【試合詳細】3・17 PANCRASE新木場スタジオコースト大会 【バンタム級KOP】ハファエル“モルセゴ”シウバvs瀧澤謙太 サドゥロエフ・ソリホンvs上迫博仁 堀江圭功vs田中半蔵 翔兵vsライリー・ドゥトロ

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『PANCRASE 303』
日程:2019年3月17日(日)
開始:16:00
会場:東京都・新木場スタジオコースト
観衆:2040人(超満員)

【第25回ネオブラッド・トーナメント1回戦】
▼第1試合 ストロー級 3分3R
○川端康太(ALLIANCE)
1R 1分17秒、KO(スラム)
●平賀正孝(チーム ウレスパ)

▼第2試合 ストロー級 3分3R
○御代川 敏志(パラエストラ八王子)
判定2-1
●立花恵介(スーパータイガージム田中塾)

▼第3試合 フライ級 3分3R
○赤﨑 清志朗(香取道場)
判定3-0
●聡―S DATE(Team DATE)

▼第4試合 フライ級 3分3R
○三澤陽平(ALLIANCE)
判定3-0
●廣中克至(RBアカデミー)

▼第5試合 フライ級 3分3R
○猿飛流(リバーサルジム川口REDIPS)
判定3-0
●岡野竜己(KRAZY BEE)

▼第6試合 バンタム級 3分3R
○山本敦章(パラエストラ千葉)
3R 0分36秒、負傷判定3-0
●聖王DATE(Team DATE)

▼第7試合 バンタム級 3分3R
○永井佑虎(CAVE)
1R 3分19秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●廣川懸三(ドラゴンテイルジム)

▼第8試合 バンタム級 3分3R
●大谷啓元(パンクラスイズム横浜)
1R 2分31秒、TKO(チョークスリーパー→レフェリーストップ)
○上野惇平(ハイブリッドレスリング八戸)

【プレリミナリーファイト】
▼第9試合 バンタム級 3分3R
○前田浩平(GRABAKA)
判定3-0
●平田純一(AACC×SPIDER )

▼第10試合 バンタム級 3分3R
●井関 遼(GRABAKA)
判定0-3
○髙城光弘(リバーサルジム横浜グランドスラム)

【本戦】
▼第1試合 ライト級 3分3R
●小林 裕(フリー)
判定0-2
○阿部右京(OOTA DOJO)

▼第2試合 バンタム級 3分3R
○東 陽子(和術慧舟會AKZA)
1R 2分14秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●チョン・ソユン(KOREAN TOP TEAM)

▼第3試合 フライ級 5分3R
○荻窪祐輔(K-PLACE)
判定3-0
●中村龍之(Lotus世田谷)

▼第4試合 フライ級 5分3R
●神酒龍一(CAVE)
判定1-2
○秋葉太樹(総合格闘技道場reliable)

▼第5試合 バンタム級 5分3R
○田中路教(TEAM ALPHA MALE JAPAN)
判定3-0
●ウラジミール・レオンティブ(ロシアパンクラチオン ハバロフスク)

▼第6試合 フライ級 5分3R
○翔兵(升水組)
判定3-0
●ライリー・ドゥトロ(I&I TRAINING CENTER)

▼第7試合 フェザー級 5分3R
○堀江圭功(ALLIANCE)
1R 1分40秒、KO(右フック)
●田中半蔵(FUN’S)

▼第8試合 セミファイナル ライト級 5分3R
●サドゥロエフ・ソリホン(ロシアパンクラチオン ハバロフスク)
2R 0分16秒、TKO(スタンドのキック→レフェリーストップ)
○上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS)

▼第9試合 メインイベント バンタム級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
○ハファエル“モルセゴ”シウバ(ASTRA FIGHT TEAM)
1R 3分22秒、チョークスリーパー(ギブアップ)
●瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト)

瀧澤がシウバのバンタム級KOPに挑戦も奪取ならず!翔兵が修斗世界ランキング1位のライリーを破る大金星!UFC復帰を目指す田中は辛勝!

