【コラム】コロナ禍にプロレス団体が生き残る道。全日本プロレスのユニークな経営戦略…映画部門発足?

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世界中がコロナ禍に飲み込まれている現在。プロレス団体はどこも軒並み会場キャパシティ半分の収容人員で興行をおこなっている。

単純に考えて、これでは売り上げ半減である。団体の生命線であるチケット収入がその調子ならば、なんらかの異なる経営戦略も取り入れ収支を上げていかないことには生き残っていく道はない。

そこでユニークな経営戦略を駆使し、それにより絶大な成果を上げている団体が存在する。全日本プロレスだ。

プロレスとは無関係である映画出資により、コロナ禍で瀕死となった経営状態を脱したというのだ。知られざる逸話をいま、福田社長が静かに語り始める。

「ずっと悩んでいました。全日本プロレスには『いい男』も『自称いい男』も『個性的な男』もいるのに、世間ではほとんど知られていない。とても残念だ、と。では、どうしたら伝えられるだろうか。そんなことを真剣に日々考え続けてきました」(全日本プロレス・福田剛紀社長)

事の発端はコロナ以前。この頃の福田社長の想いが、後に全日本プロレスの窮地を救うことになるとは誰が想像しただろうか。

「そこで映画界とのコラボを考えました。以前の経営者だったケーブルテレビ山形(現ダイバーシティメディア)社のお力添えで、東映のホラー映画『犬鳴村』に出資させて頂いたのです。プロモーションに選手を使って頂いたところMOVIEウォーカー等いくつもの映画メディアに取り上げて頂き、特に帝国ホテルでのスペシャルタッグマッチと、主演の三吉彩香さんがレスラーに放ったハイキックが評判となり、ほぼ全ての朝のワイドショーで出場選手の顔と名前とを報道して頂く事が出来ました」

この頃から、世はコロナの渦に飲み込まれていく。

「そして結果的に『犬鳴村』が全日本プロレスの経営危機を救ってくれたといっても過言ではありません。2020年2月に公開されたあと、世はコロナウイルスで全てが狂い、全日本プロレスもお客様を入れての試合が出来なくなってしまいました。予定されていたチャンピオンカーニバルには杉浦貴選手やデイビーボーイスミスJr選手が出場予定でしたので切符が売れていたものの残念ながら中止になり、売上金をお客様へ返金することになりました。しかし売上が9割も減ってしまった会社に、そんなお金はありません。もうダメか…そんなときの一筋の光明が『犬鳴村』に出資した配当金でした」

そして、奇跡が起きる。

「もちろんホラー映画界では世界的に名高い清水崇監督の作品ですから面白かったのが一番の要因ですが、実は公開予定だった007やドラえもん等の新作が軒並み公開延期になりまして。映画館の事情で止むを得ず上映を続けて頂いた『犬鳴村』が結果的に予想を超える大ヒットになったのです。これで全日本プロレスは救われました。何か月もかかってしまいましたが、配当金のおかげでチケット代の返金をなんとか完了出来たのです」

さらに、映画と関わったことにより新たなる発見もあった。

「また映画製作委員会に入ってみて初めて分かったのが、その綿密な宣伝戦略。細かく細かく、何通りもの媒体を縦横無尽に使って計画的に宣伝対策を練って世間に届けているのです。これは見習わなければなりません。全日本プロレスはまだ経営が盤石でないため充分な広告予算は取れませんが、来年あたりから、こういった機会で得た新たな知識や経験をもとにどんどん露出を増やしていきたいところです」

映画と関わったことにより得られた思わぬ相乗効果。全日本プロレスを存続させていくために、福田社長は次への一歩にも乗り出した。

「そして今度は東映の恐怖の村シリーズ第2弾『樹海村』にも出資いたしました。既に作品は完成しており、2021年2月5日の公開に向け準備を進めているところです。映画の一場面に某選手と私自身が出演しております。これは先方の要望に沿った適役と判断され出演が決まりました。そしてもうひとり私から『タレント性のある選手がいるので出演させてみては?』と監督に推薦したところ『髪の一部が赤くて使えない』と却下されました。プロレスファンがホラー映画に興味を持ってもらうきっかけになれば良いですし、ホラー映画ファンにプロレスを知ってもらう一つの扉になればと期待しております」

最後に福田社長は『樹海村』と全日本プロレスのPRも忘れない。

「これからも東映とタッグを組んで映画のヒットに協力すると同時に、映画界を通して全日本プロレスを世間にもっと知って頂くよう努めて参ります。まずは『樹海村』を宜しくお願い致します」

全日本プロレスは2年後の50周年に向け、様々なアイデアを駆使し激動の時代を生き抜いていく知恵と覚悟を、組織ぐるみで一丸となり、いま構築していく。

文…日々樹アキラ

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