【インタビュー】「今こそもう一回K-1を一大エンターテイメントに持って行けるチャンスなんですよ」K-1ジム総本部:梶原龍児代表が初代ミドル級王座決定トーナメントにかける想いと見どころを熱弁!

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 遂に新設されたK-1ミドル級、6月3日横浜武道館で開催される「K-1 WORLD GP 2023 初代ミドル級王座決定トーナメント」の見どころから今後のK-1像まで、K-1ジム総本部:梶原龍児代表にお話をお聞きしました!

――新設されたミドル級(-75kg)、代表ご自身はライト級でしたがこの階級の魅力はどんなところでしょうか。
梶原「『THE KO!』ですよね。KO必至の戦い、技術を見せるというより、デカい人間がパタンと倒れる、そういう非日常を見せるのがプロとしての仕事ですし、お客さんとしてもそこを望むところだと思ってますね。一番良いのは暴力ではなくスポーツとして見れるっていうのはK-1のだいご味で」

――まず日常でそんなシーンに出くわすことありませんもんね。
梶原「やはり今YouTubeで色んなものを見ることができて、注視するところは暴力なのかスポーツなのかやっぱりまだあいまいじゃないですか?こっから先、武道目指すのか格闘技目指すのか、若者に見せたいとは思わないですね、僕の職業からすると。きっかけとしてはもちろんいいですけど、のめり込む場所はK-1であったりとか武道の方に行って欲しいですね」

――気軽に見れる反面、特に幼い子はすぐには理解できないでしょうし。
梶原「夜中ひとりで見るんですけど、あくる朝になって娘が関連動画とかで見つけたらビックリするでしょうから、履歴はまめに消してます(笑)」

――あ、分かります。僕も同じことしてます(笑)
梶原「話それましたけど、やっぱり階級的にはKOを見せれる階級ですよね。あと外国人選手がアジアを越えてヨーロッパ圏内、欧米諸国の選手が活躍している場なのでワールドワイドに大会が広げられるなって。軽量級の場合はアジア圏内が強いじゃないですか」

――ご自身の経験からトーナメントを勝ち抜くにあたっての臨み方という面ではいかがですか。
梶原「あ~、でも普段の練習で本気を出してればスパーリングでもケガしないんですよね。中途半端にどっか力抜いてると、体の痛いところに気付いてしまったりとか、ケガしやすかったりもするんで。ある程度緊張感とか集中力もってればケガしないんですよね。ボクシングを10年、K-1とキック10年、指導を10年… 長く見ているとそこはやっぱり感じますね。やっぱ気が抜けたところ気を抜いたところでそういう魔が現れるんで。トーナメントに関しても優勝する選手は最初から集中してますね。自分で作っていくというか、作れる選手はやっぱり強いですね」

――最初から飛ばして早期決着傾向になるんではないかと予想してるんですが、その辺りはいかがですか。
梶原「先手必勝…う~ん、どうだろう。序盤30秒とか1分で相手のリーチとか距離感、ポジション図って自分のスタイルに持って行くんですけど、それは日本人の戦い方なんですよね。でも海外の選手って相手のことなんかフルシカトで自分のことやるじゃないですか(笑)例えば無差別級トーナメントで優勝したサッタリ選手、2022年12月の大阪大会では控室でめちゃくちゃいいアップしてたんですけど、試合はグワ~っときたラテスク選手に敗けちゃったりとか。人知を超えた瞬間じゃないですか。そういうものを見せられるトーナメントですよね」

――それでは各対戦カードについてお聞かせください。


▼一回戦(1)/3分3R・延長1R
神保克哉(日本/K-1ジム目黒TEAM TIGER)
vs
リー・ホイ(中国/陕西大秦騫秋ジム/CFP)

梶原「神保選手は最近テクニックも上がってるし粘り強い。2014年の新体制からずっと試合してる選手なんで、この前ダウンもしてしまってダメージが残ってるんじゃないか。でも自分が公言してこの階級を作ったという自負から、かなりかけてるものがあるんじゃないですかね。あとね、性格もいいし結構頑張るんですよ(笑)最近はジャブがキレてきてかつ下からも打てますよね。いろんな方向から打って自分でリード出来るっていう。それはライバル松倉がいたからこそ、頭を使うようにもなって成長したんだと思うんですよね。
リー選手はあまり情報が無いですけど、この前うちの選手を出しに中国に行ってきたんですけど、中国の選手は全員フィジカルが強い。日本人の3倍くらいあるんじゃないかな(笑)それには国の背景もあるんじゃないですかね、働かずに戦いのために生活してるというか、圧倒的にそれにかけてるから戦闘マシンのようになってる。神保が今まで培ってきたもので戦闘マシンを迎え撃つって感じじゃないですかね」

▼一回戦(2)/3分3R・延長1R
ダニロ・ザノリニ(ブラジル/ブラジリアンタイ)
vs
ハッサン・トイ(トルコ/Team Toy)

