新日本・全日本・DDTらプロレス7団体が自民党・馳浩衆議院議員に要望書を提出!「年間契約選手の休業補償を」

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 15日、自由民主党に所属するプロレスラーの馳浩衆議院議員のもとへ、株式会社ブシロード取締役・木谷高明氏からプロレス団体を代表して要望書が提出された。

 馳浩議員を訪問したのは、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノア、DDTプロレス、スターダム、ワールド女子プロレス・ディアナ、東京女子プロレスの7団体。文部科学省や経済産業省の担当も同席する中、内容としては『新型コロナウイルス感染症対策に伴う検査キットの早期普及』・『自粛による年間契約選手の休業補償』を求める要望書を提出した。

 現在休業補償に関しては、厚生労働省より『雇用調整助成金』として雇用保険対象者でない労働者の休業も含める形で休業手当60%のうちの5分の4(大企業は3分の2)、1日あたりの上限を8330円とした形で支給されることが発表済み。継続して雇用された期間が6か月未満の労働者についても助成対象とされているので、フリーランスもこの枠組にあたる。
 しかし木谷会長から「一般的なレスラーの契約形態だと休業補償を受けることができない。正社員相当で受給できるよう検討していただきたい。中途半端な、社員でもないしフリーでもない年間契約者は保障に当たらないし仕事ができないという状況で、何もなく毎月会社が負担しないといけない」と要望の説明があり、プロレスラーは個人事業主として特殊な契約も多いことから、社内事務作業なども行っている社員契約以外の選手たちがどのような形で適応されるのかは難しい部分がある。当然給与が100%ではないため、副業を行えない社員レスラーがいつまで60%の休業手当で生活を続けることになるのかも悩ましいところだ。

 また、経済産業省より『持続化給付金』として売上が前年同月比で50%以上減少している会社であれば昨年1年間の売上からの減少分を上限とし200万円、フリーランスであれば100万円まで給付されることは決定しているので、上記に当てはまらない選手たちは取り急ぎこの申請でしばらくを凌ぐことにはなるだろう。

 今回の要望に関して文部科学省・スポーツ庁として、ファンがチケット代の払戻しを行わなかった金額をふるさと納税のように住民税や所得税から寄付扱いとして控除される対象とする法案や、デジタル動画配信における費用の補助を行えるよう動いているとの説明があった。

 検査キットに関しては世界的な精密機器メーカーである日本の島津製作所が、2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できる『新型コロナウイルス検出試薬キット』を4月20日より国内向けに販売開始する事を発表済み。この検査キットでは手作業だった部分をキット化したことにより、検査に要する人手が大幅に削減され別の作業をすることが可能となり、同時に人為的なミスの防止につながる事で注目を集めている。
 日本は新型コロナ対策を1月から開始しており、3ヶ月を経過し医療従事者が疲弊しているとともに人数が足りないことから検査が進まない部分もあったが、このキットにより多少緩和されることが想定される。
 木谷会長としては「レスラースタッフが検査できれば、検査結果が30分や1時間で出れば試合ができやすくなる。少人数のお客さんを集めて検査後に大会の開催も可能かと」と要望があったが、これに関しては馳議員から「各団体も医療機関と提携しているはずですから、誰もかれもが検査できるものではありませんから、症状があると想定される方々が医療機関を受診した後にそういったものが活用されることになりますので、このことはまず踏まえて対応いただければと思います」と、検査はどんな医者でもできるわけではなく臨床検査技師が行っている点に関してを踏まえた返答があった。

 各団体を代表し出席した下記選手へ各々コメントが求められた。
棚橋弘至(新日本)「現在試合ができませんので、選手は試合再開の先を待ちながら道場で時間をしっかり決めて、選手が集中しないようにして練習に励んでいます。試合ができないということで、選手としても今後の生活には不安があるところだと思いますし、かといって現状どうすることもできませんので、僕としてはメジャースポーツと呼ばれるうプロ野球、サッカー、大相撲というスポーツが再開していくなかで、プロレスがしんがりでもいいんじゃないかな。一番最後でもいいんじゃないかな。プロレスができるようになる時に、日本のエンタメというスポーツ業界が復活という形になればいいかなと思います」