第1試合


 2016年NBTライト級優勝の小林は、フェザー級暫定王者のISAOの実兄。昨年は2勝1敗、2連勝と好調だ。

 対する阿部は、太田純一レフェリーの運営する道場の所属。パンクラスはこれが初参戦となる。

 1R。小林がパンチで前に出ると、阿部は組んでケージへ押し込む。ヒザを打ち込む。入れ替えようとした小林をテイクダウンした阿部は、バックに回ってチョークを狙う。これは極まらず。小林は、バックマウントから殴る阿部を背負って立ち、回転して叩きつけるも、阿部がバックをキープしたまま終了。

 2R。今度は阿部がパンチで出る。さらに組んでケージへ押し込み、ヒザ。入れ替えた小林。投げるが、阿部にバックに回られてしまう。殴りながらチョークを狙う阿部。背負ったまま立とうとする小林だが、倒すことはできず。阿部がバックをキープして終了。

 3R。小林がパンチを出していく。打ち合うと、小林が組む。阿部はケージへ押していくが、小林が投げてテイクダウン! サイドを取り、肩パンチ、パンチを落としていく。しかし、小林のヒジが後頭部に当たったとして、スタンドに戻される。
 後がない小林は打撃で攻め込む。ヒジが効いた阿部だが、組んでしのぎ、バックに回ったところで終了。
 判定は3-0で阿部。
 連勝を伸ばしたい小林だったが、いったんストップ。今年後半は盛り返したいところだ。
 また、1年半ぶりの試合だったという阿部。新天地で、今後どのように闘っていくのか楽しみだ。

第2試合


 元柔道全日本強化選手・東のMMA3戦目。鳴り物入りでMMAを始めた東。初戦(2017年12月)は腕十字で1本負けを喫したが、昨年は2連勝。東京に拠点を移し、和術慧舟會AKZAで練習を積んでいる。前戦(昨年11月)は、本人もビックリの打撃でのTKO勝利を挙げ、新たな可能性を見せた。今回の相手は19歳になったばかりのチョン・ソユン。今回もパンチが火を吹くか。

 1R。両者、最初から打撃を出し合う。組んで倒した東はパウンド連打。ソユンは亀になり立てない。ディフェンスできず、動きも止まってしまい、レフェリーが止めた。
 いつものように愛息をケージに上げ、抱き合って喜ぶ東。心の折れなさ、退かなさは既に持っている。今後、打撃という新たな武器をますます磨いていくのが楽しみだ。

東 ケージ上コメント
「応援に来てくださった皆さん、ありがとうございました。柔道が強いということで期待されましたが、デビュー戦では負けてしまいました。でも、今やっと、MMAで3連勝することができました。次はMMAで金メダルを獲りたいと思います。
 以前から言っているんですが、息子を海外に連れて行ってやりたいです。どうか皆さんの力で、海外に行かせてください」

第3試合


 2012年からパンクラスに上がっている荻窪。2014年にはNBTスーパーフライ級で優勝を果たしている。しかし、ランキング入りしたものの、ここ2年で2勝2敗という成績。本人も計量時に「いい状況とは言えないと自覚しています。ここで勝って、浮上のきっかけにしたい」と話している。まさに背水の陣で挑む2019年初戦となる。

 対する中村は2015年よりパンクラスに参戦。派手な印象はないものの、着実に力をつけ、現在3連勝中。7位・荻窪と8位・中村のサバイバルマッチ!

 1R。中村は蹴りで少しずつ前に出て行く。荻窪も徐々に距離を詰め、パンチを出す。中村はジャブ、ロー。荻窪はプレッシャーをかけながらジャブ、左ハイキック。お互い手を出して行くが、核心に触れるまでには届かず終了。ジャッジは三者10-9で中村。

 2R。荻窪が飛び出してロー。パンチを返す中村。荻窪はパンチを増やしていく。中村がヒザを放つと、荻窪は組んでケージへ押し込んでいく。入れ替えたい中村だが、荻窪はさせない。回して入れ替えようとする中村だが、荻窪はすぐに戻してケージへ。
 投げたい荻窪だが倒せず。少し打ち合ったあと、中村がタックルからテイクダウン。バックを取る。しかし荻窪が上を取り、マウント! さらにバックマウントからチョークを狙う。中村は外すが、荻窪が腕十字をたたみかける。腕が伸びたが、中村は外し、極めさせない。ここで終了。ジャッジは三者10-9で荻窪を支持。

