天龍プロジェクト11.15両国大会 天龍引退試合/天龍vs.オカダ、諏訪魔&岡林vs.藤田&関本
天龍源一郎 最終興行
〜天龍源一郎 引退〜 革命終焉
Revolution FINAL
日時:2015年11月15日(日)
開場:13:00 開始:15:00
会場:東京・両国国技館
観衆:10,522人(超満員札止め)
▼第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負
○リッキー・フジ/高木三四郎
8分41秒 9999→片エビ固め
●菊タロー/ジ・ウインガー
▼第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負
里村明衣子/●カサンドラ宮城
9分29秒 フロッグスプラッシュ→体固め
DASH・チサコ/○仙台幸子
▼第3試合 10人タッグマッチ 30分1本勝負
獣神サンダー・ライガー/筑前りょう太/グルクンマスク/シマ重野/●ドラゴンJOKER
11分16秒 SAYONARA→体固め
怨霊/空牙/TARU/○FUJITA/ヤス久保田
▼第4試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負
ザ・グレート・カブキ/○KAI/舞牙
8分57秒 スプラッシュプランチャ→片エビ固め
グレート小鹿/葛西純/●杉浦透
▼第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負
○小川良成/ケンドー・カシン
12分47秒 首固め
●NOSAWA論外/新井健一郎
▼第6試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負
北原光騎/土方隆司/●那須晃太郎
13分8秒 腕ひしぎ逆十字固め
中嶋勝彦/○佐藤光留/橋本和樹
▼第7試合 タッグマッチ 30分1本勝負
越中詩郎/○嵐
9分54秒 パワーボム→エビ固め
太陽ケア/●相島勇人
▼第8試合 タッグマッチ 30分1本勝負
○藤原喜明/高山善廣
13分10秒 ワキ固め
鈴木みのる/●村上和成
▼第9試合 タッグマッチ 30分1本勝負
長州力/○石井智宏
13分46秒 垂直落下式ブレーンバスター→片エビ固め
斉藤彰俊/●河上隆一
▼第10試合 タッグマッチ 30分1本勝負
諏訪魔/○岡林裕二
18分54秒 ゴーレムスプラッシュ→片エビ固め
藤田和之/●関本大介
▼第11試合 天龍源一郎引退試合 シングルマッチ 60分1本勝負
●天龍源一郎
17分27秒 レインメーカー→片エビ固め
○オカダ・カズチカ
持ち技を出し切り、腹一杯で革命終焉!オカダに介錯された天龍「みんなありがとう」
消化不良の藤田と諏訪魔より観客は大日本を支持!Thunder Storm生演奏に国技館熱狂
オープニング
開始前、場内には天龍と対戦したことのあるレスラーの入場テーマが流れていたが、NTVスポーツテーマが流れると観客から手拍子が起こる。リングのマットは黒、1社だけ入っているスポンサーロゴは何とメガネスーパーという心にくさ。
まずはスクリーンで大相撲から全日本プロレス入りし、リング上での断髪式から鶴龍コンビ、ジャパンプロレスとの抗争、龍原砲〜天龍同盟、鶴龍対決、SWS旗揚げ、ホーガン戦、WAR旗揚げ〜新日本プロレス殴り込み、ノア参戦、還暦を過ぎて最後の団体・天龍プロジェクト旗揚げと、天龍の“腹一杯のプロレス”をダイジェストで振り返る。
VTR明け、リング上の高中正義さんが天龍の入場テーマである『Thunder Storm』をギターで生演奏。いきなり館内のボルテージはマックス状態に。
対戦カード発表では第8試合、セミファイナルと拍手が大きくなり、メインイベントでは早くも拍手喝采。
第1試合
高木はリッキーのテーマ曲に乗ってエアギターをしながら入場。その高木と菊タローの先発で試合開始。ロックアップからロープに押し込んだ高木だが、菊タローは両腕を広げてクリーンブレイクをアピール。クリーンにブレイクした高木がリストロックに捉えると、菊タローはヘッドロックに捉える。
ヘッドシザースで逃れた高木がヘッドロックに捉えると、菊タローもヘッドシザースで逃れ、お互いに身構えてからタッチしてウインガーとリッキーがリングイン。ロープに押し込んだウインガーがクリーンブレイクすると、手四つの力比べへ。
そこからリストロックに捉えたリッキーだが、足をすくって倒したウインガー。疑いに握手をしてハグするが、そこから殴っていったウインガー。タッチを受けた菊タローは天龍ばりに逆水平チョップとグーパンチをお見舞いすると、サマーソルトドロップを投下してから足4の字固めへ。
足が短く、なかなか足のフックがかからないが、吉野レフェリーがこっそり手助け。しかしリッキーが強引に反転したため菊タローは悲鳴をあげる。ウインガーはサミングからロープに飛ぶが、ウラカンホイップで投げてみせたリッキー。
そこに菊タローが入って来るが、DDTで叩き付けたリッキーは高木にタッチ。ドラゴンリングインした高木を待っていたウインガーと菊タローはガットショットで迎撃。しかし高木もウインガーにドロップキックからの619を決める。だが、ウインガーはラリアットをブロックして河津落とし。
コーナーに登ったウインガーだが、ドロップキックでエプロンに蹴落とした高木はロープ越しにぶっこ抜きブレーンバスター。ここでリッキーと菊タローが入ってきてチョップ合戦。そこから菊タローがグーパンチをお見舞いしてからブレーンバスターの体勢に。
いつものように挨拶してから「天龍さんの引退に華を添えたいと思います」と言うと、珍しくそのままブレーンバスターで投げてみせる。思わずガッツポーズをする菊タローだが、カウント1で返したリッキーはナックル攻撃からカミカゼで叩き付ける。ウインガーがカットするが、高木が場外に連れ出している間にリッキーが9999(=クロスアーム式DDT)を決めて3カウント。
<試合後コメント>
リッキー・フジ&高木三四郎
ーー天龍さんの引退興行で、第一試合を任されたわけですが?
高木「光栄です! メインがあってセミがあって、その次くらいにオープニングって大事なんですよ。だからそこをリッキーさんとのタッグで任せていただいて。本当に光栄です」
リッキー「同じ意見です。最高に光栄です。この大事な天龍さんの引退興行の第一試合を任されるって。扉を開けた時に僕らがいたっていう、それくらい大事なところを任せてもらっったのは光栄です。それに心強いパートナー、高木三四郎も最高でした」
ーー天龍さんとはTKG48というユニットでも……
高木「そうですね(苦笑)。自分はガンガン盛り上げる試合が得意なんで、リッキーさんも同じでロックなんで。ロックン・ロール? そういう部分でなのかなって気がしますよ」
リッキー「三四郎にも十分ロックの血が流れていますよ」
高木「やっぱりどこからともなくエアギターの態勢になっていましたからね」
リッキー「組むべくして組んだと。まぁお互いいいおっさんだけどまだまだ頑張りますよ!」
ーー天龍さんは65歳まで現役でした。
高木「まだまだイケますよ!」
リッキー「俺たちは生涯現役でやるつもりなんでね」
高木「天龍さんの生き様を最後まで見届けたいと思っています」
第2試合
センダイガールズプロレス提供試合は、もうすぐ幸子が引退するため、残り僅かとなった十文字試合と里村&カサンドラのタッグマッチ。話題のカサンドラはかなり前のめりに入場してくると、コーナーに登って口に含んだ水を噴射。その後ろから威風堂々と入場してきた里村。
幸子とカサンドラの先発で試合開始。ヘッドロックに捉えた幸子はリストロックへ。切り返していったカサンドラはカニ挟みで倒すと弓矢固めを狙うが、チサコが入ってきてカット。
すかさず十文字姉妹は連係攻撃を決めるが、カサンドラも幸子にドロップキックを返して里村にタッチ。腕を固めた里村はエルボーを打って来る幸子をアームドラッグで投げると、ブレーンバスターで投げてからエルボー合戦へ。しかし里村の串刺し攻撃を蹴りで迎撃した幸子はミサイルキック。
タッチを受けたチサコが入ってきたところにカサンドラがドロップキックを連発。さらにコーナー二段目からミサイルキックを発射したカサンドラは、バックドロップの体勢に。一度は逃れたチサコだが、強引に投げたカサンドラは里村にタッチ。
串刺しジャンピングエルボーからコーナーに飛び乗ってのエルボーアタックを叩き込んだ里村だが、チサコもウラカン・ラナからスクールボーイで丸め込むと、エルボーの連打で里村をハーフダウンのまま動けなくしておいて低空ドロップキックを顔面に叩き込む。続けて幸子がミサイルキックからDDT。
さらにチサコが入ってきて幸子がフロントブレーンバスターで里村に叩き付けてからサマーソルトドロップを投下。十文字姉妹はトレイン攻撃を決めると、幸子がチサコをトスしての串刺しドロップキック。
さらに幸子がブレーンバスターで投げてからロープに飛ぶが、里村はカウンターのハイキック。さらに側転キックを撃ち落とすとスリーパーに捉える。チサコがカットに入るが、里村はチサコにハイキックを叩き込んでからボディスラムで幸子に叩き付ける。
タッチを受けたカサンドラは串刺しエルボーからフェースクラッシャーを決めるとミサイルキック。幸子がロープに飛ぶと、エプロンから里村が蹴り。すかさずカサンドラがエアプレンスピンで回してから串刺し攻撃を狙うが、蹴りで迎撃した幸子。さらにジャーマンで投げ捨てると、チサコが入ってきて幸子がスイングDDTを決めたカサンドラにチサコがミサイルキック。
さらに幸子がジャーマンで投げるがカウントは2。チサコは里村をジャーマンで投げ捨ててからカサンドラにホルモンスプラッシュを投下。続けて幸子がフロッグスプラッシュを投下して3カウント。
<試合後コメント>
十文字姉妹
ーー天龍選手の引退興行に参加されていかがですか?
