【インタビュー】PANCRASE325でバンタム級暫定王座決定戦に臨む中島太一が勝利に自信!バンタム級の体作りに「フィジカルとスタミナはそのまま活かしているし、むしろスピードが上がっている」

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 11月8日、『PANCRASE 325』(12月12日、USENスタジオコースト)でパンクラス・バンタム級暫定王座決定戦に臨む中島太一。
 中島は2021年NBTバンタム級優勝。組み技と決めの強さで5連勝。2014年3月には世界選抜ワールドスラムトーナメントで見せた後ろ回し蹴りKO勝ちで新たな強さを見せた。
 2016年以降はロシアの格闘技イベントACBに参戦していたが、2018年9月、パンクラスに復帰。田村一聖を破っている。
 今年5月にはフェザー級タイトルマッチでISAOに肉薄するが敗れ、本来の階級であるバンタムに戻し、暫定王者決定戦に臨む。タイトルマッチに向け、練習に励む中島に話を聞いた。
(都内世田谷区・Lotus世田谷にて)

――2戦続けてのタイトルマッチ。なかなかないと思うんですが、今どんな心境ですか。
中島「前回のISAO戦で、ベルトを獲る気で全力で練習して試合に臨んだんですが獲れなくて。そこですごくモチベーションが下がってしまったんですけど、またこういうチャンスをもらってモチベーションが上がって、毎日すごく良い練習ができてて。これは本当に『獲るしかない』試合です」

――中島選手ほどの実力がありながら、まだ戴冠していないという状況は、どのように感じているのでしょうか。
中島「デビューしてもう10年目。僕の中ではもっと早い段階でベルトを獲るつもりでしたけど、自分の考えが甘かったのか、まだベルトを獲ることができていなくて。
 海外に行ったりして、(それが)遠回りって言う人もいるんですけど、良い経験を積んできて、ここでやっとベルトを獲るタイミングが来たかなと思っています」

――今回、バンタム級に戻すまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。
中島「もともとはバンタムでやっていて、フェザーに上げた理由はパンクラスのハワイ大会(※2015年11月)から。あのときはフェザーしかなかったからフェザーでやったんですけど、そこまでフィジカルの差を感じなかったので、じゃあ減量頑張らずにフェザー級のままでいいやと思って。それから、ロシアでも、パンクラスでまたやることになった時もフェザーでやってたんですけど。
 まあISAO選手とやって勝てればフェザー級のままでいたと思うんですけど、負けてしまって。やっぱりちょっとひと回りくらいの体格の差を感じて、これはちょっと考えた方がいいなと思って、普段の自分の体重とかを考えたらバンタムが適正だと思って。それで、パンクラスさんからこのお話をいただいたので受けました」

――ISAO戦も、見ている側としてはそこまでの体格差は感じなかったのですが、どんなところに差を感じたのでしょうか。
中島「5分5Rでひと回りくらいの体格差があると、徐々に徐々に押されていってしまう部分があるなと感じましたね。あと、バンタムとフェザーで違うのは『圧力』。プレッシャーの感じ方が全然違うんですよ。そこはやっぱり体格の差が出てるんじゃないかと思って。
 でも、圧力とかは感じていたんですけど、負けたくないじゃないですか。それを認めると“負けた”って感じになっちゃうんで、そこはまあ目をつぶってフェザーで頑張ってきました」

――バンタム級の身体作りとは?
中島「バンタムの身体作りというか、普段からバンタムの人たちと同じ体重なんですよね。だから、ちゃんと減量すれば(大丈夫)って感じです。ちゃんと体脂肪を切って水抜きすれば、普通にフェザーのままの体調でバンタムで闘えると思います。
 だから、フィジカルとスタミナはそのまま活かしているし、むしろスピードが上がっています」

――改めて、井村選手をどう評価していますか。
中島「今、下からが強い選手っていないじゃないですか。だから、対応できてない人たちが多いのかなと思ってます。そこら辺は全く問題ないです」

――7戦全部フィニッシュしているという部分ではいかがですか。
中島「それはやっぱりすごいですよね。そんなに強い選手とやってないとはいえ、ちゃんと極めるっていうのはすごいと思うから、そこは全く油断してないし、ちゃんと対策はしっかり練ろうと思っています」