諏訪魔(全日本)「いま全日本プロレスは当然皆さんと同じように試合は自粛という形になっています。4月はチャンピオン・カーニバルという全日本プロレスリングのシングルリーグ戦、目玉の時期なんですが、全て中止ということで、プロレスのファンの方もすごい悲しんでる声が僕の方にも届いています。今回の要望にある簡易検査キットの普及ということで、ファンのみなさんが安心してプロレスを見れる事が第一だと思いますので、見られるようになったらですね、そのためにもまずはレスラーが大丈夫なんだという安心をしてもらえるような、思ってもらえることも一つ大切じゃないかなと思いまして、検査キットの早期普及ということをお願いしたいなと思っています。全日本プロレスは棚橋選手が言ったように道場で選手が時間を分けて密集しないように練習している状況です。練習環境もない状況。ジムも閉鎖している。ランニングするにしても人数がものすごいいっぱいいるし、困っている状況ですね。なので、みんな待つしかないんですけど、せいいっぱい、いつか再開できる日を夢見て、今非常に頑張って準備をしていきたいなと思っています」

HARASHIMA(DDT)「僕たちDDTもちょっと無観客試合を配信とかもあったんですけど、それも今会場の場所の確保ができなかったりしてなかなかこう収録試合とかも流せない状態にあるんで、検査キットや安心できるものがもしできるならば、色々その中でいけるものもあるかなと思っています。早く安心して試合ができる状態になるのを望んでますけど、早く試合ができるようよろしくお願い致します。(馳議員「今DDTは何人いるの?」)グループ全体で、今所属含めると60人います。女子も含めて」

丸藤正道(NOAH)「今年から我々プロレスリングNOAHはサイバーエージェントさんの傘下として隣のDDTさんとともに姉妹会社じゃないですけどやってるなかで、会場を取れないということで無観客試合を行いそれをDDTユニバースというものとサムライTVというもので放送してるんですけど、選手がやはり会社に属しているからこそ給料いただいている中で、選手というのはおそらく、お給料いただいている形の中で自分たちの危機感よりも会社の危機感のほうが大きくて、会社にお金が入ってこなければもちろん選手にもお金が入ってこなくなるという状況の中で、今やっていかなきゃいけない。そういう中でもネットの放送などそういう部分の中で資金調達の部分、限りなく集客をして興行をおこなうという部分からしたら非常に収入が、会社として落ちてしまうという点で選手スタッフにも、お給料という部分がいつかは底をついてしまう。やはりそういった部分で今回の木谷会長の要望というのは私達にとってもありがたいですし、業界全体の意見として今回このような機会をいただいてありがたく思っています。その中でプロレスというジャンルがまだまだ、狭い一つの村だと思っていて、おそらく、プロレスを知らない人、認識がない方が非常にたくさんいる中で、このご時世SNS等の繋がりがありまして、ファンの人たち、プロレスに興味を持っていただいている人たちに、プロレスというものに元気や勇気を頂いているという意見を非常に多くいただくので、僕たちもそういうものをやっぱり絶やしてはいけないと思います。その中でも、こういう危機的状況が訪れてしまっているということで、やはりどうしてもNOAHはじめプロレス界全体で日本というか地球全体だと思いますね、プロレスが元気を与えられるというのは。それはプロレスを見たことある人はやっぱり非常に強く感じると思うので、僕たちもそれを引き続きしっかり行っていけるようにしていきたいと思っているんで、是非ともご検討のほどよろしくお願いします」

