【コラム】決勝はゼウスvs宮原健斗!全日本プロレス・2020チャンピオンカーニバル…敗れし者たちの証言から検証する『ゼウスと宮原は何が凄いのか』

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10月5日(月)後楽園ホールにて全日本プロレス・2020チャンピオンカーニバルの優勝者が決定する。決勝へ駒を進めたのはAブロックがゼウス、Bブロックが宮原健斗。

今回のチャンピオンカーニバルにおいて、この二人はなぜ決勝戦へ進出することできたのか?あるいは、この二人はどのような部分が秀でていたのか?リーグ戦で彼らに敗れた選手たちの証言を列挙していくと、その明確な答えが浮き彫りとなった。まずは宮原と戦い敗れた選手たちの証言から。

「俺が宮原に負けた理由?アイツの何が秀でているのか…正直、それは戦ってみてもよくわからなかったな。何かが秀でているとか、そういった特別な何かは一切感じないんだけど…気が付いたらヤツに負けていたという感じで。だけど、まあ…だとすると、ヤツは究極のオールラウンダーっていう結論なのかな?だけど…だけど!ヤツはいつも客に媚びた試合をしているだろ?そこが俺には気に喰わねえ。今度戦ったら、そこは完全にブチ壊す!」(芦野祥太郎)

「なんかこう…お客さんを味方にする力というか。リングやジムで練習して身につけられるものと違って、例えばボクが新しい技を開発しようとしていたとしたら、彼は三々七拍子だとか、マイク締めのさいの足踏みへの誘導とか。お客さんを自然に取り込んで味方にする何かというか。プロレスって色々なベクトルがあって、だからそういうのも立派に一つの正解だと思います。実際にきょう僕は彼に負けてしまいましたからね。彼はそんなお客さんのパワーを身にまとって襲い掛かってくるというか。そういうのって、どんなに誰かが教えても真似できるものじゃないと思います。天性のものっていうか、それこそが宮原健斗が生まれながらに持っている特殊な力なのかな?と」(石川修司)

「底なし沼の明るさというか、太陽のような存在ですよね。なんていうのか、本当にスタミナお化けとかそういうのもあるのかもしれないですけど。全日本プロレスの…いや、日本プロレス界の太陽ですよね。その太陽はお客さんの期待感とか、そういう見えないエネルギーを力にしているというか。なんかこう、ウルトラマンじゃないですけど、太陽エネルギーを力にしているかのような。なんか本当に、お客さんの期待感や視線なんかを力にできるレスラーなんじゃないかと」(青柳優馬)

彼らの証言からは、宮原健斗が類まれなる特殊な、それは明確な言葉では例えにくい抽象的な何か、を生まれながらに兼ね備えたレスラーであると想像できる。対するゼウスはいかがであろう。

「なんで俺がゼウスに負けたか?パワーで押し切られた。パワーだけなら、これまで戦った相手の中でも間違いなくナンバーワンだな。それかなあ」(諏訪魔)

「うーん…怖かった!何が凄いのかなあ…パワーは当たり前なんだけど…よくわかんないなあ…わかんないとこがスゴかった!そして、とにかく怖かった!」(黒潮イケメン二郎)

「怖い顔と、走り方が怖かったっス!怖くないっスか?あの走り方。ターミネーターが追っかけてくるみたいっス!だけどやっぱパワーっスよね。でも、そんなゼウスの次にパワーがスゴかったのは諏訪魔っス!」(羆嵐)

「あれだけ腕を攻めたのに…その腕で締めてきたんで。ボクの予想以上のことをしてきたな、と驚いています。以前だったらそういったこともなく、彼が何をしてくるのか、おおよその見当はついたんです。持ち上げては叩きつけての繰り返し。とにかく力一辺倒なレスラーだったので。それでも、今回も最終的には彼の力でボクのリズムを崩されたのはあると思いますけど。本当の最後の最後は、ボクがまったく予想もしていなかった動きをしてきた。いや…それは動きというか…心の動き?なのかなあ…何というか…『腕一本もってけや!』みたいな。一言でいえば『決意』…いや…『覚悟』かなあ…こんな時期だからこそ、あれこれ色々考えて臨んできたのは間違いないのでしょうけど、それ以上に彼の『覚悟』を感じた。これまではいかに自分のパワーや技を見せるかとか、そういったものしか感じないレスラーだったけれど…そういうところが今回の彼のいちばん凄い変化だったのではないのかと」(ジェイク・リー)

抽象的な言葉に置き換えられることの多かった宮原への証言に比べ、彼らの言に単純明快に共通するのがゼウスの圧巻な物理的「パワー」。そこにジェイクが証言する「覚悟」と、パワー一辺倒ではない「技術」も加味されたとなると、今チャンピオンカーニバルにおけるゼウスは心技体と三拍子が揃い、まさに死角がない存在なのかもしれない。

最後に、ゼウスと宮原。雌雄を決する彼ら自身は、お互いをどのように分析し合っているのだろうか。

「宮原健斗は全てが凄いです。プロレスのテクニック、パフォーマンス、ファイティングスピリッツ、身体能力、全て優れてると思います。いま全日本プロレスで唯一というか、全てが完璧に備わっている選手です。どこが秀ているとかではなく、全てが秀でている。中でも特に彼の凄いところ。これは本音でいいますが、お客さんを楽しませるのが凄くうまい。来たお客さんに楽しんで帰ってもらう。そこをいちばん意識して戦っているのではないかと。お客さのパワーを自分の味方にして戦っていくというか。お客さんの声援とか、地団駄とか三々七拍子とか。そういうものを全て自分のエネルギーにしてますね、間違いなく。それは正直、驚異です。正直、全日本でいちばん驚異に感じる選手です。だけど自分は、ずっと変わらず直球勝負やっていくしかないんです。剛速球を投げまくって決勝戦も戦います。だけど、とは言いつつも、自分も進化していますんで。これまでとは違う直球勝負での戦い。フェイスロックという新しい直球をを取り入れた戦いというか。駆け引きではなく、あくまで直球勝負で決勝戦に臨もうと思います」(ゼウス)

「ゼウス選手というのは気持ちが体に乗るレスラーですね。それって努力で補えるものではなく、おそらくこれまで通ってきた人生というか、そういうものをリング上で身体で表現できるレスラーというか。だから、僕と彼の戦いに『言葉は要らない』ですね。だけど、そんな彼を怖いと思ったことはないです。表現者としては何かこう、嬉しささえありますね。そういう人間とトップを争えるということは。ま、これも必然かなと思います。こういう時代に僕らが決勝を争うことになったという運命には、おそらく世の中に何かを訴える使命があるのではないかと。それはもう、僕とゼウス選手にしかできないからこそ選ばれたのではないかと。こんな時代になんていうのか…弾けた、というか、明るいニュースというか。太陽のように明るい非日常空間を提供できたらと思います。そこは宮原健斗の二連覇という太陽のように明るいニュースをもって、皆さんに提供できたらと思いますね」(宮原健斗)

あくまで「現実的」な言葉の羅列で語られるゼウスと、「仮想的」な言葉で語られる宮原健斗。現実と仮想。リアルとファンタジー。各選手の証言から明らかとなった、見事なまでに対照的すぎる二人によるファイナルを迎える全日本プロレス・2020チャンピオンカーニバル。10月5日、後楽園ホール。運命のゴングが鳴る。

文・日々樹アキラ

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