 五分で迎えた3R。荻窪が前に出る。中村もパンチを返すが、荻窪はパンチで押していく。中村、左ハイキック。しかし荻窪が根性でタックル。ケージへ押し込み、投げる。中村は尻餅まででこらえるが、バックを取られてしまう。中村は立つが、荻窪はバックを取ったまま。荻窪が投げてハーフバックに。体を起こそうとする中村だが、荻窪はさせない。
 中村は反転して上になるが、荻窪は首を抱え、足を絡めて逃がさない。中村は殴るが、終了。
 ジャッジは三者29-28、3-0で荻窪が勝利をもぎ取った。

 お互いギリギリのところでの闘いとなったが、荻窪の執念が勝利を呼んだのかもしれない。右目の下を腫らした荻窪は、イケメンなのにファイトスタイルは泥くさいというギャップがいいところ。しかし、もう一つ決める決定力が課題だ。
 中村の連勝は3でストップ。しかし、コツコツやって来た粘り強さが中村にはある。2019年の闘いは始まったばかり。両選手のますますの成長に期待したい。

第4試合


 第3代フライ級KOP・神酒。しかし、2017年3月、マモルとの防衛戦に敗れ、格闘技から離れていた。新たな目標を定めるために時間が必要だったという。しかし、「また闘いたい」と昨年夏ごろから練習を再開。ちょうど2年ぶりにパンクラスの舞台に帰って来た。

 一方の秋葉は、大阪大会で6戦したあと、昨年3月に東京大会初出場を果たした。スピードとイキのいいファイトスタイルで安永有希(3月)、荻窪祐輔(8月)とKOで連勝したが、10月の翔兵戦で判定負けを喫する。しかし、その若さ、将来性で元KOPとの一番に挑むこととなった。
 ベテラン・神酒が貫禄を見せるか、若い秋葉が一歩抜きん出るか。

 1R。コーナーから飛び出していく両者。ローで様子をみる神酒。秋葉もロー、パンチ。さらに大きく左右パンチを振り、徐々にケージ際へ詰めていく。
 いったん離れた秋葉は、左ハイキック。神酒もパンチを返すが、秋葉はさらに入ってパンチ。打った後に引くスピードが素晴らしい。メリハリある攻撃で、秋葉が三者10-9と支持を集める。

 2R。パンチで攻め込む秋葉。神酒はタックルに入るが、振りほどくように逃れる秋葉。神酒はさらに片足を取ろうとするが、秋葉は外して取らせない。パンチを打ち、徹底的に入らせない秋葉。しかし神酒がタックル! 秋葉は倒れるが、すぐに立つ。神酒は左ハイキック、ロー。お互いに距離を取り、パンチで攻め合って終了。
 ジャッジは二者が10-9で秋葉、1人が神酒。左目の下が腫れている神酒だが、あまり力まず、ペースを保っているように見える。最終ラウンドは神酒が逆転するか、秋葉が逃げ切るか。

 3Rも秋葉が打撃で攻める。秋葉のタックルを受け止めた神酒だが、すぐに離れる。秋葉は絶対に、神酒にタックルを取らせない気合いが見える。たとえかっこよくない逃げ方だろうと、絶対に入らせないという強い意志を感じる。
 しかし、パンチ、ハイキックから、神酒がついに秋葉を捕らえた! バックに回りテイクダウン! すぐに立つ秋葉だが、神酒はグラウンドに戻し、バックをキープ。残り2分。ここで極めるしかない。幹がチョーク! しかし、秋葉が外す。さらに腕をつかんで攻めさせない。残り30秒。神酒はバックをキープしたまま殴って終了。
 判定は二者29-28で秋葉、1人が神酒。2-1で秋葉が勝利を手にした。

 試合後、どちらからともなく座礼した両選手。立ってからも、去る相手に向かい、両選手ともに深く礼をしていたのが印象的だった。
 「格闘技を見始めた頃に、すでに活躍していた雲の上の人」に勝利した秋葉。目標はONE Championshipに移籍したデメトリアス・ジョンソンといつか闘うことだ。パンクラスは、ONEとパートナー提携を結び、KOPになればONEへの出場権が与えられる。今日の試合は、もう1人の「雲の上の人」と闘うためのスタート地点。年内無敗でのKOP獲得へ走り出した。

 2年ぶりの試合となった神酒だが、力はまだまだ衰えていなかった。しかし、ONEとのパートナーシップによって、パンクラスの流れはさらに速くなっていくだろう。元KOPにとっても、違う意味での再スタート。エンジン全開を待ちたい。