梶原「ダニロ選手は42歳、経営者としてもスゴイらしいですよね。自分で選手・会員をかかえている責任感もある中の戦い、簡単な負けは許されないと思うんですよね。回転系の技を出したりお客さんの声をちゃんと聞いてるのかなっていうぐらい盛り上げてくれますし。
ハッサン選手はウェルター級から一気に2階級上げて、2020年に野杁選手とやったときなんかロープ際までしっかりプレッシャーかけて押し込んだ、そこから更に重さを増したフィジカルでどれだけ追い詰めるのか。何より海外選手が体重気にしないで戦えるってことはかなり実力が発揮できる試合になると思うんですよ。7.5kg調整不要は大っきいですよ~」

▼一回戦(3)/3分3R・延長1R
松倉信太郎(日本/team VASILEUS)
vs
ヴィニシウス・ディオニツィオ(ブラジル/ブラジリアンタイ)

梶原「(会見でも神保と決勝をという発言があり)ここはもう松倉勝たないとっていう、それに尽きますよね(笑)
ディオニツィオ選手は、神保選手との試合で判定勝利したのもそうでしたけど、何か持ってるアップセット起こしそうな選手ですよね。ここで松倉を倒し、日本人ツートップに勝つことになれば実力を示せるでしょうし、示したいでしょう。松倉は油断できませんね。

▼一回戦(4)/3分3R・延長1R
ムスタファ・ハイダ(イタリア/Fight Club Firenze)
vs
MIKE JOE(フィリピン/BATTLE FIELD/TEAM J.S.A)

梶原「ムスタファ選手はアンディ・サワーに勝ってたり(2014年クンルン・ファイト)、ONEでもニッキー・ホルツケンとも戦ってたり。海外で強豪と戦ってきたわけですから実力者でしょうね。それがK-1というステージでどこまでやれるのか、見せて欲しいですよね。
そしてMIKE JOE選手、気になってるんですよ(笑)ふてぶてしさであったりとか、フィジカルもいいしスペックもいいですよね~。また謎のベールに包まれてる雰囲気もあるじゃないですか。ボクシング技術も長けてるし楽しみなんですよね~(笑)」

――MIKE JOE選手は6/3誕生日らしいですから、イイ日にしたいハズです。
梶原「僕も誕生日にタイトルマッチやって大和哲也にラスト1秒でダウン取って勝ってますから、そんな神様のギフト、ありそうですよね(笑)」

――初代王者というのはとかく印象に残るわけですが優勝予想、もしくは優勝してほしい選手は・・・?
梶原「う~ん、理想は神保・松倉で決勝、そこでしょうね。松倉選手はイケメンで透かしてる印象が強いでしょうけど、神保戦であんなに泥臭く殴り合えるんだって見せてくれましたし、あのような試合もできたってことが糧になってそこが出てくれば面白いですよね。ただ神保選手のブロックではもしかしたらハッサン・トイが立ちはだかるかな~、う~ん」

――個人的にも「神保・松倉の決勝」は見たいですが、ただそうなってもボロボロの状態で戦うことになりそうですね・・・
梶原「過去の歴史を見てもそうじゃないですか、ボロボロの選手が王冠を、ベルトを、トロフィーをっていう。それがもうお客さんからしたら「観に来てよかった・・・」ってなる。もう一度足を運んでもらう、戻って来てもらうようになってほしいですよね。
競技性もいいんですけど、あの・・・、昔のK-1ってヘビー級はそれこそリング上では殺し合うじゃないですけどとことんまでやるじゃないですか。でもリングを降りたらみんなでいっしょに盛り上げようってしてたじゃないですか」

――それすごい分かります(脳裏にいろいろ映像が蘇る)
梶原「それをもいちど作らないといけないと思ってるんですよ。武尊、ミノル、城戸、卜部兄弟、芦澤竜誠、平本蓮、初期メンバーというか目立ってたメンバーが居なくなった今、彼らが作った風呂敷の中で踊ろうとか、ラッキーだと思って試合してる選手、絶対消えてくと思うんですよ」

――ああ、言わんとしてることが・・・
梶原「やっぱり今いる選手たちが新しい道を作ってかないと、新しいK-1を作るチャンスなんだから。そういう大会にしてほしいというか、この6月・7月。いや、今年は。指導者であり実行委員会もやらしてもらってる人間からすると、今の方がチャンスだよ。お前がこの空いた枠狙うんだよって。過去の誰かの代わりって意味ではなくて、例えば「実力者」がいて「メジャーになる選手」がいて「暴れん坊」がいて「あかんたれ=愛されキャラ」がいて・・・って、もう一回一大エンターテイメントに持っていけると思うんですよ。もう一回作っていく時期に来てるし、コロナが終息して海外の強豪もいっぱい入ってきて出場枠だって少なくなるし。限られた選手しか出れなくなってくるその大会で個性を出した人間が時代を作れるというか、いっしょにK-1作って行きたいですね」