チサコ「いやぁこのリングに上がれることはすごく光栄ですし、幸子が引退前に、十文字姉妹の解散前にこうやって皆さんの前でベルトを見せられたことと、十文字姉妹の戦いを見せられたことはうれしいです」
幸子「自分も同じく。あまり女子プロの試合ってあまり大勢の皆さんに見ていただくことはあまりないと思うので。あと天龍さんという偉大な方の引退興行で試合ができたのは光栄であり、いい思い出になりました。もっともっと上を目指してこれからも頑張ろうと思う事ができました」
ーー天龍さんから逆にプレゼントをいただいたかたちになりましたね。
チサコ「その借りを返して、幸子が引退してからもまたこの両国という大きな舞台で試合ができるように。そして天龍さんにその活躍が目に留まるような活躍をしていきたいと思います」
ーー大きな舞台でも4人とも臆することなく、いつも通りの試合を見せてくれましたが?
チサコ「今日のリングはいつもよりも大きいリングだったので、ちょっと距離感とかがはじめ掴めなかったんですけど、無事終えられてよかったです」
第3試合
久保田、JOKER、FUJITA、重野、TARU、グルクン、空牙、筑前、怨霊、そしてライガーの順に一人ずつ入場。セコンド陣も含めて錚々たる顔触れがリング上を取り囲む中、グルクンと怨霊の先発で試合開始。
いきなりエクトプラズムを撒き散らしていく怨霊だが、まずはグルクンとトリッキーな動きを織り交ぜながら腕の取り合い。グルクンがコークスクリュー・シザースで投げてからアームドラッグ、ドロップキック。
ここで空牙と重野がリングイン。チョップ合戦から空牙はサミングを見舞うが、重野はローキックからローリングソバットを返してJOKERにタッチ。久保田をアームドラッグで投げたJOKERはコルバタからロープへ。しかしドロップキックで迎撃した久保田は空牙と連係攻撃。
さらに空牙とFUJITAが太鼓の乱れ打ち。FUJITAはJOKERをコーナーに叩き付けると、後頭部に串刺しニー。そして怨霊がクルクルエルボーを叩き込むと、TARUが吉野レフェリーを投げ飛ばす。この隙にYASSHIと拳剛が乱入してJOKERをY字に捉えると、TARUが股間にカカト落とし。
久保田がスワントーンボムを投下すると、ライガーらが一斉にカットに入る。だが、場外に追いやったTARUたちはJOKERにトレイン攻撃。さらに空牙が口に含んだ水を噴射していくが、JOKERも延髄斬りからミサイルキックを返すとライガーにダイビングタッチ。
掌底で次々に吹っ飛ばしていったライガーはFUJITAにケブラドーラ・コンヒーロ。さらに怨霊にカニ挟みを決めた重野とロメロスペシャルを同時に決めてみせる。タッチを受けた筑前だが、拳剛が場外かたイス攻撃。
しかし筑前はTARUにラリアットを叩き込んで吹っ飛ばし、YASSHIと拳剛にぶつけると、TARUに体落としから串刺し式ゼロ戦キック。そこにJOKERが走り込むが、TARUもミドルキックからカカト落としを返すと、久保田と空牙が合体式のフラップジャック。そこにTARUがバズソーキックを叩き込むと、FUJITAがダイビング・ボディプレスを投下。
だが、場外に追いやったグルクンと重野が同時に場外ダイブすると、FUJITAにライガーが串刺し掌底アッパー。さらに筑前のラリアットからJOKERがファルコンアロー。カウント2で返されると、JOKERはトルベジーノから変形腕固め。だが、TARUが鉄パイプ攻撃でカット。FUJITAは急所攻撃からラリアットを叩き込むと、延髄蹴りからSAYONARA(=ツームストン・パイルドライバー)を決めて3カウント。
試合後、FUJITAがJOKERのマスクに手を掛けると、ライガーたちが飛び込んできてJOKERを救出するが、JOKERは自らマスクを脱ぎ、その正体が進祐哉であることを明かす。するとJOKER…いや、進はFUJITAに怒りのニールキック。
マスクを持った進は「はじめまして、FREEDOMSの進です。3年間、天龍さんの元でドラゴンJOKERやらせてもらったんですけど、今日でドラゴンJOKER終わります。ありがとうございました!」と天龍引退と共にドラゴンJOKERにも別れを告げた。
<試合後コメント>
獣神サンダー・ライガー&筑前りょう太&グルクンマスク&シマ重野&ドラゴンJOKER
ライガー「(※先に会見場に来ていたFUJITAに向かって)お前、天龍さんの引退試合になにやってるんだ! あんなので試合か!」
FUJITA「うるせーんだよ! やかましい!」
ライガー「ゾロゾロゾロゾロわけわかんないヤツ連れてきやがって!」
JOKER「テメーら大人数じゃなきゃできないのか(と言ってマスクをFUJITAに投げつける)。いつでもやってやるわ!」
FUJITA「(このマスク)くれるのか?」
JOKER「くれてやるよ!」
ライガー「おうお前ら! あいつらに言っとけ! お前らをぶっ潰してやるからな! 天龍さんの引退興行をなんだと思ってるんだ! フ●ック! ファ●ク!」
第4試合
久しぶりに連獅子スタイルで入場したカブキはヌンチャクパフォーマンスを披露すると、緑の毒霧を噴射。さらにKAIもストリートファイトスタイルの上にカブキメイクをして登場。
小鹿組が奇襲攻撃を仕掛けていって試合開始。小鹿はカブキにパンチを連打。葛西はKAIを連れて客席へと雪崩れ込む。カブキは鍋ぶたを手にするが、和田京平レフェリーが取り上げる。しかしカブキはアッパーカット。怒った小鹿は馬乗りになってチョーク攻撃からニーを落としていく。
カブキもアッパーカットで反撃に出ると、ストンピングから舞牙にタッチ。小鹿はサミングを見舞うと杉浦にタッチ。エルボー合戦からシットダウンした杉浦に舞牙が低空ドロップキック。しかし杉浦はカウンターのドロップキックを返して葛西にタッチ。
観客の傘をタイガー・ジェット・シンのサーベルばりに咥えてからチョーク攻撃を見舞っていった葛西はエルボー合戦を展開。打ち勝った葛西が小島にタッチすると、舞牙は小島をロープに振ってアッパーカット。タッチを受けたカブキは飛び込んできた葛西と杉浦をラリアットで蹴散らすが、葛西は串刺し攻撃を狙う。
これをトラースキックで迎撃したカブキはKAIにタッチ。控えの小鹿を攻撃してブーイングを浴びた赤いは葛西に串刺しフロントキックからブレーンバスター。さらにカウンターの延髄斬りから走り込むが、葛西はDDTで切り返す。
ラリアットの相打ちから葛西がラリアットでなぎ倒し、杉浦にタッチ。控えのカブキを攻撃してブーイングを浴びた杉浦だが、KAIにエルボー。KAIはアッパーカットを返すが、杉浦はジャンピングエルボーからミサイルキックを発射。そこに小鹿が入ってきてのど輪落としで叩き付けると、葛西がパールハーバー・スプラッシュを投下。さらに杉浦がフィッシャーマンバスターを決めるが、カブキがカット。
小鹿と葛西がカブキと舞牙に向かって突進するが、カブキは毒霧で、舞牙はトラースキックで迎撃。さらに杉浦にKAIがラリアットを叩き込むと、カブキ、舞牙、KAIの3人で同時にトラースキック。そしてKAIがスプラッシュ・プランチャを投下して3カウント。
<試合後コメント>
ザ・グレート・カブキ&KAI&舞牙
ーー天龍さんの引退興行に参加されていかがでしたか?
