【インタビュー】「木村花と夢の中では楽しい時間を過ごしてる」2度の手術失敗で後遺症に苦しむ木村花の親友が語る『果たさなきゃいけない戦い、やらなければいけない戦い』【後編】

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 青年海外協力隊員としてセネガルで活動し、24歳で日本に帰ってくると2015年にスターダムで女子プロレスラーデビュー。
 異色の経歴を持つジャングル叫女はすぐに頭角を表し、木村花&小波との『TOKYO CYBER SQUAD』は人気ユニットとして女子プロレス界全体から注目を浴びていた。
 しかし激しい試合の影響で、左膝前十字靭帯及び右膝外側側副靭帯の断裂及び右肩・肩鎖関節完全脱臼により長期欠場に。さらに親友の木村花の突然の死により、心身ともにダメージを負った叫女は2021年から姿を消し回復に努めることに。

 前編で語った2度の手術失敗での後遺症と、クラウドファンディングの支援で見えた光。後編では患っている精神的な苦労と、女子プロレスラージャングル叫女としての未来を語った。

■本当に嫌だったんですよ、『助けて』って父に言うのが

――しばらくはこのクラウドファンディングのお金で生活していく形になると
「そうですね(苦笑)実は東京も離れて、おじいちゃんおばあちゃんがもう亡くなってるんですけどその家が空いてるので、そこに引っ越します。正直きつくなると思うんで・・・」

――お一人で頑張られるんですか?
「私は高校一年の時に家出してるんですけど、そのままアフリカから帰ってきてスターダムに入寮したっていう経緯があるんです。ずっと親には頼らず生きていこうって想いが強かったんですけど、今回初めて親に、弱音じゃないけど『助けてください』って言ったんですよ。そしたら、私父子家庭なんですけど、父親から『甘えるな』みたいな感じでつきはなされて、実は。もう泣きながら、私も言いたく無かった言葉なんで、助けてくださいって。でも父は、簡単には受け入れてくれなくて・・・その時に昔を思い出して」

――家出した当時ですか?
「はい。家出して、大学とかも奨学金で行ってて、体育の先生の教員免許取って、陸上も割としっかりやってインカレとかにも出てしっかりやって、でもお金ないからバイトもして。ほんと寝る時間3時間とかの中で、私一回過労で、テスト中に倒れて救急車で運ばれてるんです。その時に父が来てくれて『こんなになるまで助けてあげられなくてごめんね』って初めて言われて。倒れてしんどかったけどちょっと嬉しかったのもあったりとか。でも逆に言えばここまでやらないと認めてもらえないんだっていうのもあったから、JICAの青年海外協力隊でちょっと外に出ようと思って。1回家族からも離れようと思ってアフリカに行って帰ってきてそのまま東京に来て、プロレスラーになって。厳しいわけじゃないんですよ父も。私、女姉妹で、妹もいるんですけど、急に父子家庭になって父もすごい女の子を育てるの難しかったと思うんです。だからいろんな葛藤とか苦悩があっただろうな、とは思うんですけど、変に甘やかさないっていうのがもしかしたら父の中であるのかもしれないですし、やっぱり可愛くない娘だったんで、のこのこ家に戻るわけにもいかないしそのまま本当に自立してしまったから、だから本当に嫌だったんですよ、『助けて』って父に言うのが。それでも私は勇気と言うか、自分のプライドを捨てて父に『今こういう状態でちょっとほんとしんどくて、生活助けてください』って言ったんですよ。それでも父からは突き放されたんで、喧嘩じゃないですけど泣きながら「じゃあ、じいちゃんとばあちゃん家に住むわ」みたいな(笑)まあ、空き家だったからそこに住むわってなりました」

――そこは病院から遠いんですか?
「新しい病院は今の病院とも情報連携してるんで、私がこれから住むおじいちゃんとおばあちゃんの家から近いです。いろんな病院、セカンドオピニオンをしてる時に、大阪だったり名古屋だったり、他の地域の病院も実はいろいろ周ってた中で見つけたお医者さんなんです。その先生は今までの経緯も知ってくださって、治療もやっていこうか~?って感じだったんで、今の病院ともしっかり連携してます。その病院があるからおじいちゃんとおばあちゃんちに住むわって言えました」