ONE Championshipに伴う代表あいさつ


 先ごろ発表された、パンクラスとONE Championshipのパートナー契約締結について、パンクラス・酒井正和代表と、ONE日本代表の秦“アンディ”義之氏がケージイン、あいさつした。
 さらに、先ごろONEで勝利を収めた中原由貴(マッハ道場)と三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A)がケージイン。ファンに勝利を報告した。

中原由貴
「パンクラスでキャリアを積ませていただき、ONEでも無事勝つことができました。今後、人生を変えることを目指して1戦ずつ頑張って行きます」

三浦彩佳
「パンクラスでたくさん試合を経験させていただき、そのおかげで、ONEで勝てました。今後も目標はONEでチャンピオンになることです。パンクラスで積ませていただいた経験を忘れず、頑張ります」

第5試合


 元UFCファイターでPXC王者でもある田中がパンクラスに電撃参戦! 田中の目標はあくまでUFC再参戦であり、パンクラスは1試合限定の出場となるが、ファンにとっては1年5ヶ月ぶりの日本での試合。スタジオコーストを超満員の観客が埋めた。
 対するレオンティブは、ロシアパンクラチオンが自信を持って送り出した21歳。「勝つために来ました」と話している。

 1R。距離を取り、ステップしながらパンチを入れていく田中。さらにパンチで出て、タックルに入りテイクダウン。首を抱えるレオンティブ。田中はサイドに回り、ボディを蹴る。
 レオンティブは首を絞めていくが、極まらず。田中はサイドに乗って行き、ハーフマウント。レオンティブを立たせず、サイドに回ってヒジを落とす。さらにバックからチョークを狙う。残り40秒。レオンティブが立つと、田中は片足を取ってケージへ押し込み、倒す。レオンティブは下から三角を狙うが残り10秒。レオンティブが殴って終了。
 ジャッジは三者10-9で田中。

 2R。レオンティブが蹴りからパンチを繰り出すが、田中もパンチを出し、テイクダウン! ハーフマウントから立たせず殴っていく。さらにマウント! ボディを殴る。上体を起こして殴り、さらに立ってヒザを見舞う。亀になったレオンティブにかぶさり殴る。バックから首を狙うが、これは外されてしまう。
 しかし、田中マウントに。さらに殴る。何もできなくなっているレオンティブ。田中が再びチョークを狙うが、これは外されて終了。
 ジャッジは二者10-9で田中、1人が10-8で田中。

 3R。レオンティブはロー、バックキックを見せる。大きくアッパーを振っていく田中。ローリングソバットのような蹴りを捕らえた田中は、潰してバックになり殴っていく。かぶさってくるレオンティブだが、回転して逃れた田中。パンチで攻め、タックルからテイクダウン! サイドを取る。首を抱えているレオンティブ。田中が首を抜く。残り1分半。
 田中がバックマウントからチョーク狙い。苦しそうな表情を隠せないレオンティブ。田中は腕十字に移行するが、極めるには至らず終了。
 判定は二者30-2、1人が30-26で田中が3-0判定勝ちを収めた。

 極められなかったことを詫びるように、四方に向かい両手を合わせる田中。「申し訳ない!」と口にし、ケージを後にした。

第6試合


 2014年、NBTバンタム級を制した翔兵。2017年は1勝2敗に終わったが、昨年は2連勝と波に乗る。もうタイトルマッチは目の前かと思われたが、今回、修斗世界ランキング1位のライリー・ドゥトロとの対戦が組まれた。
 実のところ、なぜタイトル前にもう1戦やらなくてはならないのかという思いもあったという。しかし、ドゥトロに勝った日本人選手はまだいない。そう思ったとき、「やってやる」と心が決まったという。
 もちろん、一筋縄ではいかない相手だ。今大会に出場する田中路教、瀧澤謙太をはじめ、伊藤盛一郎、第10代修斗世界バンタム級王者・佐藤将光らそうそうたるメンバーとともに厳しい練習を積んで来た。また、空手の動きにヒントを得て、さらに伸びた実感があるという。一体、どんな試合を見せてくれるのか。