カブキ「いやぁやっぱり、引退興行となるとさびしいですよね。でもすごいですよね、こんなにお客入れて。」
ーーいくつもの思い出があるのではないかと思われます。カブキさんからアメリカで言われたひと言で一念発起して日本に戻ってきたという話を、天龍さんは最近よく話されますので、カブキさんにはこの興行には出てもらいたかったのではないでしょうか?
カブキ「いや、今日出られたっていうのはうれしいですよ」
ーーKAI選手は直接対決ということはなかったでしょうが、ファン時代に天龍選手の試合を見て、そこから影響を大きく受けたという事もあるのではと思いますが?
KAI「ありますね。99年の5月3日の福岡国際(スポーツセンター)で、武藤(敬司)さんのIWGPに挑戦した試合が今でも記憶に残っていて。闘う事はできなかったんですけど、こうして引退興行に呼んでいただいて。感無量です」
ーーペイントしたのは初めてですか?
KAI「初めてですね。カブキさん、舞牙選手と組ませてもらったんで。やっぱり盛り上げたいという気持ちがあるんで。ありがとうございました」
ーー舞牙選手はいかがですか?天龍選手の最後に立ち会えるという部分で。
舞牙「そうですね。天龍プロジェクトが始まって、天龍さんがいて、紋奈代表がいて、他にもスタッフがいて、もちろんオヤジ(=カブキ)もいて。家族みたいだったのがこれでなくなっちゃうのかと思うと、悲しくて何も言えないですね」
ーーこれから家を出て、外の世界に触れるというか……
舞牙「一緒にね、興行はやらなくなっても家族は家族ですね。これからもアドバイスをいただいたり、お世話にまだなっていくと思いますので。天龍さんには『ありがとうございます』とともに『よろしくお願いします』と言いたいですね」
第5試合
『振り向くなきみは美しい』を前奏につけた『スカイウォーク』で入場したカシンは、またも左胸に不採用になった東京五輪のロゴマークのタトゥーシール。両軍、何やら企んだ様子で握手をすると、論外とアラケンが奇襲攻撃を仕掛けていって試合開始。そのまま場外乱闘になると、カシンは論外を客席の階段を駆け上がっていき、国技館の壁に叩き付ける。
小川もアラケンと花道で殴り合い。場外カウントが進んでいく中、カシンは無視してエルボースマッシュ。しかし19で4者一斉に滑り込む。小川はアラケンをヘッドロックに捉える。ロープに振って逃れたアラケンだが、小川はショルダータックルでなぎ倒すと、再びヘッドロック。
だが、論外が入ってきてカットすると、またも場外戦へ・カシンはアラケンを連れて客席を駆け上がり、国技館のドアにアラケンを叩き付け、観客から奪い取って飲み物を口に含んで噴射。小川と論外も客席に雪崩れ込んで揉み合う。カシンは中継用のケーブルでチョーク攻撃。
またもカウント19で小川とアラケンが滑り込んで試合続行。小川はブレーンバスターで投げるとカシンにタッチ。リバースのインディアンデスロックに捉えたカシンは、カットに入ろうとした論外にそのままコブラツイスト。
そこに小川がドロップキックを放つが、論外というよりはカシンのほうに当たった感じ。当然、小川に詰め寄って抗議するカシンだが、そこにアラケンが襲いかかっていき、論外と2人がかりでカシンを踏みつける。小川はまるでカットに入る気配はなく、「どうぞお好きなように」というジェスチャー。アラケンがカシンの手を伸ばしても小川からタッチする気すらない。
カシンはエルボースマッシュの乱れ打ちで反撃に出ると、小川にタッチ。渋々リングインした小川だが、アラケンと論外が同時スクールボーイで丸め込む。だが、カウント2で返したカシンと小川は逆にスクールボーイで同時に丸め込む。
さらにアラケンにダブルのクローズラインを決めると、小川が論外を羽交い締め。カシンが突進すると、論外がかわすが、カシンは寸前でストップ。しかしカシンは張り手。怒った小川がストンピングを落としていくと、論外とアラケンもストンピング。小川と握手した論外だが、ガットショットをお見舞い。
そこから論外は首固めで丸め込んでいくが、カシンがカット。その直後小川を上にしてから上から抑え付けて3カウント。結果的に小川が首固めで論外からピンフォールを奪う形になって勝利。試合後、カシンは握手を求めていくが、小川は応じない。カシンは無理矢理ハグするが、小川が突き飛ばすと、とっとと引き上げていった。
<試合後コメント>
NOSAWA論外
「カシンと小川、最後2人で抑えたろう。そういうやり方か。今度は東京愚連隊のリングでやってやるから。(抑え込んでいたのは)2人じゃねぇか。卑怯者! NOAHいちの卑怯者だ! チクショウ! カシン、小川良成! 東京愚連隊のリングで来年やってやる。いくらでも払ってやる! 金を払えば上がるなら、いくらでも払ってやる! チクショウ!」
小川良成
「……いる? 俺のインタビュー(苦笑)。いる?」
ーーお願いします。まず試合から振り返ってもらいたいのですが、前回以上にカシン選手に振り回されて……
「まぁ最初から相手のペースに合わせて試合をしようとしていたからあれはあれで。それはそれで……まぁいいんじゃない。普段やってる試合とは全然違うし。ああいう試合も面白いよ。ああいう試合は頭使わないから疲れないから。だから楽なんだ。外でガシャガシャしてるようなね。いつもやってる試合は頭使ってやってるから疲れるけど、今日は本当に疲れない」
ーー今日は勝利を収めたという事で天龍さんの引退興行に華を添えたと言えるかと。
「いや控室で今の試合を見て天龍さん怒ってるよ(笑)」
ーーただこうして小川選手が引退興行に参加されたのはファンにとってもうれしい事ではないかと思います。
「でも俺は天龍さんとはそれほど深い付き合いでもないんだけど(苦笑)。そういえばこういう人もいたなってくらいの……」
ーーいえいえ、天龍同盟と呼ばれた中で現役を続けていくのは小川選手だけになってしまうわけですから。
「まぁ天龍同盟に入ったきっかけもなんとなく入っちゃったようなもんなんでね。ちょっと控えめにね」
ーーそれも小川選手らしいですね。
「いやいや、そんな事ないですよ」
ーー天龍選手は引退されますが、これからも戦いは続いていきますね。
「そうですね。俺自身はまだどうなるか分からないけれど、もう少しやろうと思っていますから。……もういいんじゃないですか、今日は天龍さんの引退試合なんだから(苦笑)」
ーー最後に今日天龍さんに声をかけるなら、どのような言葉をかけますか?
「もう『おつかれさま』の一言ですね。『近いうちに飲みに行きましょう』それだけですね(笑)」
第6試合
天龍プロジェクトの9.2後楽園大会で北原に蹴りで事実上KOされている光留は、北原に詰め寄っていくが、那須が北原を下げて先発を買って出る。しかし光留が北原を要求すると、北原がリングイン。ローキックから組み付いていった光留はコーナーに押し込むと、殴りかかる。
北原もエルボーを返すとフロントキックを連打。バックを取った光留だが、北原は急所蹴りからラリアットを叩き込んで土方にタッチ。光留はなおも北原に殴りかかっていくが、北原は張り手をお見舞い。光留は土方を自軍のコーナーに押し込んで勝彦にタッチ。
ミドルキックの蹴り合いから土方がショルダータックルでなぎ倒すが、勝彦もミドルキックで蹴り倒す。タッチを受けた和樹は那須をリストロックに捉えると、フライングメイヤーからサッカーボールキック。那須もサッカーボールキックをお返しすると、サッカーボールキック合戦に。
和樹が自ら座って腕組みし背中を突き出すと、那須は正面からローキック。すかさず土方がコーナーにホイップしてハイキックを叩き込むと、北原が串刺しラリアットからダブルアーム式DDT。さらにパワーボムで叩き付けるが、光留がカット。
裾をまくって素足でサッカーボールキックを叩き込んだ北原に続き、土方が強烈な張り手。グロッキー状態の和樹だが、串刺し攻撃を狙った土方にジャンピング・ネックブリーカーを決めて勝彦にタッチ。フロントキックを叩き込んだ勝彦はエルボー合戦から重たいミドルキック。入ってこようとする北原にも蹴り懸かった勝彦はブレーンバスターを狙うが、那須がカット。
合体攻撃を狙った土方と那須だが、勝彦は2人を蹴り倒すと、土方にミサイルキックを発射。だが、串刺し攻撃を狙った勝彦をハイキックで迎撃した土方はスタンディングのシャイニング・ウィザード。しかしフィッシャーマンをDDTで切り返した勝彦はランニングロー。
かわした土方はハイキック。勝彦もハイキックを返してダブルダウン。10分が経過し、両軍タッチして北原と光留がリングイン。北原のバックスピンキックを顔面にモロに食らった光留はダウン。北原はWARスペシャルに捉えていくと、そこから腕十字へ。和樹がどうにかカットすると、北原は那須にタッチ。
ミドルキックの連打から稲妻レッグラリアット、バックドロップと畳みかけた那須だがカウントは2。那須が羽交い締めにすると、北原がスピンキック。これを光留がかわして那須に誤爆させると、和樹と勝彦が前と後ろからミドルキックを連打。さらに光留が痛めている那須の右腕を蹴り上げてからハイキック。そして投げ捨てジャーマンで投げて、那須がカウント2で返した瞬間を腕十字に捉えてギブアップを奪った。
その瞬間、『UWFメインテーマ』が流れて場内からどよめきが起こる。試合後、北原は光留に握手を求めるが、光留は1対1での勝負を要求。北原が頷いたため光留が握手をしようとすると、北原は中指を突き立てた。
<試合後コメント>
北原光騎
ーーまずこの興行に参戦してのお気持ちを聞かせてください。
「いやもうかっこよく送りたいと思っていたから。うれしいですよ。本当はね、(引退を)撤回してもらいたいくらいだけど、でも大将が決めたことだからね。最後までかっこよく戦ってほしいなと思います」
ーー今日引退される天龍さんにお言葉をかけるとしたら、どんな事を?