■果たさなきゃいけない戦い、やらなければいけない戦いがスターダムの中にもたくさんある

――今周りに居る人と離れる寂しい気持ちっていうのはありますか?
「寂しいですよ、ホントに。でも私もやっぱり環境変えなきゃなきゃなって思う部分もあって、アメリカに行くってなったのも環境変えてプロレスラーとしてのアメリカンドリーム掴むぞみたいな気持ちもあったんだけど、それよりもなんかどうしても花の事があって・・・今でも夢で出てきて、夢の中では楽しい時間を過ごしてるんですよ、花と。でも急にふわーっとどっか行っちゃう。絶対夢の中で。で、夢の中で泣いてるんですよね、私は。行かないでよって。で、起きるじゃないですか、めっちゃ泣いてるんですよ。これってもう普通じゃない」

――普通の状態ではないですね。
「普通じゃないっていうのも私の中では判ってて。やっぱり今は花と過ごした街にいるんですけど、どうしてもやっぱり思い出しちゃったりとか、なんか辛いだけじゃないんですけど、それだけじゃないんですけど、楽しい思い出もたくさんあるけど、どこかこう自分が前に進めてない自分もいるのかなとか。環境を変えていくことも、もしかしてすごい大事なことなのかなって思って。すごいたくさん、花だけじゃなくてもみんなと過ごした思い出の場所とかいっぱいあるんですけど、寂しいけどちょっと離れて治療に専念しようかなって」

――その仲間たちの中に休業前最後の試合を行うNOMADS’のメンバーたちも居ると思うんですけど、正直スターダム時代には夏すみれとはあまり絡みが無かったと思いますが
「全然なかったですね、ユニットも違うし。でも昔からやっぱり、試合中も酒のかけあいとかしてて、私もお酒好きだしすごい破天荒な試合で、戦っててもやっぱ楽しいなって思った選手ではいたからいつか一緒にお酒飲める機会があればって思ってて。今回関わらせてもらって話すようになって、イベントやろうかって言って、ナツバーでイベントやって。二人でベロベロになって潰れて、う~ん不思議ですね。NOMADS’に呼び込んでくれた時もロープ上げ夏すみれがしてくれて。なんかプロレスって長くやればやるほど、何があるかわからないから面白いな~って思うし。私なんか今フリーだから、リングが会うべき人に会わせてくれるなって感じがしますね」

――NOAH横浜アリーナ大会にもNOMADS’のメンバーと出ました
「武田さん(NOAH取締役)とは結構会食の場だったりでお会いしていて、NOSAWA論外さんもスターダム時代にロッシー小川さんと繋がりがあったので、一緒にみんなでご飯に行く機会があった時にご挨拶させていただいていて。日本に帰ってきて試合するって時に、凱旋の場所作るよって大きい舞台を用意してくれました。スターダムが横浜アリーナ大会やりますけど、それより前に大きい舞台に立ったっていうのは自分の中では良い経験をさせていただきましたし、その時にGHC女子っていう言葉も言ったんですけど、スターダムに元々いたからこそ、KAIRIさんがIWGP女子の初代を巻いたからこそ、対比じゃないですけど言えた言葉だったのかなって」

――今でもGHC女子を作って欲しいという気持ちは変わらないですか?
「変わらないです。 変わらないし、東京女子さんだったりは同じサイバーグループなわけじゃないですか?もっとそういう面白い発言どんどんしていってもいいんじゃないのかなと思うけど。誰かが言葉にしないと絶対できることもないと思うんで、私が戻ってきた時にあるかどうか分からないし、無かったら無かったでまた言うし、あったら誰かが巻いてるってことだからそこには挑戦したいなと思うし、挑戦する権利はあるのかなって思いますね」

――提唱者ですもんね
「はい。それこそGHC女子を巻いて、IWGP女子を巻いてるKAIRI選手だったり、岩谷麻優選手だったりと試合が出来る未来があったら、って思うことが今一番やっぱりモチベーションになってるかな」