 1R。身長差は10cm。さらにリーチも長いドゥトロを警戒し、翔兵は距離を保ちながら飛び込み、パンチをヒットさせていく。前戦より、さらにスピードが上がっているようだ。ドゥトロはあまりパンチを出さずローを出している。翔兵は素早い出入りで次々とパンチをヒットさせていく。リズムに乗る翔兵が笑顔を見せる。好調を実感しているのか。ここでドゥトロが左目尻をカットし、ドクターチェックが入る。
 モニターに映った傷はかなり深いように見える。ドクターチェックもなかなか終わらない。
 再開されると、翔兵は再び軽快にパンチをヒットさせていく。ドゥトロは蹴りを返すが、これがローブローとなりタイムストップ。しかしすぐに再開。
 ドゥトロの前蹴りを取りパンチを返す翔兵。ローから左右フック! ドゥトロはやはりパンチはほとんど見せず、蹴りで攻める。そこへ飛び込み、将兵がキレのあるパンチを当て続けて終了。
 ジャッジは三者とも10-9で翔兵。

 2R。開始すぐはローを出し合うが、翔兵がまた飛び込み、パンチをヒットさせる。パンチからタックルを見せる翔兵。ドゥトロもパンチを出し始める。ドゥトロが左を当てる。さらに当てに来るが、翔兵はもらわず左フック、左右パンチ! このラウンドも翔兵がヒット&アウェイで主導権を握る。
 しかしジャッジは二者10-9で翔兵、1人がドゥトロにつけた。翔兵が差を守り切るか、ドゥトロが逆転を見せるのか。

 3R。翔兵のパンチ連打がヒット! ドゥトロがぐらつく。しかし前蹴り、ローと蹴りで攻める。ここでドゥトロのパンチがヒットし、翔兵やや効いたか。しかし、組んでケージへ押し込んでいく。ドゥトロがヒザを入れて離れる。
 ドゥトロが大きく左フックを振る。翔兵は組んでケージへ。ドゥトロ入れ替えて片足をつかむが、翔兵はこれを切る。残り30秒。将兵がパンチ。ドゥトロが「攻めて来い」とアピールするが、翔兵も同じポーズを返す。ドゥトロはパンチを出すも終了。
 判定は三者ともに29-28で将兵が大金星を挙げた。

 試合前は「勝ちます」と自信たっぷりに語っていた翔兵。しかし実は、怖くて仕方なかったのだという。相手は修斗ランキング1位、しかも日本の強豪を破っている。しかし、その怖さを乗り越えられたのは、共に厳しい練習を乗り越えて来た仲間や、応援してくれる人たちの存在だった。「感謝の気持ちを表したい」と話していた翔兵。見事な勝利で応援団のみならず、格闘技ファンを沸かせた。
 さあ、次はタイトルマッチだ!

翔兵 試合後コメント
「嬉しいです! 本当に嬉しい。日本人で初めてライリーに勝ちました。
 でも本当は、どうなるかわからなかったです。勝負の前に負けるなんて口にはしないです。でも、本心では、どうなるか分からないという思いがあって、昨日もなかなか眠れませんでした。でも、仲間を信じて闘いました。本当に仲間に助けられました。出稽古先の、勝村(周一朗)さんはじめグランドスラム(リバーサルジム横浜グランドスラム)の人たちにお世話になって、僕は部外者なのに頑張れと言ってくれて。練習の帰り、自転車に乗りながら涙が溢れて来たくらい、感謝しています。だから、グランドスラムのためにやろうと思って闘いました。感謝の気持ちを全部、相手にぶつけようと思って。
 相手は想像通りでした。ライリー(の動き)が止まったのは、僕のプレッシャーが勝ったからだと思います。打撃が入っていたので怖くなったんでしょうね。あの時いけると思いました。ライリーが前に出られなくなったので、前に出続ける作戦がハマって、いい流れになったと思います。
 でも、ライリーのプレッシャーもすごかったです。独特のゆっくりな動きで、その間合いに呑まれなかった自分を褒めてやりたいです。多分、あの間合いに合わせることで、みんなやられていると思います。そして、出て来たときにくみに行って、相手がやりにくいように出来ました。
 今回は空手の動きを取り入れたんですけど、プレッシャーが強くなって、パンチがよく伸びるようになりました。パンチって、当てる方だけじゃなくて、もう片方の手の『引き』も大事なんです。そこがつかめたんですね。1発目のオーバーハンドは、当たっていたら普通なら倒れるところだったと思います。
 今日は本当に仲間に助けられました。セコンドをお願いした佐藤将光くんは年も近い(※翔兵が1つ年長)し、スパーで結構殴り合っているので、お互いのことを多分一番わかっていますし、認め合っています。だからこそ、『こいつの言うことなら間違いない』と指示を聞けました。彼には身を全部預けられるんです。逆に、もしやられても、佐藤くんの言うことを聞いてやられたなら仕方ないと思えます。
 今日は田中路教選手は試合だったのでついてもらっていませんが、田中くんとも佐藤くんと同じくらい殴り合っているので、お互いのことをよく分かっています。他にも、今日ついてくれたみんなにそれぞれお世話になっています。みんなそれぞれ役割を分担してくれていて、僕はそこに身を任せています。
 3Rでは、ちょっと動きが悪かった部分があったんですが、実は鼓膜が破れていたんですよ。頭の中に音が響いてボワンボワンとするのを、相手の攻撃が効いたと錯覚したんです。試合後にわかったんですけど、効いたんじゃなくて鼓膜のせいでした。
 でも、効いたと思ってあそこで下がっていたら負けでした。逆に出ていけたからよかったです。
 怖いですけど、負けると思ったら負けます。相手が強いから、負けてもいいかな、仕方ないと思ってもらえるかな、とは思いませんでした。それは僕の美意識がそうさせたんだと思います。負けてもいいやと思うくらいなら、はじめから勝負なんてしなければいい。気持ちで負けること、自分に負けるのが一番怖いです。今日は、仲間のおかげで自分に勝つことができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