「いやもう。『お疲れさまでした』と。ずっと見守ってくれてたんで、ありがとうございましたと」
ーー北原選手は天龍さんの引退発表をきっかけに現役復帰されたわけですが……
「現役復帰って俺、引退してないからね(笑)。ちょっと休んでただけだから。でも(引退を)聞いてすぐ紋奈代表に電話して、何かあったら呼んでって言ったらすぐに大将から『来いよ』って言っていただいたんで最後までキッチリ俺の務めを果たしたいなって思いますね」
ーーこれからは北原選手の思うような……失礼ですけど終わり方というか、そこに向けての戦いになるのではないかと思うのですが?
「この空白の5年間で自分の頭の中では引退というのもあったから。だから僕もそう長くはないと思うし。今日、(大将を)送って、それからゆっくり考えます」
ーー佐藤選手はこの前の大会で半失神させられたことでかなり根に持っているようですが?
「いいんじゃないですか? 俺だってあいつ(の立場)だったら。……すんなり手を出せばいいのにねぇ? 俺だって天邪鬼だからあんなことやっちゃうし。普通に握手して終わりたかったんだけど。でも相手に対して『あの野郎』って思ってるなら。でもあいつには期待していますよ」
中嶋勝彦&佐藤光留&橋本和樹
光留「ふざけんな北原、この野郎! 天龍さん最後の引退興行なのに放送禁止だろ、あれ(=中指)よ! この野郎。天龍さんが終わりでもこれで終わりじゃねーからな、北原、この野郎。あの野郎いつでもやってやる。北でも南でもどこでもやってやる東でも、もう一個どこだっけ?」
和樹「西」
光留「西か」
和樹「すごい一人で熱くなってるから」
光留「ふざけんなあの野郎、いくつだあの野郎? うちの上(=鈴木みのる)と同期だっつってたな。逃がしゃしないよ。ね、中嶋さん?」
中嶋「はい?」
光留「ねぇ中嶋さん」
中嶋「そうっすね、まあでもほんとに今日天龍さん引退試合に自分も参加させていただいてほんとに光栄です。天龍さん、まだこれから試合ですけども、お先にお疲れ様でしたと言わせてください。今日はありがとうございました。失礼します!(唖然とする光留を放置しインタビュースペースを後にする)」
和樹「自分もこんなペーペーがこういう天龍さん引退興行に呼ばれて試合ができる事はほんと光栄でした。たぶん天龍さんがくれたプレゼントだと思います。今日の試合はすごくタッグ組ませていただいただけでも、すごい刺激的なメンバーでした。いつかまた対峙して、今度はまた僕ら闘いたいなと思ってるんで、天龍さん、お先にお疲れ様でした(驚く光留を後にしインタビュースペースから去る)」
光留「……生放送じゃ(中指立てちゃ)駄目だっつってんだろうが! ちょっと!(和樹と中嶋を追っていく)」
第7試合
ノア勢の大量離脱直後の全日本プロレスを天龍と共に救ったケアと相島。対するは天龍とは対戦することが多かった越中と、かつては天龍にボコボコにされながら最後は天龍プロジェクト所属となった嵐のタッグ。
真っ赤なロングガウンを羽織って登場した越中に大歓声が飛ぶ。意気込み相島をケアが、嵐を越中が下げてお互いに先発を買って出る。ケアのショルダータックルを受け止めた越中は、いきなりカウンターのヒップアタックをお見舞い。場外にエスケープしたケアは慎重にリングに戻ると、コブラクラッチに捉えてニーリフト。
さらにアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げると、H5O(ハワイアン・ファイブ・アウト=ヘラクレスカッター)で叩き付ける。越中はここで嵐にタッチ。ケアも相島にタッチすると、相島は嵐を場外に連れ出して鉄柵攻撃からラリアット。越中が救出に向かっていくが、相島は鉄柱に叩き付けていく。その間にケアが嵐をリングに戻すと、相島はエルボーを連打。
さらにケアがSUNケアキックをお見舞いしてからハリケーン・スパイク。嵐が越中にタッチすると、越中と嵐が交互にヒップバット。越中はチンロックに捉えてから嵐にタッチし、ダブルタックルをお見舞い。そこに嵐がエルボードロップ。
フェースロックに捉えた嵐だが、強引にチンクラッシャーで脱出したケアは嵐の足を踏んづけるとエルボーとニーリフトをお見舞い。そこから相島にタッチすると、相島もチンクラッシャーからエルボー。だが、嵐もエルボーからヘッドバットを返すとラリアット。続いて越中がヒップバットを見舞って行くが、相島はキチンシンクからリバーススプラッシュを投下。
ブレーンバスターの体勢に入った相島だが、踏ん張った越中は河津落としを決めて嵐にタッチ。串刺しラリアットから嵐体落としを決めると、三沢式フェースロックへ。これをケアがカットすると、越中が入ってきてヒップアタック。
続けて嵐がラリアットで蹴散らすと、嵐は相島をスローイング。越中がヒップアタックを叩き込み、続けてダイビング・ヒップアタック。さらに嵐がラリアットからパワーボムで叩き付けて3カウント。
<試合後コメント>
越中詩郎&嵐
ーー天龍選手と越中選手と言えば全日本を退団された時から、新日本、WARでの戦いといくつもの思い出があるかと思いますが?
越中「そうですね。やっぱりさびしいですね。ただ本人が決めた事だから。あとはこれから試合で頑張って恩返しするしかないですからね」
嵐「終わってみなきゃわからないけど、これからさびしくなるだろうなぁ」
ーーこれからもお二人は闘い続けていくわけですが、天龍さんから受けた影響をリングで見せていく事になるかと思いますが?
越中「それはねぇ。ずっと身についているものがありますからね。自然に出てくるものですから」
ーー天龍さんとの闘いで一番思い出深いものは何になりますか?
越中「ハハハ! いっぱいありますけどね。やっぱり大阪かな。新日本の年末、大阪(府立体育会館)で闘った」
ーー引退される天龍さんへのメッセージをお願いできますか?
