武尊、武居らが圧巻のKO劇!若きK-1王者たちは「スーパースター」を目指してまだまだ進化する

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 3月21日、さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナに1万5千人の大観衆を集めて開催されたK-1「K’ FESTA(ケーズフェスタ).1」。午前11時半に始まり、武尊が劇的なKOでスーパー・フェザー級(-60kg)トーナメントを制覇、K-1史上初の3階級制覇を達成したのが午後8時28分。全24試合、9時間に及ぶロングラン興行となった。

 前半は判定続きで、ダレてしまう試合もあったが、後半に「倒せるK-1ファイター」たちが登場すると場内の空気は一変。野杁正明、チンギス・アラゾフ、木村“フィリップ”ミノル、平本蓮、卜部功也、武居由樹が豪快なKO勝利を収めて会場のボルテージを高めると、メインのト―ナメント決勝戦で「K-1カリスマ」武尊が小宮山工介をKOして優勝を決めると、興奮は最高潮に達した。

 試合後、優勝した武尊と放送席の魔裟斗さん、関根勤さん、久松郁実さんがメディアの囲み取材を受けた。その席上、武尊は「魔裟斗さんの言葉がめっちゃモチベーションになりました」と明かした。
 トーナメントを特集した「新K-1伝説」(テレビ東京ほか)で、魔裟斗さんは「武尊は体格的に不利。厳しい試合になる」と武尊の苦戦を予想し「これで勝ったら本当のスーパースター」と断言。その放送を見て、武尊は「気合いが入った」というのだ。
 「1回戦にスタウロスを選んだのも、昔、魔裟斗さんが『一番苦しい道を選ぶのが成功の近道』と1回戦にブアカーオを選んだのを思い出して」と武尊。魔裟斗さんは「本当はタイトルマッチのはずだったのに、2か月前にものすごくキツいトーナメントに変わった。しかも(タイトルマッチで)やるはずだった大雅をKOしてる相手に勝っての優勝。完璧だよ」と武尊の戦いを称えた。

 武尊にとっても満足度の高いトーナメントだったという。それは「決勝でKO勝利出来たから」だ。「これまでのトーナメントでは決勝になると疲労とかがあってKO出来てなくて。今回はそれも課題だったので。最後は気持ちだけでした」
 1日3試合を勝ち抜くこと自体、過酷極まりないのに、さらに「KOして優勝を決めたい」。この、常に「もっと上」を目指す姿勢が今のK-1ファイター、特にK-1世界チャンピオンたちに共通することだ。

 この日も、スーパー・ライト級王者野杁は「どうしてもスロースタートになってしまうので、1Rから攻撃してKOしたかった」といい、僅差の判定で勝ったゲーオ戦を持ち出して「納得していない人もいると思う。リベンジしたいなと思います」。野杁が勝っただけに「リベンジ」ではないのだが、彼の中では「今度こそ」という思いからその言葉が出てきたのだろう。
 ライト級新王者卜部功也は「もっともっと強い相手と戦っていきたい」と言い、。スーパー・バンタム級王者武居は「K-1を引っ張っていく選手になりたいです。今年は全試合KOしたいです」。

 勝ったからよかった、KOしたからOKではなく「もっと」。三階級制覇を達成した武尊は会見をこう締めくくった。
「最初の頃『K-1ってまだやってるの?』と言われた言葉が悔しくて、今日、やっと1つ形になりました。でもまだまだ。外を歩いたらすぐ人だかりになるようなスーパースターが何人もいるK-1にしたいんで。3階級制覇を達成したら燃え尽きちゃうのかなと思ったんですけど、一番盛り上がった頃の魔裟斗さんたちの時代に追いつき、それを越えられるように。地上波のゴールデンタイム生中継を僕の現役中にぜひやりたいんで、これからもご協力をよろしくお願いします」
武尊を始めとする現在のK-1ファイターたちは、かつて魔裟斗をエースとして地上波ゴールデンタイム中継でお茶の間をわかせた「K-1 WORLD MAX」を観て育った世代。「いつかは僕も」と思ってプロになるも、地上波中継なし、試合の場は後楽園ホールという失望を味わっている。
 だからこそ「もっと」という思いは強い。さいたまスーパーアリーナのメインアリーナは通過点にすぎないのだ。
 今年のK-1は、さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナで6月17日(日)、9月24日(月・祝)、11月3日(土・祝)に開催。また、大阪初進出として12月8日(土)にエディオンアリーナ大阪(第1競技場)で開催。さらに、来春の「K’FESTA.2」の開催も決定している。

(スポーツライター茂田浩司)

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