第7試合


 2017年NBT同級優勝の堀江。3戦全てをKOで制している。6連勝していた堀江だが、昨年3月、前王者・田村一聖にKO負けを喫し、初黒星となった。しかし、同年11月の再起戦では、滝田J太郎にTKO勝ちを収めている。試合前には「ベテランとは結構やっているので大丈夫」と自信のほどを語っていた。今回もKO勝ちを見せるか。

 田中にとって、2018年は不運の年だった。上迫博仁戦、マイク・グランディ戦が相手の都合により直前で消滅してしまう。その後、10月にカイル・アグオンと対戦するが判定負けを喫している。2019年初戦は、盛り返しのきっかけとなるか。

 1R。タックルに来た田中を受け止める堀江。田中が組み、ケージに押し込むが、すぐ離れる。堀江がうまく入ってボディブロー。さらに、入ってきた田中に右パンチがヒット! 田中が倒れると、すぐカバーに入りパウンド。レフェリーが止めた。

 しばらくして起き上がってきた田中は、右目の下が腫れていた。

堀江 ケージ上コメント
「満席のお客さんの中、このような勝ち方ができてよかったです。一緒に練習してくれたチームのみんな、今日闘ってくれた田中選手、ありがとうございました。これからも、自分はUFCのチャンピオンを目指してやっていきます。期待してください!」

第8試合


 ソリホンは、昨年11月にパンクラス初参戦。ロシアパンクラチオン協会からパンクラスのベルトを奪うため派遣され、アキラをヒジでKOしている。現在ランキング2位。

 対する上迫は、KO率50%を誇る元DEEPフェザー級王者。昨年5月に初参戦の予定だったが、減量失敗で試合が中止に。同10月、ライト級に上げ、冨樫健一郎からパンチでTKO勝ちを挙げている。今回勝てば、タイトルマッチ射程圏内に入る重要な試合だ。

 1R。ソリホンはロー。上迫はパンチを出していく。上迫がパンチを当て距離を取ると、ソリホンは上迫を追いかけて殴り、体勢を崩した上迫にパウンドを見舞う。しかし、立ち際にサッカーボールキックを入れてしまい、試合は中断。しかし、減点や口頭注意などの宣言はなかったため、反則ではなかったと思われるが、観客に説明などもなく、上迫がドクターチェックを受けたのち再開された。
 ソリホンのパンチで上迫がダウン。ソリホンはパウンドを連打し、フロントチョークを狙う。しかし上迫、外して立った! ソリホンは組んでケージへ押し、パンチ、バックハンド。上迫は背中を見せ、逃げるように距離を取るが、ソリホンはさらに追いかけてパンチを打つ。鼻から出血している上迫。ソリホンは組んでケージへ押すが、上迫は離れる。
 ソリホンは左ジャブ、首相撲からのヒザと畳み掛けるが、上迫はアッパー、ヒザを返す。上迫は持ち上げるようにテイクダウン、殴ったところで終了。
 ジャッジは二者10-9でソリホン、1人が10-8でソリホンを支持。上迫はパンチを当ててはいるものの、ソリホンのパンチを防げておらず、ふらついている。インターバルで回復できるか。