越中「お疲れさま。簡単な言葉になっちゃうんですけど、本当に長い間ご苦労さまです。これからはね、たまには一緒にメシ食いに行きましょう(笑)」
第8試合
村上のテーマが流れたあと、徐々にフェードアウトしてから『風になれ』へ。続いて高山のテーマが流れたあとに『ワルキューレの騎行』が流れて藤原&高山が入場。すると鈴木と村上がリングインしようとした藤原&高山に奇襲攻撃を仕掛けて試合開始。
場外で藤原が村上に張り手を連打。“新旧テロリスト”対決だが、村上は殴り倒すと藤原を踏みつける。高山と鈴木も場外でやり合ったあとにリングに上がると、睨み合いからチョップ合戦へ。さらにエルボーを打ち合ってから高山がサミングで鈴木を倒してから顔面を踏みつける。
立ち上がった鈴木は張り手合戦を仕掛けていくと、ニーリフトからのエルボーで高山をダウンさせる。しかし高山もスロイダーで投げると、鈴木を踏みつけながら藤原にタッチ。ストンピングを落としてからチョーク攻撃を見舞っていった藤原は、さらに張り手を見舞っていく。淡々とした表情で受け止めた鈴木は張り手をお返し。
だが、師匠・藤原の強烈な張り手に鈴木はダウン。だが、エプロンに出た鈴木は近づいてきた藤原をぶら下がり式腕十字に捉えていく。そこから場外に引きずり出して鉄柵攻撃。村上も高山に殴りかかっていく。
鈴木は本部席にある空き缶や備品を藤原の顔面に押し付けていくと、リングに戻り寝転んで長髪。ゆっくりとリングに戻った藤原は張り手を見舞って行くが、鈴木はボディブローでダウンさせると、エプロンに出た藤原をロープ越しにスリーパーに捉えていく。だが、藤原もレッグロックで切り返す。悶絶する鈴木は村上にタッチ。
ニヤリと笑った村上に張り手を連打する藤原だが、村上は左右のパンチを叩き込むと、コーナーから蹴ろうとした高山の足をキャッチしてアキレス腱固め。さらに鈴木が高山を場外に連れ出して鉄柵攻撃からフロントキック。村上は藤原の顔面を踏みつけると、戻ってきた鈴木にタッチ。
鈴木はアキレス腱固めを仕掛けていくが、藤原は本家・アキレス腱固め。しかし人差し指を振って余裕を見せる鈴木。藤原はナニクソと“極めて”いくと、鈴木は悲鳴をあげながらロープに逃れる。エプロンに出た藤原をコーナーの金具に叩き付ける鈴木だが、藤原はへっちゃらの表情でリングに戻りニヤリ。
そして一本足頭突きをお見舞いすると高山にタッチ。10分が経過し、串刺しジャンピングニーからダブルアーム・スープレックスで投げた高山はサッカーボールキック。踏みつけフォールは和田京平レフェリーが認めない。すると鈴木もサッカーボールキックをお返しから踏みつけフォール。だが、当然カウントは取られない。
鈴木はヘッドロックに捉えるが、バックドロップで投げた高山はヒザのサポーターを下げると突進。しかし逆に鈴木がニーリフトで迎撃。両軍タッチして村上が藤原に襲いかかり、コーナー下に追い込んで両足で踏みつける。これを高山がカットすると、鈴木も入ってきてチョップ合戦に。さらにフロントキック合戦から鈴木は背後に滑り込んでスリーパー。
その間に村上はストレートパンチを叩き込むが、2発目を電光石火のワキ固めで切り返した藤原。これで村上がギブアップしたため、鈴木は唖然呆然。高山が藤原の腕を掲げて勝利を称えた。試合後、なおも鈴木が藤原に殴りかかると、高山がスリーパーで止める。村上も藤原に殴りかかるが、藤原はスリーパー。高山と鈴木は揉み合いながら花道を下がっていった。健在ぶりを見せつけた藤原に超満員の観客からは惜しみない拍手が飛んだ。
<試合後コメント>
藤原喜明&高山善廣
ーー天龍さんの引退興行で久しぶりに鈴木選手と相対したわけですが、闘ってみていかがでしたか?
藤原「忘れてたよ。リングに上がればみんな忘れていくからね。あまり覚えてないや。ごめんね」
ーー高山選手はいつもNOAHのリングと同じように、ガンガンとした闘いを見せてくれましたが?
高山「隣に藤原さんがいるからね。俺はやっつけておいて、最後に藤原さんが決めてくれるって。そういうつもりでいたら、そうなったね」
ーー高山選手のゲームプラン通りに……
高山「ゲームプランって言ったら大げさだけどね」
ーーかつては新日本マットで外敵軍として佐々木健介選手、高山選手、鈴木選手、そして天龍さんと四人で暴れていましたが……
高山「そんな大昔の話するの? どうでもいいよ。藤原さん、退屈してるよ」
藤原「退屈してる」
高山「藤原さんはまだ現役を続けるから。100までやるから!」
藤原「100は無理だよ。98くらいまでだな」
高山「OKです(笑)」
第9試合
久しぶりに長州と石井の師弟タッグが実現。長州と天龍、二人の師匠を持つことがいまの石井の活躍の原動力と言ってもいいだろう。対するはこの試合のあと、ヒザのケガの治療のため長期欠場に入る河上と、天龍とは反選手会同盟としてやり合った彰俊のコンビ。
天龍のライバルであった長州の入場時には大「長州」コール。先発を買って出た長州は彰俊とロックアップすると、ロープに押し込んでからクリーンブレイク。再びロックアップした長州だが、コーナーに押し込んだ彰俊はエルボーの連打からチョップ。
さらにロープに振った彰俊だが、長州はいきなりリキラリアットで迎撃。たまらず場外にエスケープした彰俊に対し、怒号で威嚇した長州はリングに戻ってきた彰俊にエルボーを落としながらスリーパー。そして石井にタッチすると、彰俊は河上にタッチ。ロックアップからロープに押し込んだ河上は離れ際にチョップ。
石井はエルボーを返すと「来いよ、コラ」と挑発してエルボー合戦へ。そこからロープに飛んだ石井だが、河上はショルダーブロックでなぎ倒すとボディスラムで叩き付ける。タッチを受けた彰俊は「来いよ、石井!」と挑発するとショルダータックルを受け止める。
ショルダータックルの相打ちから最後は石井が打ち勝ったが、彰俊もカウンターのニーリフトを叩き込んで河上にタッチ。ストンピングから「どうしたオラ」と挑発していった河上に対し、石井も「来いよオラ」と挑発してエルボー合戦に。打ち勝った石井は長州にタッチ。ダブルでハンマーを振り落とすと、長州はストンピング。
河上が立ち上がってエルボーを打っていくと、足をすくって倒した長州はサソリ固めの体勢に。ステップオーバーに成功した直後に長州は石井にタッチ。それでも爆弾を抱える右膝には大きなダメージとなった河上。石井が喉元にチョップを叩き込んでから串刺し攻撃を狙うが、蹴りで迎撃した河上は逆水平チョップ。
タッチを受けた彰俊は串刺しラリアットからブレーンバスター。ラリアットは石井がブロックしたが、彰俊は体落としで叩き付けるとミドルキック。蹴り脚にヒジを落とした石井はロープに飛ぶが、彰俊はカウンターのミドルキックから滞空時間の長いブレーンバスター。さらにアイアンクロースラムからラリアットを叩き込むが、石井は倒れない。
なおも走り込んできた彰俊をパワースラムで叩き付けると、続くラリアットは相打ちになる。ここで長州にタッチすると、長州はリキラリアットからサソリ固めを狙うが、河上がカット。10分を経過し、長州は河上を蹴り上げると石井にタッチ。石井のエルボーを受け止めた河上はエルボー合戦へ。さらにランニングエルボーでなぎ倒した河上は逆水平チョップ。
コーナーに押し詰めた石井に逆水平チョップとエルボーを交互に叩き込むが、体勢を入れ替えた石井は逆水平チョップとエルボーをお返し。ならばと河上は再び同じ攻撃をお見舞いしてからグーパンチ。そこに彰俊が入ってきてダブルのブレーンバスター。彰俊の抱え上げた石井を河上がパワーボムで叩き付けるが、これは長州はカット。
すると石井は走り込んできた河上にラリアット。そこからブレーンバスターを狙うが、踏ん張った河上は左右のエルボーからローリングエルボーを狙ったが、石井がノータッチヘッドバットで迎撃。そこに長州が入ってきてリキラリアットを叩き込むと、石井がダメ押しの垂直落下式ブレーンバスターで叩き付けて3カウント。
<試合後コメント>
長州力
ーー今日はどんな思いでリングに上がりましたか?
「リングに上がれば一緒です」
ーー改めて、天龍選手の引退についてですが?
「リングの中の大きな杭がまたひとつ……。まぁこれは致し方ないこと」
ーー致し方ないことですか?
「そうですよ」
ーー今、天龍選手との闘いの中で思い出す事はありますか?
「いやぁもう今言われてもわかんない。よく聞かれるけどね」
ーー最後に天龍選手にひとことお願いできますか?
