前代未聞の「入場料10円興行」で“ほとんど素人”の豊島会長が流血玉砕もHERO正規軍とワイルド軍が和解!

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 聴覚障害プロレスラーも所属する「バリアフリープロレスHERO」(GPSプロモーション主催)が11月10日、東京・新木場1stRINGで、前代未聞の「入場料10円興行」を開催。メインイベントでは、“ほとんど素人”の豊島修二会長(55)が大流血で玉砕するも、試合後にはHERO正規軍とワイルド軍が和解し、ハッピーエンドで幕を閉じた。
 15年8月にぼっ発した正規軍とワイルド軍の抗争は、実に3年3ヵ月の長きにも及んだ。かつて、ワイルド軍の覆面マネジャー、ワイルド・コモンとして悪のかぎりを尽くしていた豊島会長は、16年11月5日の新木場大会で、正規軍の助っ人で参戦した大仁田厚に促され、正規軍と和解。しかし、その後も両軍の抗争は続き、ワイルド軍がデスマッチでの決着戦を要求し、さらには、豊島会長の出陣を求めた。
 組まれた対戦カードは、友龍(聾レスラー)、雷電、豊島会長組(正規軍)対ワイルド・ベアー、ワイルド・セブン、ワイルド・シューター組(ワイルド軍)。試合形式は、「3面有刺鉄線&2ボード6人タッグデスマッチ」。3面のロープに有刺鉄線がグルグル巻きにされたカリビアン・バーブドワイヤー方式で、2つのコーナーに有刺鉄線ボードが立てかけられた。
 豊島会長はコモンとして、これまで大仁田興行で2度バトルロイヤルに出場したことこそあれ、プロレスラーではなく、“ほとんど素人”。試合が決まってからの3ヵ月間、ジムに通って、10キロの減量に成功。リング練習では、GPSコーチ・田中稔から指導を仰いだ。
 とはいえ、付け焼き刃でできるほど、プロレスは甘いものではない。豊島会長はかつて習った空手の蹴りを見舞って、逃げる作戦に出たが、ワイルド軍はデスマッチのエキスパート。友龍、雷電も奮闘したが、豊島会長を捕獲したワイルド軍が、有刺鉄線ボード上にブレーンバスターで投げ捨てると悶絶。戦前には「有刺鉄線に当たらなければいいんです」と語っていたが、あえなく有刺鉄線の洗礼を浴びてしまった。さらに、セブンとシューターが有刺鉄線バットで豊島会長の額を切り裂くと大流血。リングドクターが試合を止めに入ったが、豊島会長は続行志願。
 ワイルド軍は、すでにズタボロの豊島会長を寝かせて、2つの有刺鉄線ボードで、サンドウィッチにすると、その上にベアーがダイビングボディープレスを敢行。
 さらにワイルド軍は、3人がかりのスーパーパワーボムで豊島会長を有刺鉄線ボード上に投げ捨て、シューターがカバーすると、もはや返す力など残っておらず、3カウントが入った(19分37秒、体固め)。

 試合後、マイクを持ったセブンは「病気を患って、当たり前のことが当たり前じゃないってことがわかった。HEROのお客さんには、聴覚障害の人、目が見えない人、足が不自由で車イスの人もいる。そんな人たちがプロレスを好きで見に来てくれる。やってるオレたちもプロレスが好き。3日前に、高熱が出て、体にはチューブが出てる。ドクターストップを振り切ったけど、医師からは『体に穴が空いてもいいけど、チューブに穴は空けないで』と言われた。なぜ命懸けでリングに上がったか、昔プロレスからたくさんの勇気をもらった。プロレスを通して恩返しをしていきたいんだよ。オレはがんのステージⅣと言われてる。ここ最近、亜利弥⁷、Ray、FMWコミッショナーの飯泉薫さんが亡くなった。オレは今日生きてるから、試合ができた。死んでしまいたいくらい苦しいこともあるけど、楽しいこともある。とにかく生きようよ! 豊島会長、ジムに通って、食事制限して、3ヵ月で10キロ以上落とした。だから今日がんばれたんだと思う。命懸けでリングに上がって、この試合のための努力はなまやさしいものじゃなかったと思う。ワイルド軍はHERO軍に立ちふさがって、嫌がらせしてきたけど、素直に評価してる。なにが理由で、ここまでがんばれたんだ? HEROを守りたかったんじゃないか?」と涙ながらに訴えた。
 豊島会長は「オレはヤミキさんが大好きだった。以前、ヤミキさんとコモンのシングル戦の話が出たことがあったけど、こんな努力できないと思って受けなかった。ヤミキさんが亡くなって、どんだけ後悔したか! もう1回なんかの流れで努力することがあるかもしれないけど、HEROは守り続けます! ヤミキさんのためにも、息子の佐藤(剛由)社長のためにも、友龍のためにも!」と叫んで号泣。
 その後は、正規軍とワイルド軍がガッチリ握手を交わして、3年余にわたる遺恨を水に流した。

 この興行は「入場料10円」で、観客は退場の際に、満足度に応じた任意の金額を料金箱に投入するシステム(0円でも可)になっていたが、1万円札を入れた観客も出るなど成功裏に終わったようだ。

 HEROの次回興行は、来年2月23日、新木場での「友龍10周年記念興行」。友龍の対戦相手には、これまで参戦したことがない大物選手を招へい予定で、正規軍、ワイルド軍の垣根を越えたお祭り興行となる。

 豊島会長は「やってよかったと思う。有刺鉄線という厳しい条件で、正規軍とワイルド軍もわかり合えたと思う。(試合をするのは)もうないでしょう。思ってたより、お客さんも入ってくれて、うれしかったし、みんなに感謝します」と総括した。

<第1試合>クラフターUVS大野
 クラフターUが得意のキックと関節技で優位に進めるも、大野は急所攻撃などで応戦。大野とソフト今井レフェリーがぶつかって、レフェリーが昏倒。その隙にクラフターUが強烈なハイキックを見舞うも、レフェリーが不在。大野はイス攻撃を繰り出すも、クラフターUが阻止して、イスを奪う。そこで、レフェリーが起き上がり、大野はイス攻撃を食ったようにフェイク。この作戦にはまってしまったレフェリーは、クラフターUの反則負けを宣した。

GPSプロモーション主催
『WILD HERO FINAL』
日時:2018年11月10日(土)
開始:19:00
会場:東京・新木場1stRING
観衆:未発表

▼30分1本勝負
○大野“ワイルド”翔士
10分9秒 反則勝ち
●スーパー・クラフターU
※クラフターがイス攻撃をしたかのように大野が見せかける

▼3面有刺鉄線&2ボード6人タッグデスマッチ 無制限1本勝負
ワイルド・ベアー/ワイルド・セブン/○ワイルド・シューター
19分37秒 有刺鉄線ボード上への3人がかりのスーパーパワーボム→体固め
友龍/雷電/●豊島会長

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