「年齢を言い訳にしてる奴、葛西純の背中を見ろ!」エル・デスペラードvs葛西純のIWGPジュニア王座戦は史上初の蛍光灯&ガラスボードデスマッチで大激戦!

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 24日、東京都・後楽園ホールにて『"DEATH PAIN" invitacional』が開催。エル・デスペラードと葛西純が蛍光灯&ガラスボードデスマッチにてIWGPジュニア王座戦を行った。

 以前よりデスペラードは“デスマッチのカリスマ”葛西純への憧れを語っており、2019年5月の『タカタイチマニア2』にて初のシングルマッチで戦った際には両者リングアウトのノーコンテストに。さらにこの試合でデスペラードは顎の骨を折り長期欠場となってしまった。
 それから3年の時が経った2022年5月の『タカタイチマニア2.5』で2人が再会すると、葛西は「デスペ、お前からの超刺激がほしい!つべこべ言わず、シングルやれや。コレ(赤いバラ)を受け取ったらOKとみなす」とバラを一輪差し出す。デスペラードもすぐに受け取り、2022年9月の『TAKAみちのく30周年記念大会~タカタイチデスぺマニア~』にて2度目のシングルマッチが決定。


 国立代々木競技場第二体育館にて行われた両者の試合は伝説的なものとなり、多種多様な凶器が乱れ飛ぶ大流血戦に。この試合はデスペラードが制したが、ファンの心に刺さったのは葛西のマイク。
 葛西は、デスペラードが戦前に『燃え尽きて、死んでもいい覚悟でリングに上がる』と語っていたことについて「お前みたいによ、最高の仲間に囲まれて、沢山のファンに応援されて、夢だった新日本プロレスに入門して、プロレスラーとしてデビューして、新日ジュニアのトップ取って、最高の人生を送ってるやつがよ、死んでもいい覚悟でリングに上がるなんて言うなよお前!俺たちはよ、死んでもおかしくねー、大怪我してもおかしくねーリングに上がって、生きて生きて、生きてリングをおりなきゃいけねーんだろうが!死んでもいい覚悟なんて、捨ててしまえ。死んでもいい覚悟なんていらねーんだよ!そうすれば、お前はもっと強くなる」と助言。
 これに感銘を受けたデスペラードは「2度と『死んでもいい』なんて軽々しく口にしません」と誓い、一輪のドライフラワーを差し出し「これ、こないだいただいたバラなんすよ。初めて作ったドライフラワーなんで、下手っぴかもしんないですけどもらってやってください。また必ずシングルやってください」と3度目のシングルマッチを約束した。

 その後プロレス界は“禁断の扉”を次々と開け放っていき、業界全体で団体間の交流が活性化。葛西とデスペラードがリングで揃う機会も増え、デスペラードがFREEDOMSのリングにも参戦。新日本マットでもデスペラードとジョン・モクスリーが抗争を展開した際には葛西&デスペラードがタッグで立ち向かった。今年3月の『CRAZY FEST』では竹田誠志も交えて蛍光灯&ガラスボード+"X"TREMEデスマッチを行うなど、2人の関係はどんどん深くなっていった。

 『CRAZY FEST』でデスペラードから3カウントを奪った葛西は「IWGPジュニアヘビー級王者から3つ獲った?そんなの二の次だ。エル・デスペラードという男の中の男から3つ獲った。1着を目指さなくなった競走馬に価値はない。そのIWGPジュニアヘビーなんちゃらとやらに挑戦する資格だけはあるんじゃないか?」と挑戦の意志を口にする。
 今月1日の大田区総合体育館大会では、葛西純が来場しデスペラードが主催した『DESPE-invitacional』に倣って『"DEATH PAIN" invitacional』の招待状を持参し、挑戦を表明。
 デスペラードもこれを受諾し、これを葛西との最後のシングルマッチにするという不退転の覚悟を口にする。これによりIWGPジュニアヘビー級王座戦が史上初のデスマッチ形式で行われることとなった。