「あぁそれはもうお疲れさまでした。次の世代にいろんなものを遺したんじゃないですか?」
第10試合
セミファイナルはこれまで何度か対戦する気運が高まったものの実現せず、もう実現することはないだろうと思われていた諏訪魔と藤田和之が、タッグマッチながら対戦することに。タッグパートナーも途中で真霜拳號と火野裕士から関本大介と岡林裕二に代わるというハプニングはあったが、とにかく天龍引退興行だからこそ実現できた危険な顔合わせ。
まず関本が入場sうると、藤田が『炎のファイター〜オーケストラバージョン〜』に乗って入場。続いて岡林が入場してからEvolutionのジャンパーを着た諏訪魔が入場。リングインするなり火花を散らす諏訪魔と藤田を関本と岡林が分けるという異様な光景。
もう「待ったなし」の状態の両者が大日本勢を下げる形で先発で出ていく。だが、ゴングが鳴っても睨み合ったまま動かない両者。緊張感が国技館を支配するが、まうで水入りのように関本と岡林が入って来る。しかし藤田も諏訪魔も関本と岡林を場外に投げ捨て、なおも睨み合う。
先に手を出したのは藤田。張り手がクリーンヒットすると、諏訪魔も張り手を返すが当たらない。組み付いてコーナーに押し込んだ諏訪魔。揉み合う両者に関本がコーナーから手を伸ばしてタッチするが、藤田は下がらない。なおも諏訪魔と揉み合ったまま。岡林も手を伸ばしてタッチすると、関本と岡林はまず藤田と諏訪魔を引き離す。
「大日本」コールが起こる中、岡林の説得を受けて諏訪魔がコーナーに下がると、藤田もようやく下がり、岡林が関本をショルダータックルでなぎ倒す。関本も逆水平チョップを打っていくと、岡林も逆水平チョップを返すが、その間も藤田と諏訪魔はコーナーを挟んで罵り合う。岡林が関本をボディスラムで叩き付けると、コーナーの藤田を場外に突き落としてから諏訪魔にタッチ。
関本にナックルを見舞っていった諏訪魔はボディスラムを狙うが、踏ん張った関本が逆にボディスラムで叩き付ける。しかし関本がアームホイップを狙ったところを踏ん張り、押し倒した諏訪魔はコーナーの藤田を場外に突き落とす。
関本はフォアアームを叩き込むが、諏訪魔はダブルチョップ一発でなぎ倒すと、ボディスラムからジャンピング・エルボードロップ。タッチを受けた岡林は逆水平チョップからボディスラムで叩き付けると、諏訪魔にタッチ。バックを取った諏訪魔だが、踏ん張った関本はエルボーで逃れるが諏訪魔はスリーパーで捕獲。
藤田がカットい入ろうとすると岡林が入ってくるが、藤田はスリーパーで捕獲。さらにコブラツイストを決めると、諏訪魔も負けじと関本に拷問コブラ。そこから諏訪魔は藤田を場外に連れ出して鉄柵に叩き付けるが、藤田も放送席のテーブルを持ちだそうとしたため一触即発のムードに。
和田京平レフェリーが両者を分けると、リングに戻った諏訪魔は関本にレフトハンド・ラリアット。さらにバックドロップで叩き付けるがカウントは2。タッチを受けた岡林は藤田に向かっていくが、これはかわした藤田。関本のタックルを受け止めてブレーンバスターを狙った岡林だが、背後に着地した関本。振り解いてロープに飛んだ岡林を追走してエルボーを叩き込んだ関本だが、すぐに立ち上がった岡林。しかし関本がラリアット。
ここで両軍タッチして藤田と諏訪魔がリングインすると、藤田はスリーパーで捕まえてからコブラツイスト。さらにジャーマンで投げ捨ててからパワーボムの体勢。リバースで切り返した諏訪魔はダブルチョップを連打。先ほどの場外乱闘で右手から出血している藤田に、諏訪魔は串刺しラリアットからスロイダーで投げていくと岡林にタッチ。
強烈な逆水平チョップから串刺しラリアットを叩き込んだ岡林は、豪快なブレーンバスターで投げていく。岡林はアルゼンチン・バックブリーカーを狙ったが、ハンマーで逃れた藤田はエルボー。岡林は逆水平チョップで応戦。走り込んできた岡林にフロントキックを叩き込んだ藤田だが、岡林は倒れずにラリアットでなぎ倒すとアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げる。
15分が経過し、関本がカットすると、藤田は岡林をスリーパーで捕まえるが諏訪魔がカット。すると藤田は諏訪魔にコブラツイスト。さらに卍固めにスイッチ。ここで藤田が関本にタッチして岡林にダブルのタックルからストレイン攻撃。さらに藤田はそのまま場外の諏訪魔に向かっていく。
その間に関本がコーナー二段目から岡林にミサイルキック。そしてぶっこ抜きジャーマンを狙ったが、お赤林が踏ん張る。ならばと後頭部への攻撃からジャーマンで投げた堰見と。カウント2で返した岡林はラリアットを相打ちに持ち込むと、関本の延髄斬りをショートレンジラリアットで迎撃してからラリアットでなぎ倒す。カウント2で返した関本だが、岡林は豪快なパワーボムで叩き付ける。
辛くも藤田のカットが間に合ったが、諏訪魔が戻ってきて藤田にドロップキック。さらに捻りを加えたバックドロップで投げてから再び場外に連れ出す。その間に岡林がゴーレムスプラッシュを投下して3カウント。
場外ではなおも藤田と諏訪魔が睨み合い。そこから藤田が殴りかかると、すぐに諏訪魔も応戦。セコンド陣が両者を分けると、マイクを持った藤田が「オイ! (音楽を)止めろ、止めろ!」とリングに戻るが、観客からは大ブーイングと共に「帰れ」コール。不敵な笑みを浮かべた藤田は「あー、気持ちいい。もっと言え! もっと言えよ。もっとブーイングくれよ。諏訪魔……」としゃべろうとするが、藤田の声をかき消すように「大日本」コールの大合唱。
プロレスファンからノーを突き付けられた藤田だが、「諏訪魔、分かってるよな諏訪魔。なあ? 俺は年末が楽しみで楽しみでしょうがないんだよ。そういうことだよ。分かってるよな? それだけだ」と言うと引き上げていく。マイクを取った諏訪魔は「おい藤田。いつも適当なことばっかり言ってんじゃねぇよ。今日は天龍さんの引退試合のリングなんだよ。俺はお前の考える総合のリングに上がる気はない! 俺は天龍さんみたいな熱いプロレスをしたいんですよ! 必ず今日の大日本みたいな試合だっていいじゃねぇかよ! まだまだ闘いたい相手がいるんでよろしくお願いします! 以上です」と、総合のリングでの藤田戦にノーを突き付けたことで、ひとまずファンの支持では藤田を上回ったが……
<試合後コメント>
藤田和之
「あの通りだよ。あの通りだよ。なんか言ってやろうか? なんか言ってやろうか? なぁ? 当たりはデカかったよ! 当たりはデカかったよ。諏訪魔、当たりはデカかったよ。なぁ。陸に上げたらよ、なぁ! とんだ代物だよ、とんだ代物! 煮ても焼いても食えねえよ。どうすんだよ! なぁ、かまぼこにしかなんねーんだあいつは。なぁ、なぁ、あいつはデカい、当たりはデカかったよ。当たりはでけーけど、おめー、上がったらとんだ代物だよ。あんなんじゃだーれも腹いっぱいになんねーよなんだ、あれ? え? なぁ? 都合のいいように逃げ口上ばかりだろ? なぁ? 『怖いです!』ってハッキリ言えばそれで終わるんだよ! 終わらしてほしかったら『怖いです』ってハッキリ言えっつってんの! それだけだよ。な? 見りゃわかんじゃねーか。目泳いでんじゃねーか、お前。人の目まともに見れねー奴が、俺に勝負挑むなんてとんでもねー。100年早いよバカ野郎! とんだ代物だよ、あいつはかまぼこだよ、かまぼこ。全日本が捏ねんだよ、はんぺんかちくわやそんなんばっかりだよ。まともに食えねーんだよ、まともに食えねーから加工するしかねーんだよ。な? 分かるだろ、意味? 分かるだろ? 意味分かるだろ? あいつが一番だよ、あいつはかまぼこだよかまぼこ。話になんねーよ。レスラーでもなんでもねーよ。なぁ? ここ(=心)が弱い奴はリングに上がるな!!! それだけだ!」
諏訪魔&岡林裕二
ーー藤田選手と対戦してみていかがでしたか?
諏訪魔「いやぁ話になんない。そのひとことに尽きるんじゃないかな。やっぱりプロレスですよ。俺はすごい純粋にこのリングで熱い闘いをしたかった。それが俺の判断材料。そこを俺は求めているんですよ。見ての通りだよ」
ーー岡林選手は今日の闘いはいかがでしたか?
岡林「俺は久しぶりにゴツゴツした闘いができて、やりがいがありました」
ーー「大日本」コールもありましたが?
岡林「それはまたアレですけど。僕の言いたいことはただひとつです。天龍選手、引退してもこれからも頑張ってください。以上です」
ーー諏訪魔さん、今日の試合を振り返るとにらみ合いから始まりましたが、その時はどんな心境でしたか?