――スターダムにまた上がるっていう気持ちはあるんですね
「あります!ありますよそれは~。なんかやっぱり、今までSNSとかにも出してないんですけど、やっぱふるさと、生まれ育った故郷なので。帰りたいなって思うし。それこそさっきの父の話じゃないですけど、困った時にではなくて元気に帰りたいですよ、帰るんだったら。父も私が元気に帰ってくるんだったらもしかしたら受け入れてくれたかもしれない。泣きながら、助けてくださいみたいな帰り方はやっぱ今でもよくなかったなって正直思ってて。やっぱり故郷に帰る時は元気に帰らなきゃって思いますね」

――その時は東京ドームでGHC女子王者vsIWGP女子王者ですね
「いや~、スゴイな~、夢あるな~(笑)なんかほんと、KAIRIさんが初代でしたけど、正直やっぱスターダムファンとして見てて、う~ん、麻優さんにやっぱ巻いて欲しかったなって思う自分もいて。アメリカにいたんですけど、二人の試合の日寝れなくて。朝方PPV買って観て、うん、そわそわしました。麻優さんもきっとIWGP女子必ず巻いてくれると思うんで、ほんとに麻優さんにもいろんな思いがあるので。寮生の時麻優さんも住んでたし、寝食は共にしてないですけど(笑)同じ屋根の下で過ごした人間だし、練習もいっぱいしたし。最後STARSに入ったところで私辞めてるんで、誰もそんな風に思ってないかもしんないけど、私は今でも心の中ではSTARSの一員だと思ってるんで。STARS一番に応援してるし、みんなの活躍も見てるし、ほんとみんなから元気もらうんで、スターダムに上がるジャングル叫女を待ってくれてるファンが一人でもいるんだったら、やっぱ帰るべきだと思ってるんで、時期が来たら帰るって感じですね」

――ちなみに当時のTCSメンバーがみんな大江戸隊に居るんですけど・・・
「ね~!ほんとですよね~!でも何かみんな仲間だったし、それこそ刃羅ナツコだって昔は一緒にやってたわけだし、それぞれにすごい思い入れがあって。ただ、良い思い出ばっかじゃないから、約束はしてないかも知れないけど、果たさなきゃいけない戦い、やらなければいけない戦い、私スターダムの中にもたくさんあると思うんで。戻った時に大江戸隊があって、そこに彼女たちがいるんだったらTCSメンバーだろうと、対角に立って戦わないといけない。でもその頃にはね、若い子たちも随分成長してると思うし、またメンバーも変わってるかも知れないけど、試合したいですね」

――それに向けて、4月16日のNOAMDS’で休業前最後の試合になるわけですけど、そこで見せたいジャングル叫女っていうのはどういう姿なんでしょうか?
「そうですね、なんか私、強い選手とやりたいって名前をあげさせていただいたんですけど、ヒザ以外めっちゃ元気なんですよ。むしろコンディション良くて。でもヒザをかばうために他のところでカバーしなきゃいけないっていうのもあったりとかしたから、結構他も元気だから新たに怪我をすることは無いと思うししちゃいけないんですけど、ボコボコにやり合いたいなって。ボコボコにしてほしいし私もするし、精魂尽き果ててリングを降りたいなって。たった一試合ですけどそういう想いがNOMADS’にはあるし、休業前ラストなんで、思い残すことがないように全てを出しきって、しっかりコンディションを出来る限り整えて、今出せる最高のパフォーマンスが出来るようにジャングル叫女を仕上げていきたいなって思います。また新たにストーリーが始まるのかなって。第一章の終わりと第二章の始まりみたいな感じです。会場に来れない方も配信もあると思うので、皆さん見届けてください」

『NOMADS’vol.3』
日程:4月14日(金)
会場:新宿FACE
開始:19:00
チケット:https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=42929

▼メインイベント ジャングル叫女 休業前ラストマッチ~Never Surrender~
ジャングル叫女/松本浩代/優宇(EVE)
vs
山下りな/高橋奈七永/水波綾

▼セミファイナル 3WAYマッチ
[galaxy Punch!]SAKI/清水ひかり
vs
[ゆきあの]雪妃真矢/安納サオリ
vs
[SPiCEAP]尾﨑妹加/本間多恵

▼シングルマッチ
高瀬みゆき
vs
真琴

▼タッグマッチ
夏すみれ/チェリー
vs
花園桃花/小橋マリカ

▼タッグマッチ
小林香萌/関口翔
vs
[COLOR'S]網倉理奈/櫻井裕子

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