 2R。開始直後、上迫がローを入れると、崩れるように倒れたソリホン。負傷したか、続行不可能に。上迫本人も会場も一瞬驚いて止まったが、鮮やかな大逆転劇。上迫が16秒でTKO勝ちを収めた。

 ソリホンは試合後、実は試合前から胸部を傷めており、痛みに耐えきれなくなったと話している模様。
 試合後、上迫はタイトルマッチをアピール。

上迫 ケージ上コメント
「今日はありがとうございました。最初、ちょっとミスっちゃいました。あれは、完全に俺のミスでした。でも最後は狙っていました。パンクラスのチャンピオンは俺でしょう! いつになるか分かりませんが、やれる日を待っています」

第9試合


 シウバは2016年からパンクラスに参戦。翔兵、上田将勝、ビクター・ヘンリーを次々と破り、2017年5月、石渡伸太郎が長く守ってきたタイトルに挑戦。石渡を苦しめたが、タイトル獲得は成らなかった。しかし昨年5月、石渡の長期欠場に伴って行われた暫定王者決定戦で、上田将勝を破り初戴冠。今回が初防衛戦となる。

 対する瀧澤は2015年より参戦。20歳でデビューし、まだ24歳だ。空手がバックボーンで、打撃を得意とする。2017年は日本人選手に2連勝の後、アレッシャンドリ・シルニにTKO負けを喫してしまうが、2018年はハルク大城、TSUNEとTKO勝ちを収め、タイトル挑戦にたどり着いた。
 パンクラスを背負う存在として期待され、テレビ出演なども多く、またパンクラスのテーマ「ハイブリッド・コンシャス」をアレンジしたテーマ曲で入場する瀧澤。シウバを撃破し、日本人の手のタイトルを取り戻すことができるか。

 1R。瀧澤がロー。軽く飛んで蹴ったところをシウバが捕らえてテイクダウン。シウバは横向きに上にのり、さらにハーフマウントへ。しかし瀧澤はパスを許さず立つ。しかし、その瞬間、シウバがパワーボムのように叩きつけ、再びテイクダウン。ハーフマウント。腕を押さえつけ、ボディ、鉄槌と殴っていく。瀧澤はエビで返そうとするが立てない。シウバはさらに鉄槌を見舞い、バックに回ってチョーク! これがガッチリ極まり、瀧澤がタップ。シウバが初防衛を果たした。
 盤石の強さを見せつけたシウバ。会場からは「モルセゴ!」という声援も飛ぶようになり、試合後には握手や記念撮影を頼むファンらも見えた。今後、統一戦がどうなっていくのか、気になるところだ。

 磨いて来た打撃を存分に見せる機会なく涙をのむこととなった瀧澤。しかし、まだ24歳。負けてこそ人は強くなれる。今後のさらなる成長を期待したい。

シウバ ケージ上コメント
「また日本に来られて、とても嬉しい。何千回でもまた来たいと思っています。もう6回も来ていますが、日本の人にはいつも大変親切にしていただき、嬉しいです。そして今日はベルトを守れて嬉しいです。これからも守ります」

 ONEとのパートナーシップ提携により、ONE参戦の選択肢を増やしたパンクラス。特に今のONEは、デメトリアス・ジョンソン、エディ・アルバレスの移籍もあり、ONEを目指す選手も増えている。
 会見などでは明言されていないが、パンクラスには、ONEを選ぶ選択肢とともに選ばない選択肢も同時に用意しておいてほしい。以前から多かったUFCを目指す選手は現在も多い。それに加え、自分の国で闘うことを望む選手、また、パンクラスでこそ闘いたいという選手も存在するからだ。
 また、さらに、ONEから帰って来た選手たちの受け皿として機能することも望みたい。余計なお世話かもしれないが、ONE参戦という側面をアピールするだけでなく、本当の意味で全ての選手をサポートする体制となっていってほしい。
 その上で、パンクラスに上がる選手たちがしのぎを削り、強くなっていく様を見て行くことが、パンクラスファンのみならず、全ての格闘技ファンの願いではないだろうか。
 3月31日のONE初の日本大会を経て、4月から、パートナーシップ契約が発効する。日本の老舗団体として、パンクラスがますます活性化していくことを願ってやまない。

(写真・文/佐佐木 澪)

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