諏訪魔「ファーストコンタクトするのに……触れたらね、ちょっと違ってたな。もっとね、スイングするかしないか。グチャグチャでもいいんだよ。プロレスってやっぱ難しいと思うよ。俺だってそうとう修羅場をくぐってきてるし」
ーー年末という声もありましたけれど、きっぱり否定しましたね?
諏訪魔「向こうがね、そういう風に(=総合格闘技の舞台での対決?)考えてきている。それはあくまで向こうの考えであって、俺はプロレスを追及していきたい」
ーー今日は天龍さんの引退興行ですが、天龍さんへの思いや思い出を教えていただけますか?
諏訪魔「感謝のひとことだし、小さい頃から見ていたし、ずっとファンだったし。これからですよね。これから自分がいかに熱い、いい戦いを見せていくかですよね。そこですよ」
岡林「教わってきたことというより。天龍さんの昔の映像とか見て、学ぶものはすごく多かったです。僕もいろいろ天龍さんの試合を見て、学ぶことはいっぱいありました。やっぱりこれから本当に、天龍さんの言っていた『痛みの伝わるプロレス』。僕たちもそれを受け継いでいきたいです」
ーー最後にひとこと、天龍さんに声をかけるなら?
岡林「格闘技人生50年。おつかれさまでした。これからも頑張ってください。ありがとうございました」
諏訪魔「これからも背中を追い続けます。引退してからもそれじゃ変わりません。ありがとうございました」
ーー試合前には藤田選手と諏訪魔選手の対決だけが注目されていましたが、始まってみると関本選手と岡林選手の対決が観客を沸かせた事は間違いないと思うのですが?
岡林「自分の闘いをやっただけです。そんな沸かせようとか思ったわけではないです。まぁちゃんとプロレスしろよって思いましたけど」
ーー結果的にはお二人の戦いがファンの心を掴み、藤田選手のマイクアピールには「帰れ」コールが飛び、「大日本」コールでかき消される事になりました。これは素晴らしい事じゃないかと思います
岡林「うれしいですね。まぁプロレスってこれって決まったものはないですからね。諏訪魔と藤田がやったアレもプロレス。ブーイングが多かったですけど、だからプロレスって面白いんじゃないですかね。いろんなものがあるから。ひとつのものだけじゃなく」
ーーそしてこのプロレスの続きが見たかったら大日本プロレスに来てくれという感じですか?
岡林「当たり前じゃないですか! 僕と関本さんの闘いが見たかったら大日本プロレスに来てください!」
第11試合
天龍が53年にも及ぶ格闘技人生に終止符を打つべく最後の相手に選んだのは、新日本プロレス現IWGPヘビー級王者“レインメーカー”オカダ・カズチカ。オカダが2年連続でプロレス大賞MVPを受賞した際、過去に連続でMVPを受賞したことがある猪木、鶴田、そして天龍に対して、「その3人には僕と同じ時代じゃなくてよかったな、と(思ってほしい)。同じ時代だったら、その3人にはそんな記録はできていないと思いますので。僕よりもだいぶ前の時代に、そういう記録が獲れたことを、僕に感謝してもらいたいですね」と発言したことにカチンと来た天龍は、オカダを成敗するために指名したという。
まずはオカダが天龍をよく知る男でもある外道を帯同して入場。どアウェーのオカダにはまるで海外武者修行から帰国した直後のようなブーイングも飛ぶ。そして大「天龍」コールの中、これが聞き納めとなる『サンダーストーム』に乗って天龍が、デビュー時と同じ真っ青で背中には「天龍」と書かれたロングガウン姿で入場。リングインするなりオカダと睨み合う天龍の表情は平常心そのもの。
そして腰の手術をしてからはずっとパンタロン姿だった天龍だが、名前をコールされた天龍がガウンを脱ぐと、何とショートタイツ姿! 裁くレフェリーは全日本プロレスからWARまで天龍と共に歩んできたレッドシューズ海野レフェリー。試合開始のゴングが鳴ると、まずはロックアップ。ロープに押し込んだオカダはチョップと見せかけてクリーンブレイク。
再びロックアップすると、またもオカダがロープに押し込むが、体勢を入れ替えた天龍は逆水平チョップの体勢に。かわしたオカダはロープに飛ぶが、天龍はカウンターの逆水平チョップ。オカダが場外にエスケープすると、天龍は両手を広げ、天龍流のレインメーカーポーズで挑発。さらにロープを広げてオカダを招き入れる。
これにはムッとしたかリングに戻ったオカダはエルボーでなぎ倒してから、立ち上がろうとする天龍に側頭部にベースボール・スライド(=スライディング式ドロップキック)。チンロックに捉えたオカダはクロスアーム式スリーパーにスイッチ。
オカダはさらにスリングショット式アトミコを投下するが、天龍はロープを掴みながらの逆水平チョップで反撃。5分が経過し、オカダもエルボースマッシュを返すと、踏みつけながらレインメーカーポーズ。オカダはセントーンを投下するが、これをかわした天龍はドッグバット(=ハイハイ式ヘッドバット)。
これでオカダが四つん這いになると顔面にチョン蹴りをお見舞い。手に唾した天龍は逆水平チョップとグーパンチを交互に叩き込むと、ブレーンバスターで投げていく。そして渾身のWARスペシャルへ。苦悶の表情を浮かべながら下からヒザを当てて脱出したオカダだが、天龍は袈裟斬りチョップからパワーボムの体勢に。
だが、これは体勢が崩れてしまう。オカダは手招きすると、立ち上がろうとする天龍にスライディング式のエルボースマッシュ。ツームストンパイルドライバーを狙うオカダだが、天龍は必死に踏ん張るとオカダのエルボースマッシュに逆水平チョップで応戦。オカダは天龍をリング中央に寝かせると、ダイビング・エルボードロップを投下。その飛距離と高さにどよめきが起こる。
ここでオカダはレインメーカーポーズ。10分が経過し、オカダはバックを取るが、天龍はエルボーで脱出すると、走り込んできたオカダに倒れ込むようなラリアット。先に立ち上がった天龍はデンジャラス・ドライバー・テンリュー(DDT)を決めると、気合いのガッツポーズからパワーボムの体勢に。
オカダも腰を落として踏ん張ると、リバースで切り返す。両ヒザをマットに付いた状態の天龍にドロップキックを叩き込んだオカダは、バックを取ってレインメーカー(=相手の腕を掴んで引き込むように決めるアックスボンバー)を狙うが、天龍はカウンターの張り手で迎撃。そこからグーパンチを叩き込むと片膝立ちのオカダに延髄斬り。
ロープを掴んで立ち上がろうとするオカダを下から蹴り上げた天龍は、もう一度パワーボムの体勢に。どうにか持ち上がったが、投げ捨て状態だったためオカダは後頭部からマットに落ちる。カバーした天龍だが、カウントは2。ならばと天龍は53歳を決めたが、これもカウントは2。グーパンチの連打を叩き込む天龍にオカダはジョン・ウーを返して吹っ飛ばす。
15分を経過し、オカダは引き越すが、天龍はグーパンチ。フック気味のパンチから張り手を見舞う天龍だが、オカダはまたもジョン・ウー。ハーフダウンの天龍に低空のジョン・ウーを2連発で叩き込んだオカダだが、天龍も逆水平チョップで反撃。さらにグーパンチも叩き込むが、オカダは高さのあるドロップキック。
天龍を引き起こしたオカダはバックを取るが、天龍は袈裟斬りチョップ。さらに逆水平チョップとグーパンチを叩き込むとロープへ。そこにオカダはまたもドロップキック。グッタリする天龍を引き起こしたオカダは渾身のレインメーカーを決めて3カウント!
