パンクラスをこじらせた佐藤光留とバトラーツをこじらせた矢野啓太が濃密なグラップリング戦!「“良いプロレス”がこの2人じゃなくても出来るプロレスだったらいらない!」

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 25日、東京都・新木場1stRINGにて天龍プロジェクト『SURVIVE THE REVOLUTION VOL.9』が行われ、佐藤光留と矢野啓太が壮絶極まる一騎打ちを行った。

 天龍プロジェクトは、天龍源一郎の個人事務所及びプロレス団体であり、2015年に天龍が引退を迎えてからはプロレス団体としての活動を休止していた。しかし、昨年11月の天龍の引退5周年記念大会の開催を機に精力的な活動を再開し、今年4月から月に2回のペースで定期的な大会開催を実現。
 新生天プロでは、天龍がその実力を高く評価している矢野啓太が中心人物の1人となり、印象深い試合を幾度も重ねてきた。

 矢野は2007年に格闘探偵団バトラーツでデビューし、鋭い蹴り技や独創的なサブミッションを武器に戦う実力者。新生天プロではIJ王座に挑戦するなど存在感を発揮してきたが、転機となったのは7月28日の大会でのこと。
 HUB&矢野啓太&河野真幸vs鈴木みのる&佐藤光留&MAZADAの6人タッグマッチが60分3本勝負というなつかしい形式で実施され、その試合の中で矢野と光留が頭から出血するほどのヘッドバッドの打ち合いをする場面があり、試合後に光留が「矢野啓太のプロレスは死んだんだよ。生きてるんだったら生きてるうちにやり返してこいよ」と挑発。
 今月13日の大会では早速両者のシングルマッチが組まれ、壮絶なヘッドバッドの打ち合いの末に両者ダウン。たまたま上になっていた光留が体固めで3カウントを奪う格好となったが、光留は試合後に「パンクラスこじらせた佐藤光留と、バトラーツこじらせた矢野啓太。今にこの『痛みの伝わるプロレス』が本流になる時代が本当に来るんだよ。一言も話したことないし、言葉じゃ何も返して来ないけど。でも、矢野啓太が大好きだ」と熱い思いを語っていた。


 それから約2週間後となるこの日、決着戦として再び両者のシングルマッチが行われたが、ヘッドバッドの応酬となった前2戦とは一変し、試合を通して1発たりとも打撃技は繰り出されず、濃厚なグラップリングマッチの様相を呈する。
 互いにアームロックを軸とした腕攻めの攻防を中心に展開し、相手の体勢に合わせて光留はアキレス腱固めやヒールホールドなどで足を、矢野は三角絞めや変形フェイスロックなどで首を攻めていく。

 両者満身創痍の中で原点に帰って手4つで組み合うも、その刹那に光留が脇固め。そのままグラウンドに組み伏せ、足も一緒に極めると矢野はたまらずタップ。
 試合後、矢野が握手を求めると光留は少し躊躇しつつもしっかりとその手を握り返し、両者は笑顔を浮かべた。

 試合後、光留は「前回の試合は『こんなの見たことない』『痛みの伝わるプロレスだ』とか色々言われましたけど、今のプロレスだって出始めにはそう言われてたはずですよ。『新しいプロレスだ』って。もしかして今日やった手拍子の1つも起こらない、声援も送らないプロレスが今後プロレスの全てになることもあるかもしれない。天龍さんに『良かったね、最高のプロレスだったよ。興奮したよ!』って。じゃあ今度も天龍さんのお気入りのプロレスやるか?……やるか!お客さんが喜ぶのは素晴らしいことだ。たくさん手拍子して声出して『楽しかった』って帰るのもいいプロレスですよ。でもそれが佐藤光留と矢野啓太じゃなくても出来るプロレスだったらいらないです。ここは天龍プロジェクト。佐藤光留と矢野啓太のいるところですから」とひねくれながらも軸のブレない光留の真っ直ぐな芯を垣間見せた。

 そして、大会後にこの試合を振り返った天龍は「圧倒的なテクニックをこれでもかというくらい見せられた。あれを出来るってのが、よく馬場さんが言ってた懐の深さだなと思って感心させられたよね。よく猪木さんが言ってた風車の理論!……もう上の人の有名な言葉は全部使うからね(笑)」と上機嫌で2人の試合を大絶賛。
 そして、「(2人のプロレスは)異彩を放ってるってことだからね。今のプロレス界では目立ってるということですよ。それを求めて皆さんは高い金払って見に来るってことだから。だから、俺は麦飯食ってでもがんばりますよ(笑)」と2人が目指すプロレスの背中を押した。

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