者は俺だッ!」と宣戦布告。
定は「言うなッ!お前悪い奴だ、お前悪い子だ……」とバツの悪そうな顔を浮かべつつも挑戦を承諾。定と神崎の王座戦は7月19日の新木場大会で行われる見込みだ。