 蛍光灯とガラスボードがズラリと並ぶリング上で棚橋弘至社長が選手権試合宣言を行い、決戦のゴング。
 序盤は互いが積み重ねてきた地力を競い合うかのようなクラシカルなレスリングを展開していくも、葛西が「デスペ、ラストシングルだぜ?こんな大人しくていいのか!」と蛍光灯を手にしてニヤリと笑う。
 葛西が蛍光灯で頭をぶん殴り、有刺鉄線ボードに叩き込んでイスで殴打。割れた蛍光灯でデスペラードの額を抉って流血させる。デスペラードも蛍光灯攻撃でやり返して同じように流血させるが、葛西が自分もろとも河津掛けでガラスボードに突っ込むことでギアを一気に上げる。
 葛西が蛍光灯の束を持ち込むも、デスペラードはこれにスパインバスター&ブレーンバスターで葛西を叩き込んで反撃の狼煙。蛍光灯の束をくくったイスでぶん殴ってからのギターラ・デ・アンヘル、さらにマッド・スプラッシュを発射も、かわされて蛍光灯の海へと自爆。葛西が蛍光灯の束を抱えて捨て身のショルダータックルを見舞う。
 葛西はイスの上にガラスボードをセットし、雪崩式リバースタイガー・デストロイヤー。さらにラリアットからリバースタイガー・ドライバー。続けて「刺激をくれーッ!」と叫んでラダー上からのパールハーバー・スプラッシュを狙うが、デスペラードが「くれてやるよッ!」とラダーに上がって葛西の頭に竹串の束をぶっ刺し、場外にセットされた蛍光灯&バラボードへと投げ落とす。デスペラードはスピアーからピンチェ・ロコ、さらに掟破りのリバースタイガー・ドライバーを見舞うが、葛西もピンチェ・ロコで掟破り返し。
 葛西は自身の頭を蛍光灯でぶん殴って気合を入れ、デスペラードに熱いキスをしてから垂直落下式リバースタイガー・ドライバー。葛西はデスペラードの上に蛍光灯の束を乗せて巨大ラダーの頂上からパールハーバー・スプラッシュ。血しぶきを上げながらのヘッドバッド合戦を制してクロスアーム式スティミュレイションで突き刺し、リバース・クロスアーム式スティミュレイション。これでもデスペラードは肩を上げ、フルコースを返された葛西は驚愕の表情。
 葛西は大量の蛍光灯を自身の頭に叩きつけてから蛍光灯の束の上にリバース・クロスアーム式スティミュレイションを狙うが、デスペラードがデュードバスターで切り返す。互いに自身の頭に手当たり次第蛍光灯を叩きつけてゾーンに入り、なりふり構わぬ殴り合いからデスペラードがリバースタイガー・ドライバー。立て続けにピンチェ・ロコで叩きつけるも、2で返した葛西が天に向けて中指を立てる。

 デスペラードはその中指を掴んで引き起こし、垂直落下式リバースタイガー・ドライバーからピンチェ・ロコで畳み掛けて3カウント。デスペラードが6度目の防衛に成功した。


 深々と座礼をしてからマイクを取ったデスペラードは「葛西さん!これが死んでもいい覚悟を捨てて、強くなったエル・デスペラードです!代々木第二でやったときは精神ボロボロで、終わったらもうメシ食わなくて、このまま死んでもいいやって冗談抜きで思ってたんです。でも、あんときに『生きたくても生きれない奴らがごまんといる中で、プロレスできてるって、スゲー幸せなんだって、死んでもいい覚悟なんか捨てろ』って、そう言われてから、今日タイトルマッチで葛西さん相手に防衛するまでになりました!本当に、本当にありがとうございました!」と泣きながら絶叫。

 葛西も「デスペ氏よ、お前だけじゃねーぜ?年齢もキャリアも、お前のほうがずいぶんと下だけどよ、オレっちはよ、お前みたいな強くて男気のある男になりたいと思って、30、40過ぎて、50手前になっても今日よりも明日強くなりたいと思って!お前と出会えたから今日ここまで来れました!デスペ氏、お前にはよ、いい意味で人生狂わされちまったよ!今日がラストシングル、終わっちまったな!今日という日が待ち遠しくて、今日という日が来なければいいなと思って。でも、終わっちまったな!」と涙声で語る。
 しかし葛西は「デスペ氏、最初で最後のオレっちのワガママ、聞いてもらっていいか?葛西純の全盛期は10年後だ!お前の10年後、今日よりも、もっともっとお前も強くなってるだろ?デスペ氏よ、これがなんだかわかるか?『"DEATH PAIN"invi Ⅱ』!2035年、後楽園大会の招待状だァ!それまでシングルは封印だ!受け取れ!」と招待状を差し出す。


 これを恭しく受け取ったデスペラードは「おかしいな。防衛したのは俺なのに、すごく負けた気がします」と苦笑しつつ、10年後の再会を誓い2人は熱いキスを交わした。

 バックステージに戻ったデスペラードは「あんまり表でさ、俺は『新日本が』とか『新日本のプライドが』とか、“ストロングスタイル”はやっぱり鈴木さんがチーム名として一度使ってくれて。あの人が1回つけてくれたストロングスタイルってものは俺の中にちゃんとあって、面白い試合をするとかアイテム使うとか、それであんなのストロングスタイルじゃねぇって言う人はそれでいいと思う。それが、だってその人の理想とするストロングスタイルでしょう?それは違うって言い出したら違うけど、俺のストロングスタイルは腹の中にずっとある」と、この試合もデスペラードなりのストロングスタイルであったことを語る。


 対する葛西は「オレっちが20代の頃、30代の頃、40代の頃、IWGPジュニアに挑戦させろって言ったって、相手にもされなかったろうよ。それがどうだ?今年で51歳になるっていうこのオッサンが、見事に新日本プロレスの後楽園ホールのメインで、IWGPジュニアのベルトに挑戦したんだぞ!負けたとはいえな。しかもデスマッチでだ。新日本プロレスの歴史をも狂わせたぞ。これがどういうことかわかるか?人間は年齢なんかじゃねえ。年齢なんて関係ねえ。オレっちにとってのデスペ氏。いわゆる、“尊敬”と“嫉妬心”を持てる人間がいれば、その2つの心を持ってればよぉ、年齢なんて関係ねえ。レベルアップできるんだよ。年齢を言い訳にしてる奴、葛西純を見ろ!葛西純の背中を見ろ!この背中についてこい!」と胸中を叫んだ。

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