顔中アザだらけになりながらも天龍に引導を渡したオカダ。天龍のもとにセコンド陣が駆け寄るが、オカダはそのセコンドたちを突き飛ばすと、倒れている天龍に向かって深々と一礼。昭和プロレスの凄みを知ってまたひとつステージに登ったオカダは大歓声を浴びて引き上げていった。
天龍引退セレモニー
自力で立ち上がった天龍はマイクを掴んで「いやぁ、負けたー!」と絶叫。最後の最後まで悔しそうに座り込んだ天龍。そこに『サンライズ』が鳴り響き、天龍とはライバルであり良きパートナーでもあったスタン・ハンセン氏が登場。
テキサス・ロングホーンを突き上げてリングインしたハンセン氏は天龍に花束を渡した。続いてテリー・ファンクも登場。花束を渡したテリーは実に感慨深い表情で天龍と抱き合った。最後に愛娘にして天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表がリングインし、涙を浮かべながら偉大なる父に花束を渡して労を労った。
リングを降りようとする紋奈代表を呼び止めた天龍が「代表! 今日だけでいい、父ちゃんの代わりにたくさん来てくださったお客さんにひと言感謝の意を言いなさい」と言うと、紋奈代表は涙を堪えながら「本日は天龍源一郎の引退試合に本当に北海道から沖縄まで、日本全国の方が足を運んでくれました。またライブビューイングですとか、いろんなネット環境とかを整えてたくさんの方にこの試合を、この大会をご覧頂くことが出来ました。本当に天龍プロジェクトは小さな所帯で……大将に本当に苦しい思いをさせてばかりの5年間だったと思いますけど、こうやって皆さんに最高の舞台を与えていただきましたこと、本当に心から御礼申し上げます」というと、目をつぶって噛みしめるように聞いていた天龍はそんな愛娘を抱きしめた。
続いてマイクを渡された天龍は「皆さん、俺は本当に腹一杯のプロレス人生でした。もうこれ以上望むものは何もありません! ありがとうございました」と言うと、四方に一礼。万雷の拍手を浴びたあとに天龍は振り絞るように「みんなありがとう!」と叫ぶと、場内が暗転して10カウントゴングが鳴らされた。
10回目のゴングが鳴り終わったと同時にパンチ田原リングアナが「赤コーナー、ミスタープロレス、260パウンド、天龍〜源一郎〜」とコールすると、大量の黄色い紙テープが投げ込まれ、国技館に鳴り響く『サンダーストーム』と共にプロレスファンは“ミスタープロレス”天龍源一郎に別れを告げた。
<試合後コメント>
オカダ・カズチカ
「見てもらったら分かるように、これが昔のプロレスと今のプロレスの違いだ。技も出してねぇぞ。それが昭和のプロレスか分からない。これが昭和のプロレスか分からない。もしかしたら平成のプロレスでも違うかもしれないし。ただ! 年下の、スゲー後輩の俺が言ってやる。天龍さん、あっぱれだよ! まぁ本当に、それ以外は特にありません」
天龍源一郎
「本当にお客さんありがとうございました」
――プロレス人生最後の試合が終わりました。今の素直な気持ちを教えて下さい。
「悔しいです。でも、この体の痛さが全てを物語っているようで心地いいですね」
――オカダ選手は非情なまでに攻め込んできましたけど。
「いや、プロレスはね、彼と闘って、進化していると思ってますよ。俺のプロレスは、ほんとに、掘り下げるプロレスだったけど彼はほんとに、一歩一歩新しいプロレスを今日は俺に、体験させてくれましたよ。いい飛び蹴りあり、なんかあの、ラリアットもシャープで、いいのが入りましたよ。まあ、こんな事言うのも癪だけど、最後にふさわしい相手だったと思います」
――そういう意味では平成のプロレスを堪能できましたか?
「いや、もう十分見せつけられましたよ」
――最初に悔しいという言葉がありましたが、そういう意味では悔しさは残る?
「そりゃ〜ね、まあ、まあそういう事にしておきましょう(苦笑)」
――ご自身のプロレスを最後まで出し尽くせたという気持ちはありますか?
「いや、出せたと思っていますよ。まあ、ちょっと甘かったかな。逆に鋭角的なパワーボムもやれましたし僕も。そこを起きてきたわけだからね。そんなあの、やっぱり彼も技術というものを持っていると思いますよ。受けの技術をね」
――最後の3カウントを聞いてどんなお気持ちだったんでしょう?
「いや、なんかね、わかんなかったですね。なんかいいのがバチャーンと喉元に来たなというのはわかったんですけどね、3が入ったとは、ほんとに思ってなかったですね」
――気がついたら試合が終わっていたという感じですか?
「そんな感じですね。飛び蹴りがいいのが何発か入りましたからね。それもあるのかなと思いましたね。結構まあ、えぐいのが何発かアゴに入ってましたからね」
――客席から天龍さんへの歓声が飛んでましたけどもそういうファンの声は
「今日はね、必死でしたよ(苦笑)。なんかね、あいつもあの、飛び蹴りがいい所に入ったとかいうのもあるけど、まあ俺自身も今日は必死でしたよ」
――国技館の天井を見た景色はいかがでした?
「いやなんかね、一番最初にね、相撲をとった時に土俵下にひっくり返され事、なんかよく似てますよ(苦笑)」
――久しぶりに黒のショートタイツだったんですけども、オカダ選手からもショートタイツでという言葉がありましたが。
「別にあの、オカダが言ったからどうのこうのじゃなくて、やっぱり最後ぐらいは潔くという。オカダの向こうのファンの人達に見たまま感じてもらえればいいなという俺の気持ちです。だから、今日の試合を見てその通り語ってくれればいいし、思った通りの今の天龍源一郎です」
――ファンの人達は最後に見た姿が黒のショートタイツというのは素晴らしいプレゼントだったと思います
「そうっすか(笑)。いやあの、ロングガウンも初めて着たロングガウンだったし、そういう意味では先祖返りって言うんですか?昔の天龍源一郎に戻ってやりたいと思ったけど、いかんせんIWGPチャンプも結構なもんですよ。なかなかなもんでしたよ」
――今日着てたガウンはデビュー戦のものですか?
「そうですね」
――天龍さんを介錯したオカダ選手へのメッセージはありますか?
「いや何もないですよ。あの、このまま伸びていってプロレス界を引っ張っていってほしいというのが、俺の希望ですよね」
――10カウントを聞いてる瞬間というのはどんなお気持ちでした?
「意外と無(む)でしたね。何も感じなくって、なんか、この場は二度とないんだなというそんな感じですね。まあこれから、おいおい、いろんな時間ができてくると考えることもまああると思いますけど、今は本当に、オカダ・カズチカと闘い終えたというだけです」
――引退試合を終えたばかりではあるんですけど、これからに関しては何か考えてらっしゃることは
「いや何も考えてないですよ。本当に。答えがあるとしたら(ビールを手に取り)ビールでも飲みますか?(笑)これ(=アサヒスーパードライ)はね、俺が(阿修羅)原と二人で(天龍革命を)やりはじめた時に、一番最初に世の中に出たビールだったんですよね。美味しかったですね。ちょっと、あの頃と同じテイストがするか。ちょっと、失礼して……(※缶ビールを開けて飲み始める)うん、シャープですね(笑)」
――スタン・ハンセンとテリー・ファンクとは何かリング上で話ました?
「ただご苦労さんというだけですね。まあ彼達も先に同じ経験をしていますから」
――紋奈代表とは最後どんな親子の会話があったんですか?
「いやもう彼女にはね、ほんとにあの、両国をとってくれたりとか、(スタッフが)5〜6人でこんだけの大観衆を集めてくれて、我が娘ながら…男前です」
――天龍さんで引退というと、阿修羅・原選手が引退した時に『家族の方に阿修羅をお返しします』とおっしゃっていたのを思い出すんですが
「言いましたねあの時、はい」
――天龍さんは家族に戻るのでしょうか?
「いや、ちょっと、こちらから一方的に言うわけにはいかないから、後で相談します(笑)」
――目を閉じると、どんなレスラーが頭に浮かびますかね?
「そうですね〜。やっぱり、今日来てくれたファンクスもそうですけど、やっぱりあの、馬場さんもそうですし、鶴田選手もそうですし、志半ばでね、僕のようにあの最後までできなかった方達のことはやっぱり思い出しますね。俺は、まがりなりにも自分の足で立って、皆から拍手をもらって降りられただけでも幸せだと思ってます」
――ものすごい観衆でしたね。
「本当にありがたいことです」
――この大観衆を見た時どんな気持ちになりました?
「ただひと言ありがたいと思うだけですね。なんにも、ほんとに、ありがとうございますっていう、簡単な言葉ですけどね、そこに尽きますね」
――今日来た人たちは皆天龍さんにありがとうございますって言って帰ると思います。
「僕のほうがもうまだ熨斗付けても足りないぐらいだと思います」
――いちばん印象に残ってる試合は?
「今となっては全てが思い出です」
――故郷の福井に何かひと言ありますか?
「福井からも皆さん会いに来てくれてますし、まあ生まれ故郷ですからね、忘れる事はないと思います。この土着性を産んでくれたのがやっぱり福井ですからね」
――奥様へは何かひと言……
「いやーもう今日はね…リングに上がる前に、間違っても私を呼び込まないでよと釘を差されましたので(苦笑)まあ紋奈代表になったんですけど、まあ、言えるとしたら、こんな天龍源一郎を支えてくれて、ここまで押し上げてくれたという感謝の気持ちですね、はい。その節はしっかりしていただいてありがとうございました」