「夢の続きをもうちょっと見ていきたい」藤波辰爾vs高橋ヒロムのシングルマッチが実現へ!
30日、東京都・後楽園ホールにて『レック株式会社 Presents DRADITION 15th ANNIVERSARY』が開催され、藤波辰爾と高橋ヒロムがシングルマッチを行うことが決定的となった。
藤波は1971年5月9日に日本プロレスでデビューし、新日本プロレスで活躍。現在は自身の団体であるドラディションを率いているが、1プレイヤーとしても衰えを見せることなく、2021年にはプロレスリングHEAT-UPにてHEAT-UPユニバーサル王座&PWL WORLD CHAMPION王座のシングル二冠王を戴冠。昨年にはデビュー50周年を迎え、69歳になった今も一線級の実力を保持している。
半世紀にわたってプロレス界を支えてきた偉人の1人であり、2015年にはWWEで師匠・アントニオ猪木さんに次ぐ2人目の殿堂入りを達成。“飛龍”藤波辰爾の名は世界に轟いている。
51年目を迎えた今年は、若手プロレスラーの新たな可能性を発掘するための大会『DRAGON STADIUM』の開催を発表したり、映像制作部門『DRADITION FILM』を始動させて映像コンテンツに力を入れていく方針を明かしたりと新たな動きを見せており、精力的にプロレス界で活躍している。
この日のメインイベントでは、藤波辰爾&船木誠勝&新崎人生vs越中詩郎&高橋ヒロム&AKIRAの6人タッグマッチが実施。
現在、新日本プロレスでIWGPジュニアヘビー級王座を戴冠しているヒロムは、かねてから日本での“ジュニアヘビー級”というものの価値を1から創り上げた藤波への深いリスペクトの言葉を口にしており、対戦を熱望。今回は6人タッグ戦でその大望が成就することなった。
試合は、新日本ジュニアの新旧エース対決に始まり、藤波とヒロムは日本のプロレスの歴史を確かめ合うかのようなじっくりとしたレスリング戦を展開。
船木とAKIRAが真っ向からバチバチとチョップで撃ち合う中、ヒロムは人生を相手に掟破りの拝み渡りを決めようとするものの、船木に突き落とされて股間をロープに痛打。藤波が出てきて一気に試合を決めようとするが、越中が飛び込んできてヒップアタック。さらにヒロムがトラースキックを見舞い、AKIRAがムササビプレスを投下するもカウント2。
ヒロムが藤波に飛びかかるが、藤波はヒロムにドラゴンスクリューを見舞って撃退。最後は藤波がAKIRAにドラゴンバックブリーカーからドラゴンスリーパーを決めてギブアップを奪った。
試合後、ヒロムが藤波にシングルマッチを要求して退場しようとすると、闘志に火が点いた藤波が「おいヒロム帰るんじゃないよ!」とリングに呼び戻す。
ヒロムが「どうせだったらやりましょうよ。6人タッグじゃ、藤波辰爾さんを感じる事ができませんでした。なので!シングルでやりましょう藤波さん」と握手を求めると、藤波はその手を荒々しくはたき落とし、「おい待ってろじゃあ。その時お前に、良い返事を返してやる」と堂々と迎え撃つ姿勢を見せた。
一足先にバックステージに戻ったヒロムは、「ただただ…楽しかったよ。ファンに戻ったような楽しさだ。でも、俺にはそれしかなかった。そんだけしか残らなかった。生意気なこと言ってるのは百も承知です。でもああやって、やっぱりすごいよね。まさかリング上であんな風に言われるとは思わなかった。やらざるを得ないでしょ。やるしかないでしょ。いつでもいいですよ。いつでもいい。今年でもいい。来年でもいい。再来年でもいい。藤波辰爾さんが、俺に、『勝てる!』……そう思うときまで、俺は待ってます。生意気なんでねえ!やっぱり、俺は間違ってなかった。ジュニアの最初の人間を感じたい。ただそれだけです。藤波辰爾さん、本当に、ありがとうございます。心の底から、尊敬してます。ただ、リング上では生意気なもんで、申し訳ございません」と熱い気持ちを語る。
大会を締めてからバックステージに現れた藤波は、珍しく闘志剥き出しのマイクを行ったことについて問われると「普段マイクが得意じゃないんだよね。活舌もよくないんで」と照れ笑い。
しかし、ヒロム戦について問われると、「高橋ヒロム君ともこういう接点は本来は無かっただろうにね。でも1年でも長くやってるからこういう戦いが出来たんで。そういう意味では、いつかは限界が来るでしょうけど、しばらく自分自身のために、自分自身のファン、夢の続きをね、もうちょっと見ていきたいなと。どうしてもね、我々もファンがあってのプロレスなんだけど、ファンのああいうのについポロっとね。彼自身が『これ明日とか言わんだろうな』と(笑)とにかく、期限は抜きに、そういう自分でしっかりと『いいよ!シングル受けてやるよ!』っていうものをね、どっかで投げかけとかないと色んなものが始まっていかないんでね」と、真剣な表情で前向きな姿勢を見せた。