井上京子(ディアナ)「ディアナは今予定している試合全て延期と中止にしております。そして選手の練習は自宅で練習するように、道場にも一切こさせておりません。自分と何人か、飲食の方もやってるんですけど、そちらも自分はずっと休んでおります。私事なんですけど、ディアナは8周年を迎える予定でしたが後楽園ホールも中止にしました。道場を新しく今月から道場開きをするはずでしたがそちらもオープンできずにいます。今日はこちらにプロレス界にとって良いことと思い参上させていただきました。よろしくお願いします」

岩谷麻優(STARDOM)「自分事なんですけど、2月19日のリアルバースデーイベントをやるはずだったんですけどそれも無くなってしまい、後楽園ホールも試合、無観客試合で生配信になったりとか、色々な興行が中止になっている中で、自分たちはプロレスラーとして、職業プロレスラーなのに試合ができないというもどかしさをすごいあって、このような検査キットなどを、実施していただければ選手も安心に試合できますし、お客様にも早く試合を見てもらいたいという気持ちがすごい大きいので、何もせずこのまま終息するのを待つというよりも、このように行動を移してくださったことに感謝しています。これがまた女子プロレス界、プロレス界全体が盛り返していけるようなことになればいいなと思っています。ありがとうございました」

坂崎ユカ(東京女子)「たくさんの選手が要望をおっしゃってくださったので特に言うことはなくなってきたんですけど、DDTの道場はビルにありまして、その上の階が保育園なんですね。最初の頃、コロナの初期の頃は無観客試合や道場マッチなども少人数でおこない対応させていただいたんですけど、やっぱり保育園が近くにあり、電車での交通手段になりますので、そういう世の中の状況でそういう物も自粛していくものにありまして、そしたら練習環境とか選手のモチベーションもどんどん下がっていっておりますので、早くこのコロナが終息するように私たちも自粛だったりとか対応を練っていきますので、検査キットだったりとか保障をしていただいて、皆さんと一緒にご協力しながら対策を取りたいので、また歩み寄って行きたいなと思っております。よろしくお願いします」

 全ての要望を聞いて、最後に馳浩議員は「今日は我々プロレス界の実情をご理解いただいて、またこういう場でスポーツ庁と経産省の一つの見解を示していただいたことにお礼を申し上げます。できるだけマスコミの皆さんも実情を多くのファンの皆さんにお伝えいただけるようにお願いします。私もプロレスラーをしていますので雇用形態はわかっています。ほぼ無観客試合も行っておらず、こうした休業要請に応じていただいていることに感謝しながら、先程申し上げたようにあらゆるメニューで企業にたいして、選手にたいして、興行に対してそれぞれ支援メニューがありますのでまた相談をしていただければありがたいと思います。なにかありましたら馳事務所が繋ぎ役をさせていただきます。同時にいつまでも永遠にこの状況が続いてはいきませんし、そのために我が国だけでなく世界的に対策を進めている状況の中で、終息を迎えるとき、V時回復を目指した取り組みもまたプロレス業界にとっての一つの役割であると思っていますから、会社の方々も含め選手皆さんも含め、ファンの皆さんが思いもよらないような、ほんとに喜んで頂けるような興行を今まで以上のものを提供できるような企画やコンディションづくりとか、その事を改めて私からもお願いしたいと思っています。苦言を呈するようですが、こういう時にできればプロレス団体として、業界として、コミッショナーがあると対応しやすいんですが、今日も横の繋がりの中で案内して来ていただいていると思いますが、興行の会社としても、選手の健康維持のためにも、業界の発展のためにも、統一されたコミッションがあると、我々受ける方も助かるということも、世間社会的にも認められたジャンルとしてしっかりされるものと思いますので、今日まとめ役の木谷さんにも宿題としてお願いしておきたいと思います」と、業界団体として統一したコミッションがないことを指摘しながらもプロレス界へのエールを送った。

 プロレス業界も自粛が続き、無観客興行や配信も収録が難しくなってきている状況がある。いつ復活の日を遂げるのか不透明な世の中に、馳浩議員の手腕によりプロレス界が救済される事に期待が集まる。

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