――中島選手のファイトスタイルと井村選手のファイトスタイル、どんな融合になるんでしょうか。
中島「それを言うと作戦を言うみたいなもんですからね(笑)。まあ、自分の得意なところで勝負しますね。相手と肌を合わせて感じる部分があると思うから、そこで自分の得意な部分を見つけて、相手には1mmもチャンスを与えないような闘いをしていきたいです」

――相手はここまで無敗なのでイケイケです。そこをガンと叩いてやると言う気持ちは?
中島「ありますね。ナメんじゃねぇよ、ってのは思ってるし、そう思いながら練習してるし。こんなところで負けていられないですよ」

――調印式でおっしゃっていた“経験の差”、試合で出ますか。
中島「出ます。意地ですね。5分5Rだったらより活きるんじゃないですか。僕の5分5Rの闘いについて来られるんだったらついてきて欲しいし。相手は『競り勝つ』って言ってたけど、じゃあ最初から来いよって思ってます」

――来たところで……
中島「はい。ついて来られないでしょう」

――どういった部分でそう思いますか?
中島「メンタルもスタミナもスピードも、じゃないですか。僕の強みっていったらスタミナだったりスピードだったり、メンタルの部分だったりと思ってるから、そういうところでは絶対負けないし、まあついて来られるならついて来てみろって感じです」

――フィニッシュのイメージはどう描いていますか。
中島「フフフ、それも作戦だからなあ(笑)。まあ、僕の打撃、当たると思いますよ。(相手は調印式で)僕の組みをけっこう評価してるみたいなこと言ってましたけど、打撃はそこそこみたいなこと言ってたんで、ちょっと見せてやろうかなと思います」

――中島選手の打撃と言えば、あの後ろ回し蹴りKO(※2014年3月、マルシオ・セザール戦)の衝撃が未だにあるんですけど。
中島「ハハハ!」

――今は組みでほぼ組み立てられるから出さないだけであって、ああいうのを出せる打撃のセンスは持ってるとずっと思ってるんですよ。
中島「はい。出せるんだったら出すし、勝手に出ますよね。さんざん練習して来ているし。もう10年目なので勝手に出るし。あとは試合でミスをしないことですね」

――中島選手はそうそうたる選手たちと練習されています。こういう練習環境も自信の一つになっていますか。
中島「うーん。そういうところで練習して自信を持つのはいいことなんですけど、それがけっこう過信に繋がったりもするので、そういった部分で自信を持つようなことは、僕はないです。
 練習としてはやっぱり違うし、強い人とやってるから強くなるっていうわけでもないので。そこを勘違いしている部分は僕はないので、だから試合で変なミスを犯すこともないです」

――キャリアも長くなってきて、応援してくれている人たちのためにも、ここで“象徴”が欲しいですね。
中島「はい。ここで獲らなきゃいつ獲るの、って話ですよ、本当に」

――今大会は、スタジオコーストでの最後の大会になります。また、2021年の締めでもあります。その辺、思うところはありますか。
中島「スタジオコースト使うのが最後だし、年内最後。で、タイトルマッチをできるのはやっぱり嬉しいし、オファーをくれたのも感謝しているし、ここはバチッと決めて、念願のベルトを獲りたいと思います」

中島が所属するLotusの八隅孝平代表は「心配はしていないが、フェザーからバンタムのコンディショニングがテーマ。2戦連続なので5分5Rは心配していない。相手は1R決着しているのでMMA選手としての強さはあると思う。でも、全体的な強さはまだわからない。それは今回、中島くんとやって分かるのではないか。相手の師匠が植松(直哉)っていうのはあんまり関係ないかな(笑)。やりにくさとかもない。でも、植松だから勝ちたいです、ハハハ! 次、中島が獲ると思う。見ててください、ちゃんと勝ってくれると思います」と話した。
 この試合は中島側の師匠が八隅、井村側の師匠が植松という名選手同士というのも見どころの一つ。セコンドも選手ち一体となり、熱い闘いを見せてくれることだろう。

(写真・聞き手:/吉田了至、構成/佐佐木 三桜)

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