――めちゃくちゃ良いお話ですね。
梶原「いやだけどそう思いません?僕らの世代って(聞き手と梶原代表は同世代)」

――命がけでやってるのに知らない人が多いっていうのは勿体ないですよね。
梶原「勿体ないですね~。せっかく今メディアに出る機会も多いですし、例えばyoutubeとか自分で制作することもできるのに、もっとなんかやってけばいいのに。もちろん練習最優先ですけど、使えるものはどんどん使ってく方がいい、ほんと。発言すれば協力してくれる人も絶対出てくるんだから」

――K-1のインタビュー行ってきますって言ったら格闘技ファンでない子から「今誰出てるんですか?」と。「K-1」は知ってるけど選手までは知らないという。
梶原「一般の方でも(知ってるのは)武尊がギリギリですよね。卜部兄弟って言っても分かんなくて「高橋メアリージュンの妹の旦那」って言ったら「あ~、分かる分かる」みたいなことあるし(笑)」

――それヒントみたいな話ですよね(笑)
梶原「大会のことから離れちゃいますけど、「自由」ってあるじゃないですか。K-1という団体の中に居るから自由に動けると思うんですけど、そこから外れた人は孤独になっちゃうんですよね。その孤独に耐えられない奴は消えてくし、ただ、孤独が合ってるヤツ、例えば平本連しかり芦澤竜誠なんかは跳ねてるんですよね。なんかK-1に居るのに、守り守られ向上し合ってるにも関わらず、途中で自分のことキライになってしまったり、周りのことキライになってしまったり。じゃなくてここにいるんだったらその中で自由に羽ばたけよ、みんなで盛り上げて自由を勝ち取れよって。そこはき違えちゃいけない。ここで足りなければ平本や竜誠たちなんかみたいにやる方法もあるんだし」

――平本蓮、芦澤竜誠を育てた梶原さんが言うから説得力抜群です!
梶原「軍司泰斗もいますし、郷州征宣(ろう者の元Krush王者)も忘れてはいけません!
あと、寧仁太・アリ(Krushウェルター級王者)、璃明武(Krushスーパー・バンタム級王者)瓦田脩二(第6代Krushライト級王者)もいる。案外貢献してるよな~(笑)」

――軽量級への貢献度が高いですね。
梶原「バンタム級だと今、黒田斗真選手がチャンピオンですよね。ただ去年まで二年間、軍司泰斗がフェザー級統一を果たしたじゃないですか、チャンピオンになった後も。黒田選手はそれを見せるべきだと思う。結果も内容も見せてると思うんですけど、やっぱり説得力の部分とか、お客さんにこう固唾を飲ませるような緊迫感がある試合とか、いろんなものを見せてけば、この1年で「K-1のバンタム級チャンピオンは黒田だぞ」っていうのを築ける。バンタム級が今戦国時代になったと思うんで、池田幸司選手もいる、石井一成選手もいる、白幡もうちに来た、ここ統一した人間がホントに強いんじゃないですか。世界に通用する選手。軍司のようにやって欲しいですよね」

――新設のミドル級もあり軽量級も粒ぞろい、面白いですね~。
梶原「こうやってディグってけばもっと面白くなるんですよ、K-1(笑)まず6月3日横浜武道館、ぜひ観に来てください!」


『K-1 WORLD GP 2023~初代ミドル級王座決定トーナメント~』
日程:2023年06月03日(土)
日時:12:00開場/12:30プレリミナリー開始/13:30試合開始
会場:横浜武道館 神奈川県横浜市中区翁町2丁目9番地10
主催・著作:K-1実行委員会
企画・制作:(株)M-1スポーツメディア
運営:(株)グッドルーザー
大会サイト:https://www.k-1.co.jp/schedule/16600
チケットはこちら:https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=43713

■梶原龍児(かじわら りゅうじ)
1976年12月9日生まれ、東京都出身。
K-1ジム総本部代表、チームペガサス代表、K-1実行委員会、初代Krushライト級王者・WFCA世界ライト級王者・Jnetworkライト級王者など現役時代は獲得タイトル多数。平本蓮、芦澤竜誠、軍司泰斗らを育て現在も数々のトップファイターを育成、指導者として活躍中。

K-1ジム総本部 https://www.k-1gym.com/souhonbu/
Twitter:@ryujikajiwara11 
instagram:kajiwararyuji 

<取材を終えて>
写真撮影の際、プロ連が始まる時間でしたがそれぞれの選手を息子のように眺める梶原代表。「前田憲作先生の教えは僕の中でもホントに活きてますよね」とおっしゃってたのがとてもグっと来ました!

聞き手:スレンダー川口 @slender_kg 

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